「ドラゴンボール見せてくれっ!!」
3つ目のドラゴンボールを手に入れた矢先に、4つ目の反応が見滝原に出た。それがマミの持つ三星球にぴったりくっついているとなると、皆の期待も高まるというものである。
「悟空くん、はいどうぞ。」
待ってましたとばかりに、笑顔で迎えてくれたマミ。少々思わせ振りに後ろ手に組んだ手を戻すと、ちょこんと小さな丸い物が悟空の手のひらに置かれた。
「おおっ、ありがとう! ん?」
「ふふっ、そのシフォンケーキはオススメよ、とりあえずお茶にしましょうか。」
「ははっ、なんだドラゴンボールじゃねぇのかぁ。おっ、うめえなこれ。」
肩透かしを食ったがケーキも食ったら喜んだ。風見野からマミのマンションまで直接来たのだし、紅茶を飲みながらちょっとゆっくりするのもいいだろう。
「あっ…」
そんな中、しっとりとした、穏やかなランチを見たまどかが、スーパーランチさんじゃない…。と小声で呟いていた。ちょっと悔しい。しかし随分と印象が変わるものだ。単純に驚いた。
「おい悟空、今日もまどかさん達とずっと一緒だったのか?」
「おぅ、そうだぞ。そういやラーメン帰りに食ったんだけどよ、なかなか旨かったな!」
「ドラゴンボール探してたんだろ?はぁ、羨ましい奴。皆とお食事まで…。なぁ悟空、今度はオレもいっ…」
「で、ドラゴンボールはみつかったの?」
「ちゃんとみつけたぞ。まどかがみっけたんだ、なっ!」
「えへへ…。」
「鹿目さん、凄いじゃない!」
照れくさそうにしながらも、五星球を鞄から取り出し、ずいっとマミに見せつけるまどかだった。
―それで? えぇ~!? あら、そうなの?―
「風見野」という事が、彼女の何かに触れたのだろうか。こちらも一息付くつもりが、息する暇さえ無いぐらいのマミの関心っぷりに気圧されるばかり。折を見て、なんとか新しいドラゴンボールについて話を振ってみても、これまたどういうわけか、さりげなく話題をずらす。普段のマミから考えても、真っ先に話してくると思っていたのだが。先程から武天老師も静かに佇むだけで、一切会話に入ってこなかった。
「そんなに美味しいラーメンだったのね、ふふっ。」
「あぁ、また食いてぇな。でも食い過ぎだってブルマに言われちまったけど…。腹八分目にしといたってのに。」
「あら、それじゃあまだ足りないんじゃないかしら?良いものあるわよ、食べる?」
くれるもんならもらいにくるぞの精神なのか、二つ返事でうんと快諾してしまう悟空。
「ふぅ…。」
キッチンの奥へと消えていくマミを、何とも言えない気持ちで見つめるほむら。楽しみにしていた彼女の紅茶も、この時ばかりはどんなだったかあまり覚えていない。
「はぁ、見てるだけで胸焼けしそうだわ、まったく…。」
「悟空くん…凄いね…。」
「そうね…。」
奇妙な空気ではあった。ガツガツと飯を口に運ぶ悟空でさえも、チラチラと周りの様子を気にする始末。
「ランチさん直伝の天津飯!どうかしら? うまく出来たと思ったんだけど。おかわりしても全然オッケーよ?」
「…うん、うめえぞ!…もうひとつくれる? 」
空になった丼を少しばかり控えめに差し出し、おかわりを求める。
「あら、嬉しいわ。ちょっと待っててね!」
丼を受けとると、またキッチンの奥へと消えていった。流石に痺れを切らしたほむらがマミを追う。
「ちょっといいかしら? 巴さん。」
どんぶり飯をこれでもかとよそうと、トントンと杓文字で形を整える。音を立てないように丼を一旦置くと、ゆっくりとほむらの方へ振り向いた。
「…まぁまぁ、そんなに焦らないで、暁美さん。」
「ドラゴンボール見つけたんでしょう?」
もっといい聞き方が有る筈なのに。
「えぇ、見つけたわよ。」
「だったら…!!」
気付いてあげるべきだった。彼女の小さな笑みが消えたことにすら気づかず、力任せに肩を掴んで詰め寄って。
「…もうどうしたらいいかわからないの…。」
掴んだ両肩が力なく崩れる。
「私じゃないの…。見つけたって、美樹さんが…持ってきてくれたの…。」
