アブソリュート・デュオ〜天狼〜   作:クロバット一世

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少しオリジナルを挟みます。


44話 執行者

「それじゃあ行って来るよみやび」

 

「うん、気をつけてね」

 

狂売会から一週間後、俺はボンゴレ守護者の定時報告の為ツナに呼ばれていた。

いつも電話で話しているが、やはり詳しい内容は実際に話さなくてはならないのである。

 

「心配ないよ、今回は本当にただの報告と会議だからな。闘いはまず無いって」

 

「でも万が一ってこともあるから…」

 

やはりみやびは心配そうにしていた。思えばここのところ負傷が多かったからなと改めて思った。

 

ぎゅ…

 

「ゆ、ゆゆゆ悠斗くん?」

 

俺が抱きしめるとみやびは顔を真っ赤にした。

 

「心配してくれてありがとうみやび、でも俺は大丈夫だから。俺を信じてくれ」

 

俺の言葉を聞くとみやびは顔を紅潮させたまま俺の背中に手を回し

 

「うん、悠斗くんを信じるよ」

 

微笑みながら返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………この先ですか」

 

円柱型のケースを背負った一人の女性が歩いていた。

 

「さて、天峰 悠斗……貴方がどこまで成長したのか見定めさせて貰います」

 

そのまま女性はまっすぐと目的地へと向かった。

 

 

 

 

とあるファミレス

 

「それじゃあ天峰くん、会議を始めるけどいい?」

 

ここではボンゴレ守護者たちが会議を開いていた。しかし…

 

「何で10代目の呼びかけに三人しか集まってないんだ!!」

 

ボンゴレ嵐の守護者の獄寺 隼人の怒りの叫びが店内に響いた。

 

「落ち着けよ獄寺、他のお客さんに迷惑だろ?まぁ気持ちはわかるけど…」

 

獄寺の言う通り現在守護者は嵐の守護者、雨の守護者、雪の守護者、そしてボスのツナしか集まってない。

晴の守護者の笹川 了平はボクシング部の合宿で、霧の守護者のクローム髑髏は六道 骸と行動しており、雲の守護者の雲雀 恭弥は言わずもがな、雷の守護者のランボも遊びに行っていて欠席しているのである。

 

「まぁ来れないのはしかたねーし、会議を始めようぜ」

 

やれやれとため息を吐きながらボンゴレ雨の守護者の山本 武がそう言った。

 

「うん、じゃあ始めよう」

 

山本の言葉にツナも同意して会議を始めた。

 

 

 

「それじゃあ消息を絶ったのは幻騎士の他には、デンドロ=ギラム、アイリス=ヘプバーン、ヴァイシャナの三人ってわけか」

 

「うん、そいつらは現在門外顧問が操作してるんだけどまだ見つかっていないんだ」

 

「ふむ…」

 

三人とも一癖二癖ある奴等だが戦力としては申し分ない。欲しがる組織はあるだろう。

 

「わかった、俺の方でも探ってみるよ」

 

「ありがとう天峰くん、ところで《狂売会(オークション)》はどうだった?」

 

「まぁ《666(ザ・ビースト)》のボスとその直属の幹部の存在がわかったのはデカかったかな。あとはほとんど普通のダンスパーティー…」

 

『正座して』

 

「ひいっ!?」

 

俺は再びあの時のみやびを思い出してしまった。

 

「だ…大丈夫天峰くん?」

 

「あ…ああ、あと1つ大切なことを学んだよ…知らない女から部屋番号の紙とかもらったらすぐに処分しておくべきだってな」

 

「は…はぁ」

 

でないといつか死ぬ

 

「ケッ、女が出来ただかなんだか知らねーけど10代目に手間かけさせんなよ」

 

獄寺は舌打ちしながら文句を言った。

 

「うっせえタコヘッド。みやびは世界一可愛いんだぞ!!それも分からねえお前に…」

 

prrrrrrr________

 

突然俺の電話が鳴りだした。電話の相手は朔夜であった。

 

「朔夜?一体どうし………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか……悠斗はボンゴレの会議に……」

 

現在透流たちは食堂に集まって昼食を摂っていた。

 

「ボンゴレって確かイタリアを拠点にした大マフィアって聞いたけど…ファミレスで会議するんだな」

 

「天峰が言うには中学の頃から基本ファミレスで会議みたいだったから今でもそうみたいよ」

 

この中でボンゴレについてもっとも詳しいであろうリーリスは透流の疑問に答えた。

 

「はい、もちろんファミリー全体の問題の場合はもっとしっかりとした場所で行うでしょうけど……守護者間での会議なら……」

 

梓もリーリスの言葉を肯定しながら食事をしていた。

 

「む?梓、その食事は少し質素過ぎるぞ」

 

橘の言う通り、梓のトレーには鶏肉とキャベツの炒め物と豆腐の味噌汁、あとジョッキに豆乳が入っていた。

 

「………これは……私の後の輝かしい未来のためにも必要不可欠なメニューなんです。だから譲れません…」

 

