魔法少女リリカルなのは〜聖王少女と禍具(ワース)〜 作:八雲一家
私の名前はフィア。姓はない。あるのはただ、全てを壊すこの力のみ。
私は物心がついた時から"この世界"にいた。ここは薄汚い場所。誰もが目をそらし、誰もが忌み嫌う場所。そんな場所に私はいる。ここにいる人達は日々、その日を生きるために足掻いている。略奪、盗み、喧嘩なんて当たり前。生きるためには人を陥れ、殺しも厭わない。そんな汚れきった世界――そう、誰もが言う"裏世界"と言う場所に私はいる。ここにはヤクザや薬で狂った人、貧しい人、もしくはなんだかの犯罪を犯した人など、様々な人種がいる。
ちなみに私には親がいない。別に捨てられたとかではない……いや、生まれたときからここにいたのなら捨てられているとも言えるのか。……でも、どうでもいい。だって顔を覚えていないもの。所詮私にとっては赤の他人だ。
「お腹、空いたなぁ」
私はいつも通りの日常を過ごしている。……ただ、廃ビルの屋上で空を見上げているだけだけどね。
私はこの世界では有名方だ。悪い意味でね。
私はこの裏世界の業界で言う"暗殺者"と言われる役職に付いている。そんな世界で私のこの力を使い生きていると、いつの間にか大層な渾名を付けられた。
その二つ名は『白銀の処刑人』だ。なんでも、私のこの白髪とターゲットを殺す姿からつけられたそうだ。まぁ、心底どうでもいいがね。
暗殺者をやっているが、高いお金を渡される訳でわない。世の中はそう甘くなんてないさ。私の容姿は正直言って幼い。こんな世界で生きていれば栄養不足で成長出来ないのも当たり前だけどな。それに、私の容姿は女の子……いや、幼女の様な姿だ。自分で言うのもあれだが、こんな容姿の輩に金をあげるほど暗殺者を雇うやるらにいない。私なら殺させるだけ殺させて適当にあしらいおさらばだ。まぁ、私の場合はそれをする度に依頼者も殺して来たがね。
その為か私の所へ同業者の暗殺者や殺し屋が雇われて殺しに来たり、私用で殺しに来たりしてきた。だから私はその度に彼らをあるいは彼女らを殺した。殺しに来たから殺した。殺そうとしたから殺した。ただただ殺した。
だから、私は悪くない。だって、抵抗しただけだもの。私は生きていたいからね。
……そんなこんなで私はやらかし過ぎたのだろう。この世界でも腫れ物扱いだ。裏世界の住人は私の姿を見る度に怯えて隠れて何処かえと去る。
私が住んでいるこの廃墟ビル。このビルが建っている廃墟には私以外の人はいない。――いや、昔はいたけれど私が住むようになってから住人が私以外いなくなったと言ったところかな。
ここの廃墟は森で囲まれている。森の中は昼でも樹海の様な薄暗さと不気味さをはなっておりとても鬱蒼とした森だ。この森の周辺には集落や村などといった人の住んでいる場所など無く、無人に広がる雑草生い茂る場所。この森から人の住んでる場所まで行こうとすると10km以上はあるだろうね。今住んでいるこの廃墟だって、元はテーマパークか何かだったのだろう。だが、人がいなくなりこうして廃墟となっている。
なぜここに住んでいるのかって?なに、簡単な話しさ。私の事を恐れた裏世界のお偉いさんの連中が、私をここに住まわせた。当時、私をここへ連れてきた連中がいろいろと理由を作って説明していたが正直どうでもいい。いまさらどうこう理由をつけた所で構わんさ。
だって……私は何処にいたっていつも一人だから。
私がまだ幼き頃、ただ道を歩いていただけなのに、急に男が私の腕を捕み、地面に組み伏せられ何度も何度も突然殴られた。私は急な出来事にパニックになりながらもやめてと叫んだ。だが男は止めない、むしろより強く殴ったり蹴ってくる。私は耐えようとした、だが一人ならまだしも、2人3人とどんどんと数が増えていく。我慢ができなくなった私は必死に助けを求めた。誰でもいいから私を助けてほしかった。………………でも、誰もが顔を伏せ目をそらし無視を貫く。挙句、楽しそうに、可笑しそうに笑いながら私の暴力に参加する輩も現れた。
