無限の剣を持つ男の異世界物語   作:ランホーク

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21話です!


忘却

カズマサイド

 

 

「ドナドナドーナードナドーナー」

 

「なあカズマ。アクアがさっきから呪いの歌を口ずさんでいるんだが」

 

「しょうがないよソイホン。皆結構無視してたけどアクアずっとワニに襲われてたんだから」

 

「いやマリー。それとこれは関係・・・・あるのか?」

 

「あるだろ」

 

俺のツッコミが炸裂しアクアが呪いの歌を歌っている理由がわかった所で話は終わった。

 

 

俺達・・正確に言えばアクアの浄化クエストが終わったので街に帰ってきたのだが。

 

「なあアクア。いい加減檻から出てくれないか?目立ってしょうがないんだが」

 

マリーが引いている荷車の上に置かれた檻の中には何故か今も尚アクアが閉じ込められていた。

 

「いやよ。この檻こそが私の聖域。外の世界は怖いから嫌。」

 

ハイライトを失くした瞳でそう言うアクア。心を閉ざした人間ってこうなるのか。普通に怖いわ。

 

しかし出てくれないと結構困る。

 

街中で檻に入ったままのアクアを運んでいるから目立ってしょうがない。

 

「女神様!!女神様じゃないですか!!」

 

「「「「「え?」」」」」

 

アクア以外の俺たち5人がその声に反応する。そして全員声がした方へと振り向くとそこには腰に魔剣を携え高級そうな青の鎧を身に着けたイケメンがいた。

 

「女神様!!大丈夫ですか!!」

 

そう檻にいるアクアに声を掛けながらあのワニ達ですらビクともしなかった檻を素手でへし曲げた。

 

「なっ!」

 

「へえ」

 

「ふーん」

 

上からめぐみん、ソイホン、マリーの順番でイケメンの力に対してのリアクションを取った。

 

「女神・・・・」

 

「大丈夫ですか女神様?さあこちらへ」

 

イケメンがアクアに手を差し出し外に連れ出そうするが、

 

「おい待て貴様。私の仲間に気安く近づくな」

 

ダクネスがイケメンの肩を掴み動きを静止させる。

 

「ここだけ切り取れば騎士っぽいのに」

 

「ほんとそれな」

 

俺とソイホンの会話が聞こえたのかダクネスが顔を少し赤らめている。

 

「おいアクア。お前の事を女神とかいう奴が出て来たけど、アクアの知り合いじゃないのか?」

 

「女神・・・女神・・・そうよ!!私は女神よ!!それでこの私に用がある子羊はどこのどなたかしら!!」

 

まさかこいつ自分が女神だという事を忘れてたな。

 

「誰?」

 

「え?知り合いじゃないのか?」

 

「僕ですよ!!御剣京谷ですよ!!あなたにこの魔剣グラムを頂いてこの世界に転生した!!」

 

御剣京谷。名前からして間違いなくこいつも俺と同じ日本からの転生者だ。イケメンなのがすげー腹立つ!!

 

「あ~・・・うん、いたわねそんな人。結構な数送ったし忘れてたわ」

 

アクアの言葉にミツルギと名乗った男はひきつった顔をした。きっとこいつは自分だけが勇者に選ばれたと思っていたのだろう。魔剣を持って転生するというのは転生物の王道だからな。

 

「えっと・・・お久しぶりですアクア様。貴方に選ばれた勇者として日々頑張っています。レベルも40を超えました。ちなみにアクア様は何故檻の中に?それより何故この世界に?」

 

顎に手をあて何故か俺たちの方をチラチラと見てくるミツルギ。なんだこいつ。

 

「えーっと・・・話せば長くなるんだけど・・・」

 

アクアはミツルギに自分が檻に入った経緯を話し出した。

 

 

ソイホンサイド

 

「こいつだっけ・・?」

 

「アクア様を無理矢理この世界に引きづりこみ挙句の果てには檻に閉じ込めて湖に漬けた!!!!???君は一体何を考えているんだ!!」

 

ミツルギと名乗った男はいきなり激昂しだしカズマの胸倉を力強く掴み掛かった。

 

「おい待て!!いきなり何なんだ貴様は!!!」

 

止めにかかるダクネスがミツルギを引き剥がそうとするがビクともしない。

 

「ちょっと撃ちたくなってきました。撃っていいですか?」

 

「お前は町を消し飛ばす気か」

 

今のも爆裂魔法を放ちそうなめぐみんに注意しながら私はミツルギというイケメンを見る。・・・・いやこいつじじゃなかった気がする。

 

「ちょっと待って!!連れて来られた事はもう気にしてないから!!」

 

「アクア様!!どう丸め込まれたか知りませんが貴方は女神なのですよ!!それがこんな奴に!!」

 

言いたい放題言われてカズマもイラっとした顔付きになっている。確かにこいついきなり現れて一体なんなんだ?

 

「それでアクア様は今どこで寝泊まりを?」

 

「皆と一緒に馬小屋だけど?」

 

「はあああ!!?」

 

これは私も驚いたてっきり宿でも借りてるのかと思ってたよ。そしてさらに激昂したミツルギはさらに掴む力を強めた。

 

その時隣から誰かがカズマの胸倉を掴んでいるミツルギの腕を掴んだ。

 

「調子に乗り過ぎ。今すぐカズマからその手を離しなさい。」

 

「マリー・・・」

 

マリーはするどい眼光でミツルギを睨んだ。

 

「ぐっ!!」

 

強く腕を握られたのか反射的にカズマの胸倉から腕を離すミツルギ?・・・やっぱりこいつか?

