次回当たりから本編1話に絡んでいくつもりです。
~~前回までのあらすじ~~
東京の千代田区に両親と共に引っ越して来た少年、
『戸田山正司』。そんな初日の内に彼は3人の少女と
出会った。
『高坂穂乃果』、『園田海未』、『南ことり』。それが正司と、
彼女たちとの出会いの始まりだった。
公園で穂乃果を助けてから数時間後。
正司は穂乃果達の案内の元、穂乃果の両親が営んでいる
和菓子屋、『穂むら』へと足を運んだ。
理由は、穂乃果が正司の事を紹介するためだとか。
穂乃果「ただいま~!」
海・こ・正「「「おじゃましま~す」」」」
お店の入り口から中へと入る4人。
で、入ったら入ったで店のショーケースの前で……。
穂乃果母「あ、穂乃果お帰りなさい。それに海未ちゃんとことりちゃんも
いらっしゃい。って、あら?その子は?見ない子ね」
母「あら?正司?」
正司「あ、お母さん」
穂乃果の母と正司の母が談笑していた。穂乃果達が帰ってくると、
二人はそちらに視線を向けたが、見ず知らずの子供と自分の子供が
一緒に居た事に疑問符を浮かべた。
穂乃果母「あら?もしかしてそっちの男の子は」
母「はい。息子です。娘さんですか?」
穂乃果母「はい。娘と娘の友達です。穂乃果、挨拶しなさい」
穂乃果「は~い!私高坂穂乃果です!初めまして!」
海未「そ、園田海未、です。初めまして……」
ことり「私は南ことりです。よろしくお願いします」
正司「じゃあ僕も!戸田山正司です!初めまして!」
と、二人とも相変わらず元気いっぱいな挨拶をした。
母「元気な娘さんですね」
穂乃果母「元気過ぎるくらいですよ~。それに戸田山さんの
息子さんも元気で良い子じゃありませんか~」
と、ママたちの談笑は続いていたのだが……。
穂乃果「あのねお母さん!正司君スゴイんだよ!さっきだって
木から落っこちちゃった私を助けてくれたんだから!」
『ピクッ』
と、その時穂乃果の母の頬が引きつると共に、笑みを浮かべたまま
表情が固まった。
そして、その様子を見た穂乃果はしまった!と言わんばかりの表情を
浮かべた。しかし、時すでに遅し、だった。
穂乃果母「穂~乃~果~?今の話、じっくりはっきりしっかりお母さんに
教えてもらえるかしら~~?」
と、頭に角を生やし怖い笑みを浮かべながら穂乃果の肩をガシッと
掴む穂乃果母。
そして、穂乃果はその目じりに涙を浮かべ、プルプルと震えながら……。
穂乃果「ごめんなさ~~~~~い!!!」
母に恐れをなして全力で謝罪するのだった。
『ガンッ!!』
そして、そんな彼女の頭に最大級のげんこつが落ちるのだった。
正しく、母は強し(物理)であった。
数分後。
穂乃果母「本当にごめんなさい正司君。このバカ娘が迷惑を
かけたみたいで。ほら、あんたも!」
そう言って正司に頭を下げつつ、穂乃果の頭を押さえて頭を
下げさせる穂乃果母。
正司「だ、大丈夫ですよ。穂乃果ちゃんに怪我が無かったし、
僕も服が汚れただけですから」
と、先ほどの鬼モードの穂乃果母にびっくりしつつもそう言う正司。
「それに、僕はおじいちゃんに言われた事をしただけですから」
穂乃果母「正司君の、おじいさん?」
正司「はい。おじいちゃんが言ってたんです。男なら、
困ってる人や女の子の事を助けてあげなさいって。
だからあの時は、何て言うか、何も考えずに穂乃果ちゃんを
助けたって言うか。その」
と、頬を赤くし、どこか恥ずかしそうに語る正司。
穂乃果母「そう。……とにかく、娘を助けてくれてありがとう」
母「そうね。偉いわ、正司」
ことり「うんうん!あの時の正司君、かっこよかったよ」
海未「た、確かにすごかった、です」
穂乃果「そうだね!改めてありがとう、正司君」
正司「えへへ」
穂乃果や母たちに褒められた正司は、頬を赤くしながらはにかんだ笑みを
浮かべるのだった。
その後。
穂乃果母「そう言えば、正司君学校は?穂乃果や海未ちゃん達はこの
近くの公立校に通っているのだけど……」
母「そうなんですか?実は正司も明後日にはそこに転校する予定
なんです」
穂乃果「え!?じゃあじゃあ、正司君と一緒の学校に通えるの!?」
と、目を輝かせながらピョンピョンと兎の様に飛び跳ねる穂乃果。
母「うん、そうみたい。だからね、穂乃果ちゃん。それに海未ちゃんや
ことりちゃん。正司もまだ引っ越して来たばかりで色々
分からない事があると思うの。だから、もし良かったら
学校でも正司と仲良くしてあげて」
穂乃果「うん!だってもう正司君は穂乃果達の友達だもん!
