とあるビルの地下駐車場にて、白い仮面の戦士と金色の仮面の戦士が戦っていた。
戦いが激しくなるに連れ、白い仮面の戦士──仮面ライダーマッハこと
「技もまともに撃てない体で、私に挑むとは、まさに愚か者だ」
「なんだと……‼グワッ‼」
掴みかかろうとした剛であったが、敵であり父親である蛮野に蹴り飛ばされる。
「お前は私の恥だ‼醜く死ぬがいい‼」
「がはっ……(ごめん……姉ちゃん)」
「剛⁉」
蛮野が剛を攻撃する瞬間、剛の変身が解ける前に戦っていた機械生命体ロイミュードの一体で、仮面ライダーチェイサーとして戦っていたチェイスが、魔進チェイサーへ変身し、剛の盾になるように剛と蛮野の間に入る。
「グッ⁉ガァっ⁉」
「チェイス⁉」
「砕けろ‼」
「ぐぁあああ⁉」
「死ね‼」
「グッ‼」
蛮野の攻撃を受けすぎたせいで限界を超えたチェイスは、変身が解けてしまい、仰向けに倒れこむ。
剛は体をお越し、倒れてくるチェイスを受けとめた。
「おい‼……嘘だろ……なにやってんだよ⁉」
「……これでいいんだ……剛。霧子が愛する者たちを守れるなら……本望だ」
「……人間が俺にくれた……宝物だ。……俺とお前はダチではないが…………持っていてくれ……燃えてしまうと…………勿体ない」
「……………………」
「…………ふん‼」
「うわっ‼」
自分の宝物だと言って、変身に使う【シグナルチェイサー】と免許証を剛に預けたチェイスは、剛を押し退け、蛮野に向かって駆け出し、蛮野の腰に抱きついた。
「くっ!?このっ!!離せ‼」
「うぉおおおお‼」
─ドガァアアアアアアン─
「チェイスゥウウウ‼」
チェイスは最後の力で、蛮野を巻き込んで自爆し、ロイミュードの心臓となる【コア】が煙の中から出てきて、砕け散った。
それを見た剛は瞳から涙を流し、シグナルチェイサーと免許証を握りしめる。
「ふざけんな…………こんな死に方迷惑だろ…………バカヤロウ……誰もこんなこと望んじゃいねぇよ‼」
「フハハハッ‼」
「お前‼」
死んだと思った蛮野が、煙の中から出てきて凝視する剛。
そんな剛を嘲笑いながら、蛮野が話しかけた。
「理解したろ、剛?プロトゼロは無駄死にした。愚か者がすることは全て、無意味なのだ」
「……だったら、テメェの存在も無意味だな。」
「ああん?」
「人間じゃねぇ奴が……こんなに優しいのによ‼」
〈〉シグナルバイク‼〉
「Let's変身‼」
〈ライダー‼マッハ‼〉
剛はそう言いながら立ちあがり、自分の変身アイテムである【シグナルマッハ】を取り出し、腰に装着した【マッハドライバー炎】に挿入し、再び仮面ライダーマッハへと変身した剛。
剛は武器である【ゼンリンシューター】を取り出し、エネルギー弾を放ちながら蛮野へと近づいていき、蛮野へと掴みかかる。
「腐りきったお前の心こそ、一番愚かだ‼」
「記憶力のない奴だ。そもそもお前の体の不調が、プロトゼロを殺したのだと、もう忘れたのか‼」
「黙れぇえええ‼あああ‼」
「最後だ…………剛‼」
「うわぁああ」
蛮野の攻撃で、仰向けに倒れてしまう剛。
倒れた剛は瞳を閉じ、今までのチェイスに対する態度に、深い後悔をしていた。
「(バカヤロウは俺だ…………意地ばっかはって、失うまで気づかねぇで)」
目を開き、立ち上がる剛。
「待てよ……」
「剛⁉バカな‼もはや力のかけらすら残ってないはず⁉」
「寝ぼけたこと言うな……俺の全身から溢れ出す、
怒りの炎が見えねぇのか⁉」
剛はそう言いながら、チェイスから受け取ったシグナルチェイサーを取り出す。
