異世界隠居 身勝手に呼ばれて身勝手に捨てられたので隠居したい   作:ジト民逆脚屋

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シーナ
スカートは学生時代の制服以外に履いた事は無い。
今回は悩ましい寝姿からスタート

リラ
メイド服をイメージされているが、旅をしているのにスカートとか、ちょっと意味が解りませんね……
普通にシャツにベスト、スボンにブーツです。

サヤマ
初陣失敗! 戦場に立つ事すら出来なかった。

フェリド
目論見失敗、普通に呑んで喋って帰ってきた。

ハルファ
寝れば育つ。これを信じて早寝早起き。結果は?


醜亜巨人戦線

 閉めきった窓、鎧戸で塞いだ部屋には、はっきりと光が差し込む事は無く、サイドテーブルに置かれた蝋燭の灯りが、弱々しく薄闇を照らしていた。

 

「おはようございます。ご主人様」

「……あ」

 

 寝惚け眼を擦り、シーナが簡素なベッドで身を起こす。

 薄い下着姿で薄いシーツにくるまり、冴え始めた視界で周囲を確認していく。

 光を写さない虚ろな瞳、なにもかもに疲れきった人間の目だ。獣人の少女リラは、灰色の美しい毛並みの尾を僅かに揺らし、主の様子を伺う。

 

「ん……」

 

 シーナの虚ろな瞳が、僅かに蝋燭の灯りを写し、揺れるリラの尾を視線で追う。

 シーナは朝に弱い。野宿では気を張っているからか、そうでもないが、宿等では寝起きの動きは非常に緩慢だ。

 

「う、あ……」

 

 そして、極希にシーナは目覚めを拒絶する。目覚めた瞼を力尽くで閉じようとし、両手の顔を覆い隠す。

 夢だ。この時のシーナは、夢を見ていた。

 優しい、嘗てあったであろう温かな日々。その夢を見ていた彼女は、決まって目覚めを拒絶する。

 あの温かな日々を嘘にしたくない。

 嘗てあった日々が幻だと信じたくない。

 この今が現実だと信じたくない。

 シーナは壊れる寸前の所で、なんとか踏み留まっている。

 その彼女に、リラが出来る事は少ない。

 

「いや…… いやぁ……!」

「ご主人様、朝はまだ早いです。なので、もう暫く」

 

 悶え、手を伸ばすシーナをベッドに寝かし、ゆっくりと落ち着かせていく。

 

「大丈夫、大丈夫、大丈夫、……私はここにおります」

 

 幼子に言い聞かせる様に、リラは穏やかな言葉を紡いでいく。

 シーナの過去を、リラはよく知らない。知っている事は、己に技を仕込んだ宿屋の店主が語った話と、シーナが呟いた断片的な情報のみ。

 だがそれでも、想像するに難しくない情報量があった。

 

 シーナが極力他人と関わりたがらないのは、誰かを喪う事を恐れているから。

 シーナは過去に、誰かとても大切な人を喪っている。それも、考えうる限りで最悪な形で。

 

「……して、返して……!」

 

 足掻きもがくシーナをリラは確りと抱き寄せ、今にも壊れそうな声を聴く。

 

「返して、グレイを返して……!」

 

 二度と還らぬ名前を呼び、悲嘆を叫ぶシーナ。

 彼女を寝かし付けるリラの両の瞳には、シーナを慈しむ慈愛と、彼女から全てを奪った者達に対する憎悪があった。

 

 

 

 

 

 〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

 

「よう、嬢ちゃん」

「……これは、フェリド様。朝早くにどうかされましたか?」

「いや、早くに目が覚めてな。どうしたもんかとな」

「左様で御座いますか」

 

 気軽な部屋着姿のフェリドが、宿の廊下で片手を上げ挨拶をしてきた。

 

「そういえば、昨夜はどちらへ? 随分と帰りが遅かった様ですが」

「あ~、そうだな……」

 

 リラの問いに、実に気まずそうに頭を掻く。リラの嗅覚には、酒と化粧と香水が混じった臭いが僅かに届いている。答えは出ていると同じだが、一応は確認をしておく。

 

「サヤマがな、まあ、その、なんだ? こう、広義の初陣がまだだった訳でな?」

「……成る程、フェリド様はサヤマ様の広義の初陣に付き添ったという訳ですね」

「まあ、結局は出陣する前に、サヤマが潰れて無しになったがな」

 

 乾いた笑いを溢す。まさか、サヤマがあそこまで酒に弱かったとは、予想しなかった。

 笑いながら、フェリドはそう言った。

 

