……難しくて挫折してました。
評価欲しいな(強欲)
水難ゾーンに飛ばされた僕らは個性を知られていないというアドバンテージを利用して何とか乗り切ることができた。
相澤先生が大勢の敵を引きつけているのを見て何か手助けを、負担を減らせればと考えてしまった。
改めて考えると慎重じゃなかったけど、初戦闘は勝つ事ができた。だからきっと勘違いしてしまったんだ、僕らの力は敵にも通用するのだと。
でも、ヴィラン。プロの世界。
――僕らはまだ何も見えちゃいなかったんだ。
絶望的だった。多数の敵を制圧し続けていた相澤先生がたった一人のヴィランにやられた。見るからに重傷を負っている。
「相澤先生……」
相澤先生を取り押さえているヴィランは先生の腕を握り潰し頭を地面に叩きつけた。
「緑谷ダメだ……。さすがに考え改めただろ……?」
「ケロ……」
ヴィランの圧倒的な力、凄惨な光景、先生の痛ましい姿に前言撤回を求める峰田くんとそれに同意する様子の蛙吹さん。
声には出さなかったけど、僕も考えが甘かったと思ってる。こんな奴がいるなんて想像力が足りなかった。
「……どうしたら――――……!」
その時、突如そのヴィランに薄い緑色に光る銀色の何かが激突した。
「あれは……!」
「亜蓮ちゃんの個性かしら?」
「マジかよ!? あいつの左腕あんな速く動かせるのかよ!?」
銀色のそれが伸びている先に目を向けるとそこには常闇くんと亜蓮くんの姿があった。左腕にオーラみたいなものを纏っているように見えるし……まさに目にも止まらぬスピードって感じだ……って、いや、それどころじゃない! 先生も巻き込んで――……ない? あのヴィラン今の攻撃を受け止めたのか……!?
「おいおい。いきなり攻撃仕掛けてくるなんて、物騒だろ。これだからヒーローは……。自分たちの暴力は正当化するんだ。……――脳無にそんなのは効かないんだよ。なんせショック吸収を備えた対オールマイト用の怪人だ」
ショック吸収、対オールマイト……あの脳みそヴィランがオールマイトを殺すための算段なのか! ……脳みそヴィランがオールマイトのパワーとスピードに対抗できるなら、僕じゃ絶対に敵わないってことに……。
いつのまに脳みそヴィランが亜蓮くんのところに移動して——いや、攻撃した。さっきまで先生の近くにいたのに……速すぎる……! 亜蓮くんは? ……防御できて……るのか?
どうする? 考えろ何をすれば良い? 今何が最善だ? 常闇くんは……他の敵に囲まれてる。手助けは無理か。先生を避難させる? 考えろここから先生までの距離は? 亜蓮くんはこの後どうするんだ? 作戦があるのか? 僕が何かしたら邪魔になるのか? 考えろ考えろ考えろ!
亜蓮くんの左腕が……大砲みたいになった? そんな事も出来たのか! 零距離射撃……! あのヴィランにダメージを……!
「やってくれたぜ、亜蓮! ダメージ与えたぞ!」
峰田くんは、さっきとは打って変わって喜んでる。正直、僕も同じ気持ちだ。あの脳みそヴィランを亜蓮くんが抑えられるなら今のうちに相澤先生を救けないと……!
