これにてストックが切れました。次回は未定。早ければ明日、遅ければ来月ですかね?
さて、絶望的な状況だがまだ身体は動く。恐怖で足はガクガクだし、血が出てるから脳味噌からのアドレナリンがヤバイ。
『命は大切に、だぞ』
(わかってるよ)
とりあえず出口は塞いでるが脱出方法は確保している。問題は・・・
『蚊蚊蚊カカカ』
あのニヤついている奴だ。アレは気がついている。俺が触手を出口に設置して巻き取る事で脱出しようとしている事に気づいてニヤついているんだ。
(お前の友人は性格悪いな)
『あぁ?友人だぁ!?違うな!アレは敵だぁ!!アレは俺達の敵だァァ!!』
(そうだな。アイツ何か弱点とか無いのか?)
まずは強化している1匹の突進を身体の軸をずらし避ける。先程違い目が多少慣れてきたのか上手いこと避けれた。次の2匹は空中を飛び、鎌を振り下ろしてきた。速度が速いという事は・・・
(進めば避けれる!!)
鎌を振り下ろす直前に前に出る。進むと同時に方向転換は出来ても急に戻る事は出来ないだろう。
「ふぁ!?」
問題があるとするとコイツラの事をまだ舐めていたようだ。戻る事は出来ないが・・・・止まる事は出来たようだ。俺が通り抜けると急停止。からのバックしてきやがった!
「うおぉぉぉぉ!!」
走る!これ以上無い程に走る!向こうも遊んでるのか俺をバックで追いかけてくてる。問題は前から鎌を前にした奴が襲ってくる。1匹目・・・左!2匹目・・・スライディング!からの・・・3匹目は・・・ジャンプ!
『弱点ねぇ・・・まぁ。遊ぶ所だな。強者の余裕だな』
「しっってるよ!」
完全に遊んでるからな!後ろから1匹が俺の全力よりやや遅め。前から鎌を構えて突撃してくる。【ガリキス】に向かおうとしたら前から突撃してくるか、後ろの奴が速度を上げやがる。触手でチマチマ牽制は出来ても奴らはバカじゃない。得意の回避力と鎌で対応してきやがる。しかも弱らした奴は事ある事に出口に向かおうとしやがる。
(後ろのうざい奴だけでも何とかしたい)
『難しいな。触手で狙えばカバーリングしてきやがる。なんであんな奴守ってるんだ?』
確かに。遊びだろうがアイツだけ強くならない理由が無い。羽がボロボロだし強くする必要が無いとか?なら守る必要も無い・・・遊び・・・遊び?
「な、なあ?は、はぁはぁ・・・【コア】・・・アイツ遊んでるんだよな?」
『あぁ?そうだな』
「じゃあ・・・はぁはぁ・・・ルールは?」
『・・・ほぅ。なるほど、な。それを俺に探せと?』
「ああ!」
『オーケー!オーケー!任せろ!時間・・が来るまで逃げないで、戦うってものも乙なものだなぁ!』
これで俺は走る事に専念出来る。後は【コア】への情報の為色々試すか!まずは触手で後ろの奴を狙う!が・・ダメ!ルール違反と言わんばかりに後ろの奴のスピードが上がる。更に他の障害物ホラーの鎌の範囲、間隔が狭くなった!?
『LV2って所かな?』
(どちらかと言うとLV3かな?)
『でもまぁ・・・ルールはわかったぜ』
(マジか!早いな!)
『簡単な事だ。たぶん強化された4匹が攻撃兼防御だ。俺達を襲い、弱点を守るのが目的だな。あの雑魚は出口に辿り着く事が目的だろうなぁ。で俺達の勝利条件は』
「『あの雑魚を倒すこと』」
『蚊蚊蚊カカカ漸く気が付いたか。さて・・・ここからじゃなぁ~』
わかったなら話は簡単だ!2本の触手を使い、羽無しを狙いこれで後は2匹。後の1本・・は入口近くにアンカーの様に設置する。これで・・・
「仕込みは終わりだ!」
これで障害物は2匹。ここを抜けれれば・・
『・・・・・・・』
「ん・・・な、アアァァァァ!?グアァァァァァァ!!」
『おい!どうしたんだ!おい!っちィィ!!』
急に頭が割れそうな程の音が聞こえたと思ったら耳が聞こえなくなり、並行間隔を失い、耐え難い頭痛に見舞われた蹲ってしまう。後ろから鎌が迫ってきたのは奇跡的に背中を更に大きく傷つくだけで済んだ。
(な、なにが・・・)
『おい!起きろ!ふざけんなよ!!』
【コア】の酷く焦った声が聞こえる。視界が歪み、掠れ、ゆっくりと暗くなっていく。視界の端には薄緑に発光しながら羽を揺らしているヤツが見える。
(ぁ・・・ぁ・・・ぁぃつか・・・)
まさかそんな技を使うとは思わなかった。油断は無いつもりだったが経験不足かな?