まだ、それだけなら良かった。だが、男の中には私の身体に欲情しやがった奴も出てきた。そんな奴に私は――。
私は必死に抵抗したがそれも虚しく、私は欲に溺れた複数の男達にひたすらまわされた。屈辱にも私は男達のされるがままに傷つけられ、汚れた。最後に満足しきった男達は私をゴミを捨てるかのように投げ捨て放置された。
私はその時思った。『あぁ、世界はなんてこんなにも残酷で残虐で理不尽なのだろうか…』と。裕福な者は表で生きていき、私の様な弱き者は、強き者に蹂躙されいまのように穢され捨てられる。
あぁ、なんて残酷で残虐なんだ。なんて大人なんて醜く汚いものなんだ。ああ、なんて――世界はこんなにも憎しみに溢れているのだろうか。
あの男が憎い、私を殴った男が憎い、穢した男が憎い、私の助けを無視した人が憎い、それを無視する連中が憎い、目を背け無かったことにする大人が憎い、強者が弱者を虐げる世界が憎い、それを置いとく表の連中が憎い、のうのうと生きている人間達が憎い、この世が憎い
あぁ憎い、憎い、憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイ。
―――全て、壊れてしまえばいいのに
その時からだったかなぁ。私が使っているこの能力が開花して、暗殺者として殺し屋として働きだしたのわ。
暗殺者兼殺し屋になってから数年。いまや畏怖の対象として恐れられ一人で暮らしている。一人に関しては楽だからいいけども。
この廃墟に来た時から、私は依頼されたターゲットはよくここへ導かれて何かをしている所へ私が殺しに行く。そんな仕事が増えた。暗殺者や殺し屋と言うのはターゲットへ自ら赴き殺しに行くのが普通だが、私にはそれは当てはまらない。殺しに行くのもあるが、何故か私の元へ来る依頼は、この廃墟へくる者を殺せという依頼ばかりだからね。ついさっき『アズライール』とか言う盗賊団を殺したばかりだしね。
「…………お腹、空いたなぁ」
『そろそろ現実逃避はやめてくださいフィア』
あぁ、確かに現実逃避はそろそろよそう。お腹が空いて倒れそうだ。
お金はない。いや、あるにはあるが使えないからな。だって怖がってみんな逃げるもの。だからあっても無いに等しい。
「……そうだ。盗賊の皆さんは食料持ってきてたっけ?」
『えぇ、あの方々なら食料を持っていましたよ?』
「なら、それ貰おう」
思ったら吉日。早速動くとしよう。
『フィア、いつもいっていますが手を洗ってから食料を触ってください。汚いです。病気になったらどうするのですか』
「……別に大丈夫。もう、普通の人間の体じゃなくなったから。化け物だから、平気へっちゃら」
『そ、れ、で、も、です。いいから手を洗いなさい』
「……わかったよ、ムラマサ」
さっきから喋ってる奴はだれだって? こいつの名はムラマサ。ある日気まぐれでよった裏市場で売っていたので、それもまた気まぐれで買った勾玉の形をした何かだ。何かってどういう事か?……だって勾玉が喋るんだよ?訳がわからないよ。マスター認証とかなんとかいろいろ言われたから適当に名前を付けていまは私の相棒?として一緒にいる。普段はネックレスとして首にかけてるね。
「って、私は誰に話してるんだろう?」
『何かございましたか?フィア』
「……え?うんん。なんでもない」
はぁ、最近疲れてるのかな。
「はぁ、こんな世界、呪われてしまえばいいのに」
本当、世界なんて無くなればいいのに
―――――――――――――――――――――――
あれから数日がたった。今日もどうやら殺しの依頼だ。さてさて、今日は誰を殺すのだろうか。
