あくいろ!   作:輪音

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皆さん、こんにちは!
明るい明日を作るメシア教に入信しませんか?
今の世の中って、悲しいことがいっぱいありますよね。
でも、ご安心ください。
そんな暗いセカイに光明をもたらすのが、私たちメシア教の役割なのです。
苦しいこと、辛いこと、悲しいこと、そんな悩みのある方は是非ともメシア教の布教担当者か、最寄りのメシア教教会か、町田市にある本部までお問い合わせください。
皆さんに天使様の奇跡をお見せしちゃいますから、きっと大丈夫です。
えっ、なんです、先輩?
あっ、そういうのはあんまり言っちゃダメなんですか?
……ええっと、皆さん!
さっきのはナシです!
えっと、すみませんけど、忘れちゃってください!
天使様の奇跡をご覧になりたい方は、こっそりお問い合わせくださいね!
入信され次第、その方々に私が天使様を降臨して、お見せしちゃいます!
では、お気軽に遊びに来てくださいね!
明るい未来を切り開く、メシア教です!
それではいきます!
悪い悪魔には、天罰てきめん!





ライホーくん

 

 

 

夜明け間近い、明けの明星が輝く時間。

目覚めたオレは仲魔のエンジェルにのし掛かられ、下半身防衛線を突破されようとしていた。

チッ、と小さな舌打ちが聞こえてくる。

目隠しをしているのに、彼女の瞳がギラギラしているような錯覚に囚われた。

 

「あの、エンジェルさん。」

「人の子よ、私のことは奴隷の身分なんだから精々俺様にご奉仕しろよこの美しく卑しくいやらしい癒し系悪魔娘めと蔑むような視線で、憎々しげにこの麗しい顔を踏みつけながら荒々しくガンガンと失神するほどやらかしてください。」

「ちょっと待って、オレにそんな性癖なんてないです。」

「くっ、殺せ。」

「何故、今そんな台詞が出てくるんですか?」

「どうせこれからケダモノのように私を貫通攻撃されてしまうのでしょう、薄い本みたいに、薄い本みたいに。」

「何故、二回も言われたんです?」

「大切なことなので、二回言いました。こういうのが、本当はお好きなんでしょう?」

「誤解です。」

「五回もされるんですか、流石は魔王にその身を売り払っただけのことはありますね。絶倫様は言われることが違います。私は汚されてしまうのですね、薄い本みたいに。」

「わざと言われているでしょう。」

「噛みました。」

「いいえ、わざとでしょう。」

「神はいた。」

「いいんですか、天使がそんなネタを言って。」

「大丈夫ですよ。人の子に無理矢理言わされたと証言しますから。」

「天使の癖に虚言を用いるとは、貴女、本当は堕天使なんですか?」

「そんな、私が幾ら可愛いからって、そんなエロいことを言われるとドキドキしちゃいます。」

「なんだか話が噛み合いませんね。」

「えっ、私を噛んじゃうんですか?」

「噛みませんよ。」

「神はいますよ。」

「もしかして、モコイみたいな知り合いがいるんじゃないですか?」

「行ってみたいね、サンクチュアリ。」

「やっぱり。」

「私を口説いて、よかったでしょう。」

「口説いてなどいませんよ、いきなり仲魔になるって、貴女の方から押し掛けてきたんじゃないですか。」

「のし掛かってなんかいませんよ。」

「今はのし掛かっているでしょう。」

「私も女ですから。」

「おっ、今のは恰好いい台詞ですね。」

「では続きをしましょう。」

「ナチュラルに脱がないでください。」

「いいじゃないですか、本当は見たいのでしょう。私のこの魅力溢れるわがままナイスボディな極上の体を。ほら、興奮していますから、もう何時でも受け入れることが出来ます。嗚呼、絶倫様が見ていらっしゃるわ!」

「ノリノリですね。しかも臆面も無く言えるのが、欧州的な感じはします。」

「ええい、言葉は無粋! これより実力行使に移る! さあ、しましょう!」

「ちょっと待って! キャラが崩壊していますよ!」

「問答無用!」

「あーれー!」

「あんたら、朝っぱらからなにしてんのよ。」

「おや、アリスさん。」

「お慈悲を! 哀れな私にお慈悲を!」

「この天使、やけにノリノリなのね。」

「えへへ、そんなにも可愛いですか。」

「わかった、この子ポンコツなのよ。」

「クーリングオフはききませんかね?」

「ご主人様、なんでもしますからここに置いてください! 頑張りますから! 薄い本みたいに! 薄い本みたいに!」

 

