・指揮官ってどんな立場の人なんだ
・軍事組織はどうなってるんだ 艦が独自判断してるような場面もあるよな
・人がそもそもいるのか?
・艦娘が「実家が」とか言い始めるけど元人間なのこのひとたち
・艦これみたいなスケート方式で滑って撃ち合ってるの?
・大破しても沈まず帰ってくるけどどうなってるの?
とかいろいろ考え始めてきりがないので筆が進まぬ
もうさ、適当にいちゃつかせてさ終わりでいいんじゃない
「スキズブラズニル……北欧神話における小人たちが神々のために建造したという船。折りたたむことができるだけではなく、風がなくとも航行できる船であるとされている」
Z46――フィーゼが淡々とその名前について解説した。フィーゼはついにドックから出ることなく生涯を終えた箱入り娘だった。本だけが友達だったこともあってか、艦隊メンバーの中では指折りの博識だった。
しかしそれを聞いても一向は首をかしげるばかりだった。誰一人、そんな船について知らなかったからだ。セイレーンでないということはレッドアクシズ側となるはずだが、レッドアクシズではないようだし、民間人にも見えない。キャリーのついた旅行かばん型に縮んでいる艤装を持つ民間人などいるはずがない。しかし、歴史上スキズブラズニルなる船が建造されたことはないのだ。
明石は相変わらずスキズブラズニルの横に並んでいた。明石は計画では妹となる船がいたが結局生まれることなく終戦を迎えてしまった船である。妹につよいこだわりがあるのだろうか。
「うーんたしかに先の大戦では私最前線にはいたけど対空砲くらいしか撃たなかったしなあ。武勲を立てるようなポジションでもないし……無名なせいでみんな知らないのかも」
「待つにゃ。ドック……だったにゃ? 工作艦にゃ?」
「ドックで間違いないよ。急造でこしらえた……んだっけ。ウィルキア国で帝国主義連中が引き起こした……?? うーん………記憶が……? 明石?」
スキズブラズニルは首を傾げつつ、時折口ごもりつつだった。
「とりあえず検査をしてもらうべきだと思う。艦船少女とはいっても身分としては民間人なのだから。私が工房まで送ろう」
なぜか鼻を押さえながらアークロイヤルがいうと、夕方に差し掛かっているせいかお眠なエルドリッジを膝に抱えたクリーブランドが半目になりながら口を挟んだ。
「アークロイヤル。まーた夕立に頭から齧られても私は助けないぞ」
「私は駆逐の子たちをいとしいと思っているだけでおかしなことはしないぞ!」
「アークロイヤル………お菓子またくれる?」
「もちろんだとも駆逐の子たち用にお菓子を作っておいたからな! いつでも大歓迎。部屋は空けてあるから好きなときに出入りしていいぞ」
眠そうなエルドリッジがアークロイヤルの大声に反応して声を返す。アークロイヤルがばっと身を乗り出すも、次の瞬間にはエルドリッジは目を閉じてクリーブランドの胸に顔をうずめてすやすやと寝てしまった。
「~~~~~かわいぃぃぃ!」
「はぁーまた始まった。アークロイヤルもコレがなきゃあかっこいい姉御って感じなんだけどなあ」
くねくねして身悶えるアークロイヤルに対し、ぶつぶつとクリーブランドが呟きつつ、エルドリッジを抱えなおす。
「それなら問題ないにゃ。さっき、明石が調べたにゃ! どこも故障してないから修理しなくてもいいにゃ!」
「皆、遅くなってすまない」
講堂に若干顔に疲れを宿した銀髪ロングヘアのうら若き乙女が入ってきた。エンタープライス。第一艦隊旗艦にして、アズールレーンのエース。
初顔合わせになるスキズブラズニルとエンタープライスだったが、エンタープライスはスキズブラズニルを数秒見つめてすぐに目線を講堂に集まった一同に戻した。
「緊急事態が発生した。所属不明の巨大戦艦が本国領海線を突破して侵攻中。こちらの通信には一切応じない。哨戒機が上がって状況を確認中だが、このままいくと基地を射程内に収める計算になる」
場に緊張が走った。巨大戦艦――レッドアクシズ側重桜とすると、いくつか該当がある。超弩級の称号を持つ『モンスター』である『大和』か。あるいは、同盟側の鉄血か。あるいは新型か。
「メンバーは選定してある。すぐ出撃準備にかかってほしい。それからスキズブラズニルと言ったな、君は」
「は、ひゃい!」
エンタープライスの涼しげな眼がスキズブラズニルを捉えた。
スキズブラズニルが素っ頓狂な声を上げると、エンタープライスは手招きをした。
