アブソリュート・デュオ〜天狼〜   作:クロバット一世

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49話 大人と子供

「えっと…じゃあどこ回る?」

 

「じゃあこっちの方に行ってみようか」

 

クリスマスイヴ間近、現在俺たちは透流たちと別行動で周囲を歩いている。

情報収集ということもあるので別々に行動する必要もあるためだ。

 

「それにしても……《沈黙の夜(サイレス)》ねぇ……」

 

美咲やベラドンナのメンバー、ゲーセンで知り合った奴らから聞いた《沈黙の夜(サイレス)》の情報は、はっきり言って悪い話ばかりだった。

何かしらの理由をつけて絡んでくることはもちろん、殴られた上に持ち物を奪われたという証言まであった。

彼らは自分たちのルールで街に集うものを縛ろうとし、暴力を辞さない。だからこそ、自由がモットーのベラドンナとは必然的に衝突が多くなるわけだ。

 

彼らのリーダーは美咲と出会った場にいた巨漢らしくナイツというバーでバーテンダーをしているらしい。

バーには一週間ほど機関に所属する数人が入れ替わって立ち寄ることで監視し、自宅も張り込みをしたという話だが……

 

(……《沈黙の夜(サイラス)》にもうまく接触できるといいんだが……)

 

「悠斗くん?」

 

みやびが心配そうにこちらをみていた。

 

「あ、あぁ気にすんなみやび。ちょっと……」

 

「話が違うじゃないか!!」

 

「「……っ!!」」

 

突然近くの駐車場から大声が聞こえ、俺たちはそちらへ向かった。

 

 

 

「その額で譲ってくれるって話だっただろ!?」

 

そこには小太りの男がガラの悪い三人組に詰め寄っていた。

 

「悪いが値上がりしてな、こいつが欲しけりゃこの倍持ってくるんだな」

 

男たちはヘラヘラしながら金が入っていると思われる封筒をしまっていた。

 

「ふざけるなよ!!だったらその金を返してくれ!!」

 

小太りの男がさらにつめ寄ろうとすると

 

ドコッ

 

「ごほっ!!」

 

三人組の一人が小太りの男の腹部に膝蹴りをした。

 

「ガタガタうるせえな」

 

三人組の一人が鬱陶しそうに睨みつけていた。

 

「こんなはした金でやるわけねえだろ馬鹿か!?あぁっ!?」

 

そのまま三人組は小太りの男を蹴り始めた。

 

「みやび、ちょっと下がってろ」

 

俺はすぐさま飛び出した。

 

「やめろお前ら!!」

 

「あ?なんだテメェ?」

 

三人組は突然現れた俺に睨みつけた。

 

「ヒーローごっこなら他当たれよ」

 

「今俺たちは非常に忙しいんだよ」

 

「ほら帰った帰った」

 

三人は俺一人と判断したのかヘラヘラしながらしっしっと手を振った、

 

「なんか面白そうなもん持ってるみたいじゃねえか……ちょーと詳しく教えてくれないかな?第一、こんな現場を見せられたら引くわけにはいかんのよ」

 

しかし俺は引かずに小太りの男がをみながら男たちに詰め寄った。

 

「おい……こいつ……」

 

「あぁ……」

 

俺の言葉に彼らも警戒しているようだ。

 

「おいお前ら」

 

すると、リーダーと思われる男が二人に顎である場所を指す。そこは……

 

「あ?なんだあの女?」

そこには心配してきたのかみやびが小太りの男を安全な場所へ避難させていた。

 

「なかなか可愛いじゃん、こいつの彼女?」

 

「どっちでもいいだろ?それより……」

「へへ……」

 

男たちは下卑た形で舌なめずりをした。

 

「おいてめ」

 

三人組の一人が何か言う前に俺の右ストレートがそいつの顎に炸裂しそのままそいつは倒れた。

 

「んなっ!?こいつ」

 

もう一人が慌ててこちらに身構えたたが俺の飛び蹴りがそいつの顔面にクリーンヒットとした。

 

「な……なんだと?」

 

リーダーの男は突然のことに動揺し、怯えを含んだ顔でこちらをみた。

 

「人の彼女をやましい目でみやがって…………」

 

こいつらは俺の逆鱗に触れた____

 

「う…………うぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

リーダーの男はやけくそになりながらこちらに殴りかかってきた。

 

「とっととくたばれやゴラァァァ!!!」

 

俺はクロスカウンターの容量でリーダーの男の拳を避けて殴り飛ばした。

 

「ふぃ〜〜〜」

 

俺も少し気分をスッキリして伸びをした。

 

「悠斗くん、大丈夫?」

 

みやびは心配そうにこちらは近づいてきた。

 

「あぁ、大丈夫だよ。それより……」

 

「あ……あぁ……ありがとう、助けてくれて…」

 