「テメェは、いくつも許せねぇ事をした。俺の心を利用し、姉ちゃんを侮辱し、クリムの発明を悪用し続けた。だがな、今一番許せねぇのは…………俺の……俺のダチの命を奪ったことだぁ‼」
「行くぜチェイス‼一緒に戦ってくれ‼」
〈シグナルバイク‼ライダー‼チェイサー‼〉
「はぁああああ‼」
剛がドライバーにシグナルチェイサーを装填すると、マッハの下半身のアーマーに、チェイサーのアーマーが装着され、剛は【仮面ライダーチェイサーマッハ】へと変身した。
それを見たゴルドドライブは、驚きを隠せなかった。
「なんだこのマッハは⁉こんな形状…………ありえない‼」
《ズーット、チェイサー‼》
「はぁああああ‼」
「グアッ‼」
高速移動での攻撃で、蛮野にダメージを与えて追い込んでいく剛。
「こいつで……終いだ!!」
〈ヒッサツ!!フルスロットル!!チェイサー!!〉
「はぁぁぁ………デヤァアアアア!!」
「がぁああああああ!?」
剛の必殺技のキックで蛮野は蹴り飛ばされ、耐えきれないダメージにより爆発した。
対して剛は限界を超えてしまい、変身が解けてしまう。
今にでも倒れそうな剛だが、踏みとどまり、チェイスが使っていた【シンゴウアックス】を拾い上げ、ゴルドドライブが爆発した時に離れた、ベルト――蛮野の本体へと歩いて行く。
「くっ‼まさか剛がここまでやるとは⁉仕方がない……今のうちにシグマに私の意識を」
「させるかよ」
「ッ⁉剛⁉」
「…………」
〈ヒッサツ‼マッテローヨ‼〉
剛は無言のままシンゴウアックスに、シグナルチェイサーを装填する。
その行動に、蛮野は命の危険を感じる。
「ま、待て剛⁉私のような頭脳を失えば、世界は――⁉」
〈イッテイーヨ‼〉
「いって……いいってさ」
「や、やめろ‼剛‼」
蛮野の言葉を無視して、剛はシンゴウアックスを振り下ろして蛮野を破壊した。
蛮野を破壊した剛は、その場へ倒れこむ。
「はぁ……はぁ……終わったぜ…………チェイス」
「剛‼」
仰向けに倒れた剛の元に、剛の姉である
「剛‼」
「…………姉ちゃん」
「倒したのね…………ゴルドドライブを」
「ああ……でも……チェイスが………死んじまった」
「チェイスが⁉」
「ごめん…………姉ちゃん……」
「剛?」
「俺も…………限界みたい……」
「えっ?」
「姉ちゃん…………進兄さんと…………幸せに……なって……くれ…………よ……」
「剛‼」
「……あり……がとう……」
「剛?…………剛‼」
「……………………」
「剛……ごぉおおおおう‼」
姉である霧子に看取られながら、仮面ライダーマッハ、詩島剛の物語は幕を閉じた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
とある世界では、人類を守るために戦った巨人の1人である【ウルトラマンジード】こと朝倉リクは、ボロボロの状態で、仰向けに倒れていた。
そのリクに、仲間である鳥羽ライハとペガ、愛崎モアに伊賀栗レイトが駆け寄る。
「「「「リク(くん)⁉」」」」
「ハァ…………ハァ…………皆……ごめん…………もう限界だ……」
苦しみながら、言うリク。
するとリクの体が、光の粒子となって消えはじめた。
「リク………リク‼」
「しっかりしてリク‼」
「お願いリクくん‼消えないで‼」
「リクくん⁉」
「ハァ…………ハァ…………みんな…………すまない……どうか…………幸せに……」
そう言ったリクは、完全に光の粒子となって消え、この世を去り、世界から1人の戦士が消えてしまった。
こうして、朝倉リクことウルトラマンジードの物語は幕を閉じた。
だが、2人の戦士の物語は、新たな物語となって再び動きだそうとしていた。
とある空間
