アブソリュート・デュオ〜天狼〜   作:クロバット一世

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11話 2人でお出かけ

「準備は良いか?ユリエ」

 

「ヤー。いつでも来てください、私も負ける気はありません」

 

「面白え!!返り討ちにしてやるぜ!!」

 

合図と同時に、悠斗とユリエが互いに一気に距離を詰めてそれぞれの武器をぶつけた。

 

今、悠斗とユリエは互いの実力を測る為決闘を行っていた。思えば《新刃戦》では璃兎の襲撃によってユリエと透流のペアとは戦えなかったので悠斗自身もこの決闘を待ち望んでいたのだった。

 

 

 

「いくぞ!!」

 

悠斗は向かってくるユリエに《長槍》で中段突きを放った。

ユリエは自身の《双剣》が悠斗の《長槍》を往なし、そのまま悠斗の懐に入ろうとする。

しかし、悠斗はすぐさま蹴りを放ってユリエを遠ざける。

その勢いを利用して、悠斗がユリエに3連突きを放つがユリエはそれを見切り、一気に間合いを詰めた。

悠斗は《長槍》でユリエの《双剣》をガードをすると、そのまま距離を離そうとした。

しかしユリエはそのまま悠斗に《双剣》で続けざまに斬撃を放った。

悠斗はその全ての斬撃を打ち払うと再び渾身の突きをユリエに撃ち込んだ。

しかし、ユリエも読んでいたらしく《長槍》を見切り、完全に俺の懐に入り込んだ。

 

「チェックメイトです」

 

ユリエが斬撃を悠斗に繰り出そうとする。誰もが決着かと思った。

 

「いいや、まだだ!!」

 

すると、悠斗は目にも留まらぬ速さで自身の《長槍》を引き戻し、先端近くの柄を握ると、ユリエの《双剣》をガードした。

 

「…っ!?」

 

ユリエは防がれるとは思っていなかったらしく、一瞬取り乱した。

悠斗はその隙を逃さずユリエの首元に《長槍》の先端を添えた。

 

「覚えておくと良いぞユリエ。長槍の最大の利点は間合いが長いんじゃない。間合いを操れることだ。」

 

「ヤー、覚えておきます。今回は私の負けです」

 

決着が着くと、周囲で観ていた観客たちはその次元の違う戦いに拍手を送っていた。

 

「スゲーな悠斗のやつ」

 

「全くだ。あそこまで槍を自在に操るなど生半可な訓練では出来ん。本当に奴は何者だ?」

 

悠斗とユリエの戦いを観ていた透流とトラは悠斗の実力に賞賛を送っていた。

 

 

 

 

(凄いな、悠斗くん…)

 

私はは自身の絆双刃の悠斗くんの強さに驚きを隠せずにいた。

 

彼は自分とは比べ物にならない程の実力を持っていた。

クラスでもズバ抜けた実力を持つユリエちゃんをも打ち破る実力をたった今発揮していた。

 

「私も…強くならないと」

 

自分も負けてはいられない。悠斗くんの特訓のお陰で少しずつだがスタミナがついてきている。だからこれからも頑張ろう。

 

自分を選んでくれた彼の為に…

 

(そ、そうだ…今度の休日は悠斗くんと買い物に行くんだ…)

 

みやびは昨日の彼との約束を思い出し、顔を真っ赤にした。

 

 

 

 

〜回想スタート〜

 

「今度の休日、俺とどこか行こうか?」

 

「え…えぇぇぇ!?そ、そんないきなりデートだなんて心の準備か…」

 

「いやな、俺この辺りの街とかあんまり詳しくなくてさ、それで、今度の休日に色々周ろうかと思ってたんだけど近くにショッピングモールの《あらもーど》ってとこがあってさ、それならみやびも一緒にどうかな?って思ったんだけどどうだ?」

 

「えっ、そ、そういうこと?う、うん良いよ。」

 

「そっか、じゃあ今度一緒に行くか」

 

〜回想終了〜

 

悠斗との約束を思い出し、みやびは顔がどんどん熱くなってきているのを感じていた。

 

すると

 

「なあ、みやび今度の休日なんだけどさ、何時から行く?」

 

突然悠斗が声をかけてきた。

 

「ゆ、悠斗くん!?わ、私は何時からでも良いよ」

 

「そっか、じゃあ9時ごろ出かけるか」

 

そういうと悠斗は透流達の方へと戻っていった。

 

(楽しみだなぁ)

 

みやびは顔を赤く染めながら嬉しそうに心の中で呟いた。

 

「みやびさん、今のはもしかしてデートの約束ですか?」

 

突然後ろから梓が声をかけてきた。

 

「あ、梓ちゃん!?ち、違うよた、ただちょっとショッピングに誘われただけで…」

 

「私の記憶が確かならそれを人はデートと呼びます」

 

なぜか梓はグイグイ聞いてきた。

 

「みやびさん、天峰さんとはどこまで行きました?キスはもうすませましたか?」

 

「キ、キキキキス!?そ、そんな付き合ってないんだし…」

 

「…なんですか、面白くないですね」

 

そういうと梓は少しがっかりした感じて去っていった。

 

(梓ちゃん……あんな性格だっけ…?)

