夢のチカラ Episode origin~Before the Animarle   作:みーぷ

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今回も1回で、一章分です
ようやく核心に入れ…なさそうです(´・ω・`)


第4章 危機を脱する術

※※※

 

何も見えない。

何も聞こえない。

何をすることもできず、思考も遅くなったように感じる。

ぐるぐると回っているような気持ちの悪い動きがずっと続いているような感覚だった。

(そう…だ…れい、ん…つくり…かえ…さい、こう、ちくを早…く…)

体がどんどん寒くなっていく。

ピクリとも動かせない。

(はや…く…れ、いん…!)

唐突に思考がブラックアウトした。

 

※※※

 

「美来さんっ!どうして!?と、とりあえずネネっ」

「はいなどうした…おわわわっ!?ちょ、これはまた何が――」

「間に合ったけど間に合わなかった!ネネ、早く!急いで治療を!」

「ユヅカ、玲音を呼び戻し!今回ばかりは禁忌を犯すことも国家権限で許す!死なせないで!」

「転移させます!体位固定を!」

「玲音はまだ!?向こうの仕事ほっぽかさせて今すぐ!今の美来を救えるのは完全な時間の巻き戻ししか方法がない!」

目の前に広がる惨状。

バタバタと走る足音。

ネネがあちこちに叫ぶ声。

(こんなところで死なせるわけにいかない…!ネネが頼んだばかりにこんな目にあわせるなんて許されない!助けないと助けないとっ…!)

「ネネっ!怪我って、即死寸前て…」

たった今着いた玲音が着地点の目の前を見て唖然とする。

「いいから今ほんとに危険なの!

お願い、どんな罪に追われたとしてもネネが責任とる。美来を助けて。お願い…」

切羽詰まった、鬼気迫る表情を見た玲音は事情を察して、

「全員耳塞いで目閉じて。瞬間的に時間逆転させる」

即座にその場にいる3人が言われた通りにする。

刹那、玲音のそばには傷一つない美来が横たわっていた。少しばかり呼吸は弱いものの、命に別状はなさそうだった。

「ふぅ…来た瞬間のこの惨状には久しぶりにビビったぞ…。戦争突っ込んだ時並みだっての…。血痕までは消す暇がなかったから物理的に消しといてくれ。

…とにかく何があった?」

後悔するような面持ちで地面を見つめながら暗い声で呟くネネ。

「あの後…美来にも手伝ってもらって現地の転移をやってもらおうとして…恐らく例の魔法で空中から岩が唐突に現れてたんだろうね…。転移よりそっちを優先したんだと思う。防御膜作ってみんなのこと守ってくれてたんだよ、玲音の魔法が発動したとたん、多分猛烈な負荷がかかって一瞬魔法が切れたんだろうね…そこにとんできた岩が直撃して…。そもそも大きい岩ばかり飛んできていたから…。

ごめんね…ネネが人手不足のせいで美来まで危険に晒しちゃった…玲音がいなければ一瞬後にでも死んでたかもしれない」

気落ちして下を向いたままのネネ。視線は地面の赤黒い模様に向けられていた。おびただしい量の血が流れたことが明白だった。逆に、これほどまでの怪我をしておいて、しばらくの間意識を保っていたのが不思議なくらいだ。ネネの言う通り、その瞬間にでも死んでおかしくない状況だった。

落ち込む様子を見て何も言えない玲音とユヅカ。

「それにしてもここまで魔法が発動されてると処理が…なかなか厳しいところがあります。ずっとこのままって訳にもいかないですけど…」

話を逸らすように話題を変えるユヅカ。暗い雰囲気が漂ったままの一行は簡単には立ち直れないものだが。

――と、ここで美来が僅かに身じろぎした。

『…!』

小さく呻き声をあげて、薄く目を開くと、

「ん…でき…た…?」

焦点の合わない目で玲音を探すかのように視線を彷徨わせる。

「間に合ったよ…いろんな意味で」

玲音が重々しく…本当に心から呟いた。

「ならよし…」

ケガだけは時間を巻き戻せても、疲労までは消せないのか再度気絶する。

とりあえず3人は寝かせておくことにした。

 

