シアターの扉を開くと薄暗く、内部は何かの体内の様な光景に警戒レベルを引き上げる。奥から吹く生暖かい風が頬を撫でる。匂いはしないが不穏な空気に顔を顰めてしまう。
《かぁ~強くなったからわかるがコイツは厳しいぞ》
一歩踏み入れた瞬間に更に雰囲気が変わった。言うなれば殺気だ。スポーツをしていた人ならわかるが試合会場に入った感じでこの肌を刺す力は俺より強いだろう。
「最悪助けて逃げよう」
《だな》
奥に進むと構造状ありえない下りを進む。奥に行けば行くほど敵【ホラー】の力を強く感じる。これは勝てないかもしれない。
《・・・相手にはもうバレてるから助けて逃げろよ》
「ああ」
「ぅぅぅぅ」
奥から声が聞こえる。光も見えるからそこにいるんだろう。
「【コア】捕まってる人の人数と場所はわかるか?」
《おう。ここから6メートル程先に14人、更に奥に2人だ》
人数が少ない。この映画館のレベルなら100人近くいてもおかしく無いはずだ。まあ人が極端に少ない映画もあるがな。
「ぁぅぁぅぁぃぅぅぅ」
マジでやばそうな声が聞こえる。呻き声とは違う聞いたことも無い声が聞こえる。しかもたぶん一人。
《大当たりだ。たぶん【ホラー】と一緒のヤツからだ》
「・・・・」
奥に進むと酷い光景が広がっていた。手前の14人には浅黒い長細いワームに捕まり気絶していた。そして奥に虚ろな目をした女の子と、蚊や甲虫と人間を混ぜた【ホラー】が男の頭に長く鋭い管を刺していた。声を出していたのは刺されている男性で虚ろな目に口からヨダレを垂れ流し呻き声を上げている。
『
「【アブゾ】?」
《・・・・・マジかよ・・》
『人には言ってはおらぬ【アブゾ】に言うておる』
【アブゾ】?まさか【コア】の事か?
《ひさしぶりだな【ガリキス】》
【ガリキス】?まさかの知り合い!?
『
【ガリキス】と呼ばれた【ホラー】が指さしたのは隣の女の子だ。てか【ガリキス】は【コア】の声が聞こえる?
《そうとも言える。開放してくれるのか?》
『
《しねぇわな》
「ぁぁぁぁ・・・」
話をしてる間に刺された男はシワシワになり消えてしまう。頭に管を刺された時点で助けてなさそうだったがアレは人の死に方じゃない。
『
【ガリキス】は虫の表情で愉悦に浸る。
ああ・・コイツは無理だ。話をするとか折り合いをつけるとそう言う次元じゃない。人間が御飯を食べるように【ホラー】は人の【陰我】を喰らう。食べ物人間を調理して苦しめて食べる。
(【コア】)
《わぁってるって》
『何をする気じゃ?』
《なにがってそりゃ・・》
「《変身!》」
『!?』
変身して調子を確かめる。前より少し黒い皮膚の膜が黒く厚くなった気がする。そして背中の触手が強くなってる。先端に針が出来て更に突き刺す事に特化した。
《「気に食わないお前をぶっ飛ばすんだよ!!」》
先手必勝とばかりにまずは触手を2本先行させる。と同士に残りの2本で後ろの人質を助ける。どう助けるかって?とりあえずワームを倒すだけだよ!
ガッガガガッ!!
・・・ガッガガガッ?
『キサマ・・』
「マジかよ・・・」
俺の進化した触手は【ガリキス】の装甲を軽く削る撫でる程度しか出来なかった。さて、ここからどうしよう?防御力が高すぎて倒せない。防御力が高いヤツは攻撃力は低い理論はゲームだけだ。
【ガリキス】から、先ほどとは比べ物にならない殺気を感じる。思わず殴りかかろうとしていた腕を無理やり逸らしその場から退避する。
『ッ蚊カ!』
【ガリキス】は灰色の羽を大きく広げる。羽から黒く輝く鱗粉が舞い触れるモノを侵食する。
「あぁぁ・ぁぁ」
隣に居た女の子はその鱗粉を受けて真っ黒になった。それは繭の様に女の子を包み込む。床のボロボロのコンクリートは侵食されると真っ黒な砂になった。
「ッグ・・」
この鱗粉はヤバイ!見れば生き物に当たれば黒い繭になり、無機物は灰になる。か・・・本当にそうか?
『いや。俺の記憶が確かならアレは獲物を守る技であり敵を殺す技だ』
俺の記憶ねぇ・・・まあこの話は後ででも出来るしまず生き残ればな!【ガリキス】は羽を羽ばたかせ、空中に上がる。ああ・・マズイ。それはマズイ!俺は飛び上がり【ガリキス】を思いっきり殴り付ける。鱗粉が身体に触れると凄まじい熱と激しい痛みを感じる。どうやら鱗粉は熱で邪魔者を焼き殺すようだ。
『
殴り付けた衝撃で地面へ落ちたがダメージは無い。アイツ硬すぎない?降ろすだけで俺の全身大やけどなんだが・・しかし・・
『時間は稼げたな』
『ん?』
俺は後ろにいたワームを一斉に貫き殺す。これと同時に触手を使い人質を出口に向かわ。範囲は数十m。とりあえず部屋から出せば何とかなる。
『
「ああ。後は・・ん・・グッ・・ググァァァァァ!!!」
繭になっている女の子を持ち上げる。繭に触れると腕が焼き爛れるが持てる!
