「透流!!」
「ユウト…トールが…トールがぁ…」
透流が重傷を負ったと言う連絡を聞いた俺が医務室に来ると、ユリエが涙を流しながらそこにいた。
「ユリエ…何があった…」
「…実は…」
俺の質問にユリエは少しずつ話した。
透流とユリエは透流の妹の音羽の墓参りにか向かったのだ。トラも同行し墓参りを終えてトラと別れた後、透流の昔通っていた道場…そして透流の仲間が殺された事件現場に赴いた。そこで透流の復讐の相手に出会い、戦闘になったものの透流は歯が立たず敗北したという。
「まさか…透流が負けるなんてな…」
ユリエの説明を聞いた俺はしばらく考えると
「ユリエ、お前は透流の側にいてやれ」
「ユウト?」
「俺は少し用事ができた」
俺はそれだけ言うとそのまま医務室を去った。
「…確か情報ではこの辺だったと思うんだけど…」
現在俺は列車に乗り透流の通っていた道場を探していた。透流は俺に教えていなかったが俺は透流が誰かへの復讐を考えていると知った時、ボンゴレの情報網で独自に探っていた。
しばらく歩くと立ち入り禁止という立て札が置かれた入り口が現れた。
「…ここか」
俺は丘の上へと続く道へと足を踏み入れた。
やがて____道が終わり、開けた場所へ出る。寂しく荒れ果てたそこは、かつて透流の通っていた道場があった場所である。しかし、そこには新しい破損がいくつかあった。
「透流の戦闘の跡か…」
その一ヶ所を見ると新しい血の跡が残っていた。しかし、それは一部のみ、おそらく一人の血だけだろう。
以上のことからこの闘いがあまりにも一方的だったことが推測できた。
「こんなところに何の用だ?」
「____っ!?」
突然後ろから聞こえた声に俺は振り向いた。
すると後ろには日に焼けた浅黒い肌の偉丈夫がいた。
「ん?お前はボンゴレの…」
「俺を知ってんのか?」
男は俺の顔を見てそう呟いたので俺は少し驚いた。
「まぁな、こう見えて裏社会には顔が広くてな。俺の名は王城(おうぎ)ってもんだ、よろしくな。しかし、まさか今代のボンゴレの守護者がこんなガキンチョだとは思わなかったぜ、わははっ」
男は高笑いしながら俺の背中を叩いてきた。
「んで、透流をやった奴を調べにきたのか」
すると、王城は先ほどとは打って変わって真剣な顔で質問してきた。
「やめときな、透流のやつにも言ったがあれはお前の手に負えるような存在じゃねぇ」
「……俺でもか?」
「お前さんが強いことは知ってるし見下してもいねぇ、だが今のお前ではあいつにゃ勝てねぇ。あれは化け物だ」
王城の警告を俺は静かに聞き、
「安心しな、敵討ちなんか考えてねえよ。透流がやられたのは透流だけの闘いによるものだ。俺が横から口出しするつもりはない」
「…そうかよ、まぁあいつによろしく言っといてくれ」
そういうと王城は、そのまま出口へと向かっていった。
「あぁそれと、透流を助けてくれてありがとう」
俺が礼をすると王城はこちらを向かず手をひらひらさせてその場を去っていった。
「さて、これからどうしたもんか…」
道場跡地を去った俺は駅の近くにあった小さな喫茶店に足を運び簡単な食事をしていた。
「……俺でも勝てねえか…」
先ほどの王城の言葉…アレは嘘を言ってる男の目じゃなかった。何より、対峙してわかったがあの男はかなりの実力者だ、その男が「化け物」と評価した…一体どんなやつなんだ…?
