仮面ライダーカオス ~何でもあって、何でも無い~   作:彼是

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そろそろストックが無くなります。せめて区切りのいい所まではこのペースで投稿します。


更なる戦いへ

《今日は【これからだ】見ようぜ》

 

「え~【アニマル100連発】でしょ」

 

《かぁぁ!わかってねぇなぁ~【これからだ】の話が飯時にいいんじゃねぇか》

 

「そうかな?ちょっとどろどろしすぎだよ。飯時は動物見よう」

 

《動物はいいだろ昨日見たし【これからだ】にしよう》

 

「【これからだ】は一昨日スペシャルみたから【アニマル】見よう」

 

「《・・・・・》」

 

 

 

 【コア】の見たい【これからだ】という人生どん底から這い上がる姿を見るドキュメンタリーを見るか、俺の見たい【アニマル100連発】という動物番組を見るか・・・・

 

 

 

「よし、ここは次のコマーシャルを当てて決めよう」

 

《上等だ禿げ。必ず当てるからな》

 

「は、禿てねぇから。てか誰が禿だ!」

 

《俺は・・・動物だ!動物が出る!》

 

「おい!無視かよ!じゃあ俺は・・・会社のCMだ」

 

 

 

 こんな感じに【コア】と仲良くやってる。もう【コア】と生活して3ヶ月近く・・・そら仲良くなるよ。今ではこうやってCM当てるゲームをするぐらいだしね。

 

 

 

 テレビではちょうど番組が終わり

 

 

 

「《・・・・・・》」

 

 

 

 会社だ。基本的にCMは会社、商品のアピールに使う。そこから動物を使うCMはかなり少ない。絶対に会社の方か早い

 

 

 

 と思ってるだろ?このバカは。ククク・・・甘めぇ・・甘めぇなぁ!この番組のCMはかなり動物に寄ってるんだぜぇ?会社より商品寄りだ!つまり・・・

 

 

 

『驚きの白さ!アタック!家族の汚れをしっかり落とす!』

 

 

 

「クソがぁぁぁぁ!!」

 

《ヒャハハハ!!!俺の勝ちだ!》

 

 

 

 テレビにはいつも俺が使っている洗剤と家族(犬あり)の洗濯物を洗う光景が見える。

 

 

 

「あああぁぁなんでだよ!!」

 

《ほら!間抜け!チャンネルを変えな!!ハリー!ハリー!》

 

「っく・・」

 

 

 

 俺は【コア】に言われた通りにチャンネルを変える。テレビには物々しい効果音と共に人気番組司会者が番組説明をする。

 

 

 

 

 

 くっそぉ・・・今日は猫が多く出るから見たかったのに・・・

 

 

 

「ん?」

 

《あぁ?》

 

 

 

 急に番組の上の方に緊急速報が出た。

 

 

 

『本日お昼頃、京都市××の××高等学校で5人の生徒が亡くなりました。警察はこの事件を未確認生命体事件として捜査してると発表』

 

 

 

「これって・・・」

 

《ここからちょっと行った所だな・・・・》

 

 

 

 ここから2駅の場所で自転車で行ける距離だ。しかし・・・5人・・・かなり多い。【グロンギ】の【ゲゲル】だろう。【アンノウン】の可能性もあり得るが【アンノウン】は特性として【アギト】と【アギト】の血族を狙う。学校に5人血族がいる可能性はほぼ無いだろう。

 

 

 

《どうする?》

 

「・・・」

 

 

 

 はっきり言って嫌だ。痛いのも嫌だし戦うのもそうだ。しかも・・・【グロンギ】をどうする?殺すのか?それとも吸収?・・・・非常に困る。でも

 

 

 

「行く」

 

《ほぉ?》

 

 

 

 嫌だけど。もしあの時、俺が倒し損ねた【グロンギ】だったら・・・俺の責任だ。高校生が5人も死んだ責任を取る。

 

 

 

《いや、それはおかしいだろ?》

 

「おかしくないよ。違うな・・・誰が言おうと俺の責任だ」

 

 

 

 殺した奴はもちろん悪い。でも逃がした奴、見て見ぬふりをした奴も悪い。俺はそう思ってる。もし俺があいつを倒していれば・・・殺すのか?それは・・・やっぱりわからないがこれはおれが背負わないといけないものだ。

 

 

 

