FAIRY TAIL~妖精の錬金術士~   作:中野 真里茂

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決着『鉄の森』

 ナツとグレイがエリゴールを追い、エルザ、ルーシィ、ラランが『鉄の森』ギルドメンバーと対峙する。しかしラランは魔力の消耗により、戦闘に参加するのは厳しく、ルーシィはこの数を相手取るには少々実力不足である。しかしルーシィに肩を借りながら何とか立っている状態のラランはこの場はエルザ一人で十分だと言う。そしてエルザの魔法に巻き込まれないようにラランとルーシィは少し距離を取った。

 

「ここなら大丈夫だ。ルーシィ、俺を助けてたらエルザを無視してきた奴等を倒せない。離してくれ」

 

「でも、あんたは……」

 

「自分の身くらいどうにかする。一番困るのは俺達が奴等に捕まってエルザが本来の力を出せないことだ」

 

 ラランはそう言うと、ルーシィは渋々ラランに貸していた肩を離す。するとラランは糸が切れたように倒れる。ルーシィはそれを見てすぐさま助けようとするがラランは制止して、何とか上体を起こして杖を頼りに立ち上がる。

 

「まぁエルザが一人の敵も見逃すとは思えんが」

 

 ラランは息を切らしながらエルザの方を見る。エルザは換装した魔法剣で『鉄の森』メンバーの人海戦法にも屈せず、むしろ圧倒している。敵が遠距離から攻撃してこようとすれば、すぐさま魔法剣から槍へ換装し、敵を狙い撃つ。周りを囲まれれば手数の多い双剣へ換装し、360°全方位の敵を吹き飛ばす。力強い敵が現れれば斧に換装し、力で圧倒する。だんだんと減る『鉄の森』メンバーはエルザの強さに焦り始める。

 

「エルザの魔法は換装だ」

 

「換装?」

 

「俺がバックからアイテムを取り出す様に、エルザは別空間に武器をストックしてる。それを呼び出して武器を持ち変えるのを換装ってんだ。しかもエルザの強さは換装の速さだけじゃない。普通の換装魔法使いは武器のストックのみだが、エルザはな……」

 

 敵を倒しながらも中々数の減らない『鉄の森』メンバーたちに対し、エルザは一々、武器を換装して戦うのは煩わしいと次の魔法を使う。するとエルザの纏っていた鎧が徐々に剥がれていく。『鉄の森』メンバーは鎧が剥がれていく様に目をハートにさせていたが、そんな生優しいものではなかった。

 

「能力を変化させる魔法の鎧も換装できる。変幻自在の武器に鎧。鎧の美しさもさることながら、剣が踊り舞う様に敵を襲う、更に圧倒的なその強さから付けられた異名は『妖精女王(ティターニア)』」

 

 エルザが換装した魔法『騎士(ザ・ナイト)』に手も足も出ない『鉄の森』メンバーたちは一斉攻撃を仕掛けるが、エルザの周囲を守る剣の一斉攻撃、『循環の剣(サークルソード)』の前に一網打尽にされ、一人を残して全滅した。残った一人も戦意喪失し、逃げ出してしまった。

 

「エリゴールのところに向かうかもしれん! 追うんだ!」

 

「俺が行く!」

 

「ララン、ボロボロでしょ! あたしが行く!」

 

 ラランとルーシィは逃げた一人を追って、駅の中を探索しに走った。二人の姿が完全に見えなくなるとエルザは換装を解いて最初の鎧の姿に戻る。

 

「ララン、走って大丈夫なの?」

 

「さっき、エルザが戦ってる間にホム達が回復アイテムを完成させた。それ使って魔力は少し回復したから大丈夫だ。何とか間に合って良かった」

 

「で、走って来たけど完全に見失ったわね」

 

「『鉄の森』の奴等の魔法は影を使ったステルスや攻撃を使うのが多い。もしかしたらどっかに隠れてるのかもな」

 

 ラランとルーシィは逃げた一人を追って来たが、いつの間にか見失ってしまった。ラランの言うように壁を注視するが、どこにも隠れている様子は見当たらない。二人は悩みながらも周囲を見回し歩き続けた。それから数分、駅の中で大きな爆発音が響いた。二人はすぐにこんなことをするのはナツの仕業に違いないと音のした方に走った。ララン、ルーシィが音の発信地に到着した時には、ナツ、グレイ、エルザが集合しており、逃げた男、カラッカがララバイの封印を解くと言っていた男、カゲヤマをナイフで刺し、重傷を負わせていた。するとナツは同じギルドの仲間ではないのかと激昂し、カラッカに炎を纏った拳一撃でノックアウトさせる。

