無限の剣を持つ男の異世界物語   作:ランホーク

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22話です


憎い

ギルド  ハクヤサイド

 

 

俺たちは今ギルドで夕食を取っていた。

 

「ダクネス!!私にもお酒飲ましてください!!」

 

「ダメだぞめぐみん。子供の時から飲むと頭がパーになるんだぞ」

 

八人席で俺・ソイホン・マリー・カズマ・アクア・ダクネス・めぐみんで夕食を食べている。大勢で食べるとご飯がより美味しくなるというのはどうやら本当らしい。

 

「体の至る所の骨をソイホンに砕かれて入院していたのに・・・どんな回復力よ」

 

マリーが酒をチビチビと飲みながら俺に聞いてくる。

 

「いやまだ完治した訳じゃないんだ。ただ・・・・」

 

「ただ?」

 

俺が言葉を濁らすと隣で飲んでいたカズマがそう繰り返す。

 

 

「入院費払えないってお医者さんに言ったらに追い出された。」

 

「なんだよそれ!!!」

 

「仕方がないよカズマ。冒険者の扱いは結構雑なんだよ」

 

驚くカズマにマリーはそう説明するがなんだか納得できないといった感じの顔をする。

 

「冒険者稼業ってのは不安定でな。税金免除とか国の補助とかいった待遇はあるが保険とか家のローンとかは組めないっていうデメリットもある。」

 

「あー確かに言われてみればわかる。でもそれじゃあハクヤはまだ体が万全じゃないってことか?」

 

「まあね。でも十二師団の師団長くらいなら今の状態で戦っても問題ない」

 

「十二師団か。マリーから聞いたよ魔王軍の事。俺が想像してた以上の奴らだってことがわかったよ。てかそれにしても何でハクヤは骨折なんてしてんだ?」

 

「でなカズマ。そう言う訳で魔王軍とはあまり関わらない方がいいぞ」

 

アクアと一緒に酒を飲んでいた右斜め前に座っているソイホンが冷たい目で俺を見てくる。わかったよ!!5000万はちゃんと返すからそんな目で俺を見るな!!

 

「まあなんだ。一緒に飯を食う仲にまでなったんだ。困った時はいつでも頼れ」

 

席を立つ俺にマリーが聞いて来た。

 

「どこかいくの?」

 

「コジロウの所に金を借りに行く。見ての通りスカンピンだからな」

 

「じゃあここの支払いはしないのハクヤ?」

 

おっとゴミを見る目でマリーとソイホンが俺を見てくる。

 

「人の金使って豪遊したり飯を奢らしたりして恥ずかしくないのか?」

 

「まあそういうなよソイホン。お前の金は必ず返すから。今度霜降り赤蟹奢ってやるからここの支払いは頼むよ。あ、あとカズマ。ミツルギ君から奪ったあの魔剣。使えないなら売っちまえば?」

 

俺はその言葉を最後に早足でギルドから立ち去った。

 

 

時は少し遡る。

 

アクセル近くの古城。

 

三人称

 

ここはアクセルの近くに建てられた古城。

 

城の外壁や内壁。全て石を加工して作られたものでこの城が建築されてからかなりの月日が経つと推測できるが訳あって今はその城の外壁のほとんどが破壊されてしまった為詳しく知る機会は永劫失われたと思われる。

 

そんな古城の廊下を歩く二つの影。

 

「全くあの雑魚どもが。任務が終わったらこの城は俺の別荘にしようと思ったのに。散々破壊しやがって」

 

苛立ちながら漆黒の全身鎧を身に纏いしアンデット。そのアンデットを見た物はまず驚くだろう。

 

首が無いのだ。

 

正確に言えばある。しかしその首はそのアンデット自身が自身の手で抱えているのだ。

 

このモンスターを世間ではデュラハンと呼ぶ。

 

「だけどあれだけ脅しておけばもう来ないでしょう」

 

宥める様に声を掛けたのはハーピー。名前はモネ

 

モンスターでは珍しく絶滅危惧種に指定されている希少モンスターの一体だ。デュラハンの隣を翼を広げ悠々と飛んでいる姿はまるで神話に出てきそうな天使にも見える。事実このハーピーの性別は雌で容姿は美女の分類に振り分けられるほどの美しさを持っている。雪のように白い肌。エメラルドグリーンをした綺麗な髪にエメラルドグリーンをした大きな瞳。実に世の女性たちからしたら羨ましがられるであろう。

 

「副団長。羽ばたく時の風が鬱陶しいんで人間の姿に戻ってもらっていいですか。」

 

「上司に向かってなんて事を言うのよ。ベルディア」

 

ハーピーが上司。デュラハンが部下という世にも奇妙な上下関係の二人。

 

そしてハーピーは言われるがままに半鳥半人の姿から人間と相違ない姿に変わっていく。

 

部下のお願いを素直に聞く上司。案外仲はいいのかもしれない。

 

「確か昔のハーピーは『擬態』の能力はなかったんですよね?」

 

ベルディアはそうモネに唐突に聞いた。一時の間を開けてモネはそれに答えた。

 

「ええそうよ。人間に乱獲されて数を減らしたハーピーは自然にこの『擬態』の能力を持つように変わっていったの。進化というのかしら?羽が高く売れる。そんな欲に塗れた人間の為に乱獲され数が減った。その所為で身に着いた力。ベルディアはどう思う?」

 

ベルディアは一瞬悩んだ。しかし答えはすぐ見つかる。

 

「俺も同じですよ副団長。俺は魔に落ちる前はある国の騎士団に所属していたんです。国の為に必死に腕を磨き王と国を守ろうと心に誓っていた。しかし現実は残酷なものです。俺は身に覚えのない濡れ衣を着せられ処刑された。国の為に全てを捧げたこの俺にこんな仕打ち。呆れて涙も出なかった。」

 

怒りか悲しみか。それとも憎しみか。自身が騎士だった頃を思い出してベルディアは体を震わせていた。

 

「人間が憎い・・・・」

 

絞り出すように出した言葉。モネはそれをどう受け止めたのか定かではないが一言ベルディアに返した。

 

「私もよ・・・」

 

 

照明が無くて暗く無駄に長い廊下を二人はただひたすらに歩いた。

 





今回新キャラ出せませんでした。すんません。

次は必ず出します。
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