「ダメだ梓、いくらなんでも偏り過ぎだ。そういった食事は体を壊す。何を目指しているのか知らんが健康な体はもっと大切だ」

 

そう言いながら橘は梓の鶏肉を少しとって焼き魚を少し梓に分けようとすると

 

ガシッ

 

「待ってください巴さん。大丈夫です、私自身の健康は自分が一番分かっています。なので私の悲願のためにもその鶏肉を返してください」

 

「ダメだ。健康を害してまでやるべき悲願など存在しない」

 

「おねがいします巴さん!!私の悲願のためにぃ……《豊乳(我が理想の体)》の為にもぉォォォォォオ!!!」

 

もはやそこにはかつて悠斗さえも欺いた《神滅部隊(リベールス)》から送られてきたスパイの原型が崩壊していた。

 

「何故そこまで抵抗するんだ梓!?私は君の心配をしているだけであってだな…」

 

「ううぅ……《E》の巴さんに《B》の気持ちなんてわかりませんよぉ……」

 

「大丈夫ですか梓?」

 

涙を流す梓にユリエが問うと梓はユリエを見つめ、

 

ギュ……

 

「ユリエさん……私の心を救ってくださるのは同じ苦しみを知るの貴方くらいですよ……」

 

「??」

 

梓はユリエを泣きながら抱きしめユリエはキョトンとしていた。

 

「梓はなんで泣いてるんだ?」

 

「知るか」

 

そんな彼女たちの様子を見ながら透流はキョトンとしてトラはため息を吐きながら食事を続けようとした。

しかし、それは叶わなかった。それに先んじて、何か巨大なものが崩れたような重低音が鳴り響いたのだ。

 

「っ透流!!」

 

「わかってる!!行くぞみんな!!」

 

「ヤー」

 

 弛緩していた雰囲気が一気に緊張を取り戻す。何かただならぬ様子を感じたリーリスが反応し透流の呼びかけで皆んなは音のした方向へと走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……」

 

「これって……」

 

音のした場所に来た透流たちが目にしたのは、砕けた壁に折れた木々、さらには警備の御陵衛士(エトナルク)たちがボロボロになって倒れている光景だった。

彼らは幸い死んでいないがそれでも重傷であることは間違いなかった。

 

さらに、彼らをバックに歩いてくるのはひとりの女性。その女性は彼女自身が放つ雰囲気と後方の光景とが相まって、さながら悪鬼が如き様相であった。

 あまりに想定外の事態に透流たちが言葉を失っていると、女性の眼が透流たちの姿を捉えた。その敵意に満ちた視線に射抜かれ、身体の動きが一瞬停止する。

 

「見た所学生のようですが、貴女たちも関係者のようだ。援軍だとしたら……一足遅い」

 

 一際低く、冷徹に女性が言い放つ。それと同時に女性が背負っていた円柱型のケースを放り捨てた。体積に見合わぬ音を立ててケースが大地にめり込む。それを合図としたかのように女性が駆け出した。

その速度は、まさに神速。透流たちが一息も吐く暇もなく、その女性は拳を振りかぶり、地を蹴った。それに即座に反応した透流は《楯》を具現化し攻撃を受け流した。受け止めるのではなく、受け流すので精一杯だったのだ。

ほぅ、と感心したかのように女性が言葉を漏らした。けれど女性の拳を受け流した透流の手は、衝撃を受け流したというのにそれに耐えきれずに震えている。

 

「みんな!!こいつは…」

 

「言われなくてもわかってる!!」

 

「ええ、行くわよ」

 

「うむ、いくぞ梓!!」

 

「はいっ!!」

 

「ヤー」

 

「わたしも闘う!!」

 

透流の合図と共にみんなも《焔牙》を具現化した。

 

「その意気や良し」

 

女は再び構えを取り、瞬時に透流に肉迫した。

 

降り注ぐ拳の連撃。それを透流は《楯》でガードし続けた。息つく暇もなく繰り出される攻撃は透流に反撃さえも許さない。

 

そこへトラとユリエが女に斬りかかる。

それを女は見切りトラの腕を掴み、

 

「はぁっ!!」

そのまま壁に向かって投げつけた。

 

「ぐっ……」

 

壁に叩きつけられトラはダメージを負い、なんとか立ち上がった。

 

「悪くない連携でしたが………」

 

「甘いわ!!」

 

ダァンッ

 

「くっ……」

 

「そこです!!」

 

「やあっ!!」

 

そこへリーリスが《銃》を放ち、回避したところを梓が《大鎌》で攻撃して動きを制限し橘が《鉄鎖》で捕らえた。

 

「今だみやび!!」

 

「やぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「……ほぉ」

 

みやびがとどめの一撃を繰り出した。

しかし、

 

「な……」

 

「そんな……」

 

みやびの一撃は女によって止められていた。

 

「今のは良かったですね…それでは…」

 

女はみやびへと拳を振るい……

 