 

「どういう状況だ」

 

「ララン、エリゴールの目的はクローバーの街だ! クローバーの街で定例会をしてるマスターたちに笛の音を聴かせるつもりだ」

 

「じゃあ、そいつら置いて追えばいいんじゃ」

 

「そうか、まだ見ていなかったな。実は駅の外にエリゴールが魔風壁という我々では突破不能な壁を張っている。カゲヤマは解除魔導士(デスパイラー)、魔風壁を突破できる唯一の希望だったんだが……」

 

「とりあえず魔風壁を見に行こう」

 

 5人は倒れたカゲヤマを連れて、駅の外に張られた魔風壁を見るために駅の入り口に向かった。駅の入り口に着くと、ナツが魔風壁に向かって魔法をぶつけるが、弾き返され後方に飛んで行ってしまう。5人はどうにもできない状況に頭を悩ませる。エルザはカゲヤマの力を借りようと彼を揺すって起こそうとするが、カゲヤマは気を失ったまま、動かない。

 

「ララン、魔法を解除するアイテムとかないのか」

 

「無いな。相手そのものを弱体化させることは出来るが魔法をかき消すというのは無い」

 

「こんなもんぶっ壊してやる!」

 

 ナツはまた魔法を魔風壁に打ち込み、今度は吹き飛ばされないように耐えて魔風壁に対抗するが体はボロボロになり、危険だと判断したラランに引き剥がされた。

 

「正面はダメ、上もダメ、あとは下……だな」

 

「下、エバルーの持ってた星霊は地面を潜る魔法を使ってたわね。でも、私たちは地面に潜れないし、掘ることも出来ないし」

 

 グレイとルーシィがそう言っていると、ラランはふと依頼納品の日の朝を思い出す。依頼の品を一生懸命錬金していた時、突然バルゴが訪ねてきた時のことである。すべてを思い出したラランは大きな声を上げる。

 

「あっ!?」

 

「どうしたの? 魔風壁を破る作戦でも思いついた?」

 

「ルーシィに渡すものがあるんだ。忘れてた。これ」

 

 ラランがバックから出したのは、黄道十二門、処女宮のバルゴの鍵。あの時はルーシィにすぐに渡すつもりだったが、忙しさのあまり渡すのを忘れていたと説明するラランだったが、勝手に持ってきてはいけないとルーシィは叱責する。

 

「違うって。バルゴ本人が鍵をルーシィに渡してくれってアトリエを訪ねてきたんだ。エバルーが逮捕されたから次のご主人様はルーシィがいいってさ」

 

「そうなの。じゃあ遠慮なく、開け! 処女宮の扉、バルゴ!」

 

「お呼びでしょうか。ご主人様」

 

 現れたのはラランのアトリエを訪れた時と同様に美少女の姿のバルゴだった。ルーシィとしてはエバルー邸の大女のイメージしかないため、別人が現れたと錯覚してしまう。

 

「え!?」

 

「あ、その反応は前に俺がやったからカット。急いで急いで」

 

「そ、そうね。バルゴ、契約は後回しでもいい?」

 

「かしこまりました。ご主人様」

 

「ご主人様はやめてよ」

 

 ルーシィとバルゴの間でルーシィの呼び名を決める相談が始まり、ご主人様、女王様とバルゴの要求は次々に却下されていき、最終的に姫というところに落ち着いた。グレイからも速くしろというツッコミが入るとすぐさまバルゴは地面に飛び込むように潜り、外への穴を掘り始める。

 

「ナツ、そいつ連れていくのか」

 

「オレと戦った後に死なれちゃ後味悪りぃんだよ」

 

「お前らしいな」

 

 ラランがバルゴの掘った穴に入ろうとするとまだ残っていたナツが気絶したカゲヤマを担いで連れて行こうとしていた。ラランとしては魔風壁が解けた今、カゲヤマの『解除魔導士(ディスパイラー)』の能力は既に不要なものであり、そもそも敵である彼を連れて行くのは反対だった。しかしナツの言葉を聞き、いかにもナツらしいと思い、それを見逃して穴を通じて外に出る。

 

「出た!」

 

