ゼロのネクロマンサー   作:結城マサヒト

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「……知らない天井だ」

 

 

うん、まぁそりゃそうだろうなーとは思う。とりあえず言っておいたけど。

とりあえず思い出せるだけ思い出して確認してみよう。

名前、加藤一真(カトウカズマ)。どうやら死んだという事で死後の部屋のような所に居た。

そこでダメな女神、青髪駄女神になんか色々手続き間違われていたはず。

しかも最後に『アンデット』とか言われてたよね……?

まぁ死んだはずなのに生きてるっていうのはある意味アンデットだろうか……?

一応自分の体を見まわしてみるけど、特に生前と変わった感じもしない。

キョロキョロと周りを見渡してみるが、自分が寝ていたベッドがいくつかあるだけで特に人の気配も無い。

 

「……これって転移出来たって事かな?もしくはまだ死後の世界にいる感じ?記憶があるって事は生まれ変わったわけじゃないだろうし……。天国って感じも無いし。―――というか、俺ってそもそも何で死んだんだ?」

 

うーんと悩んでみるが答えは出ないので、ベッドから出てひとまず持ち物確認をとポケットをゴソゴソと漁ってみる。記憶では春先だったがそれに齟齬は無いのか、服装もラフな格好でカバン等も見当たらないからね。

 

「……ん?なんだこれ。」

 

財布と家の鍵、スマホまでは覚えがあるんだが、見知らぬカードがポケットから出てくる。

 

「名前に……ステータス!?スキルに魔法って……おおお、なんだかファンタジーっぽい!!」

 

色々とカードを眺めたり触ったりすると、色々な情報が確認出来る。なんだかゲームみたいな感じでわかりやすいし、実にテンションが上がるというものだ。

ただいくつか気になる所を見つける。

 

「……未取得のスキルはあるけど習得可能魔法無しか……。でもいっぱい習得済みの魔法あるな。余った大量のスキルポイント。うーん……?なんで駆け出し冒険者の街って所にこんな実力者が?」

 

そもそもこれが一般的な駆け出しレベルなのか、引退した強い冒険者でも居たのか?と思ったけれど、『アンデット』と言われた事を思い出して種族の欄を探す。というか強いアンデットが居る駆け出し冒険者の街って壊滅してません……?それとも駆け出しの基準が高いのだろうか。

 

「……あー、これか。『リッチー』ってなってる。」

 

うーん……特に自分では変わった感じしないんだけどなぁ。

まぁ、悪くなるよりはいいかと考えて保留。

しかしこれ他人からアンデットってすぐバレたり、アンデット=ぶっ殺すって世界だと怖いなー。

アンデット仲良しって世界の方が見ないけどさ。

あとこの左手の紋章って何?アンデットの証みたいなのっだったら嫌だなぁ。

 

 

「―――うん、色々わからん。とりあえず魔法は使ってみたいけど、ここ室内だしなぁ。」

 

ひとまずいくつか魔法の名前だけ覚えておいて、カードをポケットにしまう。

一応ベッドで寝ていたわけだけど、これはベッドで転生してから寝ていたパターンと、誰かに拾われてベッドで寝ていたパターンのどちらなのだろうか。

どちらにしても話が通じる人にでも遭遇しないと現状もわからないので、魔法を撃てそうな場所を探しがてらでかけてみようか。

 

 

―――こちらスネーク、大佐聞こえるか。

 

―――聞こえている、感度良好。

 

―――今から探索に出る、指示を頼む。

 

―――いいだろう、まずはドアを開けろ。

 

―――ドアを開けてみたが、周辺に人影は見当たらない。

 

―――ふむ、不用心だな。しかし一人芝居が空しくならんのかね?そもそも元ネタ知らんだろ。

 

 

「………………さて、まずは第一村人でも探してみますか。と言っても、村っていうか城っぽいなここ…」

 

とりあえず扉から左右を見渡しても人が見当たらなかったので、ひとまず適当に歩いてみる事にする。広いみたいだけど流石に何人かには会うだろう。捕まってたなら見張りぐらい居るだろうし、居なかったって事は大丈夫でしょ。

 

 

「あれ?どうなさいました?」

 

三叉路に行きあたって、さてどっちに行くものかと悩んでいると、片方から声をかけられる。

 

 

振り返るとそこには天使が居た。

うむ、つまりもう一度死んだのだ。

――完――

 

 

 

という事はなく、そこには銀のトレイを持ち、濃い藍色のワンピースの上にエプロンを着用している素朴な感じの少女(テンシ)が居たのだ。

うむ、つまり死んでは居ないのである。

――未完――

 