声の方を見ると小太りの男がホッとした顔でこちらに近づいてきた。

 

「えっと……なんて君たちにお礼を…」

 

バシィッ

 

お礼を言おうとする小太りの男へ俺は平手打ちをした。

 

「悠斗くん!?」

「な……何を……」

 

「何を……だと?よく言えたもんだな」

 

なぜ叩かれたかわからずにいる小太りの男へ俺は先ほどの三人組のポケットから取り出した薬を見せつけ言葉を続けた。

 

「こんなもんに手を出そうとする奴の礼なんていらねえよ。」

 

薬を突きつけられ小太りの男は顔を真っ青にした。

 

「本当に礼がしたいならもう二度とこんなもんに手を出さねえでやり直せ、スタートはそこからだ。」

 

「う……あ……」

 

俺の言葉に男は言葉が続かなかったが、すぐに自分の愚かさがわかったのか落ち込んだ。

 

「落ち込む暇はねえぞ、まずは……」

 

 

 

「おいっ!!てめえらそこまでだ!!」

 

突然声が聞こえそちらを見るとそこに二人の男いた。

 

「お前らは……」

 

集団の前方の二人の顔を見て、俺は思い出す。二人は、機関の調査資料に載っていた《沈黙の夜(サイレス)》のメンバーだったーーーが、それとは別に驚くことがあった。

巨漢の男と長髪の男ーーー皐月へ来た初日に美咲に絡んでいた男たちだったからだ。

 

「覚えているなら話は早い」

 

「そいつらを俺たちに私な、てめーの手にあるそれもだ」

 

低い声で巨漢が頷き長髪が続いた。

 

「これは然るべき場所に渡す。お前たちには渡さない」

 

「うるせぇ!!いいから渡せ!!」

 

すると、周囲の細路地からばらばらと複数の影が飛び出してきて、俺たちを囲む。

10人ほどに囲まれているため全員の判別は出来ないが、まず間違いなく《沈黙の夜(サイレス)》のメンバーだろう。その内の半数以上はバットや鉄パイプ、スチール警棒など、明らかに他者へ危害を加えることを目的とした武装をしていた。

 

「こんな暴力上等な態度取られちゃますます渡せねえな」

 

「お前たちベラドンナが、街にゴミを撒き散らすよりはマシだな」

 

「…………ゴミ?」

「とぼけんじゃねぇ!!この街にヤクなんてばら撒きやがって……ゼッテーゆるさねぇ!!」

 

ゴミという単語に気になった俺は長髪に問い詰めようとするが長髪は聞く耳を持たなかった。

 

「まて、それはどういう」

 

「やっちまえ、野郎ども‼︎俺らの街を護んぞオラァ‼︎」

 

俺が声をあげて問おうとするも、男たちは一斉に飛びかかってきていた。怒気と敵意が籠もった咆哮が夜闇に響くーーーが、それも一瞬で終わる。たとえ数で勝ろうと、常人が俺たちの動きを捉えられるはずもないからだ。

 

「なっ……⁉︎」

 

瞬く間に俺は長髪の目の前に移動し拳を向け、驚愕に長髪の目が大きく見開かれる。

 

「手荒なことをして悪かったが、一応は正当防衛ってことでよろしく。……それじゃあさっきの話を詳しく聞かせて貰おうか。ベラドンナがドラックを撒き散らしている張本人って話を……」

 

「何者だ、お前たち……」

 

まるで魔法でも使ったのかのような状況に、さすがの巨漢も動揺を隠しきれずに呟く。

 

「質問してるのはこっちだが……まぁもしかしたら、お前らの味方だと伝えておくか」

 

俺の言葉に巨漢は少し黙り込み、再び口を開いた。

 

 

 

「その様子だとお前たちはベラドンナがドラックを撒き散らしている張本人ということは知らないんだな?」

 

巨漢の静かな問い掛けに、俺たちは頷いて返す。

 

「それは確かなのか?だいたいベラドンナと不仲のおまえらが、どうして簡単に手に入るわけじゃない情報を知ってるんだ?」

 

「……皐月に来て日が浅いお前たちでも、幾つかの派閥があるのは知っているだろう。だが、グループ同士にまったく交流が無いわけじゃない」

 

「俺らと付き合いのある無所属のやつが一人、クスリにハマっちまったんだよ」

 

渋い表情を浮かべて長髪が続ける。

 

「そいつはこの前ラリってるとこをパクられちまったんだけど、ツルんでたやつらにちょろっと話しててよ。そっから俺らは話を聞いたんだよ」

 

「パーティーに来ればお前らも俺の気持ちがわかる、一緒にハイになろう、と話していたそうだ」

 

「パーティー?」

 

「今度のクリスマスイヴ、奴らはクリスマスパーティーの名目でドラックパーティーを開くつもりなんだよ。それで俺たちも最近見回りを増やしていて…そしたらこの辺に売人がクスリの取引をしてるって聞いて…」