ね、正司君!」
正司「うん!」
こうして、正司は初めての町で、初めての友達を作るのだった。
それから2日後、正司は穂乃果達の通う小学校へと転校し、
穂乃果達が周囲との緩衝役になった事も手伝って瞬く間に友人を
作って行ったのだった。
天真爛漫な穂乃果と正司。接する内に人見知りを克服し、
二人のお目付け役になる海未。そんな3人を微笑みと共に
見守ることり。
時には正司が海未に味方して暴走気味の穂乃果を止めたり、
危ない事をしては正司が穂乃果達を助けたりしながら、
4人は絆を深め合って行った。
しかし、そんな穂乃果達も知らない、戸田山家の仕事があった。
戸田山一家が越して来てからある程度時間が経ったある日の
夜明け前。
戸田山家に一台のホンダ・エレメントが止まっていた。
そして玄関の扉が開き、そこから大きなギターのような
装備、『音撃弦』を持った正司の父が山に行くようなフル装備で
現れた。玄関を出てから、彼は見送るに来ていた妻と、
妻と手を繋いだままパジャマ姿でまだ眠そうな息子の
正司の方を向いた。
父「それじゃあ、行って来る」
母「あなた、お気をつけて」
正司「パパ、鬼のお仕事、行って来るの?」
父「あぁ。悪い魔化魍をやっつけてくる。だからそれまで、
お前がお母さんを助けるんだぞ?」
正司「うん」
息子の前に跪き、そう言う父に対して、頷いた正司。
父「それじゃあ、行って来る」
そう言うと、正司の母は火打石を取り出し、カチカチと鳴らした。
母「ご武運を」
そう言って彼女は、彼のパートナーが運転するホンダ・エレメントに
乗り込んだ自分の夫の出陣を、静かに見守るのだった。
それが、戸田山家の、いわば裏の仕事だった。
人知れず魔を切る鬼の仕事だ。そしてまた、正司も……。
正司「お母さん」
まだ暗い夜道の中を走り去って行く車を見送りながら、正司は
母の手を握り返した。
母「ん?なぁに?」
正司「僕も、なれるかな。おじいちゃんや、お父さんみたいな鬼に。
本当に誰かを守れる、強い男に」
語り聞いた祖父と父の戦いぶり。それに憧れ、そして幼き少年は
思う。
自分も、彼らの様に強く在りたい、と。
そう思っていると、母が彼の手を握り返した。
母「なれるわよ、きっと。だってあなたは、お父さんとおじいちゃんの
子供なのだから」
そう言って、母たる彼女は正司に笑みを向けるのだった。
母の言葉を胸に、正司はもう一度、父の去って行った道の先を
見つめるのだった。
それから、正司は元気に育った。
穂乃果達と言う友人を得て、勉強はそこまで得意ではなかったが、
努力を怠らない性格は祖父や父譲りで、学校ではそこそこの成績を
残しながらも、体育などではこれまた二人譲り、且つ山の中の
祖父の家に日ごろから遊びに行って、自然に身に着いた子供離れ
した肉体を生かし常に好成績をキープ。運動では正司の右に出る者は
居なかった。
性格も穂乃果並みに天真爛漫な事が手伝って周囲からの印象もよく、
面倒見の良い性格故学年を問わずみんなから慕われていた。
穂乃果たちとの関係も相変わらずで、中学進学後も4人で集まる事が
殆どだった。
一方で、正司は暇さえあれば筋トレや体力強化に打ち込み、鬼と
なるべく現役の鬼である父や祖父のアドバイスを受けながら着実に
成長していった。
そして、時間は過ぎゆき、4人が中学3年の冬の事だった。
ある日の夕方、穂乃果達4人と彼女たちの母4人の合計8人が
