アブソリュート・デュオ〜天狼〜   作:クロバット一世

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7話 死ぬ気の炎

暗闇の中で璃兎と俺は対峙していた。

璃兎は、凶暴な肉食獣を彷彿させる凶悪な笑みを浮かばせていた。

 

「透流、ユリエ、お前たちはみやびたちと合流しろ」

 

俺は《長槍》を璃兎に向けながら2人に指示をした。

 

「なっ…バカを言うな悠斗!!いくらお前でも1人じゃ危険だ!!俺たちも協力する!!」

 

「ヤー、私たちもまだ戦えます」

 

透流とユリエはそれぞれの《焔牙》を構えながら叫んだ。

 

「気持ちは嬉しいけどよ、この狭いフィールドじゃむしろ複数は危険だ。それに、やばくなったら俺も退却するから大丈夫だ」

 

「けど……」

 

「それに……敵がこいつだけとは限らない」

 

「……っ」

 

そう、もしこいつの他に仲間がいたら他の生徒たちに危険が生じてしまう

何より奴さんは待ちきれないようだ

 

「アタシを倒すダァ?やれるもんなら…やってみろやぁぁぁぁ!!!!」

 

その叫び声を合図に璃兎が床を蹴って正面から突っ込む。

《Ⅲ》の全速力は、殆どない両者の間合いを一瞬で詰めた。首を狙い《牙剣》を薙ぎ払う璃兎。

それを《長槍》を用いてガードするが、圧倒的差のある膂力で押し切られそうになり、長槍を斜めに傾けて薙ぎ払いを受け流すが、切っ先が頬を擦り血が流れる。

 

「気をつけるんだ悠斗!《焔牙》は人を傷つけるという強い意志を持つ事で相手を傷つける凶器に変わるんだ!」

 

「そうかよ…もしかしたらとは思ってたんだがな」

 

「へぇ〜……。予想はしてたわけか」

 

「まぁな、手で触ることができるし確かにそこにある、オマケに武器の形をした代物が肉体は傷つけねぇなんて都合が良すぎるもんな」

 

「くはっ、そりゃそうだわな《天狼》!!そんじゃアタシから特別レクチャーだ!!!」

 

圧倒的パワーとスピードでどんどん攻め続ける璃兎と、璃兎の攻撃を紙一重で見切りながらカウンターを打ち込もうとする悠斗、互いに膠着状態が続いていた。

 

「《黎明の星紋(ルキフル)》にはお前らが知らない超重要機密事項がある。機密事項その一ぃ!!《焔牙》が人を傷つける事のない武器が真っ赤な嘘だってことだ!」

 

「なるほどな、入学式での理事長の宣言は制御暗示(セーフティーロック)だったってわけか」

 

「その通り!そしてその暗示ロックを解除する為には事実を認識する事だ。そして《焔牙》で人を傷つける為に必要なのはもう一つ、敵意、害意、殺意といった人を傷つけるという強い意志を持って《焔牙(こいつ)》を振るう事だよ!機密事項その二ぃ!!《焔牙》を破壊されると、少なくとも丸一日は気絶して目を覚まさねぇっ!まあ《魂》がぶっ壊されてその程度で済むなら御の字だろうがよぉっ!」

 

なるほど、トラたちが意識を失っていたのはそのためか、まぁ確かに魂を破壊されて無事って方がおかしい

 

「やっぱりトラたちをやったのはてめえか…」

 

「まぁな、あいつらは思っていた以上に大したことなかったがなぁ」

 

やれやれと溜息を吐きながら璃兎は俺の問いかけに答えた。

 

「トラたちが弱い?どうやらその目はとんだ節穴みたいだな月見 璃兎」

 

トラやタツはもちろん透流もユリエも橘や不知火たちは強い。それが分からないようならこいつはとんでもない節穴だ。

 

「…さっきから言ってくれるんじゃねぇかテメェ…その憎たらしいツラァすぐにぶちのめしてやるヨォ!!」

 

そう言うと璃兎は悠斗に向けて更に攻撃を畳み掛けた。

 

「早く行け!!もしこいつに仲間がいたらみやびたちが危ない!!」

 

「…わかった、すぐにみんなを連れて戻るからな!!」

 

「悠斗、気をつけて」

 

そう言って二人はみやびたちの方へと向かっていった。

 

「そんじゃあ待たせたな月見 璃兎。テメェはゼッテー俺の本気でぶちのめす!!」

 

「……なるほどな、あいつらを遠ざけたのは仲間がいることの警戒だけじゃねえな……使うんだろ?《死ぬ気の炎》を」

 

璃兎は舌舐めずりしながら笑みを浮かべた。どうやらお見通しのようだ

 

「そういやさぁ……てめえの炎は他の守護者のそれとは一味違うんだったなぁ……おもしれえ……見せてみろよ」

 

「……そんなに見たけりゃ見せてやるよ。その代わり、てめえは叩き潰してやるよ。完膚なきまでにな」

 

