ゾイド二次創作小説~西方大陸の地にて~完結! 作:もにもに+マウンテンヘッド
・ポイント・ホテル・カリフォルニア
共和国軍第一波がこの西方大陸の地へと足を踏み入れたのは、累計して第三波に類当する第六分遣隊の面々がこの地へ至る、その僅か一週間前の事である。
事態は緊急を要していた。既に敵・ガイロス帝国軍は西方大陸陸地群・北エウロペ――北部大地中央部までもを影響域とし、その勢力拡大の勢いの旺盛さと規模体制の圧倒は政府首脳部の誰の目からも明らかであった。
されど、共和国はここで引き下がったり、もしくは見過ごす、ということは……絶対に出来ない、困難な状況でもあった。
なぜならば、相手側・帝国の目標と見られるのは、かつての大陸間戦争……中央大陸内戦から連続的に勃発した、他の何物でもない、惑星北限の暗黒大陸に本拠を構えるガイロス帝国との戦争……、“大異変”と現在では称されている、そのウォーゲームのチェス盤・返しによって決着の付かなかったあの悪夢的な戦争を、此の度は両大陸間の迂回中間地点に位置するこの西方大陸を経由して、他ならぬヘリック共和国の本土・中央大陸へと攻め込み、そして終わりとする――最悪の有事危機事態の想定として常に最上位にあり続けたその状況が、半ばまで現実のものとなりかけているからである。
そして今日までの激戦により、戦闘の最前線は北部大地中央部付近へと絞り込まれつつあった。そこより東半分は、おおまかに仮の安全域…勢力圏下…とされる現在であった。されど、その局面というのは、入念な準備の結果であろう…戦力の規模で極めて大きく優勢する帝国軍が、前線正面にて、こちら共和国軍を過大に押し込みつつある、という状況であった。
共和国派遣軍第三波の前線現地への急行は、軍司令部にとって急務であった。
第六分遣隊もその大戦力のわずか一つの端くれであり、そして彼ら先鋒部隊の他隊よりもの先行進出というのは、グリーンゾーンは比較的安定しているとはいえ、その主・通行経路の定期陸上啓開というのが、第一の任務とされたからであった。
故に、この作戦が割り当てられたのも、彼ら先鋒部隊が現地へもっとも近い地点にいるという以上に、その使命によって必然たらされるものだったに違いない。
――北部大地ハイウェイ12号線付近での敵・陣地構築の発見
それも、本日のつい夕方、専門の偵察飛行隊の所属ではなく、中継補給陣地から前線へと応援に向かうプテラス型航空ゾイド・戦闘爆撃機隊の一部隊が、偶然に捕捉した物である。
その時の航空写真の解析の結果、設営物のおおよそは、もともとは旧内戦の時点にて実用のされている、高速構築展開型・ユニット式拠点ベースシステムに類するもの、もしくはそれそのものであった。つまりはグスタフなどの補給機ゾイド(あるいはサイカーチスによるヘリ作戦)を用いる工兵支援によって作られた、あくまでも仮設的な構築物と考えられた。
しかし、その規模と内容が懸念とされた。
航空写真には、その仮設陣地が多少大型であること、そして…多数のコマンド・ゾイド、それも、“24級”と思われしき機影が、彼ら自身のカモフラージュから偶然に暴露したのであろうが、その数だけでも複数小隊規模で確認できたからだ。
コマンド・ゾイドとは歩兵支援単位にて用いられることの多い、多くは四メートル以下程の全高の、超小型ゾイドと分類されるものである。
そしてその“24級”とは、旧内戦時にて加速度的にゾイド戦闘機獣が強力化・高性能化していく過程にて生まれた、
コマンドゾイド級としては最強に近い絶大な高性能を持つ機種群の事である。
機動歩兵の延長としても容易にあなどれない能力を持ち、高性能ゆえの高コスト化によって絶対的な生産保有数は少ないとはいえ、かつての内戦時には、かの有名な“白骨部隊(スケルトン・バタリオン)”の蛮名でも知られる通り、最も効果を発揮するゲリラ戦法での運用に、共和国軍はさんざんに苦しめられてきた。
その強力ゾイドの部隊が、複数小隊存在しているのである
さらになによりも、この仮設陣地が、従来安全圏と考えられていた範囲内の地点に、突如出現した…――というのも軍首脳を慄かせた原因でもあった。
安全圏内の、重要交通路の、その直近に、強力なゲリラ部隊が、――目的は明白である。同経路の利用の必要性は今に切迫している以上、その対策は急務であった。
しかし、仮に敵該当部隊が本格的に活動を開始したとしても、それに伍することのできる、共和国側の24級ゾイドによる特殊コマンドの派遣は、前線方面にてその活躍が最大となっている以上、なかなか難しいという状況でもあった。
されど、分析の結果、陣地はまだ本格活性化の“直前”であろうと推測できた。
すなわち、出来た巣は、大きくなる前に早く摘み取れ、――ということであった。