「えーと…………………………? 《『腹黒たぬき 八神はやて』『管理局の金色の死神 フェイト・T・ハラオウン』『管理局の白い悪魔 高町なのは』の3名を暗殺せよ。なおこれは時空管理局に知られてはならず、知られたのならば即刻自害すべき。》……なるほどねぇ。
うん。そもそも時空管理局ってなに?日本にそんな組織あったっけ?それとも外国? それになんだろうこの三名。そもそも聞いたことの無い人達ばっかりだぞ?数日前のアズライール盗賊団を含めそんな大層な二つ名ついているのなら少なくても一度は聞いたことがある筈なのに記憶無いし。時空管理局ってそもそもどこの管理局なのさ。」
なんだろう、この暗殺依頼。わけがわからないよ。
「まぁ、いっか。どうせ殺せばみな同じだよね。いこ、ムラマサ」
『了解しました。地図を出しますね』
「うん。お願い」
このムラマサはあきらかにこの世界の技術を超えている気がする。だって、空中になんか映像が出るもん。絶対なんかおかしいと思う。でも、便利だから気にしないことにしてるけど……一度聞いてみたら『これは魔法ですよ、フィア』なぁんて答え帰ってきたしね。だからもうそういうもんだとして放置なのです。
「いつも通り、さっさと殺してさっさと帰ろ〜」
私は依頼されたターゲットがいるという場所。"海鳴温泉"へと赴くのだった。
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私の名前は高町ヴィヴィオ!ミットチルダ在住の魔法学院初等科4年生。今日はなのはママ、フェイトママ、そのお友達の八神はやてさんと八神一家のみんなでママ達の故郷、地球の日本へ来ているの
日本に来た私達は1日目はあちこち観光して、次になのはママの故郷である海鳴市、その高町家に遊びに来たの。 みんな優しかった!
2日目は海鳴温泉って場所でくつろいでいたの。ここで初めてなのはママとフェイトママが出会ったんだって。凄く懐かしそうにお喋りしてた。
3日目、今日は地球に滞在する最終日。めいいっぱい遊んだから今から帰るところだよ
「ヴィヴィオ、楽しかった?」
「うん!すっごく楽しかったよなのはママ!」
「そう、それはよかった〜」
「うん。ヴィヴィオが楽しんでくれてよかった。私もなのはも嬉しいよ」
「ヴィヴィオはママ達が大好きやなぁ。見てるだけで幸せな気持ちになるわ」
なのはママとフェイトママの手を繋ぎながら帰る私たち。
「あら? はやてちゃん、あそこに人が立ってるわ。……女の子かしら?」
シャマルさんが何かに気がついて指を指した。私たちはそこへ視線を向けると確かに誰かいる。でも、少し遠くて見えずらい。
ずっと見ていると、その子はこっちに近づいてきた。どんどんと近づいてくるたびその姿がハッキリと見えてくる。
姿は一人の女の子。まだ2桁に達したばかりの私と同じ小学生くらいの女子だ。お尻まであるのだろう長い髪は白くて綺麗な色をしている。でも、毛先にかけて薄く水色になっていた。瞳は綺麗な黒紫色をしていてとても可愛い女の子だ。でも服装は半袖短パンで、どこか男の子みたいな格好をしている不思議な子だった
そんな女の子は私たちから少し距離をとった場所で止まった。
「あなた達が、八神はやて、フェイト・T・ハラオウン、高町なのは……であってる?」
首を傾げながら聞く女の子。
「せやで、うちが八神はやて。そんでもって、こっちの金髪美少女がフェイトちゃん、その隣がなのはちゃんや。二人とも私の大切なお友達よ。そんで、私たちになんか用かいな?」
はやてさんが笑顔で優しく女の子に聞いた。
「そう…あなた達が……」
女の子は俯き何かをするように手をポケットの中に入れた。
「二十番機構・斬式大刀態《凌遅の鉈》禍動(カース・コーリング)」
女の子が飛び上がり
「―――なら、死ね」
どこから取り出したのだろうか、巨大な鉈をはやてさんに振り下ろし―――
ガキィィィィィンッ!!