ファミレスに集まっていた。
理由は、穂乃果達3人が高校の志望校である『国立音ノ木坂学院』
の入試に無事合格した事をささやかながら祝してだった。
穂乃果「あ~~!ようやく勉強と緊張とテストから解放された~!」
そう言って、料理を注文し終えた直後にテーブルに突っ伏す穂乃果。
海未「穂乃果、はしたないですよ」
ことり「まぁまぁ。今だけは良いんじゃないかな。テストも終わって
無事に3人揃って合格できたんだし」
正司「そうそう。無事合格したんだし、今だけは無礼講って事でさ」
窘める海未と、彼女を宥めることりとことりに続く正司。
ちなみに、席順は壁側からことり、海未、正司、穂乃果で
親たちはその向かい側に腰を下ろしていた。
穂乃果「けどさ~」
と、どこか不満そうな表情を浮かべつつ体を起こす穂乃果。
「音ノ木坂は女子高だし、ショウ君とは離れた学校に
なっちゃうんだよね~」
そう言ってどこか悲しそうな表情を浮かべる穂乃果。海未と
ことりも何処か悲しそうだった。
正司「大丈夫だって!転校するわけじゃないんだし、休みの日なら
いつでも会えるって!家も近いんだしさ!例え、学校が
変わったって俺達はいつまでも友達、でしょ?」
そう言うと、3人は少し驚いてから笑みを浮かべた。
穂乃果「そうだね!私達はいつまでも友達だよね!」
正司「そうそう、穂乃果はそうやって元気いっぱいじゃないとね。
元気こそ穂乃果の代名詞なんだから」
穂乃果「うん!……ん?ってちょっとショウ君?それは穂乃果の
取柄が元気だけって事!?」
言われて頷いたものの、若干バカにされたのかと思って詰め寄る
穂乃果。
正司「そ、そうは言ってないって!」
詰め寄る穂乃果に対して両手を振って否定する正司。
穂乃果「じゃあ私の取柄を言ってみて!」
正司「え?え~?え~っと、元気いっぱい、天真爛漫、物おじしない、
後は、え~っと、あ!え、笑顔が可愛い!」
と、咄嗟に褒める正司だったが最後の言葉を聞いた瞬間、穂乃果は
顔を赤く染めた。
穂乃果「え、え~?ホントに?ホントのホントに?」
正司「もちろん。僕は穂乃果の笑顔、好きだよ」
穂乃果「そ、そう?……えへへ」
と言われると、にへらっとした笑みを浮かべつつ更に顔を赤くする穂乃果。
しかしこの時、穂乃果の隣に座っていたことりと海未はどこか
不服そうだった。
ことり「ねぇねぇショウ君!私達は~?私と海未ちゃんには~?」
海未「こ、ことり?!」
と、咄嗟に話を振ることりと驚く海未。
正司「え!?えっと、海未はしっかり者で、勉強も運動も出来て
文武両道な、出来るお姉ちゃんみたいな感じで。
ことりは、いつも笑みを絶やさなくて、えっと、一緒に
居る人たちまで笑顔にしちゃう気配り上手な優しい
女の子、かな?あ!後は二人も穂乃果に負けないくらい
笑顔が可愛い!」
と、正司は咄嗟に思いつく限り褒め称えた。
すると海未とことりも穂乃果に負けず劣らず頬を真っ赤にした。
海未「そ、そんな事。私は……」
ことり「えへへ、可愛いか~。そっか~」
二人とも頬を真っ赤に染め、海未は笑みを隠すために俯き、
ことりは穂乃果のように隠さずに笑みを浮かべていた。
しかし、肝心の穂乃果はまたしても頬を膨らませた。
穂乃果「ショウ君!もっと穂乃果の良いところないの!?」
正司「え!?え~っと、あ、後は~~」
ことり「ねぇねぇ~ショウ君。私達は~?」
正司「え~~!?」
