転生してアイドルになった件(徐行更新中)   作:amedama

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大学での生活にも慣れてきた今日この頃、漸く更新を再開することが出来るようになりました。ここまでお待たせしてしまったことについて、深くお詫び申し上げます。また、このエピソードを見てくれることに、心から御礼申し上げます。
大学生活が始まり、炊事洗濯掃除を自分の手でやることになると、どうも時間が足りないようにも思えてきます。これから、主人公のアイドルとしての活動も本格化させていくわけですが、主人公の今後の活動を考えていくうちに、主人公はアイドルであり、クリエイターであり、プロモーターでもある、というセルフプロデュースの要素も強めていこうかと思案中です。
前置きが長くなってしまいましたが、どうぞよろしくお願いします。


第12話 featuring

あの歌番組から1週間が経った。

歌番組では、ミスは1つもなく、落ち着いた状態でパフォーマンスを行うことが出来た。

え?ラジオは?

・・・一応うまくいったけど、途中からバスケ談義になって、ものすごく脱線した。DJさんもバスケの中継の実況とかしてるから、知識が多くて結構話が弾んで・・・本来のトーク内容忘れてディレクターさんに注意されたなぁ・・・まあ、後でバスケ系の番組みたいなののオファーするかもしれないとか言われたから、結果オーライなのかな?

その後、SNSでエゴサを少ししてみたが、特にこれといった批判は無いようだった。どちらかというと、次のシングルや、次のテレビ出演などへの期待の声があった。

こうして期待されているのだとわかると、なんだか照れくさくなってくる。

 

そんなことを考えながら、私はカフェで紅茶を飲んでいる。私の目の前には、レモンの入った紅茶と、パソコンがある。ちなみにパソコンに入れた曲をヘッドホンで聴いている。まだ出してない、インボーカルのテスト音源だ。

この曲について、こんな事を考えていた。

 

これ、私の声に合わないような感じしかしないよ?

 

「これを歌える声の持ち主、捜すべきかな・・・」

『Nectar』を歌える声の持ち主・・・

色っぽく、大人のような声を出せる人・・・

それは私の近くに居るのだろうか・・・

 

 

 

あ、リサさんいるじゃん。

彼女だったら、この曲に合うよ。『Nectar』のアダルティな世界観に合う声をだせるはず。

試す価値は十分にある。

私は早速346プロに向かうことにした。346から承諾を得ないことにはコラボは難しい筈だ。

 

 

 

事務所に着いて、早速上郷さんの部屋に向かう。

ノックをして、

「どうぞ」

と返ってきたので、入る。

「失礼します」

「遥か。今日はオフだったような気がするけど、どうしたんだ?」

・・・よし、ここまで来たら言ってしまおう。

「上郷さん。単刀直入に言います。Roseliaの今井リサさんとコラボしたいと考えています。346の承諾を得てから、向こうに打診をする予定です。内容としては、リサさんに曲を歌ってもらおうと考えています」

「つまり、楽曲提供をしたいと言うことかい?」

「いいえ、フィーチャリング・アーティストとしてやってもらおうと思ってます。今私が事務所に出してない音源の中に、私の歌声に合わなさそうな曲があって、リサさんなら曲と声がフィットするのではないかと考えました」

「なるほど。ちょっと待っててくれ、今西部長にかけ合ってくる」

「ありがとうございます」

上郷さんは部屋を出て、今西部長の部屋に行った。

 

 

10分後、今西部長と上郷さんが部屋に戻って来た。

「お待たせしてすまない。では、会議室に行こうか。そこで詳しい話を聞きたい」

同じフロアの小会議室に移る。

部屋に入るとすぐに今西部長が話を始める。

「まず、その曲を聴かせてくれないかな?」

と言ってくる。まあ、予想通りだ。

そこで、パソコンをスピーカーにつないで、音源を流す。

流し終わった後、今西部長はこう言った。

「とても良い曲だ。コラボについては、我々もバックアップすることにしよう。常務もそれを認めてくれたから、安心して次のステップに入ってくれ」

「ありがとうございます!では、これからK's tuneの方に行って来ます」

会議室を出た私は、早速ある人に電話をかける。

「もしもしエルザさん?遥です」

「遥ちゃん、急にどうしたの?」

電話の相手はエルザさんだ。この前の放送後、後々の交流も視野に入れて連絡先を交換していたのだ。

「リサさんは今事務所に居ますか?」

「いるよー。何か用事でもあるの?」

「はい、仕事についてです」

「私もそれに同席して良いかな?」

「ええ、もちろんです」

「じゃあ、気をつけて来てねー!」

「ありがとうございます、では、また後で」

急いで事務所に行こう。待たせてしまっては良くない。

 

 

K's tuneの事務所は赤坂にある。

赤坂セントラルビルという、東都放送系の不動産会社のビルだ。そこの10階に、事務所は置かれている。

因みにここには346のスタジオもあり、私はパスを持っているため、すぐにビルの中に入れた。

事務所のドアを開けると、すぐにエルザさんが出てくる。

「いらっしゃい!待ってたよ~」

「突然すみません、お邪魔します」

「いいのいいの。ほら、リサちゃん待ってるよ」

私とエルザさんは応接室に向かった。

K's tuneの応接室はかなりシンプルで、豪華さは無く、どちらかというと機能性重視だ。

・・・ただ、なぜか窓側にはファミレスでよく見るドリンクバーが置かれている。

まあ、私としてはこういうのがあると嬉しいんだけどね。

部屋に入ると、リサさんがアイスコーヒーを飲んでいた。一つ一つの動きもまた、大人っぽくて、つい見惚れてしまう。

「あ、遥ちゃん。待ってたよ」

「突然の訪問ですみません、リサさん」

「いいのいいの、気にしないで。それで、仕事の話つて聞いてるけど、どうしたの?」

「・・・単刀直入に申し上げます。私が作った曲をリサさんに歌ってほしいんです」

 

 

 

 

 

「・・・・・・ふぇ?」

 

 

数秒の沈黙。しかしそれもすぐに崩れる。

 

 

 

 

 

「えええええええええ!?」

 

 

 

リサさんは驚愕に満ちた叫び声をあげる。

「ちょっと待って、アタシ!?友希那じゃなくて、アタシ!?」

「はい。正直に言うと、この曲は友希那さんの歌声には合わないと思ってます。勿論、私の歌声とも合わないと考えてます。でも、リサさんならしっくりくると思います。リサさんには、私のフィーチャリング・アーティストとして参加してもらえればと考えています」

「ねえ遥ちゃん。その曲、聴かせてくれないかな」

エルザさんがこう言う。予想通りだ。

エルザさんに聴いてもらった後、エルザさんはこう言った。

「確かに、この曲はリサが一番の適任かもしれないわね。リサ、やってみたらどう?」

と。どうやらエルザさんは賛成のようだ。

「私からも、お願いします。この曲は、リサさんが一番向いてます」

と、私からもそうお願いする。

「まじかー・・・どうしよ・・・」

リサさんはうーん、と考え始めた。その時、

 

「やってみたらどう?」

 

その声の方に顔を向けると、友希那さんがいた。

「こんな機会、めったに無いと思うわ。リサにとっても、良い経験になるんじゃないかしら」

「友希那・・・」

リサさんは再び考えはじめ、数秒してから

「・・・うん、やる。やってみるよ、アタシ」

リサさんはそう答えた。

「よろしくお願いします、リサさん」

「うん、よろしくね、遥ちゃん」

そうして私とリサさんは固い握手を交わした。




今回はここまでです。
ありがとうございました。

今回のパロ曲
Nectar(まふまふfeat.nqrse)

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