俺たちは今、危機に瀕している。
学園の強大な陰謀によって俺たちは居場所を失いかけているのだ。俺たちは我が身を守るため、仲間に救いを求める…しかし人生とは、残酷だ。なぜなら…
「男なら覚悟を決めて行ってこい!!!」
そんな残酷な言葉で俺たちを女子と同じ部屋に向かわせようとしているのだから。
「男だからいけないんだろうが!?」
「見捨てないで!!もうあんただけが頼りなんだよトラさん!!!」
「喧しい!!!もう消灯時間だ!!!」
バタンッ!!
必死で頼む俺たちを無視したトラこと虎崎 葵は部屋の扉を思いっきり閉めた。
「…透流、お前の友達って冷たいな」
「……そうだな……」
「「はぁ…………」」
そう言うと俺たちはため息を吐いた。
「はあ…腹をくくるしかないか」
「そうだな……お互い頑張ろうな……」
「おう……」
この日、俺は透流と何か絆のようなものを結ぶことができた。
俺は部屋に着くとなんとも言えない緊張感に包まれた。
「さて、どうしたものか…いや、変に考えても無駄だ。ここは俺の部屋でもあるんだからな。堂々と入るか」
そう言うと俺は部屋のドアを力強く開いた。
「あ…………」
「よ……よお」
そこには今日から同じ部屋になる少女、穂高 みやびがいた。
「ええと……一応教室でも言ったと思うけど……天峰 悠斗、よろしくな」
「あ……はい、穂高 みやびです……」
現在俺たちはテーブルを挟んで向かい合わせになっている。彼女は俺を前に俯いて顔を隠していた。
「…ごめん、わたし中学まで女子校だったから今まで男の人と接したことなくて」
彼女の言葉に俺は納得した。
確かに今まで同年代の男子との交流もほとんど無いのにいきなり男子と同居しろと言われたらたまったもんじゃ無い。
「ま……まぁアレだ……今日も疲れただろうし休んだらどうだ?」
今日は話はこれで切り上げて休ませるべきだろうと考えて俺はそう言った。
「う……うん……じゃあお風呂入って……っ/////」
「ん……あっ/////」
しまった……俺がいたら彼女がお風呂に入れないじゃ無いか!!マジでこの学校何考えてんだ!!
「あーそうだ!!俺ちょっと教室に忘れ物があったから取りに行ってくるわ!!だからみやびは先、風呂にでも入ってろよ!!」
「えっ……でももう消灯時間……」
「大丈夫大丈夫!!俺すぐ帰ってくるし、じゃっ」
バタンッ
そうして俺は部屋を出てどこで時間を潰そうか考えながら歩き出した。
〜しばらくして〜
「はぁ……結局見つかって叱られたなぁ……でももう大丈夫だよな……?」
あの後、見回りの人に見つかってしまい叱られて部屋に戻った。だがもう大丈夫だろう……そうも思って部屋の扉を開けた……
するとそこには…
バスタオルを巻いただけの格好の穂高 みやびがそこにいた。
「…え?」
「あっ…」
一瞬何が起こったか分からず静寂が空間を包む。そして…
「キャァァァァ!!!」
彼女の悲鳴が周囲に響いた。その時、
つるん
そんな音と共に彼女は足を滑らせ後ろに倒れていった。
「危ねぇ!!!」
そう言って手を掴むもバランスを崩し俺も倒れてしまった。すると
むにゅん
俺の手に彼女の柔らかく豊満な胸があった。
「うわぁぁぁぁ!!!ゴメン!!!」
俺は慌てて瞬時に飛び起き、彼女に謝った。
「ううん、こっちこそゴメンね。助けてくれたのに……」
みやびはそう言うと、顔を真っ赤にして縮こまってしまった。
「きょ……今日はもう寝るか……」
「う……うん、おやすみ……」
そう言うと俺たちはそれぞれのベッドに入っていった。
「すぅ…」
すると、みやびは疲れていたらしくすぐに眠ってしまっていた。
「…さて、報告は明日でも良いか」
俺もすぐに眠ることにした。
次の日、俺たちは朝食の為、食堂にいた。食堂はビュッフェ形式で多くの料理が並んでいた。
「んじゃ食べるとするか…」
俺たちはそう言いながら食事をとり、席に着いた。
「おはよう悠斗。そっちは昨日大丈夫だったか?」
俺と同じ女子と相部屋になった透流がルームメイトのユリエといた。