 外では魔風壁による強烈な風が吹いており、砂塵が舞い散っている。ナツから下ろされたカゲヤマはもう間に合わない、俺達の勝ちだと言う。そこでエルザがあることに気づく。

 

「ナツはどうした」

 

「ハッピーもいねぇぞ」

 

「あいつらまさか……急いで追うぞ! ナツはハッピーの魔法でエリゴールのところに飛んでったんだ」

 

 ラランは走って、クローバーの街の方角へ向かう。それにグレイ、ルーシィとナツに代わってカゲヤマに肩を貸したエルザが続く。既に駅員から民衆までほぼすべてが避難した後であり、人の姿は全く見当たらない。そこで走っていてはどう考えても、間に合わないと考えたラランはある行動に出る。

 

「この魔道四輪で行くぞ。最悪エリゴールとの戦いがある。運転は俺がやるから乗り込め!」

 

「ラランの魔力は限界でしょ!?」

 

「ルーシィ、こいつは決めたら聞かねぇんだ。許してやってくれや」

 

「でも……」

 

「早く乗れ!」

 

 ラランは駅に停められていた魔道四輪の運転席に乗り、SEプラグを装着する。その際に魔力を少しでも回復する為にホム達が急ピッチで完成させた、なけなしのメンタルウォーター二本を一気飲みする。全員が魔道四輪に乗り込んだのを確認すると、魔道四輪に魔力を流し込み発進させる。

 

「間に合ってくれ……」

 

 魔道四輪を飛ばすこと数分、列車の進む線路を進み続けるが中々エリゴールの姿もナツの姿も見つかることは無い。そんな中、カゲヤマがどうして自分を助けたのかとルーシィ達に問いかける。

 

「なぜ僕を連れてく?」

 

「しょうがないじゃない。街に誰もいないんだから。クローバーの街のお医者さんのところまで連れて行ってあげるんだから感謝しなさいよ」

 

「違う! 何で助ける!? 敵だぞ!?」

 

 心の底から理由がわからないカゲヤマはもしかして自分を人質にしてエリゴール交渉しようとしているだとか、エリゴールは冷血そのもので自分なんかが人質になったところで何の意味もないだとか、ぶつぶつと言うが、ルーシィはそれを暗いと一蹴する。さらにグレイはカゲヤマに攻撃的に反論する。

 

「死にてぇなら殺してやろうか?」

 

「ちょっと!」

 

「生き死にだけが全ての決着じゃねぇだろ。もうちょっと前を見て生きろよ。お前ら全員さ」

 

「カゲ、今この魔道四輪を運転している奴を見ろ。ラランは元は王族の生まれ、だが国が滅亡し、今はただの人間だ。貴様らが欲した権利権力は全て失った人間だ。それでも自分が生きる道を見つけようと努力し、民衆に愛される人間になった。貴様らも遅くはないのではないか?」

 

 エルザの言葉にカゲヤマが歯を食いしばって耳を傾けていると、魔道四輪が大きく揺れる。ルーシィはその反動でカゲヤマの顔にその豊満なヒップをぶつけてしまう。セクハラだと訴えるルーシィにグレイはオレの名言が台無しだと返した。一方エルザはコントロールを乱したラランに声をかけるが、ラランは大丈夫だと言うばかりで魔道四輪は小さく蛇行しながら進んでいる。いくらメンタルウォーターで回復したとはいえ魔道四輪を後先考えず飛ばしているため、目が霞むほどに消耗していた。

 

「見えろ……見えろ……」

 

「ララン! 前だ! ナツの炎が見える!」

 

 グレイが座席から身を乗り出して前方を指差す。それに反応したラランは霞んだ視界を無理やり叩き起こし、グレイが指差す場所に向かって必死に魔道四輪を飛ばす。徐々に近づくにつれ、ナツは風の魔法で風を鎧として身に纏ったエリゴールに苦戦する姿が見えてくる。

 

「おらぁぁぁあ!!」

 

「ぐっ……こいつ『暴風衣(ストームメイル)』を!?」

 

 ラランは急ブレーキをかけて魔道四輪を止めながらナツとエリゴールの方へ運転席から飛ぶ。手にはインクのような液体アイテムを持ち、エリゴールと交錯しながらも液体をエリゴールに降りかける。さらにラランが飛んできた魔道四輪の運転席には小さな風車のようなアイテムが置かれ、その風車にすべての風が吸い込まれていく。するとエリゴールを取り囲んでいた風の鎧が徐々に剥がれていった。既にハッピーの助言によってナツの怒りは頂点に達しており、ラランのことなど見えていなかったが、ナツの強まる感情の炎によってエリゴールの風の鎧は完全に消え去ってしまい、エリゴールは狼狽える。