と、穂乃果とことりからの無茶ぶりにアタフタする正司を見て
母親たちは笑いが止まらない様子だった。
ことり母「あらあら。正司君はモテモテね」
海未母「今にしてみれば海未や穂乃果ちゃん達の子供の頃
からの付き合いですからね。それもただ一人の男の
友達。仲がいいのは相変わらずのようですね」
穂乃果母「正司君、将来は有望ですね~?」
と、穂乃果の母は隣に居た正司の母に笑いかけた。
母「はい。……誰に似たんだが、この子は純粋過ぎると言うか。
まじめすぎると言うか」
と、ため息をつきどこか心配しているような彼女。
『お母さんもお父さんの実直さには振り回されたって言うし。
この子が穂乃果ちゃん達を振り回すようなことが無いと
良いんだけど』
そう、彼女は一人の母親として心配するのだった。
しかし今の彼女には、正司が振り回すのではなく、振り回される
側になるのだと言う事を知る由は、まだなかった。
ちなみに……。
穂・こ・海「「「どうなの!?(どうなんです!?)ショウ君!(正司!)」」」
正司「ちょっ!ちょっとお願いだから待って!
一辺には無理~!」
結局正司への、とうとう海未まで加わった3人の猛攻(?)が
終わったのは料理が運ばれて来た数分後の事だった。
それから数日後。休日のお昼下がり。
正司「ハッ、ハッ、ハッ」
市街地の道の中をジャージ姿の正司がランニングしていた。
これもまた、正司が自分で決め行い始めた鬼になるための
トレーニングの一つだった。
やがて、数十キロのランニングを終えた正司は折り返し地点の
公園で小休止をしてからまたランニングで戻って行った。
正司が家に帰りついたのが午後4時前だったのだが……。
「ただいま~」
玄関で靴を脱いで整えてから、汗を流すのにシャワーを浴びる為
母に伝えようとリビングに向かった正司。
「お母さん、シャワー借り」
とリビングに入った正司は、そこで母とスーツ姿のことり母が
向かい合っているのを見つけた。
母「お帰り正司」
ことり母「あら?お帰りなさい正司君」
正司「南さん。どうして家に?」
普段からあまり会う事の少ない母親同士が一緒に居たため、少し
疑問を覚える正司。
ことり母「実は、正司君に私から、正確には音ノ木坂学院理事長として
お願いがあるの」
そう言うと、真剣な表情を浮かべることりの母に、正司は僅かに
驚きと戸惑いが混じった表情を浮かべるのだった。
その後、母の隣に座り理事長であることりの母と向かい合う正司。
「正司君は知らないかもしれないけど、実は年々、
音ノ木坂へ入校を希望する人が減ってきているの。
このままでは、生徒の減少による統廃合の話さえ
見え始めている程にね」
正司『統廃合って事はつまり、音ノ木坂が廃校になる、って事
だよな』
「その統廃合の話って、いつ頃になりそうなんですか?」
ことり母「早くても再来年。つまりことり達が2年に上がり
後輩である1年生が入った所で生徒募集を打ち切る事に
なるかもしれません」
正司「そう、ですか」
ことり母「それでね、正司君に関係する話はここからなの。
この事態を受け、私達は音ノ木坂の共学化する事を
検討しているの。正司君には、そのテスト生として
音ノ木坂へ『入学』。アンケートや共学化に向けた
準備への協力をお願いしたいの」
正司「入学!?俺が音ノ木坂にですか!?」
ことり母「既に正司君の進学先が決まっている事を承知でお願い
するわ。テスト生の話、受けてくれないかしら?