「―――ッ?!」
女の子は驚いた様に顔を歪ませ、慌てて飛び退き後ずさる。
「…………なに、それ?」
はやてさんを守ったのは、ザッフィーだ。
「盾の守護騎士ザフィーラ。主を護る者だ。お前からは酷く濃い血の匂いがしていた。だからいつでも動けるように構えていた」
ザッフィーを先頭に、シグナム、ヴィータ、シャマルさんが前に出る。
「ふーん。盾の守護騎士…ねぇ」
「お前はいったい何者だ。なぜ主達を狙う、何が目的なんだ」
シグナムさんが剣を構えながら女の子に聞いた
「……目的?……別に、ただ殺せと命令された。そう、それ以外の理由なんて私にはない。命令されたから、だからお前達の命を貰う。邪魔をするなら、誰であろうと殺す。だから、どいて。無駄な殺生はしたくない」
「無理な話だな。お前がなんではやてやなのは達を狙うかしんねぇが、私の友達や家族を奪うって言うなら容赦はしねぇ! ぶっ潰してやる!」
ヴィータちゃんがアイゼンを構えながら威嚇している。
「……………………そう。なら、仕方がないよね。邪魔をするから悪いんだ。だから私は悪くない。だから――――殺す」
女の子が鉈を構え突撃してきた。それをシグナムとヴィータが対象しようとするが……
「ちょいとまった!」
はやてさんが大声でストップをかける。驚いたのか止まった女の子。
「なぁ、ちょっと質問してもええか?」
「……別に構わない。どうせ殺すから」
「そっかそっか。ならあんた、私たちを殺すって言ってたけど誰から命令されたん?そこんとこ教えてもらってもええかな?」
「……送り主は、わからん。いつも、手紙でくるから。それも伝書鳩で」
伝書鳩?なんだろう、それ
「伝書鳩って…いつの時代やねんそれ。……まぁええわ。そんで?それになんて書いてあったん?」
「『腹黒たぬき 八神はやて』『管理局の金色の死神 フェイト・T・ハラオウン』『管理局の白い悪魔 高町なのは』の3名を暗殺しろ、管理局に知られたなら自害しろ……そんな感じで書かれてた。だから、お前達三人を殺す。私は暗殺者で殺し屋、依頼された命令を聞くだけだから」
「殺し屋?こんな小さい子が?」
なのはママがショックだったように声をだす。
「そうなんやねぇ(腹黒たぬきって誰やそんな事を言った奴は!しばいたろか!?)」
「(白い悪魔…)」
「(金色の死神…)」
ママ達、なんだか落ち込んでる気がする。
「まぁえぇわ。そんで?私達を全員殺すつもりなんか?」
「然り。一緒にいるということは、その時空管理局?を知っている可能性がある。微量でもあるなら目撃された以上、即刻排除するべきだから。だから殺す」
女の子は淡々と言う。私はそれに恐怖し思わずママの手を握りしめた。
「大丈夫だよヴィヴィオ。私達が着いてるから」
「そうだよ。なのはと私がヴィヴィオを守ってあげる。だから怖がらなくてもいいよ?安心して」
なのはママとフェイトママが私の手を優しく握りしめながら頭を撫でてくる。私はそれに安心した。
「なのはちゃん、フェイトちゃん……ここは、私達が相手しよっか。その方がいい気がする」
はやてさんがママ達の耳元で話をしている。
「うん。わかった。はやてちゃんがそう言うならそうする。フェイトちゃんは?」
「うん。なのはとはやての言う通り、私たちで相手しよう」
「なら決まりやな」
はやてさんが女の子へ視線を向けた。
「もういいです?」
「待たせて悪かったな。ほな、私たちが相手するわ。どうせターゲットは私たちなんやろ? ほかの人達には手を出させへん様にするから。その代わり、私たちを殺してもこの子達に手出ししたアカンで?」
「……………………わかりました。契約完了です」
「ほなやろっか?セットアップ!」
「「セートアーップ!」」
三人が光、いつものバリアジャケットの姿に変わる。私はザッフィー達に囲まれるように守られている。
「三人同時に相手ですか。訳のわからない現象が目の前で起きていますがどうでもいいです。……殺せばみな同じですから」
「――だから死ね」
女の子がはやてさんに鉈を振り下ろすがはやてさんは難なく交わす。
「……む? 素人じゃない…戦い慣れてる?」
「せやね。これでもいろいろと死線を超えてきたでぇ。そう簡単にやられへんよ。私もなのはちゃんもフェイトちゃんも――なっ!」
ドンッ!
