転生特典がリンゴ1個ってどういう事ですか?! 作:創造神サガ
割とノンビリいきます。
感想、批評お待ちしています。
プロローグはあまり面白くない可能性があるので異世界転生後まで少々お待ちください。
随時修正していきます。
いつか大人になったら異世界に行ってみたい。
いつか大人になったら英雄になりたい。
僕はいつもそう考えていた。
特に大それた理由がある訳でもない。
ただ、何となく想像もつかない世界を旅してみたい、沢山の人を助けて英雄のような風格を纏いたいと思いながら日々を過ごしていた。
アニメや漫画に影響を受けた事には否定はしないが肯定する気もない。
アニメや漫画の状況は余りにも非現実だし、まずそんな状況下に置かれる筈もない。
勿論、戦争中の国に行ったら話は別かもしれないが・・・とは言っても別に武術や剣術を収めている訳でもなく、当然の事ながら銃も使えない。
だから僕なりに出来ることを考えて出した結論が一流企業に就職することだ、余りにも普通だって?だってそうだろう?世界的に見ても平和な国である日本の1学生に何が出来ると言うのだろうか?たかが知れている。
どうしようもないことだ。
だから僕はいつも通りに小学生という役職で業務をこなし、中学生では漠然とした意識の中で何かを膨らませていった。
そして長年心の奥底で連れ添った中二病と供に高校生活を通り抜けてきた。
1つ小学生の頃の話をしよう。
随分昔の話だから、語り口調になるのは許してくれ。
その日は朝から何か大きな事が起こりそうな予感がしていた。
今はもう覚えていないけれど、夢見がとても良かったのを覚えている。
あの言いようのない達成感と幸福感にただただ酔いしれた朝だった。
その日は夏休み中ということで朝からスケジュールは真っ白だったけれど、何かしなくてはいけないという使命感に誘われて外に飛び出していった。まるで、冒険の第一歩みたいに晴れ渡る空と遠くの場所への抗えない魅惑の衣を纏った雲が手招きしていた。
僕は急いで自転車に跨がり街を目指した。
なんて事のない何時もの道も始まりの道に感じたし、街にあったデカくて煩いとしか感じなかったテレビも僕を応援するオーケストラの演奏に感じた。夏の太陽の光は僕を攻撃するような暑さだったが、なんて事もなかった。
その先にはきっと想像もつかないような何かがあるという論理的根拠も物的証拠もない、いわば直感に操作されて自転車を漕いでいた。
何分か、はたまた何時間か分からないがいつの間にか僕は知らない街にいた。
何年か経ったふとした時に調べたが、そこは僕が住んでいた街から2つ隣の市だった。
僕は嬉しかった。
初めて1人で行き先を決めて辿り着いた場所は僕の全く知らない世界。
不安は不思議となかった。今考えると何をそんなに興奮しているのか、と少し恥ずかしい気持ちになる。
ただ1つ胸を張って言えるのが嬉しかったという感情を小さなことで持てたことだ。
僕は知らない世界を一歩一歩踏みしめる事さえ嬉しかったし楽しかった。
何か僕の目の前に未知のもの、未知の世界の気配がしていた。
運が良いのか悪いのか、僕は夏休みの自由研究で美術館に行って作品を見てくるものがあった。
面倒くさい事この上ないと感じた僕は高校の学校の先生でもあった母の部屋から美術の教科書を覗き見ていた。
その中の1つに強烈な衝撃を受けたのを覚えている。
ルネサンス期イタリアの画家ラファエロ・サンティのもっとも有名な絵画の1つである「アテナの学堂」である。
僕はこの絵の中の全てに圧倒されていた。
こんな世界があるのか!という驚きだ。
見慣れない服を着た人達が真剣になにかを語り合っている様子や奥へ奥へと広がるような学堂も、天井から見える空さえも当時の僕からすると地球という世界とは別の世界を切り取った絵に見えていた。
当時の僕が見ていた現実世界は画面という媒体を経由して情報を得ることができる世界やろくに考える事もせずインターネットで検索する世界だ。
