ゾイド二次創作小説~西方大陸の地にて~完結!   作:もにもに+マウンテンヘッド

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分割版 #1:冒頭――ウェルカムトゥ、エウロペ

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

・冒頭――ウェルカムトゥ、エウロペ

 

 

 

 

 

 

 砂の大地の上に彼らは居た。

 

 

 

 

 乾いた砂はここに立つ何者をも立ち枯らさせんと渇きを誘い、そこに立つ何人までもが、肉も血までもをその砂粒にへと変えられたであろうか――

 

 

 

 

 果たして、熱砂を太陽が焦がす昼ではなく、今は夜であった。

 

 されど、太陽の消え失せた夜空の下…灼けつくような熱が凍えるばかりの冷気にと暗転した青白い砂漠の只中にあって、一人の例外とていない異邦人たる彼らは、しかしその情景にわずかばかりの親しみを込めつつあった。

 

 その荒涼たる大地の彼方に果てしなく広がる夜空にである。そこに浮かぶ二つの月は、確かに、彼らたちの故郷である中央大陸――デルポイ――の夜空で見る物と、変わりがないものと取れたからだ。

 

  

 

 彼ら……ヘリック共和国軍、第三次混合作戦旅団群のひとつ。陸軍第171機械化騎兵連隊C中隊からの機獣化戦力の抽出と、陸軍砲兵機獣隊、車両機械化歩兵部隊の各応援提供からなる第六分遣隊の、その先鋒……は、この西方大陸・エウロペの大地にとっての“よそ者”――言葉をまどろこせば、客人である。

 

 

 彼ら第六分遣隊の兵員兵士たちが、最初にタートルシップ級輸送艦の船倉内からこの西方大陸の地へと降り立った時、温順な我が故郷・中央大陸の大地が、如何に肥沃であったのか…―― 日が高い、正午の食事時のことであった。そのため、既に先遣隊が拓いていた最大の橋頭堡・共和国軍ロブ基地の食堂で食したハンバーガー・セットの味も、多少感じ方が変わるくらいには辟易とした。

 

 

 

 辟易とするのは、この現時刻でもの事である。空調冷房の利いていて、“おろしたて”のその空間はどこまでも清潔な……砂の気配なんてどこにもない……、あの白潔としたロブ基地大食堂の光景が、今、彼らが一様に共有するビジョンの一つには違いがなかった。

 

 それくらい、ロブ基地を出立してから既に二日…北エウロペ大陸中部付近にての前線へ加わるべく、今も続くこの行軍の最中に於いては、ジャリジャリとまとわりつく(いつの間にか、しっかりと装着をしているはずのブーツや手袋の内へと、果てには口の中にさえ侵入している!)砂粒の感触と食感の記憶が、ただでさえ余分には美味しく無いユニット型レーションの集団摂食の機会の度に、つど思うことでもあった。

 

 

 

 なによりも、最大の辟易事が彼らにはある。

 

 それは――彼らが、あの時の咽越し良い清涼なコーラの冷えた味の記憶と同程度には第一のビジョンとしているであろう、“今回の”戦争を仕掛けてきた、その相手、こちらに対する当事国……悪名と災い高き先帝の崩御が引き金で皮肉にも間違いないだろう、邪悪な野望によって無辜の西方大陸民民草を苦しませる、自由と博愛と民主政治を主義とする我が共和国の宿敵、ガイロス帝国。

 

 

 

 

 

 

 

 そのガイロス帝国のイの字とさえ、彼ら第六分遣隊の面々は、出立準備まで含めると今日までに四日も経っているのに…今の今まで、牙と銃火を交えることなく、今日のこの夜まで来てしまった。――こと。

 

 

 

 

 

 

 

 いや、ガの字であれば見覚えはある、それは確か、ここまでのハイウェイ上から度々、その姿は目にした。

 

 こちらの先遣隊は既に最前線を形成している。その進行を阻止しようとして、哀れに返り討ちになった、ヤッコサンの遊撃ゾイド部隊の、その残骸だ。

 

 

 

(注記すると、かねてより次回の大陸間戦争の戦場となる事が懸念されていたエウロペには、ガイロス帝国も共和国も、そのリスクを避ける為――あるいは同時に、そう遠くはないホット・ウォーの時に、よりこちらへと有利にするため――度重なる開発援助で支援してきた経緯がある。橋頭堡たるロブ基地も、元々は共和国向け大規模貨物ターミナルの予定地として、その壮大な立地を事前整備して確保していたものである)

 

 

 

 

 

 モルガ…ゲーター…イグアン…、少しばかり珍しいのになると、ヘルディガンナー。

 

 兵士の一人は思い出す。中にはこちらの敵予測戦術データのアーカイブに含まれていないような旧い機種もあったりして(マーダだとかザットンとかゲルダーだとか! 彼ら第六分遣隊の先鋒は途中までは分遣隊の全隊と同行動であったのだが、その時の司令部部隊の要員の“年季を重ねた”偉大なる先任兵士や将校らの面々は、むしろ懐かしむようなフシさえもあった。もっとも若い兵士達の多くは、この捨て駒にされたであろうゾイドの死骸に憐れみを感じるより先に、訓練兵だったころに散々煮え湯を飲まされた模擬敵の相手たちとあって、少々スッキリした具合だった)、とにかくもまあ、観光としては悪くはない。ステキなロケーションに素敵な眺めだ。これだけのゾイドを保有するガイロス帝国とあっては、早々にその本土を観光地にしたらいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、肝心なことがあった。それは、彼ら共和国軍兵士は観光のためにこのエウロペに来たのではない、という実際である。

 

 

 

 しかし今日までの間、見てきたのはそんな光景しかなかった。自分たちよりも先に戦って、そしてヤツラに勝利した、味方部隊の戦果だった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして今日この現時刻をもっても、未だ目的地への途上に彼らはあった。こちらの第一波によって安定したグリーンゾーンが形成された、其の安全圏の中の行軍である。

 

 大統領による訓示の演説が、自分たちの祖国からの出立時になされていた。“共和国の正義を以て、西方大陸を守護せよ”と。その使命を持ってふるさとから遠路遠くこの西方大陸まで来たのに、その目的は果たせていなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 張り合いがないことこの上なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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