「うおおぉぉォォ!!」
繭を思いっきり入口に向かって投げる。うまくいけば・・よし!上手いこと入口を塞げたぞ。これで時間も稼げるし【ガリキス】が怒れば隙も付けるだろう。
『
っち。獲物を触られて怒るどころか薄ら笑いかよ。やりにくい。今の状況を一言で言うとやりにくい。グロンギは力に酔ったガキのイメージだが、【ガリキス】は余裕を持った老人のようだ。昔、田舎の爺さんと将棋をした時を思い出した。俺が最善の手やいい手を打ってもニヤニヤと薄ら笑いをしていたあのクソじじいと同じ顔だ。
『お~お。いい感だ。アイツは相当遊んでるぞ?本気だったらもう死んでるぞ』
(マジかよ。どんなけ強いんだよ)
『そらそうだ。【深淵の7柱】の一人だしな』
(【深淵の7柱】?)
『あ~・・・クッソ強えぇ【ホラー】集団の一人だ。詳しくは生き残ったらだな』
『
【ガリキス】は羽を再度広げ、触覚をすり合わせ奇妙な音を出す。その音に共振するように周囲の影から、先程倒したワームが5匹這いずり出てくる。その見た目からわかったことがある。
(コイツら・・・ボウフラか!?)
クネクネと特徴的な動き、【ガリキス】が蚊の【ホラー】だから下僕もボウフラか!?
ボウフラは急に動くのをやめて真ん中からパックリと割れる。中から白い【ガリキス】に似た奴らが出てくる。【ガリキス】より人間に近く、甲殻が少ない。
『コカカカカ・・』
また凄い鳴き声だな。5匹同時に鳴いたせいで部屋全体が揺れたぞ。しかも・・・
『強えな』
(ああ。思ったより強い)
ボウフラの時は一撃で倒せていたが成体は無理そうだ。てか当たるか?5匹は次第に身体が乾き、色が黒色に変色し始める。羽を大きく広げ、俺を威嚇している。
『ふむ。幼体の時に攻撃してくると思っていたが・・・そこまで阿呆では無いか』
「あ、当たり前だろ?せっかく遊んでくれそうなんだ。待たないと損だろ?」
『
あっぶねぇ・・・よかった・・・ボウフラの時に攻撃しなくてよかった。いや、攻撃しようとしたが【ガリキス】の殺気で動けなかっただけだが。
『コカカカカカ!!』
一匹の泣き声が開始の合図と言わんばかりに一斉に襲って来た。まずは一直線にきた奴を・・・殴る!
「オラァ!!」
『コカカ!』
口の管で俺を刺そうとしてきた顔面に力いっぱい殴りかかったが、とんでもない急旋回で避けやがった!なんだ今の動き!?
「グッ!」
『コカカカ!!』
驚いている所に後ろから別の個体に攻撃され、左腕が裂け血が吹き出る。クソが!色々取り込んでそれなりに戦えるようになった気になっていたが・・・これはキツイ!
『コカッカ!』
空中からの奇襲!読めていたが・・・避けれない!避けれないなら・・・
「うっ・・っらぁ!」
『コカッ!?』
背中を引っかかれ、大きく傷ついたがその反動を利用して顔面を殴る。ブヨっとした【ガリキス】とは違う触感に驚いたが・・・
『効いてるぞ!』
「ああ!」
『ほうほう』
『コ、カッカッ・・』
弱った奴を先に倒すは定石!触手で刺し殺す!ここで1匹でも倒しておきたい!
『コカカ!!』
「っちぃぃ!!だよな!」
もう一匹が触手の前に出てきて羽を盾に身を守った。最初に攻撃してきた1匹。殺せは出来なかったが飛べない奴1匹、ダメージ大の奴1匹。後は・・あ?
ピチャリ・・ピチャリ・・
・・・地面に落ちた俺の血の舐めてる2匹・・・マジかよ・・こんな時にサボってるのかよ・・確かに全員で来られたらヤバイけどさ・・
ピチャリ・・ピチャリ・・
・・・なんか一回りデカくなってね?血を舐めてパワーアップしてるのか!?そんなのアリかよ!?
『『ピギャァァァァァ!!』』
一際大きくなった2匹は泣き声は変わるし、前足?は鎌のように鋭く変化している。2匹にダメージ与えたら、2匹強化されたぜ・・ん?血を摂取して強化?
『『ピギャァァァァァァ!!』』
「あ」
そ、そういえば俺の背中を攻撃した奴もいるじゃねか。しかも2匹。腕を攻撃してきた奴、背中に攻撃してきてカウンターした奴。マジで?強化4匹、飛べない奴1匹?俺は背中と左腕に大きな傷。嘘だろ?
主人公の名前を考えていません。てか出さない縛りです。