 

クラスメイトの意外な一面にみやびは少し驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

土曜日

 

「いや〜晴れてよかったな」

 

「そうだね悠斗くん」

 

そして休日、悠斗とみやびはショッピングモールを歩いていた。すると、

 

「ねぇ、あの人超カッコ良くない?」

 

「ホント…超イケメン」

 

「隣の女の子彼女かなぁ…」

 

「彼女も鼻が高いでしょうね、あんなかっこいい彼氏じゃ」

 

悠斗に見惚れる女性客達の声が聞こえてきた。

確かに、悠斗は背が高くルックスも良く、まるでモデルのようでで周囲からよくモテるのがよく分かった。

 

 

「それじゃあどこ行こうか?」

 

「え、ええと…悠斗くん見たいものとかってある?」

 

みやびが悠斗に聞いてみると

 

「そ、それじゃあ一か所行きたいところがあんだけど…」

 

すると、悠斗は少し顔を赤くすると、みやびの耳元でその場所を言った。

悠斗の言葉にみやびは少し驚いたが微笑み悠斗の行きたい場所へと案内した。

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜♡やっぱり可愛いな〜♪」

 

悠斗とみやびがいる場所はペットコーナーであった。

悠斗はそこで一匹の仔犬を抱っこしていた。

話を聞くと、悠斗はどうやら可愛い動物が好きらしく、中学時代もこうやってペットショップに行って仔犬達と戯れていたそうだ。

 

「みやびも抱っこしてみろよ。可愛いぞ」

 

「う、うん。じゃあ…」

 

悠斗はそう言うとみやびに自分が抱っこしていた仔犬を差し出した。

みやびはその仔犬を抱くと、仔犬はみやびの方を向き鼻をヒクヒクさせていた。

 

「ふふっ可愛いね」

 

「だろっ?」

 

二人はその後も仔犬達と戯れていた。

 

「ありがとなみやび、俺のワガママに付き合ってくれて。みやびは行きたいところある?」

 

「あ……。もし良かったら一階にあるジェラート行ってもいいかな?」

 

 

なんでも南館と北館の合間”ハーバーストリート”という通りにある ジェラートショップがとても有名らしい

 

「良いぜ、俺も行ってみたいな。その店に」

 

みやびは持ち出した提案に頷いて答えると嬉しそうな雰囲気を醸し出した。こうして俺たちはジェラートショップに向かうことにした。

 

 

 

 

 

一方その頃二人の近くでは

 

「あ、梓。あの二人は付き合っているのか?」

 

「ふむ…あの2人…相性は申し分無いようですがまだ付き合ってはいないようですね…しかし…今後の展開次第では…」

 

巴と梓が二人のあとを尾行していた。

 

 

 

 

「へえ〜結構旨いなこれ」

 

「うん、そうだね」

 

悠斗とみやびはジェラートショップでそれぞれのジェラートを食べていた。

 

「今日はありがとなみやび、俺に付き合わせちゃって」.

 

「う…ううん、わたしも楽しかったし…」

 

恥ずかしながらもみやびは答えた。

 

すると、

 

「あれ?悠斗と穂高じゃないか?」

 

「どうしたのですか?」

 

悠斗達が声が聞こえた方向を振り返ると透流とユリエがそこにいた。透流の手にはたくさんの服が入った袋があったのでおそらく服でも買いに来たのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、九重さんとユリエさんまで…これはとくダネかもしれませんね!?」

 

「あ、梓…あれは不純異性交遊か…?い、いやしかしせっ、性的逸脱行為ではないから……」

 

透流とユリエの登場に梓はさらに興奮し、巴は動揺を隠せずにいた。すると、

 

「キミたち、二人だけ?」

 

「え……?」

 

振り返れば四人の男が立っていた。言うまでもなくナンパである。

 

「よかったら俺らと一緒に遊ばね?」

 