「いえ、待って。あのヴィランの怪我もう治り始めてるわ……」
蛙吹さんの言った通り、亜蓮くんの攻撃で貫通していた肩のところが塞がっていく。
そんな……ショック吸収の個性じゃなかったのか!? 回復? 再生? もう傷が完治して――……。
その時、モヤのヴィランが現れた。
「死柄木弔。13号は行動不能にしたものの、散らし損ねた生徒の一人に逃げられました」
「……は? はぁー……何やってんだよ、黒霧。お前がワープゲートじゃなかったらぶっ殺してるぞ……。さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバー……。ああ……今回はゲームオーバーだ。――――……脳無、そのガキ殺すのはやめだ。帰る前にこの手で壊してやろう」
――……! ヴィランの手が伸びて……相澤先生みたいに……マズい、亜蓮くん、救け、られるのか、僕に。間に合わない、どうす――
「――本っ当かっこいいな、イレイザーヘッド……!」
先生の個性! いや、長くはもたないはず。ヴィランの注意が先生に向いてるうちに―――
◇◇◇
「もう大丈夫。私が来た!!」
「――――……コンティニューだ」
その時、アレンが窮地を脱する切っ掛けとなる人物が登場した。
「手ェ放せっ……!」
ヴィランたちの注意が相澤へと向かっている状況を利用して緑谷はアレンたちに接近していた。そしてオールマイトが登場した事でその場の全員の意識が一点に集中した瞬間を狙い、個性を使用して飛び出し、死柄木に殴りかかった。緑谷の拳は、アレンに触れていた死柄木の左肩を捉え、殴り飛ばす。死柄木はその威力によろめき倒れる。
「――……ったいな……。おい、黒霧。何やってんだ、ちゃんと守れよ」
「すみません。生徒の存在は把握していたのですが、まさかここまでのスピードだとは……」
黒霧は弁解しながら死柄木を起こす。
緑谷は自損した左脚を引きずりながら、アレンの腕を掴み拘束している脳無にも殴り掛かろうとする。が、実行に移す前に脳無に腕を抑えられしまう。
「……調子に乗るなよ。ガキじゃ敵わないって言ってるだろ」
苛立ちを隠そうともせずに、アレンの告げた台詞と同じ事を緑谷に吐き捨てる。
「――――か。だったら、私が相手をしよう!」
そう、オールマイトが言い終えた時には既にアレンたちの元へ移動し生徒二人を脳無を救けるだけでなく相澤も避難させていた。一瞬の出来事である。
「……とても目じゃ追えないスピードだ。――……でも思っていた程じゃない。本当だったんだ、衰えてるってのは」
オールマイトの身体能力をその身で体感した死柄木は、オールマイトの衰えを確信した。その事実に喜びながら脳無に新たな指示を出す。
「脳無、オールマイトを抑えろ。あの社会のゴミをさっさと殺そう!」
死柄木が指示を出した事に対してアレンは自分の知っている脳無の情報をオールマイトに伝える。
「あの脳みそヴィランは奴ら曰くショック吸収で、身体能力も高いです。加えて再生能力も持ってました。貫いた肩があっという間に治る程です。あと、あいつは対オールマイト用の怪人で殺すために来ただとか言ってました」
「黒いモヤモヤしてる奴の個性はワープです。モヤがワープの出入り口になってます。もう一人のたくさん掌つけてるほうは、素手で触って壊す、崩す感じだと思います」
「なるほど。詳しい情報サンキューだ! 亜蓮少年、緑谷少年。相澤先生たちと避難してくれ」
指示を受けたアレンは
「相澤先生、大丈夫ですか?」
「……大、丈夫……だ。早く、13号のところへ……避難し……ろ」
意識が途切れそうな状態で相澤は緑の中に答える。その様子を見たアレンは他三人の生徒へ話し掛ける。
「峰田と蛙吹は相澤先生を担いでくれませんか? 緑谷は脚を怪我してますから」
「亜蓮くんはどうす……! 左腕! 崩れ、大丈夫!?」
アレンの行動について確認しようとした緑谷はアレンの
「まさかさっきヴィラン……! 間に合わなかったのか……」
もっと早く脚を踏み出していれば、と自分の行動を悔いる緑谷。アレンは後悔し始めた緑谷を落ち着かせるように訂正する。
「これは僕の個性の
「そう、なんだ……それで亜蓮くんはどうするの?」
ヴィランによる怪我ではないと知り、緑谷は少しほっとしつつも改めて確認する。