***
手の中で輝きを放つそれは美しかった。
渾身の力を込めて貫き叩き伏せた。ぐしゃりと潰れた只のがらくたと成り果てたモノから刀剣を引き抜くと、嫌な音を立てながら酷く濁った噴水が出来上がる。
多くの不純物を含んだどす黒い原油の様な液体がどろどろと染みだし溜まっていく。辺りに散らばったその身を覆い隠す様に。
流れ伝う生暖かい温もりが気持ち悪かった。一息一息、はあ、はあ、と深く息を継ぎながら、胸の鼓動が収まるのを待っていた。
もう、乱されたくない。素知らぬ振りを通していたかった。
元々そこにあったのかどうかはわからない。周辺が暗闇の沼と化す中、小さくポツリとあったであろうその存在は、より大きく際立ち、逃げる事を許してはくれなかった。ぬるりと纏わりついた黒い滑りを拭ってやると、その輝きは一層ました。行儀よくきちんと六つの星が並んでいた。
「綺麗…。」
思わず口に出してしまった事が悔しい。弄ばれている、そんな気さえしていた。
自らの覚悟を、祈りを、せせら笑うかの如く現れた、何でもかんでも叶えてくれるドラゴンボール。
―――――――
―――――
―――
―
透き通った見滝原の夜空が覗く。巻き込まれた人々も無事なようだった。心のざわつきを押さえ込むように大きく息を吐く。
でも、少しだけ…わかる気がした。
六星球をぎゅっと強く握り直すと、魔法少女、美樹さやかは駆け出した。
***
「ふぅ、これで終わりだな。」
最後の一本を届け終えた。こっちに来てから半ば強制的に始まった牛乳配達のバイト。彼の一日はいつもこれから始まるのだった。
仕事ぶりが認められてからは追加の業務を依頼される事も増えた。素早く淡々とこなすだけなので、大して時間が掛かるわけでもない。
「お疲れ様でした!」
雇い主に挨拶を済ませ、帰路に着く。朝からひどく疲れた顔の勤め人を見て、なんだか少し悲しくなった。お節介になっているのだから、バイトでも何でもしなくては駄目なのはわかる。その結果が牛乳配達だった。
こっちの世界で働くのは難しいというのは聞いたけれど。悟空なんて飯食って稼いでるってのに。僕も組手でもして、上手いこと賞金稼ぎでもしてきましょうかって言ったら武天老師様に杖で殴られた。
何にしても、冷や飯を喰わされているとまでは言わないが、ずっと蚊帳の外に置かれているのは感じている。とはいえ、そんな状況を甘んじて受け入れている自分も情けない。
「はぁ…早く帰ろ…。」
こんな日々を送る羽目になった彼への気遣いなのか、毎日色々とマミが用意してくれている。昨日はフルーツタルトだった。色とりどりの果物がふんだんにあしらわれた、甘く、甘酸っぱいフルーツタルト。今日はなんだろうか。
昨日も夜遅くまで起きてたみたいだった。彼女も何も言ってはくれない。もし帰り道であったなら、元気良く声をかけようと決めたクリリンだった。
***
本日の見滝原は、平穏無事のいつも通りのそのまんま。
堂々と河川敷に寝っ転がった久々の日向ぼっこは気持ちが良かった。
「んっ…」
少し風が強い。すきま風に乱された前髪をそっと整えると、にっこりと微笑みで答える。こちらを気にした彼もまた、優しい笑顔を返してくれる。
叶えた願いは上条恭介の腕を治すこと。思い人の回復を一重に願い、祈りを捧げた。
彼の左腕は一夜にして奇跡の復活を遂げたのだった。どうも足の方はまだ完全復活とはいかないようで、リハビリが必要みたいだった。早く良くなって欲しい。その辺何とかならないものなのか。今度キュゥべえに聞いてみよう。
そんな事を考えながら彼の乗る車イスを押し歩く。何処へ連れていくつもりなのかと聞かれたが、教えてあげない。
彼は将来を期待された若きヴァイオリン奏者だった。
その未来は突然の事故により無惨に打ち砕かれた。復活を信じようにも、僅かばかりとも動かない、痛みさえ感じることの無い左腕。そして遂には治る見込みは無いと宣告された。演奏家としての華々しい未来はもうやってこない。絶望のどん底だった。