《はぁ・・・アホ、ボケ、カス》

 

「な、なんだよ?」

 

《いやぁ?殺されて、殺されそうになっても変わらない奴を見て、自分の不幸に嘆いただけだ》

 

「コ、コイツ・・」

 

 

 

 言いたい放題だな。でもわかる。俺は綺麗事を言ってる。殺すのは嫌だ。もで助けれなかった事を嘆く。ハッキリってクソ野郎だ。テレビを見て可哀想、酷い、でも何もしない奴らと同じだ。でも・・・

 

 

 

「俺には力がある。ある以上出来る事をするよ」

 

《はぁ・・・まぁしゃぁねぇか・・・》

 

 

 

 適当な事言ってやらないより適当でもやった方が絶対にいい。

 

 

 

「とりあえず明日休みだし行ってみるか」

 

《オーケー。探知はしといてやるよ》

 

「ありがとう」

 

《さぁてと。そう決まったら飯食べようぜ。腹減って仕方ねぇよ》

 

「・・・ああ。そうしよう」

 

 

 

 テレビを見ながら少し冷めた御飯を食べた。大変美味でした。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、現場の学校へ向かった。学校の周りは野次馬と記者だらけだ。正直後悔した。何か残ってるか調べに来たがこれは酷い。

 

 

 

《どうした?行かないのか?》

 

「・・・行けねぇよ・・・」

 

 

 

 こんな状態で聞けるかよ・・・遺族方々にもそうだし流石にこの野次馬や記者の連中はかなり酷い。確かに記者は情報を正確に伝える義務があるかもしれんが流石に張り込みすぎだ。これじゃあ日常生活に支障が出る。

 

 

 

《わぁってるよ。でも行かないと始まらねぇぞ?》

 

「確かにその通りだが・・・」

 

 

 

 せめて杭の攻撃だったかだけでもわかればアイツの【ゲゲル】かわかるんだが・・・もし違っても相手の攻撃手段がわかるかもしれない・・・どうしよう?

 

 

 

「ちょっといいかい?」

 

「え?」

 

 

 

 学校の方に注意が言ってて気づかなかったが後ろに警察官達がいた。え?なんで?

 

 

 

「話を聞きたいんだが構わないよね?」

 

 

 

 見れば俺の後ろに二人、更に学校から二人来ていた。めっちゃ警戒されてる。

 

 

 

(な、なんで?)

 

《そらぁ、お前の格好だろ》

 

 

 

 事件のあった場所近くの電信柱の後ろにニット帽、マスク、ネックウォーマーの男がいれば声もかけたくなるだろう。

 

 

 

(マジか・・・)

 

《まぁしゃぁねぇな》

 

 

 

 俺はマスコミに見られないように警察に連れて行かれた。

 

 

 

「あそこで何してたんですか?」

 

「事件があったので・・・見に行ってました・・・」

 

「ふ~ん。家からニ駅も離れてるのに?」

 

「・・・はい・・」

 

 

 

 一番近くの交番の奥の部屋で警察とOHNASIしている。机の向かいに目つきの鋭い男一人、俺の後ろに一人、部屋の隅に一人。なんでこんなに警戒されてるの?事件は未確認生命体だろ?・・・犯人じゃ無いが警察恐るべし。

 

 

 

「なんでなんな格好をしてたんですか?」

 

「・・・体調を崩したく無いから・・」

 

「へ~そうですか」

 

「・・・・」

 

 

 

《全然信用されてねぇな》

 

(本当にね・・)

 

 

 

 後ろから物音がする。チラリと見れば更に警察官が二人交番に入ってきた。

 

 

 

(なんでだよ!どんなけ来るんだよ!)

 

《お前なんかしたのか?》

 

 

 

「・・・ちょっと検査に協力してくれるかな?」

 

「け、検査ですか?」

 

 

 

 二人が来たとたん目の前の警察の表情が変わり、検査をしたいと言ってきた。

 

 

 

「・・・・してくれますよね?」

 

 

 

 あ、吃ったせいでめっちゃ怪しまれた。ど、どうしよう・・・

 

 

 

「検査って・・何するんですか?」

 

「ちょっと血液検査と薬品検査ですね」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 け、血液検査だと・・・更に薬品だと・・・

 

 

 

《ちなみに後ろの方々は銃を手にかけてるぞ》

 

(嘘だろ!?)