「常闇がまだ向こうで戦っているので加勢に行きます。あの人数を一人で相手するには手に余るでしょうし、僕の所為でもありますから……」
アレンの心境は複雑だった。
あの時、自分が攻撃を仕掛けなければ相澤は復帰できない程の重傷、いや命そのものが危うかった。
とはいえ、その結果アレンは絶体絶命のピンチに陥り、怪我を負っている先生には無理をさせ、同級生には脚を負傷させ窮地に巻き込んでしまった。
さらには、突然行動を起こした為に常闇をヴィランに囲まれた状態で孤立させてしまった。
感情に任せて動いた事で、様々な人を危険に晒した。もしオールマイトが間に合わなければ最悪の事態になっていただろう。
羞恥、自責、後悔、そんな感情を抱きつつ少しでも状況を改善、いや自ら引き起こした現状を挽回する為、クラスメイトを救ける為に、常闇の戦闘に加わろうと考えた。
「じゃあ、僕らは相澤先生を連れて避難するよ」
「オールマイトが目的とは言え、あのヴィランには注意を怠らないようにしてください」
「亜蓮ちゃんも気をつけて」
「無理すんなよ!」
蛙吹と峰田からの言葉を受けつつアレンは常闇のいる方向へ走り出した。
常闇が今戦っているヴィランの人数は8人。アレンが飛び出して一人で戦い始めた時には11人はいた。撃破した人数は3人、常闇の戦闘能力から見れば3人というのは些か少ない。これは状況の変化がいくつかの要因となっていた。
常闇はヴィランたちに囲まれた当初、逸早くアレンの助太刀に向かう為、急いで倒す事を目指していた。
しかし、オールマイトが現れた事でその考えを改めた。積極的に攻撃する事で隙を晒し捕まり、人質になる可能性を恐れた。先程とは異なり既に最悪の状況は脱しているのである。ここで無理をしてオールマイトの足を引っ張る事は避けたかった。攻勢に出ることでヴィランたちを倒すのではなく、守りに徹して確実に生き延びる道を選んだ。
またもう一つの要因、ヴィラン側も常闇の戦闘能力を見誤っていた。見縊っていたとも言える。
倒された3人のヴィランは特に短絡的、思慮の浅い者たちだった。が、それは自らの戦闘力に自信を持っていたからに他ならない。その事実は残ったヴィランも認めていた事である。よってヴィランたちの常闇に対する警戒が高まり、彼らの積極性を抑えていた。
常闇とヴィラン、双方の考えが合わさり互いに牽制し続ける状態に陥っていた。
そんな状況に変化がもたらされた。常闇と同じく高い戦闘力を誇るアレンの存在である。
「
アレンは普段以上の、必要以上の声量で技名を叫んだ。これはヴィランたちの意識を常闇から晒すためである。
そこにいるヴィランからすると、生徒の一人が技名らしきものを叫んで接近しているのである。当然、無視する訳にはいかない。
一方、常闇は一緒に戦闘をこなした後であり、それがどのような攻撃なのかも知っている。したがって、ヴィランよりも対応が速かった。
「
常闇は
残ったヴィランは、アレンと常闇の二人に気を乱され注意が散漫する。常闇の攻撃から一瞬の間を置き、叩きつけられるアレンの
アレンが駆けつけてから僅かな時間で制圧を完了させた。元々、常闇一人でも何とかできた戦力の相手である。が、ただ捕まえられるかも知れないほんの少しの可能性があったので、慎重に期していただけである。
「……常闇。すみません、僕の勝手な行動で――」
「気にするな。他者を救けようとした故の行動だ。俺は咎めん」
常闇は必要ない、とアレンの謝罪を遮る。アレンへの気遣いもあるが優先して決めたい事があるからだ。
「それよりも、この後はどうする?」
「あちらで緑谷たちが相手先生と一緒に避難してます。僕らも合流しましょう」
「御意。人質にされオールマイトの枷となっては困るからな」
アレンと常闇の二人はオールマイトを信じて他の生徒と合流する事に決めた。No. 1ヒーローならば多対一であっても必ずヴィランを撃退できると信じていた。
零距離射撃、今回のは誤用らしいですけど伝わればいいですよね。まあ、高校生の語彙ならそんなもんかなっていう甘えです。
ふと疑問に思ったんですけど、雄英高校に生徒会ってあるんですかね? 少なくとも部活だとか委員会なんかはありそうですけど。
因みに次の更新は、早くても半年くらい先になります。