しかし、この絵では人が人らしく頭脳の持てる限りの能力を用いて思案して議論し合っている。
実に新鮮で人間本来の知的な姿が描かれているのを感じた。
今なお、そう思っている。
客観的に見れば至極どうでもいい出来事でも、本人にとっては別の世界を知るという大事件だったのだ。
そんな事があった所為か、この新しい街にもきっとそんな世界が貼り付けられているに違いないと思っていた、思わずにはいられなかった。
お腹は減っていなかったので日中は短い足を必死に漕いでそんな物を探した。
しかし、そんな物がある筈もなく、かといって当時の僕はそんな物は無いということは想像もしていなくて必死に探したが、結局見つからず仕舞いで陽が暮れて帰り道の分からない僕は疲れて棒になった足をロボットのように動かして自転車を押していた。
そんな時だった、ふと路地の奥に小さな灯りを見つけた。
僕は光に集まる蛾のように歩いていくと薄暗かった雰囲気にで洞窟の中を歩くような感覚に襲われながらより一層目立つ光に向かっていった。
光の持ち主は古本屋だった。
今にも経済的にも物理的にも潰れそうなその店の質素に、しかし達筆な字の看板には「瀧澤書店」と書かれていて、窓から中を覗くと薄暗いけれど店内が見えるほどの光が空間を照らしている。
そして、僕の視線の真正面上には優しそうなおじいさんが椅子に座りながら舟を漕いでいた。
僕は入るか入らないか迷ったが、中を見てみたい欲求には抗えず中に入って本を物色し始めた。
英語や難しい漢字の本ばかりがズラリと列を成して並んでいたが一冊も読めなかった。
中を歩いていると埃を被っていたが傷一つない濃い藍色をした一冊の本に目が止まった。
中を開くと埃がタンポポの種のようにフワフワと舞ったが、御構い無しに中を覗いて見た。
案の定字は読めなかったが、平仮名だけを声に出して読み進めていった。
それで意識がハッキリしたのかおじいさんがゆったりとした動きで僕に話かけてきた。
「なんと珍しいお客さんだことだ。坊ちゃん、こんな時間にどうしたんだい?」
僕は疲れていたし、いきなりの事だったから上手く言葉を選べずにモゴモゴと意味を成さない音を奏でるしか選択肢はなかった。
おじいさんは僕の反応に嫌悪感を出さずに優しい声で話し掛けてくれた。
「いやいや、驚かせてしまったかな?すまないね〜、こんなに遅い時間まで外にいて疲れただろう。はちみつレモンは飲めるかい?」
僕は思い通りに動かない頭を必死に縦に振った。
おじいさんに招かれるままに僕は部屋の奥にある 異世界への入り口 みたいな木製のドアへ進んでいった。
その時の心臓は僕に生きている事を大いに証明していた。
奥の部屋は外の景色とはだいぶ異なった色合いを持っていた。
明るくされど眩しく無い暖かい光を放つ暖炉の前には、年季の入った2つの椅子と机が並んであった。
周りを見渡せば圧迫感のなく程よい距離感に保たれた家具たちが2人の入場者を暖炉の光を纏いながら歓迎しているように思えた。
座るように言われた僕はその丸みを帯びた年季の入った椅子にゆっくりと腰掛けるのだった。
小さく音を立てた椅子は僕をしっかりと優しく受け止めてくれた。
滑らかな質感の肘掛けを撫でるように触っているとおじいさんが湯気をフワフワと漂わせているコップを持ってきて僕の前にスッと置いてくれた。
「さてさて、今日はこんな時間までどうしたんだい?差し支えなければ、この老人に話してみてはくれないかね?」
微笑みを浮かべながら優しく問いかけてくれたおじいさんにポツポツと言葉を漏らしていった。
異世界の様な景色を見てみたい事。
人間本来の姿に感動した事。
自分の意思で道を進んでいきたい事。
きっと彼にとっては夢物語みたいなどうでもいいことを言っている子供に見えた筈なのに、何一つ文句も疑問も告げずに。