はやてさんが女の子を蹴り飛ばす……が、女の子は鉈を盾がわりにして防いでいた。
「なかなか鋭いケリ……む?」
ヒュンッ!と女の子の頭上を黄色い斬撃が飛ぶ。フェイトママの攻撃みたいだ。
「鬱陶しい……五番機構・刺式佇立態《ヴラド・ツェペシュの杭(“A skewer loved by Vlad Tepes”)》禍動(カース・コーリング)!」
今度は鉈が鉄の杭の様に変形する。
「ふん!」
ブンッと投擲された杭はフェイトママに向かうけど、速さに特化したママに当たるはずもなく難なく避けられる。
『axel shooter』
桃色の弾が女の子を襲う。なのはママだ。
「………」
無表情で女の子は鎖の様に繋がった菱形のやつで難なく防いでいる。ママのシューティングの威力ってすごく強いのにビクともしないなんて……何で出来ているんだろう?
「へぇ、なのはちゃんの防ぐんか。なかなかやるなぁあの子。ところでなのはちゃんは大丈夫か?」
「うん、大丈夫。それにしてもあの子結構機動力あるよ。それにしても、あの子いろんな武器に変えられるのかな?なかなか強いね〜」
「そういうのは後!なら手数で勝負しようかな、ザンバーフォーム!」
はやてさんとなのはママとフェイトママが三人で構える。対する女の子は無表情でありながら、さっき投げたはずの杭を持っていた。
「…………これだけじゃ無理か」ボソ
小さな声で何かを言った。何を喋ったのだろう
しかし直後、なのはママは背後から衝撃を受けて前のめりに倒れ込んだ。
「…………え」
「なのは!!」
更に女の子は何かを引く、今度はフェイトママが横からの衝撃に吹き飛ばされた。
「クッ!一体何が!?」
フェイトママが体制を立て直し周りを警戒する。
「なのはちゃん!フェイトちゃん!大丈夫か!?」
「う、うん。私は大丈夫。フェイトちゃんは?」
「私も大丈夫だよなのは、はやて」
ママ達は背を預けながら周りを警戒していて、ザッフィー達も辺りを警戒していた。
「…………思ってた以上にダメージがなかったですね。びっくりです」
女の子はびっくりと言いながらも無表情で何かを探るように"左手"を動かしていた。
「八番機構・砕式円環態《フランク王国の車輪刑(“Braeking by wheel at Francs”)》進行ルートを砕きながら進むこれは私のお気に入りのひとつだったんですが……見えなくしただけでは意味がありませんでしたか。無意識のうちに避けられては意味がないですね」
そう呟くと、女の子の左手に大きな車輪が出現していた。どうやらなのはママ達を攻撃したのはその車輪のようだ。
「これらを二つ同時に使うのはキツいのです。さっさと殺させてください。」
女の子はまた左手の指を動かした。
「十一番機構・裂式波山態《鮫の歯(“The teeth”)》禍動(カース・コーリング)」
青い光とともに車輪は無くなり巨大な鋸へと変わった。
「さぁ、素敵なパーティーをしよう?」
ドゥンッ!