 

 

 

 なんで!?どんなけだよ!

 

 

 

「・・・・どうですか?」

 

 

 

 返事をしない俺に痺れを切らしたのか警官の態度が変わる。これはヤバイ。

 

 

 

(ど、どうしたらいい!?)

 

《あ~これは詰んだかな?》

 

(なんでそんなに呑気なんだ!?)

 

《そら吹っ切れるからだ》

 

 

 

 そんな風に一触即発の雰囲気に外の刑事は入ってきて目の前の刑事に耳打ちする。

 

 

 

「・・・・・」

 

「はぁ!?・・・ちょっと待ってろ!」

 

 

 

 目の前の刑事が警護が消えるぐらい怒りながら部屋を出ていく。代わりに奥に居た刑事が俺の監視に目の前に座る。

 

 

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

(めっちゃ気まずい・・)

 

 

 

 少しするとドン!と音がした後扉がゆっくり開き、先程出て行った耳打ちした刑事さんが戻ってきた。

 

 

 

「お待たせしてすみません。検査の必要無くなりましたので・・・ご協力ありがとうございます」

 

「え?」

 

 

 

 どうしたんだ?何があったんだ?そしてどうして目が笑ってないんですか・・・

 

 

 

「・・・」

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 交番を出る時もすごかった。全員が協力ありがとうございますと言いつつ目が笑ってなかった。更に最初に出て行った目つきの悪い刑事さんは完全に睨んでたよ・・・

 

 

 

《ちなみに付けられてるぞ》

 

(マジで?)

 

 

 

 どんなけだよ!確かに未確認(【グロンギ】【アンノウン】【オルフェノク】等)だけど犯人じゃないよ!寧ろ犯人を止めに来たよ!

 

 

 

(ちなみに何人?)

 

《あ~一人だな》

 

(目つき悪い人?)

 

《流石にわかんねぇな》

 

 

 

 ほぼ100%あの人だろ!最後めっちゃ睨んでたし!まず銃に手をかける!?いくらなんでも警戒しすぎだ!

 

 

 

《いやいや。普通だろ?お前が未確認なら死ねるぜ?》

 

(まあ・・・確かに・・・)

 

 

 

 ぶっちゃけ普通の銃じゃ未確認にダメージを与えられない。問題は・・

 

 

 

(《神経断裂弾》)

 

 

 

 神経断裂弾とは【仮面ライダークウガ】に出てきた警察の銃の弾で、打ち込んだ弾丸が内部で炸裂し神経組織を連鎖的に爆発させる。はっきり言ってヤバイ弾だ。【グロンギ】の【ゴ】のレベルで通用するのだから一般配備される弾じゃない。でもこの世界ではどうだろう?

 

 

 

《そら普通に使ってるだろうな》

 

(だろうね)

 

 

 

 更にいえば【アンノウン】には聞かない描写があったが・・・この世界では改良され効くだろう。もしくは違う弾になってるだろう。

 

 

 

(今度【黄瀬さん】に聞いてみるか・・・)

 

《だな。たぶんこの件もアイツだろうし》

 

(え?あ、あ~そうかも・・)

 

《てか、それ以外ねぇよ》

 

 

 

 確かにそれなら納得出来る。俺が警察に任意同行された事を知った【黄瀬さん】が手を回した。それが一番可能性が高い。つか本当にそれ以外わからん。警察からしたら怪しすぎる奴に検査すら出来ない圧力が更に疑いを強めてるんだな。

 

 

 

 後ろから付けてきた警察に内心申し訳なく思いながら、とりあえず帰りの為駅に向かう。交番のあった住宅街を抜け、現場の高校を通り駅の近くのショッピングモールに差し掛かった時だ。

 

 

 

《・・・・あ~言いたくねぇなぁ・・・》

 

(?どうした?)

 

《言いたくねぇが言わなかったら文句言われそうだし言うわ。この近くに【ホラー】がいる》

 

(え?)

 

 

 

 急にそんな事を【コア】言われ周囲を見る。何も感じない。てか【コア】便利すぎ。

 

 

 

(ちなみになんで言いたくなかったんだ?)