「させるかぁぁぁぁ!!」

 

そこへ透流が躍り出て《雷神の一撃(ミョルニール)》を女に放った。

 

「……その技……」

 

すると、女はすぐに回避し、狙いを透流に切り替えた。

 

「……今の技……まだ付け焼き刃といった形ですね……それなりに鍛えてはいるみたいですが……まだ使いこなせていない様子……」

 

「ぐ……」

 

自身の弱点を看破され透流は言葉が出なかった。

 

「なので手本を見せてあげましょう」

 

そういうと、女は身体をひねり、深く踏み込み、《まるで弓を射るかのように拳を引き、力を溜める》。

 

「そんな……まさか……」

 

俺のそれよりも身体をひねり、深く踏み込んでいるが、間違いなくその構えは____

 

「《雷神の一撃(ミョルニール)》……」

 

透流の口から漏れた言葉の通り、それはまさしく《雷神の一撃》だった。

 

瞬間、女は地面を蹴り____

 

「《魔槍の一撃(ゲイボルク)》!!」

 

女は猛スピードで透流へと放ち____

 

 

 

 

 

「天狼一閃!!」

 

突如現れた悠斗が放った一撃と衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと来ましたか……天峰 悠斗」

 

「なんの真似だよ……バゼット!!」

 

俺が朔夜から連絡を聞き、猛スピードで帰って来たら、透流たちに攻撃しているこいつがいた。

 

「……貴方がどこまで強くなったかを探りに来たのですが……掛け合っても警備の者たちに止められたので強硬手段を取らせていただきました。」

 

「透流たちを襲ったのは?」

 

「増援と解釈して攻撃したまでのこと。殺すつもりはありませんでした」

 

「さっき《魔槍の一撃(ゲイボルク)》放ってたろ?下手したら死んでたぞ」

 

「殺さない程度の威力で撃つつもりでした。」

 

駄目だ、話が全く通じない…どんだけ脳筋だよ。

 

「悠斗……こいつは……」

 

透流は俺に女について質問した

 

「こいつはバゼット。ボンゴレ最強の部隊ヴァリアーの幹部だ。」

 

「ボンゴレ……なんでボンゴレの仲間が悠斗を……」

 

「まぁ一応はボンゴレだが…仲間と言われると難しいな…」

 

現在もこいつらはツナからボンゴレボスの座を虎視眈々と狙ってるし

 

「さて、それでは改めて仕切り直しとしましょうか。貴方の強さ見定めさせてもらいます。」

 

そういうとバゼットは再び身構えた。

 

「……やるしかねえか」

 

俺は仕方なく《長槍》を構えた。

 

 

 

 

 

 

「そこまでですわ」

 

すると、そこに三國と月見を連れた朔夜が現れた。

 

「これ以上内輪揉めで私の学園を破壊するとあっては相応の対処を取らせてもらいますわよヴァリアー」

 

朔夜の言葉に三國が前に出て来た。

 

「……だからなんですか?数が増えたなら全員倒せばいい。その気になれば数の差などすぐ減らせる」

 

どこまで脳筋なんだよ。と改めて感じた。

 

「俺はお前とそもそも私闘なんてまっぴらだ。お前とは闘う気は無いからさっさと出てっくれ。それともお前には闘う意思のない相手をいたぶる趣味でもあんのか?」

 

俺はバゼットを睨みつけながら闘いを拒否した。

ここで争えば透流たちにも被害が出かねないし迷惑になる。闘わずに済むならそれがベストだ。

 

「……日を改めます」

 

バゼットは俺の願い通り拳を引き円柱型のケースを拾ってそのまま去ろうとした。

 

「まってくれ!!」

 

それを透流は呼び止めた。

 

「何か?」

 

「さっきの技……あれってもしかして王城に……」

 

透流はバゼットに先ほどの《魔槍の一撃》について聞いた。

 

「はい、彼の技を自分なりにアレンジして覚えました。」

 

やっぱり、入学式の時、透流が使った《雷神の一撃》に見覚えがあったのはバゼットの《魔槍の一撃》を知っていたからであった。

 

「では」

 

そうしてバゼットはそのまま立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなすまん!!」

 

俺はみんなに全力で謝罪した。

 

「気にすんなよ、悠斗の所為じゃないだろ」

 

透流たちは俺に優しく返してくれた。

 

「それにしてもあのバゼットって人…すごい強さだな」

 

「……まぁな、奴とは過去に何度か闘ったが……勝てたことはない」

 

リング争奪戦の時は何度か機転を利かし勝つことができたが、力比べではまるで相手にならなかった。

 

「悠斗が勝てたことがないなんて……どんだけ強いんだよ」

 

「化け物揃いのヴァリアーでもあいつはその容赦の無さから《執行者》って呼ばれてるからな」

 

透流はバゼットの強さな驚愕していた。

 

 

 

 

 

 

「まだまだ鍛えないとな……」

 

俺たちは改めて強くなることを決心した。

 

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