憐れな敵《ヴィラン》に魂の救済を   作:エキストラ

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お気に入り登録ありがとうございます。

各サブタイトル気に入らなかったので変更してます。
プロローグは前回までとか書いたけど今回までです。

なんか恨みでもあんのかってレベルで原作キャラを登場させてない。
孤児院のオリキャラも師匠以外はこれから登場させる機会ほとんどないのにたくさん作っちゃったし。
次回こそは原作キャラ出せるはず……。



ちなみに技の名前を決めたのは師匠

 アレンたちが暮らしている孤児院は、毒島がプロヒーロー『ドク』として運営している事務所と同じ敷地内に建てられている。その理由は子どもたちの世話や教育を『ドクヒーロー事務所』の孤児院担当職員が行なっているからである。実際に毒島自身が孤児院にいることは少ない。1ヶ月に1度責任者もとい保護者として子供たちの顔を見に行きお小遣いを渡すためにしか行かない。

 毒島は孤児院の他に医者も兼業し、ヒーロー活動で救助した被害者のアフターケアまで勤めている。

 

「つまりだ。私はとても忙しい。知ってるな、アレン?」

「……何がつまりなのかはわかりませんが、忙しいという事は知ってます」

 

 毒島とアレンの二人はジャージを着て、事務所に併設されているトレーニングホールにいた。その大きさは市立の体育館以上にもなる。

 アレンは雄英高校から合格通知を受けった日の翌朝、毒島から呼び出してを受けてまだ日も昇っていないような時間にその場所へ来ていた。

 

「知っていればいい。……ところで昨日、合格がわかったらしいな。とりあえず言っておこうか。合格おめでとう」

「はい。ありがとうございます。今日伝えようと思ってたんですけど、誰から聞いたんですか?」

 

 アレンは祝福の言葉に感謝しながらも、まだ伝えていないはずの試験結果を知っていたことに疑問を抱いた。

 

「ああ、それはな。昨日の夜、硝子から動画が送られてきたんだよ」

 

 その瞬間アレンは察した、あの時動画を撮られていたのだと。

 

「動画を再生してみたら部屋から出てきた子どもがすっごい嬉しそうな顔で『もちろん合格ですよ』って言ってな。その後すぐ顔赤くして照れてやがんの。慌てて顔かくしてな。思わず笑っちゃったよ」

「……え? 」

 

 アレンの想像の斜め上をいっていた。嬉しそうな顔には心当たりがあっても、その後の動作にまるで覚えがない。編集を加えた動画を送ったのである。どこでそんな技術を身に付けたのか、硝子の揶揄う事へのバイタリティはアレンの予想出来る範囲を超えていた。

 

「言うまでもないと思いますけど、師匠。それは脚色されてますから間に受けないでください」

「なんだ。本当は不合格だったのか、アレン?」

「いえ、合格は本当です」

 

 アレンは疲れた。今はまだ早朝だというのに疲れ切っていた。何故自分はこんな時間にここにいるのだろうか、と悩み始めるほどアレンは疲れていた。

 そんなアレンを見て毒島はにやりと笑い口を開いた。

 

「まあ、冗談はここまでにしとくか」

「はい。なるべく早く本題に入って貰えると助かります」

 

 割と切実なアレンの頼みであった。

 

「今日ここに呼び出したのは、十字架(クロス)の最大開放の訓練が最終段階に入るからだ」

「もうですか? 予定ではもう少し先という話でしたが」

「ああ、お前が試験の時に無茶したからな。予定が狂ったんだよ。あの時お前は暴走することなく十字架(クロス)を発動させた。後で気絶こそしたが怪我もなかった。だから、最後の仕上げを入学するまでに終わらせることにした」

 

 アレンはなんだかんだであの時助けようとして良かったなと、内心で考えていた。

 

「今お前の考えていることは、手に取るように分かるから釘刺しておくぞ。反省してないと私が判断したらいつでもペナルティは再開するからな」

「そんな事はないですよ。後悔はしてないですけど、反省はしっかりしてます。……早く訓練を始めましょう」

「まあ、そういう事にしといてやろう。……肝心の訓練の内容だが簡単だ。アレンは暴走するまで限界まで十字架(クロス)を発動させる。そして限界を少し超える。暴走する。そこで私が強制的に眠らせる。叩き起こす。これを繰り返して限界まで発動させる状態に身体を慣らす」

「それ、大丈夫なんですか?」

「場所のことなら気にするな。大金注ぎ込んで建てたから、頑丈だし防音もしっかりしてる。お前自身の事なら安心しろ。試験の時は怪我してなかったし多分平気なはずだ。ここ1週間の修行も耐えられたしな」

 

