破嵐万丈 インフィニット・ストラトス闘争   作:梵葉豪豪豪

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 大惨事。


03 ラスカルズ・ロンド

 ISの集団を追って、ラピド・ポータが疾走する。階層構造であるシン・ザ・シティのベーシック・フロアと呼ばれる階層に彼らが飛んでいったところまでは目視で確認できた。

 

 後部座席に座る簪が、髪飾り代わりに被っているIS用のヘッドセットに触れ、ISの電子関係のみを起動させた。彼女の目の前にコンソールが投影される。

 

「ラピド・ポータのナビにリンクします。ISの位置情報、出します」

「よろしく」

 

 ラピド・ポータのフロント中央に3Dの周辺マップが投影され、6つの光点が示された。IS同士だとお互いの位置を把握できる。

 彼らは既にオフィス街の一角に移動していた。

 

 

∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀

 

 

 ビルの間を縫って、白いISが飛翔する。真後ろまで追ってきた赤いISが剣を振るうと、粒子の乗った衝撃波が横向きに白いISへと迫った。お互いジグザグに飛びながら撃ったものが当たる道理はない。が、衝撃波はビルに当たり、横一直線にガラスと壁を派手に破砕した。

 

 更に白いISに向けて、真上を飛んでいた橙のISが銃弾の雨を浴びせる。白いISが移動しつつ刀を構えて防御の姿勢を取る一方、外れた弾丸は街路上の通行人や車に雨あられと降り注ぎ、通行人から悲鳴が上がる。

 橙のISを乱暴に押しのけ、今度は黒いISが上空から電磁砲による高速の弾丸を撃ち込んだ。白いISは慌てて避ける。が、真下にいたトラックが荷台を弾丸に貫通され、荷物を撒き散らしつつ、フレーム毎ひしゃげて折れ曲がった。運転席から、服に火の付いた運転手が慌てて飛び出し地面に転がり込む。

 

 

∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀

 

 

「あー! これもうテロじゃないの!? 何やってんですカー!」

 

 外の惨事を見たファン・ファンが頭を抱えてフンガー! と呆れかえる。簪が思わずこめかみを解しつつフォローを取った。

 

「あれ多分、一人の男子を女子らが取り合ってるんですよ……」

「ハイスクールラブコメはガッコの中でやって欲しいわね!」

「いやはや何とも」

 

 確かに終始白いISに対し他の5機が追っている様子がマップからも窺える。外から見える光景では、縦横無尽に飛び回るISの群れから撒き散らされる流れ弾や斬撃による被害が次々と起きている。

 

「止めましょう」

 

 万丈の一言に他の二人も同意した。その間にもラピド・ポータを人通りの少ない路地へと移動させる。

 上面の配置図の上に何故か「ZZ」とロゴがプリントされたシフトレバーにあるセーフティを解除し、シフトさせた。

 走行中の車体がホバリングを開始し、地面から離れた段階でタイヤが収納された。リアが変形してジェット・ノズルが露出し、下面から主翼が展開された。フロントからノーズが引き出され、、リアウィングが起き上がる。機体はビルの谷間から飛び立った。

 同じラピド・ポータでも地面を走ると「車体」、空を飛ぶと「機体」とは日本語の妙であろう。

 

 機体の上面を灰色、下面を水色に変化させる。都市で機体が判別しにくくなる配色である。

 機体の進行方向に、白いISを追う黒いISがマップで確認できた。

 

 ファン・ファンがダッシュボードからデジカメを取り出し、レンズの枠をガラス面に密着させながら撮影した。分析用の資料のためであるが、ラピド・ポータの位置がバレないアングルの写真はマスコミに売り込む按配である。

 

「捉えた!」

 

 あっという間に目視できる距離にまで詰める。黒いISからワイヤーに繋がれたブレードが地下鉄通用口の屋根を切り裂いていた。

 ラピド・ポータの側面から煙の尾を引いて発射された2発のミサイルは、狙いたがわず背面を向いた黒いISに向かって行く。

 

「当たれェ!」

 

 撃った後にこう叫ぶと百発百中になるという迷信を万丈は信じている。まぁ当たる直前なんだけどね。

 

 ISが登場して以降に設計されたミサイルは、シールドバリアで防御されたISをも仕留めることを前提にして作られている。爆発が長く持続すると同時に指向性の電磁パルスが内部をも狂わせる。実にいやらしい。

 ミサイルに撃墜された黒いISは煙を吐きつつ回転しながら墜落し、路上に激突した。既に万丈は他の目標を見定めていた。

 すぐ向こうにいる青のISはうつ伏せで低空を飛んでいたため、これまた背面からトリモチの入ったミサイルでビル1階の庇に縫い付けた。

 

 流石に3機目である赤黒のISはラピド・ポータに気付いてぎょっとした。ISの反応を拾った上に外見が飛行機だったからである。すれ違う直前にリアからネットを撃ち出し、絡め捕った後パン! と響く電撃と電磁パルス攻撃で黙らせて墜落させた。すれ違う時に操縦者と目が合ったが、機体のガラスは電磁的にスモークが張られているので顔を見られずに済んでいる。

 

 4機目の橙のISは流石に向こうからライフルで撃ってきた。機体表面に当たった銃弾は全て跳ね返される。流れ弾が周囲のビルに当たって方々で派手にガラスが砕け散った。清掃用のゴンドラに当たり、ワイヤーが切れて清掃業者が落ちかけて必死にしがみついている。

 

「周りに当たるでしょッ!」

 

 万丈はそう怒りつつラピド・ポータをビルの影に廻り込ませる。相手が中間のビルを撃ち抜くなんて真似はしないと祈るしかない。

 

 ビルを一周した時には目標のISの背後、上方に廻っていた。相手が気付いて慌てて振り返る中途半端な姿勢で、腰に向かって機体を激突させた。悲鳴を上げながら錐もみを描いて斜めに落下していくISに向かって、万丈がトリモチミサイルを発射。ISは落下直前で信号機に絡め捕られ、蓑虫のようにぶら下がった。

 

 残る白いISと赤いISは、周囲に気付かず斬り合いを続けていた。斬られたりぶつけられたりで周囲が破壊されていく。無表情で万丈はミサイルを撃ち放ち、吹き飛ばした。

 気付いた二機が慌てて全力で後退して飛び去った。赤いISが反撃に衝撃波を飛ばすため剣を振るおうとした瞬間、ビル間の連絡通路の下側に二人して盛大に後頭部を打つ。連絡通路を半壊させつつ二人絡まり合いコンコースに激突し、滑った先にあったトラックの残骸にぶつかった。奇しくも先程黒いISが撃ち抜いたトラックである。

 

 万丈は全機の撃墜を確認した。奇襲による虚をついたため上手くいった。機動力の高いIS相手に真正面から立ち向かっていたらおよそ捉えることもままならなかったろう。

 万丈としては極力周囲の被害を抑えて止めたつもりだったが、なかなかそうもいかない。眼下に広がる街並みは煙と瓦礫にまみれ、怪我人と野次馬で溢れかえっている。

 

 警察と消防、救急車が集まる中、ラピド・ポータは一旦遠くまで移動して降下し、再度現場に向かった。

 

 

次回:04 一触即発の唄

 




 短いが掲載ペースを考えて次回へ持ち越し。

・ラピド・ポータ
 シフトレバーの印刷は簪の仕業。

・当たれェ!
 ギュネイ万歳→ヤクト・ドーガ万歳→プラモデル買う
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