全国民を一人残らず王宮には収集できたものの、現状ではほとんど何も変わってないに等しい。不安の募る民衆を見ながら、ネネは声をかけることができなかった。親――つまり国王達はまだ連絡がつかないらしい。

この国は今、壊滅の危機に晒されていた。

ネネくらいしか指示を出せる者もなく、あきらかに人手不足の力不足。玲音もすぐに時空研究所に戻って、向こうの対処に追われているらしい。ユヅカは国民の食料と寝床を広げるために王宮内の拡大魔法を施行しているはずだ。大臣達から次の指示を、そのまた次は、と質問攻めにあい、流石に研究所関連の人物に話を聞きに行く所ではなかった。

(美来…早く起きて…。1人じゃ限界だよ…)

気が強くて、よく突っ走って、いつも明るく振舞っているネネといえど、所詮はまだ子供。親のいない国家危機をたった1人の力で収束出来るわけがなかった。

(出来ることはやってる、犯人も目星がついてる。でもこのままじゃ何も――)

「ネネ!今の状況はっ?」

ノックもせずにバタン!と大きな音をたててドアが開く。

医務室で寝てたはずの美来が回復し、目が覚めたらしい。ここにネネがいると聞きつけて走ってきたのか、息を切らしていた。

「――!」

声にならない叫び声を上げそうになって、思わず口を手で押さえる。

「大丈夫なの?体調とか体の具合とか…」

「ん?特に何も無いよ?やだなー、魔法使ったくらいでそんな死にそうなことよっぽどじゃないと起きないよー」

どうやら自分の身に起こったことは認識していないらしい。

微妙な顔をするネネを見て、不服そうに口を尖らせる。

「なんかあったの?そんな陰気臭い顔して。ネネ疲れてる?」

「…あんたってやつは…。

何でもないよ、ただ単に事後処理が大変なだけ。全くもって進歩がないこの状況と無力な自分にイライラしてるっつーそれだけだからさ」

「確かにネネ1人で命令するしかないんだもんね…。

あ、それならさ、同じ状況で大変なうちの友達呼ぼうか?」

「え?それってどんな人よ、なかなかいないでしょ」

「それがいるの。

おーい、エアール、来れる?」

「は?エアールってちょ、まさか」

「はい呼んだ?

――って、うえぇ?アニマーレの、王室っては?」

虚空の転移穴からにょきっと顔を出したエアール――現魔界の王の娘――は部屋とネネを見るなり慌てだす。

「ちょっと何なに?急に呼び出しといて王族の方とか普通ならすごい大問題よ?普通なら許可というか護衛ありありの正式訪問よ?」

全くもってその通りだといわんばかりに激しく頷くネネ。

そうなの?とびっくりした顔をする美来。

「確かに同じ境遇ではあるけどこれじゃ貸しを作ることになるんですけど…」

「いやまって、その前になんであたしは呼ばれたの?」

エアールが何をしていたのかは不明だが、すぐ呼びかけに応じたということは暇なのだろう。

「んー、だって国家関係っていって、そういうの手伝ってもらえそうなのがエアールしか思いつかなかったから。お願い!国とかそんなじゃなくて友達の友達として助けてあげて!

…えっと、ネネが許すならだけど」

困ったように顔を見合わせるネネとエアール。実のところ二人の接点は無いに等しい。当たり前と言えば当たり前だが。

「まぁ…ここで断るのもなんだしいいよ。ネネさんは?」

「異議なし。人が増えるのは嬉しいしできる限りのお礼はするよ」

その言葉に首を振る。

「おやつだけ貰えればあたしは構わないよ、終わったらみんなでお茶しよう」

切羽詰まったこのシチュエーションに、手を組むことにした二人。

「国とかそんなの関係なしでいいからね、さん付けもお互い禁止で」

「了承した」

 

「――王宮内の物資はどれくらい不足してる?」

「食料は80%ほどぐらいしかないから20%足りない。切り詰めるかどこかから調達するか。

当てはある?」

「親がいない状況では厳しいかもしれない。穀物があるなら魔法で量を増やせる可能性は無きにしも非ずだけど。どれくらい増やすかとかによるかな…」

さすが一国の姫が二人揃っていることはあって、問題点を次々に浮き彫りにしていく。食料、避難場所、衛生問題、現状の被害等々…。

美来は口を挟むことが躊躇われたので、各所に書類を届けたり伝言を伝えたり魔法関連の手伝いをしたりなど、とりあえず雑用をこなしていた。

王宮内部を時空が壊れない程度の限界まで拡張し、なるべく個室になるような空間を作ったり、炊事したりといったこともやっていた。

 

一方その頃、ユヅカはというと。

「まだあいつの居場所は特定出来ないんですか!?