この通り、お願いします」
そう言って、彼女は床に指を突き、頭を下げ土下座をした。
これには流石の正司と母も顔を見合わせてからことりの母の
頭を上げさせた。
正司「……。あの、いくつか聞いても良いですか?」
ことり母「何かしら?」
正司「そのテスト生って、俺だけ、なんですか?」
ことり母「えぇ。今現在では」
その言葉に疑問を覚える正司。まぁ女子高に男一人が放り込まれる
のには疑問を抱かない方が可笑しいと言えるが。
正司「どうして俺だけなんですか?男子の同い年なら
この辺にだってたくさん」
ことり母「確かに、正司君の言う通りね。……けど、私は
理事長としてこの事案を考えた時点で危険の芽を
摘んでおきたいの。
考えても見て。周りの数十人が女子の中で男子は
たったの数人、或いは一人。その誰かが『間違い』を
おかしたら?」
正司「間違い?」
ことり母「私は決して男の子を信用していない訳じゃないの。
けど、もし何らかの形でその間違いが起こって
しまったら?共学化による統廃合撤廃以前に、音ノ木坂は
潰れてしまうわ。そんな事態を避けるためにも、私には
信用できる男子生徒が必要なの。そして私が現状で
最も信頼できる男子生徒であり、今年から高校進学を
控えている生徒が、正司君。あなたなの」
正司「……」
理事長である彼女の言葉に沈黙する正司だが、彼は頭の中で、
彼女の言う『間違い』に穂乃果達が巻き込まれたら?と
考えてしまった。
そして彼の中に、怒りや後悔、そして、そうならないために
自分に出来る事は?
様々な事を思い、考えた。そして……。
「わかりました。そのテスト生の話。受けさせてください」
ことり母「お願いできる?」
正司「困ってる人を助けるのは男として当たり前ですから。
音ノ木坂を、穂乃果達の学校を、そして穂乃果達を守るために」
そう言って、今度は正司の方が土下座して頭を下げた。
「俺に出来る事で協力させてください」
ことり母「……ありがとう、正司君」
こうして、正司は何の因果かただ一人、音ノ木坂へと進学する事に
なったのだった。
それから1か月程経った頃。春のある日、
穂乃果達は無事、音ノ木坂へ進学し今日は入学式が行われていた。
そんな入学式の中で理事長であることりの母が話をしていた時だった。
理事長「さて、この度皆さんは我が音ノ木坂学院へ入学された訳ですが、
実は今現在音ノ木坂は共学化に向けた動きがあります」
その言葉に1年の新入生を始め、2年や3年の生徒達が騒めく。
海未「共学化って」
穂乃果「ことりちゃん何か聞いてる?」
ことり「ううん。私は何も」
驚く海未と、娘でもあることりに問いかける穂乃果。しかし、如何に
娘であることりでもこの事は知らされていなかった。
やがて、騒めきが静かになると理事長は再び口を開いた。
理事長「様々な条件の中から吟味した結果、男子生徒を一人
テスト生として、1年に入学させることになりました」
その後、彼女の口から正司の事が粗方説明されて入学式は終わりを
迎えた。
その後穂乃果達が自分達の教室に向かっている一方、正司は一人
学院の保健室に居た。
理由は、正司の両親から学院の保健医の人に会っておけ。
そう言われたからだった。
何故なのか、と正司は疑問に思いつつもそこを訪れた訳だが……
???「やぁ、君が戸田山さん所の一人息子だね?」
そこでは、私服の上に白衣を羽織った茶髪ロングヘアの女性が
居た。
正司「はい。……えっと、あなたは?」
琴子「っと、自己紹介がまだだったね。私は『石田 琴子(ことこ)』。
見ての通りここの保健医をしている者だよ」
正司「あの、石田先生。実は俺両親に朝、先生に会っておけって
言われたんですけど」
琴子「そうか。……まぁそれは確かにな。ところで戸田山君。
もしここで私が『歩』だと言ったら、どうする?」
正司「ッ!?」
その言葉に、正司は驚いた。
鬼、音撃戦士を支える人々は、『猛士』と呼ばれる組織に属して