 

《そらぁお前が首を突っ込むからだろ》

 

(・・・ま、まあそんなんだが・・・)

 

 

 

 戦いは嫌い、でも人は助けたい。しかも敵を倒殺したいと思うわないし出来ればそんな事はしたくない。偽善、身勝手そんな言葉が頭を駆け巡るが動けないほどでもない。

 

 

 

《やっぱり行くのかよ》

 

(うん。場所は?)

 

《そこのショッピングモールだ》

 

 

 

 とりあえず行ってから考えよう。悩むぐらいならやれ。いい言葉だ。

 

 

 

《忘れてるかもしれんが警察はどうする?》

 

(あ~巻こう!)

 

《なんで濱口?》

 

(な、なんとなく・・)

 

 

 

 やや滑った感じにするがマジで巻かないとダメだ。どう巻こう?

 

 

 

《あ~走るか?》

 

(・・・それしかないか・・)

 

 

 

 迷ったがそれしか思いつかなかった。なので・・

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 後ろから焦った声がしたが気にしてられない。俺は角を曲がった瞬間にもうダッシュする。出来るだけ曲がりながらショッピングモールを目指す。ぶっちゃけ追って来てる刑事さんの脚力で俺に勝てるわけがないので割とあっさりと巻くことが出来た。

 

 

 

 このショッピングモールは大きく一階に食品、二階にファッション、三階に

 

映画館フードコート等の娯楽施設が入ってる

 

 

 

(ここのどこだ?)

 

《あ~3階の奥だ》

 

 

 

 玄関に入ってチラリと案内を見ると三階の奥は映画館のようだ。

 

 

 

(映画館・・・のどこだ!)

 

《あ~左真ん中だ》

 

(左真ん中!?わかんねぇよ!あ~!とりあえず近づいたら教えてくれ!)

 

《ああ》

 

 

 

 俺は人ごみをうまく避けてエスカレーターを目指す。しかしエスカレターは人が多く走って上に上がることは出来なそうだ。

 

 

 

(っち。階段は・・・あそこか!)

 

 

 

 エスカレーターのさらに奥に非常階段が見えたので走って向かう。非常階段は広く人も居なかったので大幅に進むことが出来た。

 

 

 

「はぁはぁ・・ど・どこだ・・」

 

《左の方たぶん・・・7番シアターだ》

 

 

 

 案内所を見れば7番シアターは左真ん中だ。さて・・ここからどうしよう?チケットを買ってる暇はあるのか?

 

 

 

《ねぇだろうな。もし奴さんが殺る気ならもう終わってるぜ》

 

(マジか・・どうしよう・・)

 

《しゃぁねぇな。貸し一つだ》

 

 

 

 【コア】は俺の足元から影の様に触手を伸ばし、俺から遠く離れた警報を押した。

 

 

 

ジリリリリリリ!!

 

 

 

「なんだ!?」

 

「どうしたんだ!?」

 

「キャアァァ!!」

 

「うわぁぁぁぁ?!!」

 

 

 

 火事警報だったようでスプリンクラーも動き出し、警報も含めて映画館は大混乱になった。

 

 

 

(ごめんなさい!)

 

《ついでにカメラも壊しといたぜ》

 

(流石!)

 

 

 

 この混乱でカメラを壊してくれて助かった。【スマートブレイン社】の件もあるし出来るだけ見られたくはない。

 

 

 

 外に出る人を上手いこと避けて奥に進む。【コア】に頼み子供が怪我をしない様に触手で誘導するのも忘れない。

 

 

 

《ったく。なんで俺様がこんな事を・・》

 

(そう言ってもやってくれる【コア】は流石ですわ)

 

《貸し二だからな》

 

 

 

 ある程度人が減り、俺の目的の7番シアターにたどり着いた。

 

 

 

「【コア】中に人は?」

 

《いる。というかこの中は【異界】になってるみたいだ》

 

(【異界】?)

 

 

 

 【異界】とは【ホラー】の結界の一つで、自分の世界を作り出し現世から隔離する。中級以上の【ホラー】が多く持つ力らしい。

 

 

 

「入れるのか?」

 

《モノによるが・・・これはキツそうだぜ》

 

「・・・無理すれば?」

 

《入れるだろうな》

 

 

 

 俺は7番シアターの扉に手をかける。触った瞬間にひんやりと冷たさとは違うナニカを感じる。

 

 

 

(これが【異界】?)

