東方礼夜鈔~nothing's written in the extract~ 作:ようひ
魔理沙「飯を食わせろ」
「だが断る」
魔理沙「お腹を空かせた魔法使いは、今日も道端でのたれ死ぬのでした――って、やだぜ」
「お腹を満たした魔法使いが、その後そこへ集るようになりました――ってのもやだ」
結局魔理沙にご飯を作ることになった。
男飯は雑さが売りなので、適当に買ったご飯と野菜を鍋にぶち込む。
だし汁をドバっと、調味料をズバッと!火を付けて、釜戸でフーフー!
「ほらよ、雑炊だ」
魔理沙「うおぅ、雑さを追求したら雑炊になったか」
「雑を極めればそれは個性になる」
魔理沙「よく分からん理屈をこねる奴だぜ」
魔理沙はよほど腹が減っていたのか、かき込むようにして雑炊をほおばった。
その顔は大変美味しそうなのでよしとしよう。
オレも雑炊を食べる。
少し味付けが薄いが、それもまた一興。
次は水炊きでも作ってみようか。
魔理沙「……腕治ったら、霊夢のトコに行くのか?」
「突然だな、どうした」
魔理沙「や、気まぐれだ。聞き流してくれてもいい」
「……もちろん行くさ」
出汁を吸い込んだまいたけを頬張る。
口の中に山の風味と醤油のうま味が広がる。
魔理沙「……」
「どうした、魔理沙?」
魔理沙「……いや、なんでもない!」
顔を隠すようにして雑炊をかき込む魔理沙。
食べ終わると、箸をおき、両手を合わせて合掌する。
よっぽど腹が減っていたのだろう。
食後のお茶を二つ淹れ、卓袱台に置く。
「そういやさ」
魔理沙「あん?なんだ」
ちょうどいい機会なので聞いてみる。
「魔法って、どうやったら使えるようになるんだ?」
抽象的な質問を投げつける。
魔理沙はうーんと頭を捻り、
魔理沙「人間ってのは、少なからず魔力を持つもんだ。それは魔法が使えないほどの微量であったり、術を使えるぐらいに膨大であったりする。陰陽道や呪術師になる奴らは大抵が素質のあった奴だったりする」
いきなりの長文。
「長い、三行で」
魔理沙「お前も使えるかもしれないって話だぜ」
「へぇ、そいつは美味しい話だ」
と、魔理沙は見えない球体を抱えるように、両手を突き出した。
念じるように目を閉じ、腕に力が込められる。
すると、何もない場所から火の玉が現れた。
魔理沙「こんな風に、魔法ってのは念じるだけでエネルギーが出せる」
「おぉ」
魔理沙「大事なのはイメージだ、炎を出すなら炎のイメージを、水を出すなら水を。魔法の属性に合わせてイメージを練るんだ」
と言われても。
野球のやったことの無い奴に『よく落ちるフォークボールをイメージして投げろよ』って言っているようなものだ。出来るのは茂野ぐらいしかいない。
「それまでの動作とか、発動条件は?」
魔理沙「ん、こうやってバッと手を出して、ピタっと動作を止めて、意識を集中して一気にグッと開放するだけだ」
「おい、なんも伝わらねぇぞ」
魔理沙「遊びと一緒さ、身体で覚えるんだ」
直感型ってのは恐ろしい。
自分の感覚を他に教授してるのは分かるが、全く伝わらない。
魔理沙「まぁ、今度本でも貸してやるよ、凡人にもわかるような」
「凡人って言ってる時点で魔法使えねぇだろ」
魔法が使えるようになったら、煙草の火を付けるのに役立ちそうだ。
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