東方礼夜鈔~nothing's written in the extract~   作:ようひ

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饂飩

魔理沙「ってことで夕飯行こうぜ」

 

眠気から覚めた魔理沙の第一声。

 

「そこら辺の石でも喰ってろ」

 

魔理沙「あれ~霊夢のスリーサイズ誰に教えたんだっけなぁ~」

 

「よし、あそこの店にしよう」

 

この魔法使い、記憶力はいいもんである。

オレたちは赤い暖簾の掛かった店へと向かった。

暖簾には白い字で[四角亀]と書かれている。

 

(四角い亀…ポルナレフか?)

 

などと思いながら暖簾をくぐる。

 

『へい、いらっしゃい!』

 

中から活気ある店主の声。

坊主頭に鉢巻を巻いた、人当たりのよさそうな顔をしている店主だ。

カウンターに座り、メニューを見る。

 

魔理沙「私は釜玉うどん!」

 

「オレはぶっかけで」

 

『あいよ!』

 

店の奥へと消えてゆく店主。

店内は古びているが、老舗と呼ぶにふさわしい風だ。

やがてうどんが二つカウンターに置かれる。

白いうどんに黄金色のスープ。

トッピングにはネギと油揚げ。

 

「いただきます」

「いただきます!!」

 

挨拶をしてから、まずは汁をいただく。

 

「うっま」

 

あっさりとしているが、鳥の出汁がしっかりと効いている。

攻め過ぎず、引きすぎない。絶妙な汁だ。

麺も汁を吸って上品なハーモニーを奏でている。

 

魔理沙「一仕事した後の飯は美味いな!」

 

「まったくだ」

 

お前は寝ていただけだろうに。

その言葉はうどんの美味さによって消えてゆく。

オレ達はあっという間に平らげた。

 

「ほい、ごちそうさま」

 

『ありがっした!またのご来店を』

 

坊主頭の店主は破顔の笑みを浮かべる。

 

「あぁ、何度でも」

 

[四角亀]を後にする。

夕日は水平線の向こうに沈みかけ、既に夜が降りてきていた。

 

魔理沙「そいや、情報は得られたか?」

 

「いや、慧音も分からないってさ」

 

魔理沙「そうか、明日こそ期待だな」

 

この日、父親の情報は得られなかった。

まぁ、どんなに優れた探偵でもいきなり行方不明の人物を探し当てることは出来ない。

千里の道もなんとやらだ。

 

魔理沙「私もお前の父親探してみるよ、紅い肌をした奴だったか?」

 

「それはイフリートだ、紅いのは髪な」

 

冗談だぜ、と笑う魔理沙。

 

魔理沙「じゃ、夕飯も食ったし、帰るか」

 

「だな」

 

と言って魔理沙は箒(ニンバス2000)にまたがる。

そのまま帽子を整え、オレに二本指を立てたのち、星を出しながら飛び去って行った。

 

(あの星はデフォルトなのか)

 

遠ざかってゆく星たちを見送って、オレはゆっくりと帰路につく。

家の鍵がポケットにあることを確認し、煙草を吸おうとする。

ジッポで火を付けようとしたとき、

 

(……あ)

 

そういえば、ここは、幻想郷。

オレはさっきここに来たばかり。

もちろん帰る家なんて何処にもない訳だ。

 

(…オレもマヌケだな)

 

ひとまず、民宿的な建物を探しに行く。

 

 

 

§

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