大人しい子かと思っていたら、ちょっと変態っぽい子だった。

いや、ちょっとどころじゃないな。

マリーさんも加えた全員で、なにやら熱心熱烈に話し合い始めた。

朝ごはんを食べる頃には、なにかしらの協定が結ばれたみたいだ。

箸を巧みに使い、納豆かけご飯を普通に食べる彼女たちに違和感を覚える。

掻き混ぜた納豆にたっぷりの葱と生卵を加えるのが、最近のオレの流行だ。

彼女たちは、それを邪道だという。

旨いのに。

夕食は、洋食の多原屋でハヤシライスを食べに行くことが決定された。

あそこの飯は旨いからな。

ビフカツとアイスクリンも食べたいと言われたので了承する。

うちの子たちは食いしん坊だな。

 

 

 

「あんたには、これからワテの作った『狂王の試練宮』に潜ってもらう。」

「地下迷宮、ですね。」

「そや。クリティカルヒットやエナジードレインや死亡・灰化・消滅の無い親切設計やで。戦闘中に死亡しても、戦闘後に復活する。嗚呼、なんてヌルゲ。」

「実際にボーパルバニーが大量出現してしまったら、初見殺しですね。」

「冒険者全員の首があちこちにごろりという、実に猟奇的な光景やね。」

「戦場もある意味猟奇的ですが。」

「猟奇は案外日常に転がっとる。」

 

神奈川県平崎市にある、北山大学のスリル博士研究室。

実戦の少なさによるレベルの低さを、仮想現実世界での戦闘で経験値として補う考えの元に『狂王の試練宮』は開発された。

いわゆる、VRRPGである。

六名による分隊を形成し、地下迷宮で隣り合わせの灰と青春を味わうのだ。

 

「あんたのエモニカスーツはそのまま持ち込めるようにしといた。仲魔の魔法は向こう仕様に書き換えとるから、要注意やけどな。」

 

オレは戦士Ⅰ、アリスさんは忍者Ⅰ、ハコクルマさんは侍Ⅰ、マリーさんは司教Ⅰ、エンジェルは僧侶Ⅰ、ピクシーは魔術師Ⅰとして地下迷宮へと突入した。

エモニカスーツの通信機を通してスリル博士の指示に従い、モンスターたちを駆逐してゆく。

銃に耐性の無い守護者の敵対者たちが、激しく撃ちまくられて殺されゆく。

一方的に。

無慈悲に。

 

「あなたはもんすたーをころしてへいきなの?」

 

後ろから這い寄ってきたエンジェルが耳元で囁く。

 

「忌避感自体はありますが、彼らはポリゴンで固められた作り物です。」

「人の子はやはりおそろしいわ。作り物ならば虐殺しても構わないの?」

「明け方とは全然違いますね。」

「違いのわかるおんなですわ。」

「耳を舐めないでくださいよ。」

「感じませんか?」

「感じませんよ。」

「私は耳が弱点です。」

「そうだ、帰りにじゃこ天を買っていきましょうか。」

「鮫の蒲鉾も欲しいですね。」

 

貴女の方がおそろしいですよ、オレにとっては。

虐殺は厭だ。

人格も無いから、こちらも撃てるってのはある。

弾数無制限の強力な軽機関銃を当たり前のように撃ちまくれるのは、これが嘘っぱちだと脳が認識出来るからだ。

鍛錬された肉体も、研ぎ澄まされた精神力も、鋭い爪も、強い忠誠心も、皆一瞬にして無味乾燥に奪われてゆく。

生き物を殺しまくってなにも感じないならば、その人はもう人間でなくなりつつあるんじゃないだろうか?

相手は悪魔なのだから根絶やしにすべきだ、魔物だから皆殺しにして当然だ、異教徒に生きる価値はない。

そうした価値観はおそろしい。

少なくとも、オレはそう思う。

背後でエンジェルが笑っているような妄想に囚われ、振り向くと彼女は微笑んだ。

目隠しを取り外してみたい。

一体、どんな目をしている?