 

「ナツ!」

 

「火竜の剣角!!」

 

 ナツの怒りの炎を纏った頭突きがエリゴールの腹を直撃する。既に風の鎧を失い、防御する術のないエリゴールは一撃で燃え尽き、吹き飛ばされると気を失ってしまった。ラランはその場に倒れこみピクリとも動かない。

 

「ララン!」

 

 魔道四輪から降りてきたルーシィ達がラランの元に駆け寄る。怒りの炎が消え、ようやくラランの存在に気づいたナツも動かないラランを心配して近寄ってくる。カゲヤマだけはエリゴールが負けたのかと落胆し、膝から崩れ落ちていた。

 

「魔力を消耗しすぎたことと最後にエリゴールと交錯した時の衝撃で気を失っているだけだ。心配は無いだろう。すまないがルーシィ、グレイ、ラランの肩を担いで連れてきてくれ」

 

「うん、でもラランがこんなに無茶する人だったなんて」

 

「こいつもマスターには恩を感じてんだ。それだけこいつらを止めたかったのさ。それと権利だ権力だうるさい奴等に色々と思うことがあったんだろな」

 

 ルーシィとグレイがラランに肩を貸して持ち上げようとすると、急に魔道四輪が動き出した。運転席には先ほどまでエリゴールの敗北に落胆していたカゲヤマの姿があり、ララバイの笛も魔法で掴み取る。

 

「油断したな。妖精(ハエ)ども! ララバイはここだ! ざまぁみろーーーーー!!!」

 

「くっ! 追うぞ!」

 

 エルザとナツが率先してカゲヤマの乗った魔道四輪を追いかける。それを見たグレイは自分もとルーシィに気を失ったラランを押し付けて走っていった。ルーシィは仕方なく、ラランを一人で運ぶためゆっくりと歩き始める。

歩き始めてしばらくするとラランが目を覚ます。

 

「……うぅ」

 

「あっララン! 目を覚ました!?」

 

「エリゴールはナツがやったか?」

 

「うん。でもカゲヤマがララバイを持って魔道四輪で逃げちゃって……」

 

「そうか、それでエルザたちは急いで追ったんだな」

 

「うん……」

 

「俺達はゆっくり向かうか」

 

 ラランとルーシィは歩きながら何とかクローバーの街を目指す。幸いにも魔道四輪でクローバーの街のすぐそばまで来ていた為、歩いても先に行った三人にそこまで遅れを取ることはないぐらいの距離しかない。2人がようやくクローバーの街に着いた時は、エルザたちは茂みに隠れて何かの様子を見ていた。その周りには定例会を終えた魔導士ギルド『青い天馬(ブルーペガサス)』のマスター、ボブに『四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)』のマスター、ゴールドマインまでが一緒にいる。

 

「皆、カゲヤマは……」

 

「今いいとこだから黙って見てな」

 

 ゴールドマインが話しかけるラランを静止し、皆が見ている方向を指差す。その方向にはララバイを持ったカゲヤマとマカロフの姿があった。それ見た瞬間、ボロボロの体でラランは飛び出そうとするがボブに止められる。カゲヤマはララバイに口を付け、あとは音を奏でるだけとしたが、そこで動きが止まる。マカロフは早くせんかと急かすがカゲヤマが動き気配は一向にない。そこでマカロフはカゲヤマの心を見透かしたように言う。

 

「何も変わらんよ。弱い人間はいつまでも経っても弱いまま。しかし弱いことは悪ではない。そもそも人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安だからギルドがある。仲間がいる。強く生きるために寄り添い合って歩いていく、不器用な者は他の者より多くの壁にぶつかり、遠回りするやもしれん。しかしただ明日を信じて一歩を踏み出していけば、自ずと力は湧いてくる。強く生きようと笑っていける。そんな笛に頼らずともな」

 

 マカロフはニッと笑って言う。カゲヤマは全てがマカロフにはお見通しだったのだと気づくとララバイを手から落とし、そして一言、参りましたと言って土下座した。

 

