転生してアイドルになった件(徐行更新中) 作:amedama
大学生活が始まり、炊事洗濯掃除を自分の手でやることになると、どうも時間が足りないようにも思えてきます。これから、主人公のアイドルとしての活動も本格化させていくわけですが、主人公の今後の活動を考えていくうちに、主人公はアイドルであり、クリエイターであり、プロモーターでもある、というセルフプロデュースの要素も強めていこうかと思案中です。
前置きが長くなってしまいましたが、どうぞよろしくお願いします。
あの歌番組から1週間が経った。
歌番組では、ミスは1つもなく、落ち着いた状態でパフォーマンスを行うことが出来た。
え?ラジオは?
・・・一応うまくいったけど、途中からバスケ談義になって、ものすごく脱線した。DJさんもバスケの中継の実況とかしてるから、知識が多くて結構話が弾んで・・・本来のトーク内容忘れてディレクターさんに注意されたなぁ・・・まあ、後でバスケ系の番組みたいなののオファーするかもしれないとか言われたから、結果オーライなのかな?
その後、SNSでエゴサを少ししてみたが、特にこれといった批判は無いようだった。どちらかというと、次のシングルや、次のテレビ出演などへの期待の声があった。
こうして期待されているのだとわかると、なんだか照れくさくなってくる。
そんなことを考えながら、私はカフェで紅茶を飲んでいる。私の目の前には、レモンの入った紅茶と、パソコンがある。ちなみにパソコンに入れた曲をヘッドホンで聴いている。まだ出してない、インボーカルのテスト音源だ。
この曲について、こんな事を考えていた。
これ、私の声に合わないような感じしかしないよ?
「これを歌える声の持ち主、捜すべきかな・・・」
『Nectar』を歌える声の持ち主・・・
色っぽく、大人のような声を出せる人・・・
それは私の近くに居るのだろうか・・・
あ、リサさんいるじゃん。
彼女だったら、この曲に合うよ。『Nectar』のアダルティな世界観に合う声をだせるはず。
試す価値は十分にある。
私は早速346プロに向かうことにした。346から承諾を得ないことにはコラボは難しい筈だ。
事務所に着いて、早速上郷さんの部屋に向かう。
ノックをして、
「どうぞ」
と返ってきたので、入る。
「失礼します」
「遥か。今日はオフだったような気がするけど、どうしたんだ?」
・・・よし、ここまで来たら言ってしまおう。
「上郷さん。単刀直入に言います。Roseliaの今井リサさんとコラボしたいと考えています。346の承諾を得てから、向こうに打診をする予定です。内容としては、リサさんに曲を歌ってもらおうと考えています」
「つまり、楽曲提供をしたいと言うことかい?」
「いいえ、フィーチャリング・アーティストとしてやってもらおうと思ってます。今私が事務所に出してない音源の中に、私の歌声に合わなさそうな曲があって、リサさんなら曲と声がフィットするのではないかと考えました」
「なるほど。ちょっと待っててくれ、今西部長にかけ合ってくる」
「ありがとうございます」
上郷さんは部屋を出て、今西部長の部屋に行った。
10分後、今西部長と上郷さんが部屋に戻って来た。
「お待たせしてすまない。では、会議室に行こうか。そこで詳しい話を聞きたい」
同じフロアの小会議室に移る。
部屋に入るとすぐに今西部長が話を始める。
「まず、その曲を聴かせてくれないかな?」
と言ってくる。まあ、予想通りだ。
そこで、パソコンをスピーカーにつないで、音源を流す。
流し終わった後、今西部長はこう言った。
「とても良い曲だ。コラボについては、我々もバックアップすることにしよう。常務もそれを認めてくれたから、安心して次のステップに入ってくれ」
「ありがとうございます!では、これからK's tuneの方に行って来ます」
会議室を出た私は、早速ある人に電話をかける。
「もしもしエルザさん?遥です」
「遥ちゃん、急にどうしたの?」
電話の相手はエルザさんだ。この前の放送後、後々の交流も視野に入れて連絡先を交換していたのだ。
「リサさんは今事務所に居ますか?」
「いるよー。何か用事でもあるの?」
「はい、仕事についてです」
「私もそれに同席して良いかな?」
「ええ、もちろんです」
「じゃあ、気をつけて来てねー!」
「ありがとうございます、では、また後で」
急いで事務所に行こう。待たせてしまっては良くない。
K's tuneの事務所は赤坂にある。
赤坂セントラルビルという、東都放送系の不動産会社のビルだ。そこの10階に、事務所は置かれている。
因みにここには346のスタジオもあり、私はパスを持っているため、すぐにビルの中に入れた。
事務所のドアを開けると、すぐにエルザさんが出てくる。
「いらっしゃい!待ってたよ~」
「突然すみません、お邪魔します」
「いいのいいの。ほら、リサちゃん待ってるよ」
私とエルザさんは応接室に向かった。
K's tuneの応接室はかなりシンプルで、豪華さは無く、どちらかというと機能性重視だ。
・・・ただ、なぜか窓側にはファミレスでよく見るドリンクバーが置かれている。
まあ、私としてはこういうのがあると嬉しいんだけどね。
部屋に入ると、リサさんがアイスコーヒーを飲んでいた。一つ一つの動きもまた、大人っぽくて、つい見惚れてしまう。
「あ、遥ちゃん。待ってたよ」
「突然の訪問ですみません、リサさん」
「いいのいいの、気にしないで。それで、仕事の話つて聞いてるけど、どうしたの?」
「・・・単刀直入に申し上げます。私が作った曲をリサさんに歌ってほしいんです」
「・・・・・・ふぇ?」
数秒の沈黙。しかしそれもすぐに崩れる。
「えええええええええ!?」
リサさんは驚愕に満ちた叫び声をあげる。
「ちょっと待って、アタシ!?友希那じゃなくて、アタシ!?」
「はい。正直に言うと、この曲は友希那さんの歌声には合わないと思ってます。勿論、私の歌声とも合わないと考えてます。でも、リサさんならしっくりくると思います。リサさんには、私のフィーチャリング・アーティストとして参加してもらえればと考えています」
「ねえ遥ちゃん。その曲、聴かせてくれないかな」
エルザさんがこう言う。予想通りだ。
エルザさんに聴いてもらった後、エルザさんはこう言った。
「確かに、この曲はリサが一番の適任かもしれないわね。リサ、やってみたらどう?」
と。どうやらエルザさんは賛成のようだ。
「私からも、お願いします。この曲は、リサさんが一番向いてます」
と、私からもそうお願いする。
「まじかー・・・どうしよ・・・」
リサさんはうーん、と考え始めた。その時、
「やってみたらどう?」
その声の方に顔を向けると、友希那さんがいた。
「こんな機会、めったに無いと思うわ。リサにとっても、良い経験になるんじゃないかしら」
「友希那・・・」
リサさんは再び考えはじめ、数秒してから
「・・・うん、やる。やってみるよ、アタシ」
リサさんはそう答えた。
「よろしくお願いします、リサさん」
「うん、よろしくね、遥ちゃん」
そうして私とリサさんは固い握手を交わした。
今回はここまでです。
ありがとうございました。
今回のパロ曲
Nectar(まふまふfeat.nqrse)