東方礼夜鈔~nothing's written in the extract~   作:ようひ

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学校

魔理沙「ここだよ」

 

「ここか?」

 

魔理沙「そ、ここがそこだ」

 

「ふむ、これがあのかの有名なそこか」

 

オレたちは、とある建物に辿り着いた。

こじんまりとした佇まいで、本当に里一番の偉い人がいるとは思えない。

だが、玄関の傍に[寺子屋]と表札が掲げられている。

 

(寺子屋……)

 

なるほど。

その偉い人は知識があるがために、授業をしているのか。

ちなみに寺子屋とは、子どもが学ぶ場所、言い換えれば[大昔の学校]である。

 

「…子供の声が聞こえる」

 

魔理沙「授業中だろうな、お昼過ぎてるし」

 

玄関の扉を開ける。

小ぢんまりとした玄関の先に板目の廊下が続いている。

子どもたちの活気ある声はその左側からきこえる。

 

「今は難しそうか――」

 

しかし、魔理沙ちゃんは留まることを知らない。

何食わぬ顔で靴を脱ぎ、そのまま先へ進んでいったかと思うと、

 

魔理沙「おっす、慧音」

 

「!?」

 

どうやら魔理沙ちゃんは授業というモノが静寂で閉鎖的であることを知らないみたいだ。

子どもたちの教育の自由を奪ってしまっては保護者とPTAと教育委員会が黙ってない。

というかよく躊躇なく入れたなお前!?

 

?『おお魔理沙、いらっしゃい』

 

だが、現実は違った。

 

『あ!まりさだー!』

『まほうつかいのねーちゃん!』

『きのこ好きなまりさ!』

 

先生らしき人と子どもたちは一斉に魔理沙の名を呼んだ。

 

魔理沙「へっへ。みんな元気そうじゃないか」

 

堂々と教室を歩き、子どもたちひとりひとりの頭を撫でていく魔理沙。

確かに彼女は子どもに懐かれそうな性格をしている気がする。

 

?『さては暇だったんだろ?』

 

「いいじゃないか、慧音せんせ。私も子どもたちと触れ合いたかったんだぜ」

 

慧音「そうか。ま、ゆっくりしていってくれ」

 

慧音、と呼ばれた女性は黒板の前に立っている。

銀に輝く腰まで伸びた髪に、頭のてっぺんには学帽のようなもの。よく優等生が付けている、そんなイメージ。

蒼を基調としたドレスのような服が印象的で、庶民服を着た子どもたちとはやや対照的で明るい色をしていた。

 

(なんとも美しい先生だな…)

 

まじまじと見つめているオレの視線に、慧音が気付く。

 

慧音「……ああ!なんだ君か」

 

「?」

 

慧音「みんな!彼が今話題の[外来人]だぞ!」

 

『『『『『がいらいじん!!!』』』』

 

「うおっ」

 

座っていた子たちが一斉に立ち上がり、オレにとびかかってくる。

明らかに人に対するコンタクトの仕方ではない。

 

「うい、おらっ」

 

とびかかる者をひとりずつ丁寧に掴んでは、床に下ろす。

全部で六人、激突することなく全員キャッチする。

 

慧音「なんと、お見事」

 

「子どもの扱いは慣れてるんでね。というか、授業を邪魔してすまない」

 

慧音「いや、いいんだ。ちょうどみんなが眠くなっている時だったんでな」

 

黒板には[こくご]と科目名が書かれている。

教科書の物語教材を扱った授業をしていたみたいだ。

 

「確かにお昼時は集中力が切れるしな」

 

慧音「ま、そういうことだ。…ほら、席につけ」

 

キラキラと目を輝かせている子たちは、はーいと自分の席に戻っていき、正座する。

しかし、たまに後ろを振り返ってオレをみたりしてくる子どもたち。

どうやらオレのことが気になるらしい。

このままでは授業が成り立たない、ので。

 

「慧音先生」

 

慧音「ん?なんだ?キミはゆっくりしてていいよ」

 

「いや、暇だから、机間指導するよ」

 

慧音「……!」

 

オレの一言に慧音の目が見開かれる。

机間指導、なんて言葉は普通の人間は口にしない。

オレがそういう道に進んでいたことを慧音は読み取ったのだろう。

 

慧音「そうか…分かった、よろしく頼むよ」

 

「うい」

 

こうして授業に入り込むことに成功する。

外の世界の知識がこういったところで活躍するとは。

 

(人生何事も学んでおくもんだな)

 

 

§

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