女の子はさっきまでの速さとは比べのもにならないくらいに早くなりママ達を翻弄する。
「くっ! この子、今まで以上に早くなってる!」
「なんやこの子!むっちゃ面倒やぞ」
「速さには速さで! ソニックフォーム!」
フェイトママが女の子以上の速さで動き女の子を攻撃する。女の子はフェイトママに翻弄されながらも的確に攻撃を防いでいた。
「ねぇどうして!どうして君みたいな子がこんなことしてるの!?どうして殺し屋なんて!」
なのはママが悲痛に叫ぶ。確かに女の子は私と同い年くらいだ。そんな子が殺し屋だなんておかしい。
「…………なぜ、だと?」
そこで初めて女の子の動きが止まった。フェイトママも気になったのか動きをとめる。
「そんなもの――生きるために決まっているだろう!」
無表情だった女の子は初めて表情を変え怒りにまかせて叫ぶ。
「あんた達には一生わかるまい!どんな野郎と関係なく殺し、泥水を啜って、いつ死ぬかもわからない!弱い者は強者に蹂躙され穢され、そして朽ち果て死んでいく。殺らなければ殺られる。そんな腐りきったクソッタレな世界、そんな世界で私はここまで生きてきた!!貴様らの様にノコノコと平和に生きていた者達と一緒にするでないわ!!」
ゴウッ!と風が巻き起こりママ達を飛ばした。
「ムカついた。全員切り殺してくれる」
女の子の目は赤く染まり、髪も全部青空色に変わる。
そして女の子は両手に持っている鋸と鉈を振り上げ――振り落とした。
「烈風・切リ刻ム黒キ無情ノ刃ッ!」
黒い風の刃が私たちを襲う。
「なのはちゃん、フェイトちゃん!」
「うん!」「了解!」
『protection』
三人は背中合わせになって同時に防護魔法を発動させた。
直後、防護魔法は三人に襲いかかった刃の衝撃を防ぎきった。
「ッ!?」
女の子は防がれたのに驚いたのか硬直する。
その隙をフェイトママが見逃すはずがなく斬りかかり、なのはママは砲撃体勢に入った。
女の子は必死に抵抗するが攻撃は全て弾かれて、フェイトママの剣を避けることで精一杯だった。
直後、はやてさんの撃ったシューターを不意打ちに受けた女の子は仕込まれていたバインドに拘束されてしまった。
「これは、なに!? う、動けない」
「聞き分けの無い子にはお仕置きだよ!ディバイン―――」
「――ッ!?」
「バスター!!!!!!!!」
女の子は辛うじて動いた両手に持った武器をクロスさせ盾を作るがなのはママの桜色の砲撃は無意味と言わんばかりに飲み込み、女の子は桜色の光に飲まれていった。
―――――――――――――――――――――――
なのはちゃんの撃ったディバインバスターが女の子に直撃し呑み込んだ。やりすぎかなぁ、なんて思ったけど大丈夫やろうと思い込む事にした。
「いや〜、これで一安心やね。一件落着ってとこかいな」
私は手で扇ぎながら一息ついた。
「そうだね。もう流石に動けないかなあの子。私もちょっと強く撃っちゃったから」
「えぇ!? それ大丈夫なの、なのは!」
確かに大丈夫なんかそれ? なのはちゃんのシューターって強力やからなぁ
「―――す」
ん?
「なのはちゃん、何か言った?」
「え?なにも言ってないよはやてちゃん」
え? でも声が
「――ろす」
「あ、ほらまた」
「本当だ。でもこの声って……まさか」
ああ、そんなまさか……嘘やろ。この声は
「―――コロス」
「みんな、ミンナ、コロシツクレテヤルゥゥゥゥウウウウウ!!!!!!」
砂煙が舞い上がりゆらりと立ち上がったのは、さっきバスターを直撃して倒れていたはずの女の子だった。
「え!?うそ! まだ動けるの!」
「む、無茶よ、あんなにもボロボロなのに」
なのはちゃんとフェイトちゃんが叫ぶ。そう、女の子の服は焼け焦げボロボロになっており穴が空いている。肌も焼けた跡やフェイトちゃんの切り傷などがついていて血が出ていた。立っているのがおかしいほど全身が血だらけになっており痛々しい……って
「え、嘘やろ……あの娘、魔法使いじゃあらへん。バリアジャケットなんてものじゃなくただの服や。いままで素の状態で私達と戦っておったん!?」