「少しいいかな?」
突然後ろから話しかけられそちらを振り向くと
漆黒の少年が現れた。
深淵を思われる、冥く、惺かで、闇色の瞳を持った少年が。
「えっと…どちら様?」
少しすっとぼけて聞いたがすぐにわかった。
こいつだ____こいつが透流を____そして、あの道場で透流の仲間を____妹を殺したやつだ。
「はじめまして、僕は鳴皇 榊(なるかみ さかき)。君と話がしたくてね」
「それで?俺に一体何のようだ?」
俺は榊とともに近くの廃工場にいた。
先ほどの喫茶店だと万が一の時に店に多大な迷惑をかけてしまうからだ。
「大したようじゃないよ、ただ、少しばかり勧誘をね」
俺の方を向くと微笑みながら言葉を続けた。
「天峰 悠斗くん、僕と一緒に来る気はないかな?」
「はぁ?」
突然の勧誘に俺はポカンとした。
「君のことを僕の仲間に聞いてね、興味が湧いたんだ。そして今回君を見て改めて仲間に欲しいと思ったんだ」
ポカンとする俺を他所に榊は言葉を続けていた。
「力を貸して欲しい____僕が《絶対双刃》に至るために」
榊の言葉を俺は静かに聞き、
「普通に断る。だいたい人の親友斬った奴のとこなんて行くと思ったのか?」
全力で断った。
「あぁそっか…それは残念だ」
榊は少し残念そうにため息を吐いた。
「わかったよ、そこまでいうならこちらも無理強いはしない。」
「…どうも。そんじゃ俺はこれで」
そのまま俺は出口へと向かって歩き出した。
「そうそう、あと1つだけ」
おっとそうだった、どうしても聞かなくちゃいけなかったことがあったっけ
「何で道場の仲間を殺したりしたんだ?あいつらがお前になんかしたのか?」
「あぁ、そのことが…」
榊は俺の質問に少し考えたあと続けた。
「弱いから死んだとしか言えないよ」
「そっか………」
俺は静かにつぶやき____
「……《焔牙》」
そのまま榊に斬りかかった。
「…わかってんだよ…あれはお前と透流の問題だって…けどなぁ…それでも割り切れねえんだよ…」
俺はもう我慢の限界だった。医務室の、、緊急治療室で眠ってる透流を見たときから堪えるのに必死だった。しかし、
「透流は俺の友達(ダチ)なんだよ」
友達だから、それだけあれば俺がこいつをぶっ飛ばす理由は十分だ。
「やるね…今のは良い一撃だった。」
しかし、榊は片手でたやすくガードしていた。
「それじゃあ、今度は僕の《力》を見せてあげるよ」
光が、生まれる。眩い輝きは、榊の胸元から発せられていた。そしてーーー闇が、光を掴む。
「そいつは……」
光が形を変え、榊の持つ白い刀身に、黒い刃を持つ刀へと。
「《焔牙》か?」
「違うよ。これは君たちのそれとは違う。光から創り出した僕だけの武器、僕の《魂》ーーー《煌牙(オーガ)》」
俺は《煌牙》のその輝きに恐怖を覚えた。
「…行くよ」
そう言うと榊は目にも留まらぬ速さで俺に斬りかかった。
「天に吼えろ_____《覇天狼(ウールヴヘジン)》!!」
俺はすぐさま《力在る言葉》を発し《焔牙》の真の力を解放し回避した。さらに
「ガロ、《形態変化(カンビオフォルマ)》!!」
すぐさまガロを《形態変化》させ、《シルヴァの神速脚》を完全解放した。
先ほどの王城の言葉が本当なら最初から本気でいかないとこっちがやられてしまう。そうなる前に全力で迎え撃つ、
「天狼一閃!!」
俺の本気の一撃が榊に放たれた。
「甘いよ」
しかし、榊は《煌牙》で容易く弾いてしまった。
「おいおいマジか……」
この瞬間、あの王城が言っていた言葉が嘘ではないことを察した。この男は只者ではない…だった一撃の交差でもわかってしまった…今の俺ではこいつには勝てない
「だけど…」
こいつを野放しには出来ない…そう俺の《魂》が俺にそう語りかけていた。
「お前は…ここで止める!!」
俺はありったけの炎を《長槍》に纏い榊に突撃した
「はぁ…はぁ…はぁ…」
砂埃が晴れていき2人の影が1つに重なっていた。
「はぁ…はぁ…ちくしょう…」
腹部には榊の《煌牙》が突き刺さっていた。
「…今のは良い一撃だった…まともに当たっていたら流石に僕でも危なかったよ」
榊の横腹には傷がありそこから血が流れていたが俺の傷に比べたら僅かなものだった。
「なるほど、君ならもしかしたら…」
そう言うと榊は《煌牙》を俺の腹部から抜いた
「がはっ!!」
刃が抜かれる際の激痛に耐えながらも俺は膝をついてしまった。
「待っているよ、君がここまで来るその時まで」
言い終えると俺に背を向け、闇色の少年は歩き出した。
「…なるほどな…俺はまだ井の中の蛙だったってわけだ…」
腹部から流れる血を雪の炎で止血しながら俺は壁に寄りかかった。
「もっと強くならねえと…」
そして、学園に負傷したと連絡を入れた後、俺は意識を失った。
悠斗…敗北!!
流石に今の悠斗では榊に勝てませんでした。
感想待ってます!!