何故か、メシア教の布教活動をしていた女の子を思い出す。

あの子は無防備だったなあ。

ポッチャリ系男子に囲まれても平然として

いたし、親衛隊まで作っていたな。

独身男性が雪崩の如くに多数押し寄せ、メシア教に入信しているそうだ。

急速に膨れ上がると、破裂しやすそうだけどなあ。

戦闘力は論外だが忠誠心は侮れん、とテルス教の嘉屋さんが言っていた。

彼女が「天罰てきめん!」と言ったらめっちゃ盛り上がっていたので、正直ドン引きだ。

アイドルの本来の意味に近いのかもしれないが。

あの子がメシア教の看板娘か。

彼女とは対照的に、先輩らしき女性がぐったりとしていたのは印象的だった。

 

 

無心に引き金を引く。

銃口から光の粒子が高速で射出され、敵対する亜人や魔獣や戦士や盗賊や僧侶や魔術師や忍者や侍などを容赦なくポリゴンに変えていった。

魔術で作られた炎や吹雪がばんばん彼らに降り注ぎ、呆気なく崩れ落ちてゆく。

時折無機質なワイヤーフレームで構成された街(スリル博士によるとまだ未完成らしい)に戻り、馬小屋でレベルアップのファンファーレを聞いた。

こんなやり方で、実力は付くのだろうか?

こういった方法で付けた力は、本当に役立つものに成りうるのだろうか?

なんとなく強くなった気がしないでもない。

 

 

迷宮に降りては撃ち、降りては撃ち。

作業の繰り返し。

ひとごろしの繰り返し。

血の流れないモノたちをみなごろし。

立派なる殺人者が出来上がってゆく。

仮想空間で、オレは大量殺人鬼へと変貌してゆく。

オニ、か。

オニ、だろうな。

夜叉や修羅に近いかもしれない。

豪華そうな金属鎧や頑丈そうな楯とて、銃弾を防げない。

炎や吹雪に倒れる敵を眺め、もやもやした気持ちになる。

もの言わぬまま、彼らはポリゴンへと変化し消えてゆく。

もしかしたら、これが彼らにとっての救いなのだろうか?

……考えすぎだな。

感傷的になり過ぎているのか?

これは嘘っぱちだと割りきれば、楽になれるのか?

画面の向こう側でなくて実際にこうして殺しあいになるとしたら、人はそれに耐えられるのだろうか?

割りきれるのか?

割りきるのが当たり前なのか?

現実でなければ、屍山血河を築いてなんとも感じなくなるのだろうか?

それとも、そんなことを考えるのはオレくらいなのだろうか?

もやもやが大きくなってくる。

 

「サマナー、大丈夫?」

 

ピクシーが抱きついてきた。

 

「ええ、大丈夫です。」

「今日はここまでにして、碇亭で飯を食って帰ろう。」

 

ハコクルマさんが提案し、そしてそれは滞りなく遂行された。

そこは可愛い男の子が給仕を務める店で、気の強そうな女の子や無口な女の子も働く店だ。

唐揚げやコロッケやサラダをわしわし食べながら、ぼんやりと考える。

 

 

モンスターたちをたおしてへいきなのか?

 

 

「大丈夫です。私はご主人様がされたいことをすべて受け止めますから。」

 

天使が背後からやさしく囁いてくる。

何故他の面々はこれを許すのだろう?

やめて、おけつを撫で上げるのはさ。

 

 

地下四階にあるモンスター・アロケーションセンターで先制攻撃に成功し、無傷のまま青いリボンを無事に入手した。

これで昇降機が使える。

手練れの忍者が再度立ち上がろうとして力尽き、ポリゴンへと変化し砕け散った。

 

 

地下九階。

大きな青い悪魔でさえも、弾数無制限の軽機関銃から放たれる光の粒を何個も受けては、ポリゴンにならざるを得ないらしい。

熟練の戦士の一撃にも耐えられそうな体皮を、銃弾は簡単に貫いてゆく。

これは戦闘ですらない。

ただの虐殺行為だ。

これが経験値になるなんて、オレには信じられない。

こんな行為で手に入れた血塗れの力は、所持者を如何に狂わせるのだろう?

それとも、このセカイで生きていること自体が狂っていることになるのか?

わからない。

わからない。

オレにはわからない。

一応、報告だけはしておこう。

 

「博士、こんなにあっさり上級悪魔を倒せるのは不味いんじゃないですか?」

「擬似経験値を簡単に上げるための攻撃装置やからなあ、それは。無双がお手軽に出来て楽チンやろ。」

「俺は無敵だ! って勘違いされる方も出てくるんじゃないですかね。」

「取り敢えず、パワーレベリングの真っ最中やからな。結果を踏まえてマヨーネと協議し、今後のやり方を考えとくわ。ただなあ、強い力を持っとくと抑止力にはなるで。平和ボケした日本人にはわかりにくいかもしれんけど。」

「日本の空港には軍隊が駐留していませんし、街中を武装した正規兵や民兵が歩いていたりしませんね。」

「まあ、端的にゆうたらそんな感じかな。全員マスタークラスになったら今回の実験は終わりにしよか。」

「イエッサー。」

 

次の日、無事に全員マスタークラスへと昇格した。

帰りに絵巳子屋に寄って、旨い夕食を皆で食べる。

赤い服の若い料理人とツインテールの女の子がいる店だ。

麻婆豆腐青椒肉絲回鍋肉酢豚八宝菜焼売水餃子などなど。

うまいぞおっ!