私達は、いままで自分たちの事、時空管理局の事を知ってるもんやからこちら側の人間やと思っとった。それにむっちゃ強いし本気じゃないとはいえ私たち三人と渡り合えてたし攻撃も避けとったからバリアジャケットを羽織ってるもんやとおもとったけど……
「なんでそこまでして……」
なのはちゃんが痛々しそうな声で言う。
「…………どうせこれが終われば殺される。いま確信した。私は処分されるためにきっとこの依頼が来た。つまり、私は用済みってわけだ。どうせあなた方を殺したところですぐに新しい殺し屋が私を殺しにくるだろう。
でもそれじゃ私が面白くない。ならさち違えてもあなた達を殺す、殺されるくらいなら自分で死ぬさ」
アハハハハ……と狂った様に笑いながら血だらけの状態で立ち上がる。
でも
「……なんでそんな悲しそうな顔をしとるんや」
私はボソッと呟いた。そう、笑っている女の子の目から涙が溢れていた。その目はもう、完全に全て諦めている濁った目をしていた。
「なのはちゃん、フェイトちゃん」
「うん、わかってるよ。あの娘、止めよう。あんな悲しい目をしてるのにほっとけるわけないよ」
「私も昔していた絶望しきった目をしてる。そんな娘を放ったらかしになんて私にはできない!」
「せやな。私もできへん。私も、あの子を救いたい!せやからさ、手伝ってくれへんか?みんな」
『もちろん/です/だ!』
私の言葉にみんなが頷いた。うん、ええ友達と家族を持ったもんやねぇ
「コロス、コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!!!」
女の子は手を動かすとまた形が変わる。今度は巨大なドリルだ。
「――シネ!!」
「来るよ!」
女の子が走り出し私が叫びみんなが構えた瞬間――
『止まりなさい、フィア!!』
バリバリィ!!
「――ッ!?」
女の子の身体から電撃が迸り女の子をとめる。私はおもわずフェイトちゃんを見るが、フェイトちゃんは首を横に振った。
「ア"ッ…グゥ……な、なぜ…止める…の……ムラマサ」
女の子が訪う、首元のネックレスに視線を向けて
『……あなたはもう限界よ。大人しくしなさい。あなたに死なれると私はこまるから。だから大人しくしろ、小娘』
「私…は……」
――ドサッ
女の子は倒れ私はしばらく待ったあと女の子に近づく。女の子を起こすと、完全に気絶していた。そして、初めてその時に気づいた。さっきまで血だらけだったのに、全て傷が塞ぎきっていたのを
『もう完全に気絶しています。すみません、手を煩わせてしまい』
私が傷を確認していると、女の子の付けていたネックレス。そのネックレスの勾玉から声が聞こえてきた。
「もしかして、デバイスか?」
『YES。私はあるお方に作られた俗にデバイスと呼ばれるものです。作られた理由や作ったお方の名は言えませんが、ある時にそのお方に言われ私はこの娘の専用デバイスとして活動しています。付けられた名はムラマサです。よろしくお願いします』
「よ、よろしゅうな。で、ムラマサって言った?この子、うちが保護してもええんか?」
『ええ、構いません。いつかは来ると思っていましたが、この子はいらないと判断されたらしく、この依頼が成功しようが失敗しようが、殺処分されていたでしょう。殺されるくらいなら、この子を生かす方へと選びます。』
「……そっかぁ。なら私がこの子運ぶわ。それでええか?」
『構いません。主が生きているのであれば文句はありません』
「ならそうするわ」
『あ、詳しい話は私からもしますが、主が起きたあとでもよろしいですか? どうせあなたがたの事です。事情聴取はするのでしょう?』
「わかったわ。ほなとりあえず行こか」
私は女の子をおぶる。って軽!?なに、この子ちゃんと食っとんの!?
「……はぁ、まさか休日の最終日にこんな事になるなんてなぁ……帰ったら仕事がいっぱいやなぁ」
「あはは、私も手伝うよ。だから元気だして、はやてちゃん」
「うん。私もなのはも手伝うから」
なのはちゃんとフェイトちゃんからの優しい声で癒されるわ
「そん時はお願いするわ。」
こうして私たちの長い休日がおわるのだった。