悠斗は長槍を構え、集中力を高めた。

 

「…いくぜ」

 

すると、長槍の先端に白い炎が灯り、周囲の空気が冷え始めた。

 

「ほぉ〜死ぬ気の炎はいろんなやつを見たことあるが確かにそんな色の炎は見たことねえな……なんだそりゃ?」

 

「……名前くらいは教えてやるか……《雪》の炎だ」

 

これこそが俺の炎、《死ぬ気の炎》の中でも特に希少で未だ全てを解明しきれていない第零の炎である。

 

「まぁ解説は以上だ……ここからは……俺のターンだ」

 

その瞬間璃兎は大きく後退した。

しかし俺はすぐさま見合いを詰め、その距離はそこまで開く事はなかった。

璃兎は俺に攻撃を仕掛けるが、俺ははそれをいとも簡単に防ぐと一気に攻撃を畳み掛けた、

 

「冗談じゃねぇ…力もスピードのさっきと桁違いだ。さっきまでは本気じゃなかったってことかよ」

 

「…《死ぬ気の炎》ってのは人間の生命エネルギー、どうやら《死ぬ気の炎》と《焔牙》はなかなか相性が良いらしい。それよりも……お前、自分の体を見てみろ」

 

「……っ!何だこれは!?テメェなにしやがったぁ!!」

 

璃兎か俺の言葉を聞いて、自分の体を見ると、両足と剣を持つ手が凍り始めていた。

 

「俺の《雪の炎》の特性は《凍結》、あらゆるものを凍らせる。まぁいわば冷気を操る力だ。なんでも初代ボンゴレボスはこの炎をヒントにして奥義を編み出したとかっていうけど今はその話じゃねぇ。まぁつまり…詰み(チェックメイト)だ」

 

そして俺は、一気に璃兎に近づいた。決着をつけるために

 

「な…めんなぁぁぁぁ!!!」

 

璃兎は怒りをあらわにして悠斗に剣を振るうが、

 

「狼王弦月!!!」

 

俺の渾身の一振りによって、璃兎の《牙剣》は粉々に砕け散った。そして、轟音と細かい瓦礫が吹き荒れる中、月見 璃兎は気を失って倒れた。

 

「ふぅ、まさかこんなところで炎を使う羽目になるとは思ってもみなかったよ。」

 

俺はそう言いながら倒れている璃兎をみていると、

 

「悠斗!!大丈夫か!?」

 

透流たちがみやびたちを連れて戻ってきた。

 

「良かった、お前たちも無事だったか」

 

「おかげでな、しかしまさか月見先生を倒してしまうとは、キミは本当に只者ではないな。……しかし!!!今度からは二度どこんな無茶はするな!!!自分がどれだけ危険なことをしたか分かっているのか!?」

 

「そうだよ悠斗くん!!もし悠斗くんにもしものことがあったら…」

 

「いくらなんでも無茶しすぎです」

 

巴、みやび、梓の三人にこっぴどく怒られていると、合流してきた透流たちによって学園側へ連絡され、悠斗たちの手当てが行われた。

手当が終わった頃に駆けつけた三國達によって璃兎は拘束され、五人は今回の件は他言無用と念押しされて解放された。

そうして《新刃戦(しんじんせん)》の幕が閉じた

 

 

 

 

 

 

その日の深夜の校舎裏

 

「はい、予想外の事態が続けて発生し…ですが、今後の計画には支障は出ません。しかし、天峰 悠斗には用心するべきかと…はい、分かっています。私も博士の悲願の達成に全てを捧げるつもりです。博士……《装鋼の技師(エクイプメント・スミス)》殿にもそう伝えてください。では」

 

 

 

 

〜某施設内の研究室〜

ここに白衣を着た老人と金髪の好青年がいた。

 

「学園内に潜り込ませたスパイの報告によればどうやらトラブルがあったようですが計画には問題ないとのことです。」

 

「そうかそうか、あの子はとても優秀じゃからな…信用しても良いじゃろう」

 

「それと…天峰 悠斗には用心したほうが良いと」

 

金髪の青年の言葉を聞いた白衣の老人は笑みを浮かべた。

 

「ふむ、さすがはボンゴレファミリーの幹部といったところか…しかし幾らボンゴレだろうと儂を止めることは出来ん。それに…いざとなってもお前さんがおる。そうじゃろう…ミスト?」

 

すると、暗がりから藍色の仮面をつけた男が現れた。

 

『天峰 悠斗カ……奴トハ闘ッタ事ガ無カッタガ……問題ナイ……全テノボンゴレファミリーハ俺ガ潰ス。俺ノ人生ヲ狂ワセタボンゴレハナ……』

 

仮面の男は憎悪に満ちた声でそう呟き、白衣の老人はそれを笑みを浮かべながら見ていた。

 

「期待しているぞミスト、お前さんと例の《素材》、そして外部兵装が完成すれば儂の悲願、神殺しの部隊は完成する…」

 

狂気の野望を掲げながら

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