「ほら、恭介。ついたよ。」
普段立ち入ることなどまず無い場所。こんな所に何の用?と不思議がる彼は、小さな人だかりを見つけると、あっ…と声を漏らした。
「お前には処分してくれと言われていたが…」
集まっていたのは上条の家族と病院の看護士だった。彼の父親がそっと、ヴァイオリンを手渡す。
「さぁ、試してごらん。怖がらなくていい。」
病院の屋上。未来ある少年の、ささやかな演奏会が開演した。
医者も匙を投げた二度と動く筈の無い彼の左腕は今、確かなる意思を持ち、ヴァイオリンの玄を弾く。緩やかに軽やかに、そして力強く、心地よい旋律を奏でてみせる。
―さやかちゃんはさ…後悔とか、ないの?―
ふと、まどかの言葉が頭をよぎった。
春風そよぐ河川敷、憂わしげな顔をした親友は、それでも絞り出すように声をかけてくれた。
後悔なんて、あるわけない。あたし、今最高に幸せだよ。
***
「ふぅん…。あれがこの街の新しい魔法少女ねぇ…。まったく、お幸せな顔しちゃって…しっかしさぁ、ホイホイ契約しすぎなんじゃない? 魔法少女のバーゲンセールかっつーの!」
「僕としては安売りしてるつもりは無いんだけど…本当に彼女と事を構える気かい?」
「だってチョロそうじゃん。瞬殺っしょ、あんな奴。それとも何? 文句あるっての、あんた。」
「すべて思い通りに行くとは限らないよ。それに、君も見たんだろう?」
***
「話って何?」
ああ、またか。言葉少なく、淡々と。そうして彼女を困らせる。
まどか達の馴染みのハンバーガーショップ。ガヤガヤと下らない雑談で盛り上がる学生ばかりの店内にて、そんな空気は微塵も感じられない二人のテーブル。
「あのね、さやかちゃんのこと、なんだけど…」
昨日は楽しかった。緩みきっていただろう。魔法少女を取り巻くこの世界の歪なうねりすら忘れて。結果、見たくもない何度も見たような光景を自ら作り出しているのだった。
「あ、あの子はね、思い込みが激しくて、意地っ張りで、結構すぐ人と喧嘩しちゃったり。でもね、すっごくいい子なの。優しくて勇気があって、誰かのためと思ったらがんばり過ぎちゃって…。」
「そうね…。魔法少女としては、致命的だわ。」
「そう…なの…。」
こうなってしまえば、後は何時も通りのテンプレのお返し。自らの不甲斐なさと苛立ちを重ねつつ、畳み掛けてしまう。
「度を越した優しさは甘さに繋がるし、蛮勇は油断になる。そして、どんな献身にも見返りなんてない。それをわきまえていなければ、魔法少女は務まら…」
「どうして…?」
俯き、気弱に身を縮めていたまどかが急に顔を上げた。
「どうして教えてくれなかったの…?」
一瞬、意味がわからなかった。思い詰めた眼差しがこちらを捕らえる。迫力、というよりは、圧があった。押し迫るものを確実に感じた。それを思い切りぶつけて来る、あのまどかが。困惑したまま理解に及んだときには既に遅かった。何も言えず固まったまま、浅く、ぬるい考えは壊れてしまって。もう完全に会話の主導権は彼女に流れてしまった。
「…さやかちゃん、何も言わなかった。何にも…。」
集団幻覚だとか、一騒ぎあったことは知っている。仁美が巻き込まれて大変だったことも。話の流れで魔法少女になったことを知った。会話が中途半端に噛み合わなくて理解するのに時間がかかった。知っているはず、そんな感じだった。
そんな彼女が、視線を外せば、スッと消えてしまいそうな笑みを浮かべて、爽快爽快と笑う。
「そんなわけ…無いのにね…。」
武天老師に命を救われたあの日。思わず目を背けたくなる現実を、まざまざと見せつけられたあの日。固まりつつあった思いは棚上げされたまま。この日を境に皆の興味はドラゴンボールへと移っていった。この出逢いは運命、マミもそう言って喜んでいた。以降、魔法少女体験コースなるものの開催には至っていない。風見野で五星球を見つけた時は嬉しかった。どこか、ほっとした。
そんな中、親友は魔法少女になると決意を固めていた。
