月兎と月夜の晩に   作:shima_calm

1 / 4
始まりの森

「お前には誰もいない

己の弱さを憎み、そして地獄で悔いていることだな」

男はそう言い放つと拳銃を頭に突きつけた。

 

「じゃあな、消失のハヤブサ」

そして男は拳銃の引き金を引いた。

 

「(ここで終わりか、俺の人生つまらないものだったな)」

薄れゆく意識の中、彼はその場の風景を見ながら

静かに目を閉じようとした。

、、、だが目を閉じきったとき目の前に

無数の小さな光が見えた。

 

「(なんだ、、、まぶしい、、、

もうこのまま静かに寝させてくれよ

ってなんだこの感じ、、、記憶が消えてる!?

というより鍵をかけられて、、、る)」

そう思ったとき、彼の意識は飛んだ。

 

 

──────────────────

「ん?ふぁ〜よく寝た〜」

清々しく目覚めた彼はいつものように

顔を洗おうと体を起こそうとした

だが、、、そこには違和感があった

「あれ?ここ……どこだ?」

そこは薄く光のさす森の中だった

さらにそこにはおかしい所があった

 

「昨日は家に帰ってから寝たはずだ

それにうちの周りにこんな森なんてない

しかもなんだこの変な木…」

その森の木は現実ではありえない木であった

それは空中に浮いているからだ

根っこがしっかりしてるわけでもない

木の横になにか支えるものがあるわけでもない

完全に浮いている

「こ…これは夢だな!明晰夢(めいせきむ)ってやつだろ!

あ〜明晰夢なら可愛い女の子出ないかな〜♪」

などとうわ言を言っていると

草むらからガサガサと音がした

「お!これはもしや可愛い女の子が!

………え?」

そこにいたのは可愛い女の子とは

かけ離れた化け物であった

全身が黒く染まり大きな牙が特徴的な狼だ

その狼はこちらを美味そうに見ている

 

「こ…これは明晰夢だ…

なにもないはずだし…

死にもしない…でも…なんだよこの震えは…」

普通の人間でもわかる

自分に向けられた狂気を

狼はのそのそとこちらに近づいてきた

「い、急いで逃げないと…あっ!」

足が震えてその場から転んでしまった

 

その隙を見逃すわけがなく

「ガウ!」

鈍い音が聞こえた

そしてやっと気づいた

 

【夢ではないことを】

 

「う"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!」

彼の悲痛な叫びが森に響いた

その声を聞いて狼は少しニヤけた気がした

そして彼に牙を立てる

「ひっ…もう…やめ…」

そんな言葉が届くわけがなく

狼の牙が足に突き刺さる

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!い"だぃ"ぃ"!!!」

狼は彼の足を食べ続ける

「(誰か…助けて…)」

そう思った時だ

狼が吹き飛んだのは

なにが起きたのかわからなかった

彼はそこで意識が消えた

 

────────────────

「ん?ここは…どこだ?」

辺りを見渡すとそこは和室だった

でも自分の家に和室なんかない

それに俺はさっき狼に食われたはずだ

ということは…

「そうか…ここは天国なのか…

俺は死んでしまったんだな…」

なんかつまらない人生だったな

彼女も作れず毎日学校で本ばっか読んでるだけだった

「せめて可愛い彼女がほしかったなぁ…ははっ…」

自然と涙が零れた

するとふすまが開けられた

「あっ!起きたんですね!

え!?涙!?どうしたんですか!

まだどこか痛いんですか?

もう少し横になっててください?」

 

「え!?え!?なに!?」

彼は驚きを隠せなかった

そこにはうさ耳をつけた美少女がいた

しかもこんなに心配してくれて

「あっそうかこれが天使なのか」

「へ?なにがです?天使はここにいませんよ?」

彼女はすごく不思議そうな顔をしている

 

「だって俺は死んだんだろ?

それにそうじゃなけりゃこんな可愛い美少女が

俺の目の前にいるわけがない」

「へ!?な、何を急に!?」

「それに現実にうさぎの耳の生えた

女の子なんているわけがない!」

「え?あっ!」

彼女は急いで耳を隠した

「そ、そのとにかくあなたは生きてます!

これは現実です

たぶんあなたはこの幻想郷を知らないんですよね?」

「幻想郷?桃源郷じゃなくて?」

「だから死んでませんって!」

俺は納得出来ないまま彼女の話を聞いた

 

───────数十分後───────

「えっと…つまりはここは幻想郷で

幻想郷は忘れられた者や架空のものがいる

世界ってことでいいのかな?」

「まぁざっくり言ってしまえばそうです」

「なるほど」

彼女の話で色々と整理できたが

一つ気にかかることがある

「なぁ?俺って狼に食われたんだよな?

なのになんで生きてるんだ?」

「あっそれはですね

私がたまたま通りかかって

あなたを助けたんですよ」

「え!?君が!?どうやって!?」

「えっとですね…」

と、説明したところで

「あら?やっと目が覚めたようね」

そこにはこのうさ耳美少女に負けず劣らずの

美女が立っていた

「あっ師匠!はい!すっかり元気なようで!」

「そうなら良かったわ」

「えっとー?あなたは?

というかうさ耳ちゃんの名前も聞いてなかったね」

「(うさ耳ちゃん!?)」

「(うさ耳ちゃんwプフッw)」

 

「えっと…私は

鈴仙・優曇華院・イナバ(れいせん・うどんげいん・いなば)と申します!

決してうさ耳ちゃんではないです!」

「お…おうwわかったよ」

なんか少し怒ってる?

「私は永琳(えいりん)よこの診療所の医者で

優曇華の師匠よ」

「なるほど、よろしくお願いします」

「あなたの名前は?」

そう言われてやっと気づいた

「あっ申し遅れましたね

俺は空彩 隼(きさら しゅん)と申します」

「わかったわ、よろしく隼」

 

とあいさつをしたところで

「早速なんだけど隼

治療のためのお代を頂けるかしら?」

「え?あっ…」

「ん?どしたの?なにかあった?

ちなみにあなたの治療なんだけど

結構高い薬を使ったから

その分結構な値がいってるのよね」

「ち、ちなみにおいくらほど?」

隼は恐る恐る聞いてみた

 

「ざっと見積もって5000万かしら」

隼の目の前は真っ白になった

 

「ま、待ってください師匠!

隼さんは外来人のようですし

お金はないのではないでしょうか」

て、天使や!天使がおる!

俺のために声をあげてくれるなんて!

「まぁ…それもそうね…

よし!じゃあ隼こういうのはどうかしら?」

「え?なんですか?」

「あなたはその傷が治り次第

うちで働いてもらう

そして少しずつ返してもらえたらいいわ

ちなみに実験体にもなってもらうけど…」

 

「わかりました!俺働かせていただきます!」

俺は即答した

「え?どんなことするか言ってないのに?」

「俺は元々死ぬ運命だった人です

でも永琳さんと鈴仙ちゃんのおかげで

生きることが出来ました!

なのでこの命をあなた達のために

少しでも使っていただきたいです!」

「そう…わかったわ

歓迎するわ永遠亭にようこそ

これからよろしく隼!」

「よろしくお願いします隼さん!」

二人の笑顔を見て俺も自然と頬が緩んだ

「はい!これからよろしくお願いします!」

これからは俺の第2の人生がスタートする!

 

「ふふっ新しいからかいがいのありそうなのが

入ったみたいね♪」

「そう見たいですね…ふふふ♪」

その裏にいるもののことは知らずに…

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。