東方礼夜鈔~nothing's written in the extract~ 作:ようひ
今回は妖怪に出くわす事無く、森を抜けることに成功。
朝は妖怪も活動が鈍るのだろうか?
鬱蒼した森を出ると、田んぼ道が真っ直ぐ続いていた。
ここを辿れば人里に着く、とのこと。
「田舎チックでエキゾチックな光景だ」
たんぼの稲がさやさやと揺れている。
その光景は、外の世界の田舎にもよくあるものだ。
「…なんだか感動するな」
たんぼを横目に進んでいくと、大きな門に突き当たった。
どうやらここが人里へ入る関門のようだ。
?『『何用だ』』
オレの歩みを二双の槍が止める。
門番、と言ったところか。
「ちょいと人里に用があるんだが」
門番『『ここを通るならば、証明が必要だ』』
門番二人は無愛想な挨拶をしてくる。
よくみると、人里周辺は門を中心に白い塀で覆われている。
(妖怪が入ってこないようにするためか)
人間達が幻想郷で生きる術を垣間見る。
「…それはどんな証明が必要なんだ?」
門番『『我々が納得のゆく物を提示願おう』』
「納得の行くモノねぇ…」
門番二人はまるで双子のように(実際顔はゴリゴリで似ている)一糸乱れぬ様子だ。
一体何を求められているのかは分からないが、察するに通行証だとかそういったものだろう。
だがそんな物は持っていない、なので――
「…………」
門番『『どうした?証明が無ければすぐさま――』』
「――[靈撃]!」
集中力を溜めて、青色のスペルカードを掲げる。
パリッと空気が振動し、オレから衝撃波が放たれる。
(――でた!)
門番『ふおッ!?』
門番『ぶひィ!?』
意外ッ!それはッ!スペルカードの発動ッ!!
オレも予想外だったが向こうも予想外だったみたいで、防御する暇もなく吹き飛ばされ、門に激突する門番たち。
「…こっちは意外と出るもんだな」
門番『そ、それは…』
門番『博麗の巫女の持つチカラ…』
護身用のはずだが、証明としては気に入ってもらえたらしい。
ダメージが軽いようで、立ち上がった門番達はせかせかと槍を交差させ、それを解いた。
門番『『しょ、証明は完了した…通れ』』
「おおきに」
頭を垂れる門番を尻目に、人里に踏み入れる。
「これが、人里か…」
並んでいる古い木の建物。
明治時代の庶民のような恰好をしている人々。
雑踏の音はするものの、明らかに外の世界とは違うリズム、違う音質。
この世界を歩く者の音だった。
(……)
息を呑み、少し人里内を歩いてみる。
入った場所からはちょうど商店街に近いようで、人の流れが出来ていた。
朝であるにも関わらず、大盛況のようだ。
店は八百屋や精肉屋を始めとし、衣類や家具などを扱っている店もある。
商店街のシステムは現代と変わらないようだ。
『おい、あれ、外来人じゃねえか?』
『ほんとだ!見慣れない服着てるぞ』
『きっと外の文明を持ってきてくれたんだろ!あぁありがたや~』
霊夢の言っていたことは間違っていないようだ。
(まるで俳優になった気分だな)
そう思いながら、煙草屋はどこか探しに動く。
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