数ヶ月ぶりとなりました、雪宮春夏です。
何故か刀剣乱舞と、名探偵コナンのクロスオーバーとなってしまいました。
メインに手をつけずにサブばかり大量に増えていくこの頃ですが、それでもよろしければどうぞご覧下さい。
「黒田鶴丸だ! 姓名合わせれば
にかっと擬態語が付くほどの笑みで言い放つその姿は一見年相応の普通の子どもに見えたが、他の子供達と同じようにその姿を見ていた少年……江戸川コナンはそこに違和感を覚えてしまった。
具体的な根拠こそ無いが、長い間探偵として、多くの事件に関わってきた事によって育まれた第六感と呼ぶべきそれが、彼に酷く訴えたのだ。
その底抜けなまでの明るさの中に、何かが隠されていると。
語られた側も納得するほど、転校生、黒田鶴丸の姿はどこか浮き世離れしたものだった。
「彼……どう見てもアルビノね。最も彼本人は厭うどころかそれを前面に押し出す事で楽しんでいるようだけど」
隣席からそう語りかける少女、灰原哀に思わず頷いてしまったのも、無理からぬ事だろう。
白い髪に透き通るような雪のような白い肌。
その姿に合わせるように服装も白一色で合わせていて、彼か好むと語っていた赤の要素はどこにもない。
稀にウサギのような小動物で見られるアルビノの個体ならば血管が浮き出ることにより、瞳は赤くなるはずだが、彼の瞳は蜂蜜のような鮮やかな金色だった。
(日本人離れした容姿だよな。姓名からして日本人なんだろうが、灰原以上に外国の血が強くでてるみてぇだし……こりゃあ大変だったんじゃねぇかな)
季節外れの転校に些か訝しんではいたのだが、彼の姿を見て、コナンは密かに納得していた。
母親がイギリスの血を引くという灰原は、赤茶色に近い茶髪の髪をしている。
外国の血が入っているという理由で、幼少期は虐められていたとも以前言っていた。
これは完全な推測だが、もしかしたら彼もそんな過去があるのかもしれない。
(いや、でもそれだって、髪を染めるなり何なりと、方法はあるかもしれねぇが……)
もしや躊躇したのだろうか。
たとえそうだとしても、親の気持ちも分かりそうなものだろう。
それほどまでに、その髪はもし天然物なのだとしたら、見事としか言いようのない色艶があった。
少年、江戸川コナンがそのような思考に至っていたなど気づく様子も無さそうに、目の前の少年、黒田鶴丸と名乗った彼は久々の転校生に対する強い好奇心から、己へ寄ってくる子供達の対応に追われていた。
それはあたかも、砂糖に群がる蟻もかくやというものだろう。
そしてそれは、コナンと親しくしている彼と近しい三人の子供達、少年探偵団も例外ではない。
寧ろ、灰原哀以来の転校生の存在に、彼らが次にとるであろう行動はコナンには手に取るように分かった。
「……っつう訳でよ! 鶴丸っ! お前も少年探偵団に入らねぇか!?」
(何が「っつう訳」だよ?)
「入りましょう!? 鶴さん!!」
「きっと楽しいよ?」
団長、小嶋元太の一言をきっかけに、円谷光彦、吉田歩美も声を上げる。
自分の席からそれを眺めていたコナンは心中でツッコミを入れるが、当然心の声など届く筈も無い。
同じく少年探偵団に入っているとされる最後の一人、灰原哀は、チラリとこちらを見やるが遠巻きにしていると言った所だ。
「少年探偵団?」
聞き慣れない単語に首を傾げてみせる鶴丸に、彼らが口々にレクチャーを始める。
それをふんふんと頷きながら聞いていた彼は、しかし暫く後に困ったように眉を寄せた。
「面白そうな噺だがなぁ……俺はこの町では、親戚の相手に居候させて貰っている身の上なんだ……。彼の許可無く、一人で決断は難しいな」
申し訳なさそうに謝る鶴丸であるが、その程度で気落ちするほどこの三人は繊細では無かった。
寧ろ新しく手に入れた鶴丸の個人情報で更に盛り上がる始末だ。
「居候ですか! まるでコナン君みたいですね!!」
「……コナン、君?」
自分達とは違う環境に光彦が目を輝かせると、特殊な立場と思っていた環境にいる子どもが己以外にいることに驚いたのか、鶴丸は目を瞬いた。
歩美に示され、苦笑しながらも改めて……三人が自己紹介した時は口を挟む間もなく流されたのだ。自己紹介となった。
「僕も毛利探偵事務所って言う所に居候してるんだ。君はどこに住んでいるの?」
次いで探るように見つめてしまうのは探偵としての性だろうか。
コナンや灰原のように他の子供達とは異なる雰囲気を感じたのも、その行動を後押ししてしまったのかもしれない。
しかし子どもはコナンのその探るような視線には気付いていないのか、サラリと情報を開示した。
「俺の居候先はそんな大層なところでは無いぞ?どこにでもある住宅街の中の一アパートだ。……最も、朝家から出るときに、まだ道順が完全に覚えているかが不安だと漏らしたから、今日はその親戚の相手と落ち合う事になっているんだが……」
この後、相手の職場まで行くことになっているんだが、良ければ一緒に行くかい?
そう続けられた言葉に、ただでさえ鶴丸に興味津々な彼らは遠慮などみせない。
既に少年探偵団に興味を示している鶴丸がその相手の許可がなければ入団の有無を決められないと言っているのだから尚更だ。
居候している鶴丸と共に、相手の職場まで押しかけようと話を纏めかけている三人に、慌てたのは良識と言える常識を持つ、コナンと灰原だった。
鶴丸は同居している親戚の子供ということで、事前に相手も自分の職場に話を通しているのかもしれないが、三人は完全に想定外な筈だ。
場所によっては怪しまれるかもしれないし、どこかも聞かずに進めて良い話では無い。
ここは今日は一度保留にして、明日にでも改めて返答を得れば良いと提案しようとしたのだが……それは鶴丸によって覆される事になる。
「別に良いと思うぞ? 相手の話じゃあ、そこまでお堅い場所でも無いと言っていたし」
何よりと、続けた次の言葉でコナンは驚愕に目を見開く事となる。
「俺もまだこの町に詳しくないからなぁ……喫茶「ポアロ」と言う名前だけじゃあ、たどり着ける自信が無いんだ」
良ければ案内をしてくれないかと、向けられた視線は、柔らかいまま、三人の方へと向けられている筈だった。
しかし、コナンの直感は何らかの警戒を促すように、じっとりと怖気を走らせていた。
最初に冒頭の一文が思い浮かび、よくよく考えれば同姓のキャラが関係者(?)の中にいたと言う面倒……いや、面白い事態になっていました。
狙ったわけでは無いですが、結果的に狙っているかもしれません。