そこには、力つき、死んでしまった剛とリクがいた。
「な、なんだここ?」
「俺、さっきまでボロボロだったのに」
何故自分がこんなところにいるのか分からず、戸惑い混乱してしまう剛とリク。
その時
「目覚めたのですね」
「「えっ?」」
剛とリク以外の声が響き渡る。
2人が振り返ると、そこには1人の女性がいた。
「「誰?」」
「やはり…………覚えていないのですね」
悲しそうな顔をしながら言う女性。
すると、女性は2人に手を向けた。
「今から、お2人の魂を
「はっ?何を言って―――ぐっ⁉」
「な、なんだ⁉」
突然苦しみ出す剛とリク。
すると、突然2人の体が光だし、2つの光の球へと変わる。
そして2つの光の球は、引かれ合うようにくっつくと1つの光の球となり、1人の青年の姿へとなった。
「ここは?」
「目を覚ましましたね♪朝倉剛さん♪」
「えっ?あ、アリア様!?」
青年―――
「どうやら、魂を2つに別けた状態で転生させた影響で、記憶を失ってしまったようですね」
「そ、そうなのか?」
「はい♪とりあえず一言…………まったく‼あなたはいい加減、その無理するクセを直してください‼」
「わ、悪かったってアリア様‼」
生と死の狭間と呼ばれる、あの世とこの世の間にある空間で、剛は世界を管理する神の1人であるアリアに叱られていた。
理由は、剛の正体は転生者であり、何度も無理な戦いをして死んできたからである。
今回も、無理して戦い、死んでしまったために怒られているのだ。
「ホントに分かったんですか?」
「だ、大丈夫だって。分かったから」
「…………まぁいいでしょう。次の世界ですが、どこか希望はありますか?」
「ん~…………無しってできない?」
「えっ?ど、どうしたんですか急に⁉」
「いや……俺結局、誰も守れないからさ。大事なダチを……くだらない意地でダチと認めないで、俺のせいで死なせちまったからさ」
「剛さん…………」
「だから、転生は無しってこと「気にするな」えっ?」
「別の女神が言っていたんです。先程チェイスさんが「気にするな、お前はちゃんと応えてくれた。だから・・・・生きてくれ」と、言っていたそうです」
「チェイスが⁉」
「きっと剛さんが今みたいな事を言うだろうから、もし死んでここに来て、言ったらそう言ってくれと、頼んでいたみたいです」
「チェイス…………」
アリアからチェイスの言伝てを聞いて、涙を流す剛。
その剛に、アリアは再び問いかける。
「剛さん…………どうしますか?」
「転生……頼む」
「分かりました♪ちょっと待っててください♪」
剛の返事を聞いて笑顔になったアリアは、目の前に画面のような物を出現させ、それを操作するアリア。
操作していくアリアは、ある画面を見て操作する手を止めた。
「………剛さん、1つ見つけたのですが。この世界にしますか?」
「どんな世界?」
「人類共通の脅威とされる存在、【ノイズ】と呼ばれるものたちから、【シンフォギア】と呼ばれる物を纏って少女たちが戦う世界です」
「…………そんじゃ、その世界で頼むよ」
「分かりました。では転生を開始します。剛さん、今度こそ無理しないでくださいね」
「あいよ」
剛が返事をすると、剛の体が光だしその場から消えた。
「剛さん…………お願いですから……無理はしないでください」
アリアは剛がいた所を見続け、剛が無理をしないことを祈る。
この時より、詩島 剛と朝倉 リク、2人の戦士に転生して戦った朝倉 剛の、本人として物語が動き出したのであった。
ということで、リメイク版のプロローグです!!
次回は、剛の転生後の話になります。
次回も是非読んでください!!