湯気が出ていた、はちみつレモンはとっくの前に冷めていたが、彼は聞き始めてから一度も口をつけずに聞いてくれた。
僕があらかた話終わった後に目を閉じて2、3度頷いた後唸りながら顎髭を弄り首を傾げていた。
「難しいな〜実に難しい。惜しい願いだ。だがとても美しく欲に溢れた人らしい願いだ。私はその願いを叶える方法を2つだけ知ってる。聞くかい?」
願っても無い事だ。まさかこんな所で雲つかむようで手がかりの欠片さえ見つけられなかった答えをこの老人が持っていると言っている。
僕は思いっきり首を振った。是が非でも欲しい物だ。
そして僕はこのときに理想と現実の道しるべを得た。
今思えば、ここがスタートラインだったのかもしれない。
「そうかそうか。よしわかった。昔の私も同じ願いを持った者だ、先輩としてのアドバイスを君に贈ろう。願わくは君の道しるべとなり行く先を照らす光になる事を願ってやまないよ。」
「さて、私の贈るアドバイスの1つ目はとても現実的な道だ。誰でも努力すれば進める広く開いた道だ。」
「それは君がお金持ちになる事だ。」
「そうすれば君をこの日本とはだいぶ異なった世界である外国へと連れて行ってくれるだろう。アメリカにイギリス、中国にスペインにイタリアなど195カ国という君がまだ見た事のない世界が広がっているだろう。英雄になりたいのならば寄付をすればいい。戦争中の国々やアフリカ大陸を中心とした貧困国の人々への支援はそれらの人々にとってとても価値のあるプレゼントになるだろう。金額や活動によってはノーベル平和賞という英雄の証を世界中に知らしめる事が出来るだろう。」
「私としてはこの道を勧めるよ。方向転換もしやすいだろうし、道が既に出来ているからね。道中様々な困難にぶつかるだろうがきっと君なら乗り越えられる。君にとって素晴らしい仲間も出来るだろう。そこで妻子をもうけるのも良いだろう。きっと幸せを掴めるよ。」
「ただ、それでは満足出来ないのであれば2つ目の方法を選択したらいい。この道はいつ開けるかも分からない。ましてや、開かないかもしれない。果てしなく長い道だし困難は山のようにそびえ立っているだろう。もしかしたら英雄とは反応の道に進むかもしれない。それでも良いならこの藍色の本とこのチケットを贈ろう。この本を肌身離さず持っていたらもしかするともしかするかもしれないよ。私は何十年と持っているが結局来なかったけれどね。」
そう言っておじいさんはそっと僕に一冊の本をくれた。
暖炉の光を浴びながらもなお藍色に陰りはなかった。
あの本だった。
僕はサンタクロースに貰ったように大事に大事に抱きしめた。
その後僕はおじいさんに連れられて交番に連れてって貰った。
警察官とともに家に帰ったら母からの強烈な雷が暴風雨とともに待っていた。
僕はこっぴどく叱られた後は泥のように眠った。
あの後僕は1番目の方法を選んだ。
勿論本は肌身離さず持っているが、そこまで妄想癖もなくなって現実を見るようになったからだ。
だから、日々の勉強は欠かさずやっているけれど未来はどうなるかわかったもんじゃないから、不安はあるが充実している。
英語や難しい漢字が読めるようになってから本の中身やタイトルを読んでみた。
タイトルは「The first apple who started people 」
「人を始めた最初のリンゴ」という訳が分からない物だった。
中身はいたって普通の神話の話だったがまあまあ普通に面白かったので時々読み直す。
そんなかんなで生きていたけれど高校生になって僕の道は大きく変わってしまった。
第2の方法へと。
さあ、ここまでつまらない話をしてしまったね。
ここからは僕のほんのすこし前の話を見てもらおうかな。
そうだなぁ〜タイトルを付けるならば、
「A man who became a god」
神になった男の話だ。皮肉な話だろう?
楽しんでくれたら幸いです。
それでは開幕いたしましょう。
It's show time!