『終わりかの~。つまらん』
『ピギャァァァァ!!』
『おい!立て!このままだと本当に殺されんぞ!!』
わかってるって・・・でも身体が動かない。今は頭痛は無いが身体は動く気配はしない。なんか戦うとこんなのばっかりだな。
『諦めんな!お前が死んだら俺も死ぬんだぞ!!立て!立てぇ!!』
変身も解け、このまま攻撃されたら死ぬだろう。立ちたいが立てない。もう殆ど目も見えないが何故か周りより頭がクリアだ。大丈夫だ【コア】。ギリギリだが間に合ったよ。
『何を!?』
ズバァァァァ!!
『ピ、ピギィィィ!?』
『ほう・・・』
出口から蒼い炎を纏った斬撃が2つ、部屋を分断する。一つは俺を追いかけていた【ホラー】を容易く切り裂き、跡形も無く焼滅した。そして残りの一つは音を鳴らしていた雑魚を焼滅し、【ガリキス】に防がれる。
『ふん・・・招かれざる客か・・・』
【ガリキス】はつまらなさそうに呟き、先ほどのニヤニヤ顔を止め、怒りにも悲しみにも見える表情へ変わる。残る3匹は身体を変化させ、先ほどより二周りほど大きく細くなり、鎌に4足には白と赤のラインが浮き出てくる。
『『『蚊蚊蚊カカカ』』』
出口の繭は蒼い炎で燃え、中から小学生ほどの女の子が出てきた。そしてその奥から蒼色の中世の甲冑着た騎士がレイピアを構え入ってくる。
『わかってるなソウジ?』
『ああ』
そこには俺達・・を殺した魔戒騎士が立っていた。
『ッシ!』
蒼迅騎士はレイピアを構えると【使徒ホラー】との間合いを一瞬で詰める。
『蚊カ!?』
【使徒ホラー】が蒼迅騎士に気が付き、両手の鎌で切り裂こうと腕を振るった。
『・・・一』
振るわれた鎌は空を切り裂く。しかし蒼迅騎士は既に【使徒ホラー】の移動しており、別の【使徒ホラー】の近くにいた。
『ほう。中々やるの~』
【ガリキス】の呟きに答えるモノはいない。蒼迅騎士を攻撃しようと2匹の【使徒ホラー】は同時に羽を震わせ、発光し鎌を振るう。
『・・・二三』
蒼迅騎士がそう呟くと【ガリキス】のほうへ向かい歩き出す。【使徒ホラー】の鎌は蒼迅騎士に触れるであろう瞬間に3匹・・はバラバラになり霧散する。
『・・・』
『ふむ・・・』
蒼迅騎士はレイピアを再び構えると、蒼い指輪をレイピアに当てるとレイピアが蒼く光る。【ガリキス】はその光景を見て、中足を顎に持って来て思考する。
『ソウジ!やめろ!』
『やれやれ。ワシの用事・・はすんだんじゃが・・・死ぬ気かノゥ?』
『ッ!?』
【ガリキス】から凄まじい殺気を感じ、蒼迅騎士は思わずレイピアに力を入れる。見れば軽く振るえ、よく聞けばカタカタと言う音がする。
『・・・』
魔道輪ジルの警告の意味はわかる。しかしソウジは魔戒騎士【ホラー】を狩る者だ。その使命に人生を捧げている。その彼は目の前の【ホラー】に勝てないからと引く訳にはいかなかった。
『蚊蚊蚊カカカ・・・うむ。気に入った・・・少しだけ遊んでやろう』
【ガリキス】は羽を広げ手足を広げ、立ち上がる・・・・・。
『ッ!?』
ソウジに油断は無い。異界を探知し、この場所に足を踏み入れた時に【ガリキス】の事をジルから聞いた。しかしソウジは何時【ガリキス】が座ったのか気が付かなかった。
【深淵の7柱】
魔戒騎士にも称号があるように【ホラー】にも階級・・・というより通り名がある。その一つが【深淵の7柱】だ。
白夜の魔獣 レギュレイス
ホラーの始祖 メシア
メシアの涙 エイリス
等の代表があるがそれは極一部だ。【ホラー】は魔界からゲートを通り現世に現れ、魔戒騎士によって封印され魔界に還される。そしてまた現世へ現れる。それは全世界に発生する現象であり災害だ。そしてその多くは対策・・されている。しかしまた対策のされていない存在・・・それが【深淵の7柱ガリキス】だ。
(よ、予想外だ・・・)
一瞬意識が飛んでいた俺は変身が解け、気が付いた時に気絶してる振りをして、戦況を隠れ見していた。俺はシアターを開けっ放しにして【ホラー】の気配を近くの魔戒騎士を探知させ、中にいる【ホラー】を倒させる、もしくは任せるという作戦だったが・・・
(まさかここまで差があるとは・・・)
《アイツじゃあ厳しいな》
確かにソウジは強い。しかし【ガリキス】はもっと強い。
圧倒的
まさにその言葉が的確だ。昔、RPGゲームでめちゃめちゃレベル上げてボスをボコボコにしてた事を思い出した。ほらほら攻撃してこいよ!きかねぇし、効いても回復するがな!てきな事を思い出した。
(てか今の現状の方がヤバイ)
そらそうだ。俺のダメージは大。そしてどっちが生き残っても逃げ切れるか妖しい。まずは体力回復を優先しないとこのまま殺される。
(どうよ?)