 すべてを見届けたララン達は一斉にマスターの元へ向かっていく。まさか皆がいるとは思ってもいなかったマカロフは大きく驚き、エルザの鎧のハグの餌食にされ、ナツには頭をペシペシと叩かれた。ルーシィは全てを諦めたカゲヤマを病院に連れて行こうとしている。

 

「マスター、感服しました」

 

「おう、ララン。これが魔導士じゃ」

 

「だからって俺は魔導士にはなりませんからね」

 

 完全に一件落着ムードの談笑がこの場で繰り広げられている。しかしそれも束の間、カゲヤマの手を離れたララバイからもくもくと煙が舞い上がり、ひとりでに喋り始める。

 

「ククク、どいつもこいつも根性のない屑共だ。もう我慢できん。ワシ自ら食ってやろう。貴様らの魂をな……」

 

 煙がだんだんと形を作っていき、樹木の巨大な怪物の姿になる。ゴールドマインとボブはこの怪物こそがララバイの本体、生きた魔法であり、歴史上最も凶悪だった黒魔導士ゼレフの魔法だと説明する。ララバイがこの場にいる全ての人間の魂を喰らおうとすると、皆はララバイだと怯え、その音色を聴くまいと耳を塞ぐ。しかし、ララン、ナツ、エルザ、グレイはララバイを討伐するため、すぐさま動きだす。

 

「エーテルインキ!」 

 

 まずはラランがエリゴールに降りかけた液体と同じものをララバイにも降りかける。その次にエルザが『鉄の森』メンバー戦で使用した『騎士(ザ・ナイト)』でララバイの腕を切り裂き、ララバイを怯ませる。ナツはララバイの体によじ登り、顔に炎の蹴りを一撃浴びせる。強力な一撃はララバイの身体を少し浮かせるほどの威力を誇り、定例会に参加していた評議員たちも驚いている。ララバイのカウンター攻撃にもナツは対応し、的確に躱す。しかし、ララバイの口から放たれた光弾は戦いを見ていたルーシィや定例会参加者の方へ飛んでくる。そこに対応したのはグレイ。グレイは氷の造形魔法で巨大な盾を作り出し、その場の全員を守って見せる。その後すかさずアイスメイクランスでララバイに攻撃を仕掛ける。その絶大な威力でララバイの右半身を消し飛ばした。更にとどめを刺すためエルザは一撃の威力を増加させる黒羽の鎧に換装、ナツは右手の炎と左手の炎を合わせて巨大な火球を組んだ両手に纏わせる。グレイは遠距離からランスで追撃を試み、ラランはルーシィが最初にアトリエに来た時に見せたドナークリスタルをララバイに放り投げた。

 

「ドナークリスタル!」

 

「火竜の煌炎!」

 

「アイスメイクランス!」

 

「はぁ!!」

 

 ララン、ナツ、グレイ、エルザの攻撃が同時にララバイに直撃する。ラランの雷、ナツの炎、グレイの氷、エルザの斬撃、全てを受けたララバイは後ろに倒れ、定例会が行われていた会場の建物を崩懐させた。そのことにはまだ気づいていないマカロフはこれが『妖精の尻尾』だと凄いだろと自慢げに喜んでいる。

 

「マスター、速いとこ逃げましょう」

 

 ラランが体を縮こまらせてマカロフに耳打ちし、会場を指差す。するとマカロフが会場の方を見て愕然として顔を青くする。それに気づいた他のマスターや参加者たちも会場の方を確認する。するとそこには粉々になった会場だったものが散らばっていた。評議員たちがマカロフや破壊したララン達を捕まえろと追ってきたが、皆で一斉にラランのトラベルゲートに飛び込んでマグノリアの街に帰った。この事はすぐに評議員のトップに伝えられ、マカロフには請求書、反省文が課された。評議員から更に目を付けられる結果になったが『鉄の森』の野望は打ち破られ一件落着。




登場した錬金アイテム

エーテルインキ

インキをかけた対象者の魔法耐性を下げるアイテム。すべての属性耐性を下げるため、普段相性の悪い相手や、魔法耐性が高く肉弾戦を強いられる相手に有効。

自在風装置

エリゴールの暴風衣を破るのに一役買ったラランが魔道四輪の運転席に仕掛けていたアイテム。名前の通り自在に風を発生させることが出来る。風を送るだけでなく風を吸い込むことも可能。本来の目的は風車をいつでも回すことが出来るようにすることである。

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