「…透流か。それに関してはあまり言わないでくれ」
「あぁ……お前もか……」
俺たちの会話の隣でみやびは顔を真っ赤にしていた。
するとさらに
「相席良いだろうか?」
そんな声が聞こえ、そっちを見ると
「ええと、確か…誰だっけ?」
腰まで届く黒髪の凛とした女子と黒のセミロングの髪と赤い縁の眼鏡が特徴的な女子がいた。
「橘 巴(たちばな ともえ)だ。そしてこっちがルームメイトの不知火 梓(しらぬい あずさ)」
「…不知火 梓です。よろしくお願いします」
そして席に着くと透流の皿の料理を見て
「なぜキミの料理はそんなに偏っているのだ?」
「…肉好きなもので」
透流の答えに橘はやれやれとため息を吐くと
「まったく……良いか九重、食事とはバランスよく取らなくてはならんのだ、対して天峰の食事はなかなか理想的だな、感心感心」
俺の今日の食事は鮭の塩焼きにワカメの味噌汁、白米に芋の煮付けに漬物と典型的な和食だ
「まぁ朝は和食が多いからな」
「うむ、良い心がけだ。九重を天峰を見習いたまえ、どれ、私の野菜を分けてやろう」
そう言いながら橘は透流の皿に野菜を入れ始めた。
「それでは雑談も適当なところで、そろそろ食事にしよう」
「そうだな、食べるか」
そう言うと俺たちは食事を始めた。
「ときにユリエ、みやび。その……こういう言い方は九重と天峰を前にして申し訳無いが、週末までとはいえ同居生活は大丈夫そうか?」
「ヤー。大丈夫です」
「えっあ…あの」
ユリエは問題なさそうだがみやびはあんなことがあったからな…
「九重、天峰、今ので気分を害したらすまない。大きなお世話だとは思ったが、やはりキミたちは年頃の男女であるわけで何事か問題が起こらないかが心配でな……」
こほんと咳払いしつつ、その問題とやらを想像してか頬を僅かに赤らめる巴。
「いや、いいさ。そう思うのも無理はないしな」
「それなら……。しかし、もし困ったことがあったらいつでも言ってくれ。必要とあれば内密に私たちの部屋で過ごして貰っても構わないぞ。なぁ梓」
「はい、私達は二人とも大歓迎です。」
「お気遣い感謝します。……ですが本当に大丈夫です。トールは優しい人ですので」
「わ、私も…」
「みやび、無理はしなくて良いぞ」
「う、ううん。私は大丈夫。昨日は、ビックリしただけだから。」
「そうか。ならいいんだが」
(意外だな。みやびなら橘達に頼むと思ったんだが)
そんなことを考えてると。
「昨晩も、トールは先に眠ってしまった私を優しく抱いてくれましたから」
「「「「ぶーっ!?」」」」
透流と巴が味噌汁、みやびが牛乳、俺が緑茶を吹いた。
そしてなぜか梓だけは平然としていた。
「ユリエ!?」
「なっ、ななっなっ!?」
「ユユユ、ユリエちゃん!?」
「透流、お前!?」
「ーー?」
激しく動揺する四人に対し、鈴の音を響かせてユリエが小首を傾げる。
つーか透流お前そんなキャラだっけ?
「橘、不知火、穂高、悠斗!今のはーー」
「こ、九重!!ななっ、なんということをしているんだ!!しかもっ、ねっ、眠っている相手にだと!?そんな破廉恥な男とこれっこれ以上同席しているなど不愉快だ!!私はこれで失礼する!!」
ユリエの発言を「そういう方向」に受け取った巴は激昂したまま食堂を出て行った。
「ふむ……これはもしかしたら……」
不知火も何かブツブツ言いながらその場を後にした。
一方悠斗は一度激しく動揺したもののすぐ冷静さを取り戻し、ユリエがまだ時差に適応しきれずベッド以外で寝てしまい、透流がユリエを抱き上げてベッドに運んだ可能性を導き出した為、担任に突き出すのは詳しい事情を聞いてからでも遅くないと判断していた。
「……騒々しい。何をしているんだ、貴様たちは」
「ちょっとな……」
そこに現れたトラに、厄介なことになったもんだと思いつつ透流は溜息を吐いていた。
詳しい事情を聞き、自身の予測があっていた事を確認すると、食事を摂り始めたばかりの葵と彼に付き合う気の透流とユリエに先に行くと伝えて、悠斗とみやびは食堂を後にした。