もうわかってるというのに足取りが掴めない?早くどうにかしてくださいって!身から出た錆でしょう?」

「いやまぁ確かに生み出したの自分とかだけどあいつが勝手に暴走させてるだけだろ?俺に責任問わないでくれよ…足取りが掴めないんじゃ何も出来ないのは分かってるだろ?」

怒っている相手は、研究所で今回の事件の発端となった魔法の発案者。名前をリュウという彼は、ユヅカや先程ネネの元にいたユイなどと一緒に原子からものを生み出したりする方法を考え出した。当初、この魔法はその場にいらなくなったものや、緊急事態の時に食料物資などを作り出したりするために発案されたものだった。

それが恐らく研究を共にした誰かに悪用されている。犯人はとっくに判明していた。

「逆にどうすれば向こうは出てきてくれるんでしょう?エサぶら下げるわけにも何をすればいいのか…そもそもなにが目的なのかがさっぱりわかりません」

「それは同意。何のために国家規模の問題起こしてくれてんだ…?」

二人の話す“あいつ”が姿を見せないため、捕まえようにも捕まえられない。

何も出来ないこの時間がもどかしい。

「ユヅカっ!リュウっ!」

「ユイ…向こうにいるんじゃなかったの?」

さきほどネネの部屋に伝言を伝えに来たユイ。彼女もまた、この研究に関わっていた。ただし、その技術を生み出すための理論を組み立てただけで、その異能は使えない。

「ちょっと美来さんに頼んで出てきちゃった。

――で、ちょっと玲音さん…春岡くんから伝言」

「あいつが?なんで?」

訝しげに眉をひそめるリュウ。どうやら3人とも玲音及び慧とは既知の仲だったようだ。

「なんだか“昔のよしみ”って言ってた。まぁ春岡くんは覚えていて当たり前だよね。

それはともかく。心当たりならあるって。推測に近いけど。とりあえずこれを見て」

ユイはそう言って空中にアニマーレ全体の地図を映し出す。

「ARだとこんな感じなのか…」

感心するリュウに呆れた様子でユヅカが突っ込む。

「魔法の一種でしょう?アニメの見すぎです」

言葉につまり、助けを求めるようにユイを見る。

「事実は事実。

というか話そらしすぎだよ。これが今いろいろ起こってる地点を把握した記録。で、地図に重ね合わせてみると」

赤い点が地図に次々と浮かび上がる。

「計276ヶ所、214地点。全ての点を結んでみると…ほら、大きい丸の中にあるように見えない?」

「確かに…てことは」

「うん、この丸の中心にいるんじゃないかって春岡くんも言ってた。私もそう思う。現に真ん中あたりを見ると一部だけ何も起こってない場所があるじゃない?絶対怪しいよ、これ」

ようやく解決の糸口か見つかり、表情が僅かばかり和らぐユヅカ。それをすぐに引き締めて、

「でも急がなきゃ。国ひとつ滅ぼせるような力です。いずれは他の…」

ユイも頷いて、

「超同意。だからりこさんに聞いてみたんだ。この中でもさらにどこにいそう?って」

「りこさんって…あの占星魔術師に転職したらしいりこさん?」

他に誰がいるの…と呟いて再びユイは首を縦に振る。

「そしたらあいつの性格とその職業柄のいろいろからこの辺じゃないかって」

地図をアップさせ、その場所にマークをつける。

そこは一見、何も無いように見える場所。強いていえば――。

「あっ、そういうことでしたか…これは盲点でした」

「なるほどな。いや、でもそれじゃああいつ、何も無かったことにしようとしてないか?」

「会えばわかるよ、きっと。早く向かおう。ネネさんと美来さんには言っとくね」

 




中途半端で終わってしまった…。
とりあえずすぐ次だせるようにします。
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