夢のチカラ Episode origin~Before the Animarle   作:みーぷ

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遂にこの巻も終了の時が来ました…。


Epilog 終わりが繋ぐ物語

走って、走って、走って…。

どれくらい皆から離れたのかも分からないほど無我夢中で、一心不乱に走り続けた。そうしていれば何かを忘れられるような気がしたからなのか――。

涙でぐちゃぐちゃのまま、美来は徐々にスピードを緩めた。

(玲音…どうして…)

そればかりが頭の中を巡り、思考が止まっていた。

(全部私が問題で、玲音は知らないうちに、どうして…?なんでそこまで?

わかんないわかんない、わかんないよ…)

ふと、足に力が入らなくなり地面に倒れ伏す。

(急に、立てなく――!?)

 

「あらあら〜?あんなに強いって言われてる子がこんなにも呆気なく無様に倒れちゃって、所詮噂に過ぎなかったのかしら〜?」

 

妙に間延びした声がして、視線だけをどうにか上に向けると、長い白髪を右手でもてあそびながら宙に浮く女性がこちらを見下ろしていた。

「だ、れ…?」

絞り出した声は小さくて、かすれ、震えていた。

「実行犯が自ら名乗ると思って?もちろん、その質問は拒否させてもらうわよ。

それより…あの子がいないこのチャンスを逃さないわけにはいかないわよね?」

(あの子…。玲音のこと…?

もしかして、リコさんの言う通りこの人が襲撃者――)

もう声が出ない。手足の感覚はとうに消え去った。

どうしてこの状況に陥ったのか。痛みも苦しみも一切感じず、美来はぼんやりした頭で考えようとした。

だけど――。

(もう、むり、わかんない…なにも、なにもかも…)

重くなった瞼を閉じ、思考すら絶たれようとしたその時だった。

 

「美来から、離れろっ、この腐れ外道があああぁっっ!!!」

 

大絶叫が聞こえて、薄れかけた意識の中でなんとか正体を探る。

――否。考える間もなく答えは導き出された。

「れ…い、ん」

有声とはならなかったが、玲音はその声が聞こえたかのようにピクリと肩を震わせた。しかし、目線は目の前の女性に向けられたまま。

「無抵抗の相手をいたぶって楽しいか。

自分が強者であるために他人を手にかけるのがやめられないのか。

自身が1番になるために禁忌まで犯すのか…」

怒りのあまり低く唸るように呟く玲音。

「嫌ねぇ、さっさとトドメを刺しとけば良かったかしら?私の方が強いとはいえ厄介なのに変わらないもの。

もちろんいたぶるのは楽しいわよ?だってそいつが弱いってことの証明になるじゃない。最高でしょ?

禁忌?そんなの関係ないわ。私は私のルールで生きてるだけよ。世界の法律なんてただの文書。力的拘束力は全くないのだから自由に何をしてもいいってことよね?

なら、私がやりたいことをやるだねだもの」

何事でもないようにさらりと言い返す襲撃者。

「逃げ出す機会を伺っているようだけどもう逃がさないわよ、二人とも。こんな所で時間を無駄にしてる場合じゃないし」

(ころ、されるんだ…わたしも、れいんも…。

ぜんぶ、わたしの、わたしのせいでみんながいつも…わたしさえいなければ…?)

思考能力が低下した美来の頭脳が最悪の結論に至る寸前。

抵抗ひとつできないその体が、白い雷撃に包まれた。

「美来っ!!」

悲鳴をあげる玲音は既に視界に入らず、遂に美来は意識を手放した。

 

…あぁ、もうだめかな。

 

 

最後の思念だけは、音もなくその場のふたりに届いて、消えていった――。

 




電撃に打たれた美来。
玲音の絶叫虚しく、どのような結末を迎えるのか…。
次巻は襲撃者との対決が待っているのかもしれません…。
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