 

 

 

ある月のきれいな夜。

悪魔専門のカジノがあるというので、月の光に導かれて『くらやみ乙女』へ行く。

仕切っているのはニュクス。

用心棒はロキ。

アリスさんとハコクルマさんはルーレットに直行し、ピクシーとマリーさんはスロットマシンへと向かう。

使えるのは魔貨(マッカ)や宝玉や生体マグネタイトなど。

エンジェルはオレにぴったりくっつき、仕方がないので彼女と共にポーカーへと臨んでみる。

札を手早く配る闇エルフ美人の腕前は冴えていて、オレたちは適当に遊び始めた。

ところでオレは人間だが、ここにいてもいいのだろうか?

勝ち負けを繰り返し、それなりに樹脂製の硬貨が目の前にある状況で少し考えた。

 

「大丈夫ですよ、貴方は既に半分くらい人間じゃありませんから。そうですね、人修羅の再従兄弟(はとこ)みたいな存在です。」

「オレの心を読むんですね。」

「既に顔に書いてあります。」

「おやおや、それはこわい。」

 

若干勝ち、ロキに絡まれ、謎の女子高生に絡まれ、ニュクスに戯れに抱きつかれたりしながらカジノを出る。

 

 

 

チャリン、と音がした。

 

「ヒーホー、ボクはライホー。このユメシマ探偵社の探偵だホ。クールなボディにホットなハートを宿す、粋で鯔背(いなせ)な十五代目蔦野葉ライオウだホ。仲魔のジャアクフロスト、フロストエース、ジャックフロスト、ジャックランタンと共に悪しきを倒すプロセスのセオリーだホ。」

「は、はあ。」

「では挨拶代わりに絶対零度の洗礼を浴びせ……痛いホ。」

 

アリスさんが激しく飛びかかり、八回鋭く手刀を突き刺した。

穴だらけになりながらも、角帽と学生服を装備した雪だるまは平然としている。

余裕綽々(しゃくしゃく)だな。

あの体をかき氷にしてしゃくしゃく食べたら、どんな味がするのだろうか?

これこれ、ピクシーにハコクルマさん、何気に彼を食べてはいけませんよ。

 

「あんまりふざけていると、その体をかき氷にして皆で食べちゃうわよ!」

「シロップはイチゴ? レモン? それともメロン? ブルーハワイも見逃せないホ。」

「そうねえ、宇治金時に練乳と白玉がいいわね……って、乗せるんじゃないっ!」

「流石はサマナーの可愛いお嫁さんだホ。ノリノリだホ。」

「やだ、ホントのことを言われると照れちゃうじゃない。」

「ええと、どこからどう突っ込んでよいのやら。」

「日中からそんなにエロいことを言われると、どろどろに溶けてしまうんだホ。」

「あの、そろそろ話を進めませんか?」

「それでは進行するホ。おそらく、ボクの存在はバグだホ。ならば、それを最大限活かすのも主役のギムレット……じゃなくて義務だホ。」

「主役?」

「キミ。」

「白身?」

「卵の話はしていないホ。」

「固茹で玉子の話ですか?」

「痩せ我慢は男の浪漫ホ。」

「ほう。」

「魍魎の匣は関係無いホ。」

「で、どうすればいいんですか?」

 

平崎市は矢来町の雑居ビル三階。

二階は大正浪漫風ミルクホール。

一階には日帰り天然温泉がある。

ひなびた探偵社を訪れた筈のオレたちは、悪魔に遭遇していた。

ここは元自衛官の鳴海氏が経営する探偵社ではないのか?

彼は陸幕二部にいたとかいう噂だ。

何故か、島根県槻嘉多(つきかた)村の物産も取り扱っている場所ではないのか?