《あ~厳しいな。異界だから【ホラー】の事はバレるか妖しいが栄養が足りねぇ》
(異界は無理か?)
《アホかぁ!こんな状態で異界を吸収すれば【ホラー】に飲み込まれんぞ!》
しかしこのままだとヤバイ。ゆっくりでも出口に近づきたいがこの状態で動いたらバレるだろう。顔バレしたらマジでヤバイ。殺されるんご・・・
『ッ!ッハァァッ!!』
そんなくだらない事を考えていたらソウジが動いた。構えていたレイピアを【ガリキス】に振るう。俺には蒼い線がいくつもの走り、蜘蛛の巣に見えた。
『ふむ。そんなものか』
『!?』
【ガリキス】はそんな攻撃を受けても無傷だった。どういう事だ?俺の触手は表面だけとは言え傷はついた。でもあの俺の触手より強いであろうレイピア攻撃を受けて傷がつかないはずは無い。
『化け物が!』
『蚊蚊蚊カカカ!!』
ソウジは焦りとも取れるほどの大声を上げ、もう一度レイピアを振るう。そしてその度に線が走るが今度は【ガリキス】が器用に全て捌いているのが見えた。というより【ガリキス】が見せた。
(ああ・・・アレは無理だ)
先ほどまで、もしかしたらソウジなら勝てるのでは?不意打ちして二人で戦えば倒せるのでは?と思っていたがアレは無理だ。大人と子供ならまだ戦えるが、アレは戦いですらない。
『残念じゃが時間切れじゃ』
『なに!?ッ!』
【ガリキス】は攻撃を全て捌き、腕を軽く・・振るう。その風圧でソウジが吹き飛ぶ。間に合うように振られた腕のおかげで、防御出来たソウジは今の所は立っている。
『まだだ・・・ッ!?ガッ!?』
防御出来たはずだった。ダメージをある程度受け流し、まだまだ戦えるはずだった。しかし現状はもう一度レイピアを構えようとした瞬間、身体の彼方此方から火花が散り、ソウジはあまりのダメージに膝を付く。
『ソウジ!』
ジルの悲痛な叫びが異界に響く。この結果は当然だ。レベルが違いすぎるのだ。【ガリキス】が何をしたか?それは腕を振るって、目に見えない程小さい【使徒ホラー】で攻撃だけだ。そしてそのダメージを吸収して【ガリキス】の体力は全快だ。【ガリキス】と戦うなら最強の魔戒騎士【牙狼】、もしくは最上級【ホラー】レベルが必要だ。
『グッ・・・ガッ・・・』
ソウジはレイピアを地面に突き立て身体を支え立ち上がる。誰が見ても戦況は明らかだ。まさかの一撃で戦況が変わるとは・・・
(どうする?どうしたらいい?)
《どうもねぇよ。アイツが言っただろ?時間切れだ》
(?どういう事・・・)
パン!
(!?)
異界に大きな音だが、この状況に似合わない音が聞こえる。この音は拳銃の発砲音。まさか・・・
「・・・は、離れろ!未確認!」
そこに居たのは、拳銃を構え足をがくがくと震えながらも、そこに立っているのは目つきの悪い刑事さんだった。
描写めちゃ難しい。戦闘というよりみんなに読んで貰えているか不安です。
後は【ガリキス】の話が終わったら幕間を1つ入れて、ストックを溜める(小説の勉強も含め)る予定です。で・・・幕間の内容を募集します。何もなければアルテメギス(俺ツインテール)の話にします。