 ペナルティを言い渡した時はついでのように、修行を厳しくすると決めたようだったがこの訓練の為の下準備だったらしい。

 

「この訓練で重要なのはイメージだ。十字架ノ墓(クロス・グレイヴ)の訓練の時にも教えたな。同じ構えから同じ動きで同じ攻撃をする、このイメージを頭に擦り込めよ」

 

 そもそも十字架ノ墓(クロス・グレイヴ)とは、十字架(クロス)の発動が不安定だったアレンに毒島が覚えさせた技だった。

 安定して十字架(クロス)を使用している状態での攻撃行為を、必殺技として身体に定着させたのである。これを身に付けるまでアレンは、十字架(クロス)に対して恐怖心を抱いていた。恐怖心を克服する為の毒島による一種の治療行為でもあった。

 

「この訓練は十字架ノ墓(クロス・グレイヴ)をわざと不安定にさせるんですよね?」

 

 毒島の話では、これから行う訓練は今までに身に付けたものとは、正反対の行為だとアレンは考えていた。

 

「ああ、だが全く違う事をする訳じゃないからな。今のレベルで固定されている必殺技を数段上のレベルまで引き上げるんだ。前やった時は、まだまだ身体が鍛えられてなかったからな」

 

 毒島は、アレンの訓練に対する認識を正しいものに改めさせた。

 

「……ていうか、これはお前が実技試験の時にやった事だぞ。100%の力ではなかったようだけどな。こっちは身体の成長だったりを計算して訓練内容とか計画立ててるのに、勝手なことしやがって」

 

 毒島は話しながら、様々な思いが湧いてきたらしく顔から徐々に表情が消えている。

 そんな話を聞きながら、アレンはその時の事を思い出していた。目の前で師匠の顔が恐ろしいものへと変化している事実から逃れたいという願いが働いたのではない。毒島の言葉に少し気にかかるものがあったのだ。

 

 ――あの時、僕は何の迷いもなく本気で十字架(クロス)を使用していた。あの脅威を止めるため全力を尽くしていた。助けを求める声に応えるために、自身の全てを使うつもりだった。

 しかし、師匠曰く、あれは全力ではなかったらしい。まだ先があるという事だ。それなら納得できることはある。暴走せずに怪我を負わなかったことだ。しかしこれは一体どういうことなのか。何故、僕の意思に反して100%の力が出ていなかったのか。

 

「目標は100%の十字架ノ墓(クロス・グレイヴ)を使っても怪我なく気絶せず、だ。とりあえず、これで説明は終わりだ。さっさと始めるぞ」

 

 入学までに完成させてやる、とアレンは決意とともに頭を下げる。

 

「よろしくお願いします」

 

 個性を発動させて、左腕が赤黒いものから銀色の鉤爪状に変化させる。そのまま左腕に力を込め、構え、叫び、放つ。

 

「十字架ノ墓(クロス・グレイヴ)!!!」

 

 アレンの必殺技の訓練が始まった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 そして、時は経過し季節は春を迎える。




(登場機会は少ないかも知れないけど
折角考えたんだからやっておこう的な)
人物紹介
名前:毒島薬理

ヒーロー名:ドク…「毒」と「Dr.」をかけている

個性:毒薬。生成は体内体外どちらでも行える。体外の場合生成した毒薬は全身の肌のどの部分からでも任意に分泌できる。抗体や特効薬をつくるときは、わざと毒を摂取したりウィルスに感染する。これはとても体力を使う作業なので本人は出来るだけやらない事にしている。

好きなこと:子ども。昼寝。昼寝はヒーローになってから睡眠時間が極端に減ったため。

嫌いなこと:喫煙、飲酒。飲酒を勧められてどうしても断れない時は、こっそりと個性を使いアルコールを分解して飲んでいた。

自己評価:「私は毒にも薬にもなるので用法容量を守って正しく接しろ」

第三者の評価:「孤児院の年少組にあんまり懐かれてないことをちょっと気にしてました。お小遣いくれる人としか認識されてませんからね、師匠は」

詳細:ヒーローの他に孤児院の経営、医者をやっている。医者と言っても当然医療行為も可能であるが、薬剤師としての成果が大きい。

・ヒーローになる前に、当時存在していなかった特効薬を生成することに成功しかなりの金額を稼いだ。そのお金は事務所の設立や孤児院の運営に当てている。

・新薬の生成を出来る限り行わない理由として「一人の人間の個性に頼りきりになってしまったら、技術の進歩が遅れるかも知れないから」と言っている。

・アレンの師匠になったのはアレンが初めて十字架を発動させた時。アレンの個性届けに「十字架(クロス)」と書いた人物。この事から事務所では、彼女は厨二病であるという疑惑が浮上した。

孤児院担当職員作成プロフィールより
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