ちなみに、村の温泉旅館は効能的になかなか優れものらしい。

槻嘉多村の近くには、牟志村という変わった村があるそうな。

機会があったら、訪問してみよう。

数年前まで探偵は自堕落だったらしいが、今では大人の貫禄を身につけているとか。

以前の彼は『フーテン鳴海』で、今の彼は『オトン鳴海』だとか。

助手の少年とすこぶる仲がよくて、賢い黒猫を飼っているそうだ。

また今度訪れてみようか。

どうやら、我々は知らぬ間に異界へさ迷いこんだ感じだ。

しかも、その悪魔は自身をデビルサマナーなのだと称している。

笑止千万と一刀両断するのは簡単だが、それでは話が進まない。

この状況をなんとかして欲しいプロセスだ。

 

「さっき、チャリンと音がしたホ。」

「しましたね。」

「部屋に入って、オイラと会話する。それだけで魔貨と生体マグネタイトと経験値が貰えるホ。たぶん、これはコトワリのヨスガのシジマの裏技なんだホ。」

「裏技ねえ。」

「これを繰り返すんだホ。」

「く、繰り返すんですか?」

「何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返すんだホ。特にキミはレベルが低すぎるホ! 仲魔を強くしないとダメなプロセスのセオリーなんだホ!」

「えええ?」

「返事は、はいかイエスだホ!」

「それ、選択肢が無いじゃないですか。」

「やるやらないじゃなく、やるんだホ!」

 

そういうことになった。

日がどっぷり暮れる頃には、なんとなく強くなった気になれた。

そういうことにしておこう。

なんだか、帝国歌唱隊の演劇を観に行きたくなってきた。

『大正浪漫にハイカラ嵐!』の謳(うた)い文句そのままの世界観がいい。

公演の切符をマヨーネさんにお願いしてみるか。

あそこのモギリのお兄ちゃんは動きがきびきびしていて気持ちがいいし、帝国ホール内にある料理も旨くて大変よい。

 

 

「今日はここまでにしとくホ。」

 

自称探偵の悪魔から、ようやくお許しが出た。

 

「ありがとうございます。」

「出来たら、コウリュウかアメノトリフネを使役出来るようになって欲しいホ。」

「は、はあ。」

「次回ここに来るときのお土産は、大學芋を所望するホ。」

「わかりました。」

「ちなみに聞いてみるんだホ。」

「はい、なんでしょうか?」

「もしこのセカイがバグゲーでどうしようもなかったら、どうするホ?」

 

異形の探偵は、そう言って笑った。

 

 






先日、日間ランキングに入っていました。
これも支持してくださる皆様のお陰です。
本当にありがとうございます。
不文律的『お約束』をことごとく「どうでもいい……。」とか「そっとしておこう……。」とか呟きながらお手数をかけるプロセスの放置プレイし、燃える盛り上がりに絶対零度を浴びせかけ、日常的描写に終始し、木っ端微塵斬り的な無双も殆ど無く、潜在的需要要望切望の遥か斜め上をオボログルマで爆走している自覚があっただけに、オンモラキモムノフベイバロンの気です。
これからもハチャメチャワヤクチャな闇鍋的ごった煮世界観の元に、女神転生からペルソナまでをすべて包含せし白昼の異形の深淵に迫る所存のプロセスです。
手加減と遠慮は無粋のセオリー。
ナイスな予測のカテゴリーをしたきもので御座候。

こんごともよろしく、なのであります。


こういう話を書いていると、人間の方が悪魔よりも遥かに気質的に悪質なのではないかとの認識さえ高まりそうになったりします。
『普通』に見える大衆こそ、本当は最もおそろしき存在なのかもしれないと思うことさえあります。
狂気は誰の中にも存在するのですから。
嗚呼、オホーツクに消ゆ!


ところで、葛葉の里って風魔の里に似ているんじゃねと思ったのはわたしだけでしょうか?
隣近所で日常的交流が合ったら、面白いだろうなあなんて考えます。
『風魔の小次郎』のドラマ版がけっこう好きです。特に柔道部の話。

山陰地方の槻賀多村へ行くのに、鳥取県鳥取市寄りなら帝都から東海道本線に乗って京都から山陰本線かなあとか、島根県安来市寄りだったら山陽本線で岡山まで行き、そこから伯備線に乗って北上するのかなあと思ってみたりして、今も山陰地方で活躍せし悪魔召喚師に思いを馳せるプロセスです。

みんな死んじゃえばいいんだ! ではなく、いがみ合いながらも共存出来るセカイがいいなあと思うのです。
あくまをころしてへいきなの? と仲魔たちから問われないセカイをセオリーにしたいと思います。


【ちょんもりこわいかもしれないオマケ】

以下、先日実家から電話があって母と話をしていた時のこと。
ちなみに現在、わたしは一人暮らしです。
母が不意に言いました。

「テレビでも点けているの?」
「点けていませんし、そもそもこの部屋にテレビは置いていません。」
「複数の声が聞こえるのよ。」

お後がよろしいようで。

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