 

「……あの、大丈夫ですか?学院のお客様でしょうか?」

 

初めて見るリアルメイドに意識が飛んでいると、不審に思われたのかやや警戒したように見つめてくる。

 

「ああ!すみません。メイドさんを実際に見るのが初めてだったので、見惚れちゃいました……。じっと見てしまってすみません。」

 

第一村人兼、初メイドさんに不審者扱いされてもたまらないので、慌てて謝る。

 

「ああ……なるほど。という事はやっぱり平民の方ですよね?珍しい服だなと思いましたけど、貴族様なら見慣れているでしょうし。」

 

丁寧に対応したおかげか、少し警戒心を薄めてくれた様子で返してくれる。

服装は上半身がシャツとニットにチェスターコート、下半身はジーンズというそこそこ量産型大学生である。でも周りも城っぽいし貴族にメイド……中世っぽい感じなのかな。それなら違和感強いだろうし。

 

「ああ、はい。たぶん……平民です。あの、すみません。気が付いたらこの道を戻った…治療室?のような所で寝ていたんですけど、何かご存じありませんか?勝手に入ったわけではないと思うのですけど、ちょっと記憶が曖昧で。」

 

貴族というワードと、城っぽい建物に居る事から、厄介事になったら困るので、探りを入れてみる。

いきなりベッドの上にワープだったら不法侵入+戸籍無しで100%厄介事待ったなしです、はい。

まぁメイドさんが知らなくても、牢屋じゃなくちゃんとした部屋に寝かされていたと聞いて、急に捕まえるような事はしないだろうと踏んでみた。

 

 

「ああ!もしかして貴方がミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう……。」

 

どうやらメイドさんにも心当たりがあったようだ。でも使い魔っていうのがすっごく不穏……。

 

「おお!何か事情を知っておられました?……でも、使い魔っていうのは……。」

 

「ええ、なんでも召喚の魔法で平民を呼んでしまったって、噂になってますわ。」

 

「ええっ……。使い魔ですか。」

 

召喚型、そういうのもあるのか。

うーん……、でも使い魔っていうのはどのくらいの立場なんだ?

奴隷っぽい感じなら嫌なんですけど……。

 

「あ、すみません!私も平民なので詳しくは知らないのですが、もしかして無理やり召喚されたんでしょうか?でしたら軽率な言い方でした、ごめんなさい!」

 

嫌そうな顔を表に出した事に気付いて、メイドさんが少し慌てた様子で謝ってくる。

 

「ああ、いや気にしないでください。むしろ事情を知っている方で助かりました。……あの、『使い魔』ってどういうものなんですか?……その、もしかして奴隷みたいな感じだったりします?」

 

「……えっと、私も詳しくは知らないのですが、奴隷みたいな扱いではないと思います。使い魔を大事にされている貴族様をよく見ますので。ただ、平民が使い魔になるのは初めてらしいのですが……。」

 

色々教えてくれるメイドさんを謝らせるのは不本意なので、気にしないでと手を振って答えると、そこまで悪い扱いでもないようだ。

うーん……やっぱり『リッチー』になっているのが原因なのかな、人間の使い魔って。

でも人間に見られてるっぽいし、下手な事は言わないでおこっと。

 

「そうなんですか、ちょっと安心しました。ちなみに、そのヴァリエールさんはどこに居るのかご存じですか?起きたら誰も居なかったので、どうしようかと思ってたんです。」

 

「そうだったんですね。ならもうしばらくで授業が終わるはずですので、いらっしゃった医務室で待っていれば、様子を見に来られると思います。」

 

異世界となると、生活の伝手もないので面倒を見て貰えて、無碍な扱いを受けないとなれば使い魔でもまぁいいか。

学院ってさっき言ってたし、授業ともなればここは学校なのかぁ。

 

「重ね重ねありがとう。えーっと、そういえば名前聞いてもいいかな?俺は加藤一真(カトウカズマ)です。」

 

「カトウカズマさん……変わったお名前ですね。私はシエスタっていいます。」

 

シエスタさん……名前は西欧的な感じなのかな。

なら日本人の名前は珍しいだろうなー。

おっと、ついでにもう一つ聞いておこう。

 

「シエスタさん、色々とありがとう。このお礼は落ち着いたらまた今度。そうそう、最後にもう一つ聞きたいんだけど、軽く体が動かせる庭とかないかな?起きたばっかりだから少し体を動かしたくて。」

 

 

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