 

そして人数集めて踏み込んだら俺たちがいてクスリを手に持っていてその上買おうとしていた男と揉めていたのでとっちめようとしたとのことらしい

 

「我々は____確かに行き過ぎている行為があることは否定しない。だが、我々の街を汚し、狂わせようという者には相応の対応を取るだけだ」

 

「警察とかには相談しようとは思わなかったのか?」

 

「大人なんか信じられるかよ!あいつらはテメーらの手柄が重要で、俺らのことなんざ一ミリも考えやしねーんだぞ‼︎」

 

すべて肯定は出来ないが、その言葉は真実の一端だろう。だからこそ、彼らは自らの力で街を守ろうとしたのだ。

 

「だから俺はドラッグを流したり喰ってるやつを見かけたら止めて、それでも聞かねーやつを潰したりして……」

 

(そうか……わかったぞ。こいつらは…)

 

俺は気づいてしまった。

 

 

 

 

 

 

(こいつら……ボンゴレと同じだ)

 

ボンゴレは元を辿れば自警団の集まりが始まりだ。自分たちの街を愛し、その街を踏みにじる理不尽から人々を守るために立ち上がったのが初代ボンゴレボス、ジョットとその仲間たちだ。

彼らも街を守るために自ら立ち上がり、彼らなりのやり方で街を守ろうとしたのだろう。

 

 

 

 

 

 

「おいお前らっ!!こんなところで何をしてる!!」

 

突然声が聞こえたのでそちらを見ると、皐月に来た初日に見かけたガラの悪そうな中年の警官と二十代半ばと思われる警官の二人組がこちらへ走って来た。

 

「お前ら…また参加騒ぎをしてるのか!?」

 

「ちょ…ちょっとゲンさん落ち着いて…」

 

こちらへ怒鳴ってくる中年の警官を若い警官はなだめた。

 

「あの…クスリを売り買いしていたので止めてただけで…喧嘩はしてません。」

 

「…なんだテメーらは?見かけねえ顔だな」

 

ゲンさんと呼ばれた中年の警官は俺とみやびを睨みながら聞いて来た。

 

「すいません、俺と彼女は最近この辺で遊ぶようになったもので…」

 

「ふん、まあ良い。こいつらは俺たち大人が引き継ぐ。だからガキどもはとっとと失せろ」

 

と、ゲンさんはしっしっと手を振った。

 

「ふざけんなっ!!後から来といて偉そうに…」

 

「うるせぇっ!!子供がヒーローの真似事で危ねえ真似すんな!!こういうのは大人の仕事なんだよ!!」

 

ゲンさんは長髪に怒鳴りつけた。

 

「行くぞ」

 

「ちょ…」

 

詰め寄る長髪を諌め、巨漢は立ち去り、俺たちも彼らについていった。

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、あの警官…自分らは遅れて来たくせに手柄だけ横取りしていきやがった!!」

 

イラつきながら長髪は近くの自販機を蹴っていた。

 

「あの人は?」

 

「あいつはこの街でずっと勤務している警官だよ。本名は田形 源四郎(たがた げんしろう)って言ってな。何かと俺たちに怒鳴りかかって偉そうにしているクソ警官だよ」

 

イラつきながら長髪は先ほどのゲンさんという警官のことを教えてくれた。

 

「教えてくれてありがとな」

 

「あ?なんだよお前…」

 

突然の俺からの感謝に長髪はポカンとした。

 

「さっきの話…嘘じゃねえって俺でもわかったよ。だから…お前らに協力させてくんねえか?」

 

「はぁ!?なんだよ急に…」

 

「この街を守りたいって本気で思ってる…それが伝わったよ。お前らに力を貸したいってな。俺の強さはさっき見たとおりだぜ。だから、俺らがここにいる間、協力させてくれ」

 

透流たちはベラドンナで情報収集をしてる。なら俺はこっちから情報収集するのが良さそうだ。

 

「………わかった。お前たちを迎えよう」

 

「お、おい鯨木さん……」

 

「鶴屋……こいつらは信用できそうだ。」

 

「……わかった」

 

長髪は少し慌てたが巨漢の言葉に頷いた。

 

「それじゃあ改めて、俺は天峰 悠斗、こっちは」

 

「穂高 みやびです。」

 

「……鯨木 匠(くじらぎ たくみ)だ。《沈黙の夜(サイラス)》のリーダーをしてる。」

 

「鶴屋 亮介(つるや りょうすけ)だ。副リーダーをしてる」

 

 

 

 

 

こうして俺たちは《沈黙の夜》と行動することにした。




悠斗たちは《沈黙の夜(サイラス)》で行動させて見ることにしました!!

それと、巨漢と長髪の名前はイメージでつけてみました。
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