「それなのに私は、さやかちゃんに…」
心配させまいとする、彼女の気づかいが苦しかった。覚悟を決めた彼女にしてあげられる事は何か。悩めば悩む程、全てが結局、他人事の様で居た堪れなくなる。そのくせして、その居心地の悪さを誤魔化すための自己満足に覆われた思いを、こうしてほむらに丸投げしようとしている。
「…………。」
彼女もまた、何も言ってはくれない。何も語ってくれない。こんな状態のほむらを見たのは初めての事だった。
「私だけ…ズルい、よね…。」
ほむらの目がかっと見開く。追う様にして口元が動いた時、密かに期待した。だがそれも虚しく、言葉にはならず元へと戻ってしまう。辛辣に罵って欲しいくらいだったのに、あの厳しい彼女の姿は何処にもなかった。
「あっ…」
言ってはいけない一言だった。今さら口を覆ったところでもう遅い。魔法少女になるなと、散々忠告をくれた彼女を動揺させるに足る、配慮に欠けた言葉。ズルい一言だった。
優しい彼女の心を握っておいて、何も知らない自分の我が儘に付き合わせて、追い込んで、困らせて。覚悟も何も無いくせに、傍観者のままでいることを拒み、形の見えない答えを求める。
皆の役に立ちたい。逸るその気持ちは空回る。周囲を巻き込んで、ぐるぐると。より純度を高めながら。
「…私は嘘をつきたくないし、出来もしない約束もしたくない…。」
どうにか、やっと紡いだ言葉は及第点にすら届かない。無様な姿を晒した上で、結局出てきたのは暁美ほむらとして貫き通す為の苦し紛れの酷い出来。似たような事態は過去にいくらでもあったのに。テンプレートをなんとか持ち出した所で、もうどうしようもなかった。
美樹さやかが魔法少女になる。その事実について、少なからず甘く考えていた節があった。対処しなくては、まるで予定調和の如く起きる事だと解っていたのに。何もかもが上手く進んでいるのでは、そんな淡い期待を抱くだけの匂いを感じた気がしていた。でもそれは、彼女の想いの前に儚く掻き消えるだけだった。
「あの子は契約すべきじゃなかった。確かに私のミスよ。あなただけでなく、彼女もきちんと監視しておくべきだった…。」
我ながら酷いと思う。優しさの欠片一つ乗せられなかった。ドラゴンボールの世界に触れてからというもの、目まぐるしい変化を見せるこの世界線が、かつてない予感を期待させた。
「一度魔法少女になってしまったら、もう救われる望みなんてない。あの契約は、たった一つの希望と引き換えに全てを諦めるってことだから…。」
繰り返せば繰り返すほど、過ごした時間はずれていく。気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。
たった一人で、足掻いて、もがいて、誤魔化して。
このままワルプルギスの夜を越えた先に、まどかの笑顔はあるのか。彼女の望んだ未来はあるのか。
永遠の迷路をさまよいながら、みつけた一筋の光。引き寄せられる様に覗いた瞬間、壊れかけた私に差し込んだ光の糸。細く千切れそうな絡まった運命を明るく明るく照らし出す、ドラゴンボール。
方々から手厚く差し出される優しさに触れて、あふれて、溢れそうになってから、ようやく気づく。心地好い温もりのなかで、溶けていく思い。懐かしく感じながらより鮮明になる、遠い昔に置き去りにした、その思いを。
「だから…まどか…あなただけは…頼むから…お願い……」
全てをさらけ出せたなら。全てをあなたに伝えられたなら。それも良いのかも知れない。でももう、わからない。
「ほむら、ちゃん……」
長い沈黙を経て、発せられたほむらの声は、消え入りそうな程に小さく、震えていた。重い言葉の、らしさの中から伝わる自責の念が、とにかく痛々しかった。
何故、彼女がここまでしてくれるのか、それは今も知らない。このまま彼女の思いを一方的に受け取る事に何も感じていない訳じゃない。本当は聞きたい事だらけなのに。その上で、答えてあげたい。答えなきゃいけないのに。それが彼女を今以上に追い詰める事になるのなら。