 

《ああ・・そうだ。現世とは違う【ホラー】の心の世界だ》

 

 

 

 じっと意識を集中させる。イメージは潜水に近いかもしれない。この扉は力だけでは絶対に開かない。【ホラー】の特性があるせいか分からないが【異界】の本質が少しだけわかる。

 

 

 

 【異界】とは【ホラー】の他者への欲望で出来きた結界だ。巣の様に使われたり罠に使われるのもその為だろう。この【異界】はどうやら巣の役割を持っているのだろう。入る事、出ることは許さないと強い意思を感じる。

 

 

 

(入れろ)

 

 

 

 その中に入る為には【異界】をこじ開ける程の力か相手の許可がいる。

 

 

 

《入れろ》

 

 

 

 俺の能力は【喰らう】事。吸収し喰らい自分の物にする力だ。

 

 

 

《(入れろ)》

 

 

 

 触手を扉全体に万遍無く浸透させる。ゆっくりと正確に確実に喰らう吸収する。

 

 

 

(ぐっ・・)

 

 

 

 吐き気と頭痛が凄い。強い酒を浴びるほど飲まされトイレに駆け込み、頭をハンマーで叩かれ続けているみたいだ。

 

 

 

 【クウガ】や【アギト】の力の様な純粋な力ではない【ホラー】を取り込むと言う事は、その【陰我】を取り込むという事だ。更にこれは【異界】だ。【陰我】【ホラーの欲望】を取り込むという事は・・・

 

 

 

《きたぜ。キたぜ。キタぜ。キタゼ》

 

(コ、【コア】?)

 

 

 

 【ホラー】の力が増え、【ホラー】に侵食される。

 

 

 

「?あ・・・ああアアああああアアぁああぁあっァァァっぁぁ!!?!!」

 

 

 

 身体を、体を、心が、こころが痛い、いたい。消えていく。

 

 

 

 大事な何かが消え、その隙間を埋める様に【欲望】が【陰我】が抉りこんでくる。身体を裂き心を引き裂き、溢れ出し溢れる程になっても止まらない。

 

 

 

《あががやけにヶヵぁあjカカっかかカカ》

 

 

 

 微かに残る意識で後悔している。なぜ?俺は他人の為にここまでしたんだ?なぜ?途中でやめなかったんだ?なぜ?俺は殺されて生き返ったのにこんな事をしているんだ?

 

 

 

 意識は狂い身体が膨張している姿を見ても後悔し疑問に思い続ける。

 

 

 

 なぜ?俺は身を犠牲にして他人を助ける?なぜ?他人を傷つけてはいけない?なぜ?他人で遊んではいけない?

 

 

 

 ねじ込まれた【欲望】と【陰我】が馴染、俺を再構成する。

 

 

 

 なぜ?自分を犠牲に他人を助ける? タスケタイカラ

 

 なぜ?幸せになれないの?どうして?

 

 殺したい ダメだ 他人を苦しめたい だめだ 喰らいたい 程々になら

 

 

 

 少しずつ意識が俺に溶け合ってくる。

 

 

 

 人を助けたい。いい格好がしたい。ヒーローになりたい。困ってる人を助けたい。楽がしたい。死にたい。仕事したくない。食べたい。喰らいたい。他人を貶したい。金持ちになりたい。幸せにしたい。幸せになりたい。壊したい。自分より不幸な人間を壊わし救いたい。助けたい。助けたい!

 

 

 

 意識が戻って行くにつれ自分の中で何かが変わった事を理解していく。身体に力が宿り、心は蠢き囁く。

 

 

 

《あ~あ~聞こえてるか?》

 

「聞こえてるよ」

 

 

 

 先程より【コア】の声が鮮明に聞こえる。【コア】は俺だ。しかし【ホラー】でもある。【ホラー】を喰らった吸収したから、より【コア】との関係が強くなったのだろう。

 

 

 

《それはよかった。どうだ?気分のほうは?》

 

「・・最悪だよ」

 

《なら大丈夫だ》

 

 

 

 扉には手をかけたままだし、周りにはまだ声が聞こえるという事はそれほど時間は経っていない。扉に触れている手からは先ほど感じたナニカは変質し暖かさすら感じる。

 

 

 

《さぁ行こうぜ?相棒》

 

「ああ」

 

 

 

 扉を押すと簡単に開く。コンディションは最悪。変身もどうなるかわからない。でも・・・俺の【欲望】の為に戦おう。


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