「二人とも可愛いね。高校生?どこのガッコ?」

 

「…なんですか貴方たち」

 

「わ、私たちは、こ、昊陵だが……?」

 

「コーリョー?」

 

「俺知ってるわ。近くにあるブドーが盛んなとこだ」

 

この男たちの昊陵学園に対する認識はさして間違っていなかった

 

全寮制の私立校で武道に力を入れており、

卒業後は提携のシークレットサービスへ就職

 

表立つような実績を残している訳でもなく、ドーン機関によって

密かな規制がある故に、人の記憶に残るような情報は一切入ってこない

 

もし《黎明の星紋》や《焔牙》の存在が仮に噂されたとしても

その多くが荒唐無稽な絵空事と思われるのが関の山だった

 

確たる《証拠》が無ければ、たとえ真実であろうと

あくまでも《噂の域》を出る事は無いからだ

 

無論、それは外出する生徒たちにもその意識は徹底されている

外出届を出す際には外でトラブルを起こさない、《焔牙》の使用を

許可しない等々、あらゆる念を押されての外出となる

 

それらの規則をもし破った場合、厳しい罰則が科せられた――

 

 

「へー、ブドーって柔道とか空手とか? じゃあキミたちもそういうのやってんの?」

 

「…貴方たちには関係ありません…行きましょ巴さん」

 

梓は男たちに嫌悪しながら巴の手を引き歩き出した。

 

「つれないなぁ。ちょっとくらいいいじゃん。変なことしないって」

 

しかし、男たちの1人が梓の手を引っ張った。

その時、

 

「汚い手で触るな!!」

 

バシッ

 

梓は叫びながら男を振り払った。

 

「あ…梓?」

 

巴は普段の梓では見せないほどに怒る梓に戸惑いを隠せなかった。

 

「おいお前…人が下手に出てりゃ良い気になりやがって…」

 

梓の反応に男たちは睨みつけ、不穏な空気になった。

 

 

 

 

 

 

「なぁ透流…」

 

「ああ、分かってる」

 

悠斗と透流はナンパに絡まれている巴と梓を見つけると、互いに頷き、

 

「「やめろ、お前らっ‼︎」」

 

男たちの前に立ちはだかった。

 

「梓、巴、大丈夫ですか?」

 

「巴ちゃん、梓ちゃん、大丈夫?」

 

透流の元へユリエとみやびが加わると

 

「すっげ。マジ可愛いんだけど……」

 

「この子らもこいつらの連れ?」

 

「ハーレムってやつ?」

 

「なんかムカつく」

 

「どうする?」

 

「当然___ 」

 

とリーダー格が喋ると同時に、男たちは僅かに腰を落とす。

 

「軽くボコっちまおうぜ!」

 

「___ッ‼︎」

 

同時に男たちが動く。

 

(仕方ないこうなったら…)

 

(軽くいなして)

 

(そのまま逃げるか)

 

悠斗と透流は互いに目配せし、身構えた次の瞬間

 

タァン……‼︎遠くから乾いた音___銃声がハーバーストリートへ響いた。ほぼ同時に、透流へ殴りかかった男の一人が弾かれたように倒れる。

 

「え……?」

 

誰かが呆気を取られて呟いた。しかしその場の全員が何が起こったのかを理解するよりも早く次なる銃声が響き、またしても男が一人崩れ落ちる。

 

「なっ……⁉︎」

 

「トール、あれは……‼︎」

 

ユリエの視線を合わせた先、百メートル以上離れた三階のバルコニーに立つ、銃声の主を悠斗は目にした。

長く、煌びやかに輝く黄金色の髪を持つ少女の姿を。その手に握られるのは…長銃身の黒き《銃》。

 

(リーリス⁉︎それにあれは…《焔牙》⁉︎)

 

悠斗が驚愕に目を見開く中、リーリスは三発目、四発目と間髪を容れず引き金を引き、男たちは全員が崩れ落ちた。

周囲の視線が突然倒れた男たちへ向けられる中、透流たちは黄金の少女へ、彼女が持つ《銃》へ釘付けとなっていた。脳裏に甦るのは、以前、授業で教わった話だ。

 

『《焔牙》は複雑な構造を持つ武器として具現化は出来ない』

 

その話に嘘はなく、本来ならば《銃》の《焔牙》など有り得ない。けれど悠斗たちの視線の先に映る《焔牙》は、間違いなく《銃》であった。

リーリスがライフルを消し去り、踵を返す。黄金色の髪がバルコニーの奥へと去る様を見つめる中、悠斗は呟いた。

 

「《特別》……」

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