「ごめんね…。」
たくさんお話をして、一緒に遊んで、楽しい事をいっぱいしたい。ほむらちゃんの思う道筋からは随分ずれてるんだろうけど。でもね、私はもっと、あなたの笑顔が見ていたいから。
「えっ…? まどか…駄目、謝らないで…」
「もう、大丈夫。本当にいつもありがとう。」
そっくりそのままを、受け止めて。
「あのね、ほむらちゃん…」
誰かの為に必死になれる、あなたを。
「私…信じてるから…」
見つめ合う視線は、ずれて。黒い髪に隠れる崩れた瞳。小さく、小さく震える彼女の手を取って。
***
「緊張してるのかい?」
「まあね。一つ間違えたらお陀仏なわけだし。」
「一人で大丈夫かい、さやか? マミとまどか、いつも君達は三人一緒だったじゃないか。手伝ってもらわないのかい?」
「平気平気。マミさんだってそうして来たんだし。あたし、もう魔法少女になったんだよ。後輩として、それぐらいはね…。」
これ以上迷惑は掛けない。掛けてはいけない。
ここ数日で周りを取り巻く環境は大きく変わった。あの転校生とでさえ、軽口を叩き合う様な関係にまでなったのだ。その心地好さすら自らを追い詰める。
祝福してくれたマミの笑顔はとても切なく見えた。晴々とした気持ちになどなるわけがなかった。でも、自分で決めた。それだけで充分だった。
「さっ、悪い魔女を探してパトロール。これも正義の味方の勤めだからね!」
***
「なぁ、ブルマ。」
「何よいきなり、こっちは今忙しいの。」
「過去っつうのは、むかしむかしって事だろ?」
「ん?…まぁ、そうね。あるところにって続けるべきかしら。」
これから年老いたおじいさんとおばあさんでも出てくるのかというやり取りだったが、適当に流すつもりのブルマの興味をしっかり引いたようだ。
「そうかぁ。やっぱほむらはすげぇなあ。そこんとこに行ったり来たりしてるんだろ? オラにはそんな事出来やしねぇもんなぁ。」
まどかを絶望の運命から救う為、ほむらは時間溯行を繰り返していた。悟空もその思いを理解してはいるのだが。どうもいまいちピンと来ない事もあるようで。亀仙流の修行にはタイムトラベルについてのお勉強なんて無かっただろうし。
「そうね、言ってみれば反則みたいなものよね…。ドラゴンボールといい勝負ってところかしら。」
誰もが一度くらいは夢見た事があるだろう。もし過去に戻れるなら、まだ見ぬ未来を知れるなら。タイムマシンに乗っていざ行かんと、そんな事を思い浮かべてみても、所詮は夢物語の非現実。有り得ないこと。
「ねぇ孫くん? もしもその、むかしむかしに戻れる…孫くんが行けるとしたら、どうする?」
「ん? オラがか? うーん…」
ちょっとアドバイスでもと思うブルマだったが、悩む姿が面白いので止めておいた。なかなか時間溯行についての理解が進まない事に、ほむらも難儀していた。そんな悟空の為に、彼が出入り禁止になった中華料理店を例に出した時は流石に笑ってしまったけど。
「うん…そうだっ、じいちゃんに会いてぇ!」
にっこりと嬉しそうな顔をして。
「うん、孫くんのおじいさんね…。」
「みんなやドラゴンボールの事も教えてやって。それから…そうだっ!今度は一緒に闘うぞ!じいちゃん死なねえかもな。ははっ!」
「…そう、一緒にね。それは良いわ、ちゃんとボッコボコにしてやんなさいよ。」
満月の夜には大猿の化物が出る。孫悟空の育ての親、孫悟飯はその化物に踏み潰されて亡くなった。
「でもなんで、まどかの為なんだろうな、ほむら。」
「あぁ、それはね…」
「まどかのやつ、いっつも楽しそうだぞ?」
「ふふっ…そうよねぇ。」
最後までお読みいただいてありがとうございます。今年も後ほんの数時間。お疲れ様でした。お話のストックあるので次は早いかもです。最後までの展開は決まっているので、後は私のやる気次第ですね。こんなぐうたらな理由で長期連載?になるのも困ったものです。すいません。それでは皆様よいお年を!ご意見ご感想お待ちしております!