 

そして一度目と瞑り冷静になったミツルギは再び目を開けた。

 

「すまない。少し頭に血が上っていたようだ。」

 

「それでいいの」

 

マリーもミツルギの腕から手を離し一歩後ずさった。

 

「綺麗な人ばっかだな。クルセイダーにアークウィザード。アークプリーストに金髪の君も上級職かな?仲間には恵まれているんだね」

 

こいつは一体どこまで人をバカにすれば気が済むのだ。カズマもキレる寸前みたいな顔をしているぞ。

 

「こんなにも優秀な仲間を馬小屋に泊まらせておいて恥ずかしくないのか?それについている職業も最弱職らしいじゃないか。」

 

「何か文句あるんですか?」

 

カズマの発言を無視してミツルギはアクア達に声を掛けた。

 

 

「君達。これからはソードマスターの僕と一緒に来るといい。高級な装備品も買い揃えてあげよう」

 

うわあ・・・これはない。どんだけナルシストなんだよこいつ。さすがのアクア達もドン引きしている。

 

「なにこの人。ナルシストが入っていて超キモイんですけど」

 

「どうしよう・・・あの男は生理的に受け付けない。・・・攻めるよりも受けるのが好きな私だがあいつだけは無性に殴り飛ばしたい。」

 

「撃っていいですか?いいですよね」

 

「ないわ・・・・・」

 

マリーまでもが引きつった顔をしている。しかし私はそれよりも気になる事があるのだ。

 

この男・・・以前にどこかで・・・・?

 

「えーと満場一致でうちの仲間は貴方の元へは行きたくないみたいです。それじゃ」

 

忘れちまったな。確か以前どこかで会ったんだよな。

 

「待ちたまえ。」

 

「どいてくれます?」

 

ミツルギがカズマの前に立ちはだかり進行を阻止した。えーとどこだっけ!!もう少しで思い出せるのに!!

 

 

「アクア様をこんな環境には置いておけない。カズマと言ったね。僕と勝負をしないか?僕が勝ったらアクア様を譲ってくれ。そして君が勝ったら何でも言う事を一つ聞いてあげようじゃないか」

 

「よしわかった。行くぞ!!!」

 

「え、ちょま!!」

 

いきなりカズマが襲い掛かり腰に携えていた剣でミツルギを攻撃したが紙一重で躱される。そしてミツルギも腰に携えていた・・・あれは魔剣か?・・・それを引き抜き構えるが、

 

「スティール!!!」

 

スティールを発動。そしてミツルギの魔剣を奪った。

 

「え?」

 

そしてカズマはミツルギから奪い取った魔剣を手に持ち魔剣の平の部分でミツルギの頭を強打した。

 

 

「うおっ・・・・?」

 

そしてそのまま気を失い倒れ込むミツルギ。勝負ありだな。

 

「すごいなカズマ。不意打ちとはいえ格上の相手を一瞬で倒すとはな」

 

「まあなソイホン。」

 

私がカズマに称賛を送ると心なしか嬉しそうな顔をする。

 

「卑怯者・・・卑怯者卑怯者卑怯者のおおおおおおおお!!」

 

「あんた!!不意打ちなんて卑怯よ!!正々堂々と正面から勝負しなさいよ!!」

 

どこからともなく現れた私より少し劣った美女二人が何故かいきなり抗議しだした。

 

「あんたらこの男の仲間か?」

 

「そうよ!!この最低男!!卑怯者!!」

 

「グラムを返しなさい!!その魔剣は京谷以外には使えないんだから!!」

 

「え?そうなの?」

 

「その魔剣はそこのキモい人専用なのよ。」

 

「なんだ。これで俺もチート持ちになれると思ったのに・・・まあいいか。こいつ何でも言う事聞くって言ってたし。これもらっていこう」

 

魔剣を持ち去ろうとしたカズマを見て二人が慌てだす。

 

「ちょっと待ちなさいよ!!こんな勝ち方私達は認めない!!」

 

「どうしてだ?」

 

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

 

全員が声を上げた。ここにいないはずの人の声が急に聞こえたからだ。

 

「ミツルギ君とカズマの勝負に不正は1つもなかった。さっき不意打ちが卑怯だと言ったが君達は敵に攻撃する時宣言してから攻撃するのか?」

 

ミツルギの仲間二人の後ろにある路地から一人の男が現れた。

 

「少なくとも俺はしないな」

 

「「「「「「ハクヤ!」」」」」」

 

私達は同時にその名を呼んだ。

 

「よっ!皆。久しぶりだな」

 

ハクヤは歩いてこちらにやってきてミツルギの仲間に言う。

 

「ともかくこれ以上この勝負に文句をつけカズマを侮辱しようものなら俺は許さないぞ」

 

ミツルギの仲間は震えながらハクヤを見つめる。

 

「ハクヤって・・・まさかあの王下七武神最強と言われた・・・黒夜叉のハクヤ・・・?」

 

「どうして・・・この街にいるの・・・?」

 

ヤバい人にケンカを売ってしまった、といった感じで涙目になりながら生まれたての小鹿のように震えるミツルギの仲間。

 

「今すぐ俺の友人のカズマに謝れば許してやる。さあどうすんだ?」

 

恐怖で声が出ないのか中々謝ろうとしない二人。

 

「なるほど。謝らないか。ならば仕方ない」

 

ハクヤは双剣を作り出し構え、

 

「少し痛い目を見てもらうぞ」

 

鋭い眼光で二人を睨んだ。

 

「「ひっ!!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさあああい!!」」

 

 

そう言いながら二人はハクヤがやってきた路地に逃げ込みミツルギを置いてどこかへ行ってしまった。

 

 

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