「しかし、あまり派手に遊び歩かれるのは、少々自重願いたいものです」

「まあ、確かに召喚勇者連れて派手に遊び歩くのは、外面が良くねえわな」

「ええ、ですので自重ください」

 

 リラが言うと、フェリドは顎に手を当て頷いた。

 

「そうだな。嬢ちゃん、お姉さんの具合はどうだ?」

「……なんの話でしょう?」

 

 一気に警戒を強めるリラ。フェリドは軽くその警戒を受け流し、話を続ける。

 

「俺も長く傭兵やってるし、お姉さんみたいな連中は嫌になる程見てきた。逃避にしろ復讐にしろ、どちらかにしないと、下手をすればお姉さん壊れるぜ?」

「……御忠告感謝致します」

「気にするな。これでも、旅の仲間なんだ。放ってはおけんさ」

 

 言っていると、なにやら宿の外が騒がしくなり始めていた。朝市でも始まったかと、二人は思ったが、騒ぎ方からどうやら違うようだ。

 

「なにかあった?」

「ハルファ、起きたか」

「サヤマが魘されてるけど」

「飲み過ぎだ」

「フェリド、なにした?」

「酒を呑んだ事の無いサヤマに、上等の店を奢っただけだ」

「お二人共、要らぬ話は後に。今は騒ぎを」

「そうだな。先ずは着替えてくるか」

 

 部屋着のままのフェリドとハルファが、着替えに部屋に戻るのを見届け、リラはその獣瞳を宿の一階へと向ける。

 一階ロビーには、多数の冒険者が集まっており、その中には行商人と思わしき姿も混じっている。

 一体何事なのか。リラは喧騒に耳を澄ませる。

 

「だから、醜亜巨人(トロール)が出たんだって。村が一つ潰されたらしいぞ」

「いや、だけどよ。ここら辺は魔属領からは離れてる。あの食欲と性欲の権化が、ここまで来れるか?」

「……繁殖した個体が、生き延びたのかも」

 

 リラはその内容に舌打ちをする。醜亜巨人(トロール)、醜い人型の魔物であり、他の生物を餌としか認識せず、女を見付ければ孕むまで犯す。食欲と性欲しか持たない最も忌み嫌われる魔物だ。

 

「リラ、どうした?」

「ご主人様」

 

 旅支度を終えたシーナが、部屋から出てきて階下を窺うリラの背後に立っていた。

 

「醜亜巨人か」

「……そのようです」

 

 醜亜巨人の被害はレミエーレだけでなく、ファーゼルにも及び、この大陸で醜亜巨人の名を知らない者は居ない。

 奴等はその巨体と怪力、それを支える食欲、そして、瞬く間に数を増やす異様なまでの速度の繁殖力。

 醜亜巨人は、妊娠から出産まで一週間かからず、母体の栄養状態にもよるが、大体一ヶ月以内に成体へと成長する。

 そうして数を増やし縄張りを広げ、餌と更なる母体を得て、また数を増やす。

 それを繰り返し、醜亜巨人は獲物が無くなるまで、その付近を縄張りに増え続ける。

 

 それがこの付近に現れたという話なら、今すぐにでもこの町を離れるべきだろう。

 醜亜巨人一体なら、平均的な冒険者二チームで討伐可能だ。

 だがそれは、醜亜巨人が群を形成していない場合に限る。

 仮に群を形成していた場合、それは冒険者の手には余る。国軍が出る事態となる。

 そして、先程の話では、村が一つ潰されたと言っていた。

 通常、母体となった女は、一回から二回の出産で母体としての能力を失い、幼体の餌か、幼体に女を教える為の慰みものとなる。

 

「……面倒だ」

「ええ、まったく」

 

 シーナはそれだけを呟くと、踵を返し部屋へと戻り、リラもそれに続く。醜亜巨人は厄介だが、その動きは鈍重で、平地や開けた街道なら容易に逃げ切れる。

 

「私は他の皆様に、今の事を伝えて参ります」

「分かった」

 

 リラはシーナにそう伝え、もしもの時は、あの三人を醜亜巨人の餌とする算段を、笑顔に覆い隠して、サヤマ達三人の元へ向かった。




リラの憎悪
まだ見ぬ麻野と浜名の危険が危ない。

醜亜巨人
何処かの世界の、国営ピッチリタイツデリヘル派遣組織の相手みたいな連中。


なんか、竜胆さんの華麗なる一日書かない? みたいな話が友人から来る。
さて、君は私のユーザーページの作品数を見てもいいし、見なくてもいい。
そして、判断し給えよ。
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