「指揮官がお呼びだ。君自身の素性はもちろん、現在侵攻中の巨大戦艦について話があるそうだ」
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偵察任務を帯びたドロップタンク付きのレシプロ機が上がっていく最中、夕暮れ時の海にユニコーンを中核とする艦隊が派遣されていた。元々基地近海の
「きょだいせんかんって、どんな人……かなぁ」
ユニコーンは巨大戦艦襲来の知らせを受けて対潜水艦任務を切り上げて、駆逐艦を引き連れて海を行っていた。交戦する必要はなく、あくまで時間稼ぎでよいとのことだった。いくら戦艦とて単独では航空戦力に巻かれてあっという間に海の藻屑であるから、当然のことだっただろう。というのに後詰めとして第一艦隊の出動があるというのだから、ユニコーンも不安で仕方がなかった。
「偵察だなんてつまんないぜ~魚雷かましたいんだけどダメ? ダメ?」
対潜装備を引っ込めて魚雷と砲の準備をしながら巡航していた夕立が言うと、そのすぐ傍を艤装に腰掛けてふわふわ航行(?)していた不知火がふんと鼻を鳴らす。
「あの大うつけ殿は飼い犬に首輪をつけていないと……本部からの命令では交戦は控え時間稼ぎに徹しろとのことでございます。でしゃばった真似は控えていただき……」
「アァ? しょうが焼き?」
「はぁ~………これだからうつけものは嫌いでございます」
夕立は血気盛んな若者だった。血気高まりすぎて後ろで囁くように話す不知火の言葉が聞こえていないようだった。
「みんな、あ、あの、あ、あんまり前に出ないで……」
ユニコーンは海上を優雅に滑るように航行しながら、偵察に飛ばした航空機からの報告を待った。部隊の旗艦を任せられているとはいえ、臆病でやさしい性格のためか前に出たがる夕立に強い言葉をかけられずにオロオロしていた。
『敵艦ミユ』
敵艦が見えてきた。その異様な姿に対潜水艦戦部隊は息を呑む。
おそらくは50cm砲であろう異常な砲を両腕両肩両腰に抱え込んだ長身の女性が、全身から煙を上げながら進んできた。しかし速すぎる。速力は優に30ノットを超えており、駆逐艦にも迫ろうかというほどだった。
女性は白い男物の着物を着こなした長身で、漆黒の髪の毛を後頭部で結わいていた。両腕には手から伝ってきたであろう血を吸い鈍く輝く日本刀が握られており、甲板には無数の被弾が、額の上はざっくりと切れ流血していて、息も絶え絶えまさに満身創痍だった。
「なんだ次は駆逐艦と空母が相手か………」
不気味な音声が無線に伝わってきた。
ユニコーンは意を決して口を開く。
「ロイヤルネイビー、ユニコーン………先に進む前に、お話をしたい……です」
反応はあった。敵意むき出しの声が無線越しに大気を揺らす。
「いいだろう相手になってやる。
話す口など持たぬと言わんばかりに主砲を一斉射。砲弾は夕立をかすめ、背後の海面に巨大なクレーターを咲かせた。
「く、この! やりやがったな! ぶっとばしてやるぜ!」
着弾衝撃で体勢を崩した夕立が、顔にかかった海水を手でぬぐうと、全速力で肉薄を開始した。後から不知火が続く。
「時間稼ぎが任務と釘を刺されているはずでは?」
「相手のほうが足が速いんだぜ!? 逃げられねぇし! 所詮単独しかも手負いなら魚雷でボコボコにして海の藻屑だ!」
相手が攻撃してきた以上、反撃に出ても問題はない。まして今は戦時中。領海を侵して来る相手に容赦など不要である。とはいえ任務はあくまでも時間稼ぎ。接近戦を挑んだために大破轟沈など許されない。
「だめ! 任務は攻撃じゃなくて……!」
ユニコーンが部隊をとめようと、しかし同時に航空機による攻撃をさせようと頭をフル回転させたところで無線が入った。一般的な周波数。すなわち誰にでも受信できるチャンネルによるものだった。
『こちらはスキズブラズニル。聞こえる? 播磨さんへ。状況がまったく飲み込めてないと思うから投降してください。我々には主力艦隊を差し向ける準備があります。見たところそう遠くは航行できないと思います。曳航してほしいならそうしますけど』
スキズブラズニルを名乗る声に続き、エンタープライスの声が入った。
『こちらユニオン所属エンタープライス。当方に迎撃の準備あり。我々は確かに戦争をしているが、帝国なる国からの宣戦布告は受けていない。一時休戦し、話し合いを望む』