居る。そして彼らはそれぞれの役職を将棋の駒で表している。
各地にある支部を纏める者が『王』。鬼は『角』。
そして、猛士に情報提供などで協力する各地に存在する人たちが
『歩』だ。つまり、琴子は正司、延いては鬼の事情を知る人物
という事になる。
しかし最初は驚きつつも納得する正司。
「そう言う事だったんですか。だからお父さん達は」
琴子「あぁ、これでも私は猛士の一員でね。そう言うわけ
だから、今後は私も出来る限りの範囲で君をサポート
してほしいと、2代目トドロキ。君のお父さんから
頼まれてね」
正司「そうですか」
と、納得したような表情を浮かべる正司。
琴子「まぁそう言うわけだから何かあったらここに来なさい。
っと、そろそろ新入生が教室に戻る時間か。
戸田山君は今から職員室に行って担任の先生の所に
行きなさい」
正司「はい!ありがとうございました!」
元気よく返事をして頭を下げると、保健室を出て行く正司。
琴子「おやまぁ元気いっぱいだこと。……全く、誰に似たんだか」
その後、正司は職員室で担任となる先生である『山田 博子』に
挨拶をしてから教室へと向かった。
で、その正司が向かった教室、1年の教室では……。
穂乃果「私達のほかに男の子が入るんだ~。どんな子なんだろ?」
と、3人とも運命的に席が近かった事もあるため、先生が来るまでの
間に理事長が言っていた男子について会話をしていた。
ことり「やっぱり勉強できる子なのかな?テスト生って事だから
どこかの有名中学を主席で卒業した人とか」
穂乃果「え~?それってがり勉君って事でしょ~?何か
つまんなそうだな~」
海未「穂乃果、ことりも。会う前から推察で色々な事を言うのは
失礼ですよ。大体、今年の1年は2クラスあるんですから。
同じクラスになるかもわかりませんし、仮になったとしても
私達にはこれといって関係無い話で——」
『ガラッ』
博子「ほら~、全員席に付け~」
と、そこに海未の言葉を遮るように博子が現れ生徒達に座るように
促した。
生徒達は話をやめ、各々の席へと座って行った。
そして、博子からいくらか挨拶がされた後。
「え~、お前達も先ほど理事長から話が合ったから知ってると
思うが男子生徒を一人、共学化に向けたテストとして入学
させる事になった。そして、今日からその男子がお前達と
一緒に勉強するわけだが。そう言うわけだ。入って来い」
と博子が言うと……。
正司「失礼します」
『ガラッ』
穂乃果「え?」
扉が開いて、件の人物が入ってきた。その人物を見るなり、呆けた声を
出してしまう穂乃果。海未やことりも、唖然とした表情を浮かべていた。
そして、正司が教壇の横に立つのと同時に……。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!?」
ガタッと音をさせながら椅子から立ち上がり叫ぶ穂乃果。余りの音量に
他の生徒達が穂乃果の方を向く。
「なななな、何でショウ君がここに居るの!?!?」
博子「ん?お前ら知り合いか?」
正司「は、はい。小中と一緒の友人で」
博子「ふ~ん。……って、え~っと。そこのお前、高坂。
いい加減に座れ」
穂乃果「は、は~い」
そう言われると、渋々と席に着く穂乃果。
博子「え~。まぁそう言うわけでこいつはこれからお前達の
クラスメイトだ。仲良くするように。
んじゃあ戸田山。最後にお前の自己紹介で締めろ」
正司「はい。改めまして、この度音ノ木坂学院へテスト生として
入学する事になりました、戸田山正司と言います。
これからよろしくお願いします」
そう言うと、ビシッと礼をする正司。
こうして、鬼と女神たちのお話はまた一歩、前へと進んだのだった。
第2話 END
短いですが楽しんでいただければ幸いです。
※ 3月8日から一週間ほどインドネシアに行くためしばらく投稿でき
無くなると思います。ご了承ください。