東方礼夜鈔~nothing's written in the extract~   作:ようひ

29 / 122
野宿

あれは妖怪だったのか?

――いや、人に危害を加える種類ではなかった。

 

じゃあ人?

――人があの時間をうろつかないってさ。

 

そしたら、オレと同じ外来人?

――貫禄が違うだろ、オレの目は節穴か。

 

(訳が分からん…)

 

銀髪が居なくなって、ベンチで横になりながら考える。

月は真上に昇っていて、周りの雲を照らしている。

 

(てか炎だぞ?アレ、熱くないのか?)

 

恐らくあれが霊夢の言う[能力]なのだろう。

炎を自在に出したり操ったりする能力とか、そういった感じの。

そうなると妖怪と思えるが…霊夢も魔理沙も[能力]を持った人間だ。

 

(訳が分からんばい)

 

頭がこんがらがってきた。

とりあえず周りを見ても人影のようなものは見えないので、自身の無事を祈りつつ新聞を被る。

今日はここがオレの寝床だ。天然由来の超自然的な宿。つまり野宿なのだが。

 

(明日はいい宿を見つけられるといいんだが)

 

最悪困ったら霊夢の元へ――

 

(いや、それは男としてダメだ)

 

かろうじでプライドが勝る。

憧れだけじゃ本当は何も見えないよって思う。

だが諦めだけは夢から覚めても言わない。

 

(…何とか明日は今日以上の宿を見つけよう)

 

ポケットから携帯を取り出す。

低電力&機内モードなので充電の節約はぬかりない。

午前11時12分。どうやら外の時間とは正反対らしい。

日本と米国みたいなものだ。

 

(…とりあえず)

 

頭の中で明日の事を整理する。

明日の行動としては、広場で聞き込み調査を行う。

手がかりが無ければそのまま宿を見つける旅に出る。

もし気力があれば里の外―――はまだ厳しいか。

霊夢の言う[能力]とやらを自在に使えるようになれば、視野に入れてもいいだろう。今はまだ里の中に限定した方がよさそうだ。

 

(そのぐらいだな)

 

新聞紙を顔に乗せる。

まるで電球に照らされているようだ。本当に月が明るくて、文字が読めるほどだ。

 

【妖怪の森に新たな妖怪が現れた。完全な姿は確認されていないが、大きな翼と鋭い爪を持ち、全長20メートルにも及ぶ巨大な身体を持っていて――】

 

目で追っていくうちに、睡魔がやってくる。

抗う術はない、ゆっくりと眠りに落ちていく。

 

(…クリームソーダ飲みてぇ)

 

そんなことを思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いの1ばんに言うことは

 

 

 

命は2個も無いもんさ

 

 

 

3つ数えりゃ後ろに何かが

 

 

 

4るは目を瞑らない

 

 

 

5人はペロリと食べられて

 

 

 

6でもない死体が転がった

 

 

 

7時に外を出歩くな

 

 

 

8つ裂き人形の出来上がり

 

 

 

9るしむことを忘れたならば

 

 

 

里の関門10り越せ

 

 

 

(人里に伝わる『数え歌』より)

 

 

§

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。