あくいろ!   作:輪音

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我はお主
お主は我
果てなき問いと答
繰り返される虚無
悠久の時にたゆたいし
魔羅に魅入られた男に
明日はやってくるのか
無数に見える選択肢は
ニセモノ
一掴みしか許されない
己の意思
抑圧と解放
愛を囁く美しき女たち
嫉妬の目向ける男たち
悪魔召喚師は苦悩する
人の懊悩こそ悪魔の糧
人の煩悶こそ悪魔の糧
それを知らぬままにて
彼は歩いてゆく
仲魔たちと共に
心の海はいつも時化
波瀾に満ちた航海
後悔しないようにと
思案を重ね
迷いを重ね
小さな光を求める


『市立図書館』

悪魔を殺して平気なの?




市立図書館

 

 

「ええい! あなここなうつけ者めっ! 儂の与えた力をなんと心得るっ!」

 

いきなり怒られた。

ギンギンにそびえ立つ緑色の神というか魔の存在は、登頂部からなにやら液体を噴出させながら憤激していた。

異能を与えられながら、未だに女性とまぐわっていないからだろう。

しかしまあ、会ってすぐの女性とナニをしてしまうなんて出来ない。

 

「お主の思考することの内容くらい、とっくに読み取れておるわっ! 生娘のように躊躇してなんとするっ! 愚かな! なんと愚かな! 臆するとは! 何人もとの機会をみすみす失うとは、なんともはや情けないっ! 生娘もおったというにっ! なにゆえに断った? 見た目に振り回されるとは情けない! 一体なんのための力を与えたのか、わかっておらぬのかっ! わかっておるのかっ!? このたわけ者めっ!」

 

説教された。

ピュンピュン丸な登頂部からの液体が勢いよく周囲へと飛んで行き、彼の体に血管が次々浮かび上がってくる。

怒張。

それはまさに怒張。

ギンギンであった。

 

「シッダールタの眷属でもあるまいに、おなごとまぐわうのを躊躇するのは解せぬ。もしや、おなごの選り好みがやたらに激しくて、厨二状態とやらになっておるのか? ……違うな、それは違う。お主は忘れられぬのだ、お主を振り回した末に、他の男を求めたおなごが。詰まらぬ詰まらぬ詰まらぬ。捨てるおなごあらば、拾うおなごあり。学生時代の古き因縁を断ち切って新たな時を開くのだ、愛戦士よっ! もはや、お主を受け入れぬおなごはおらぬ。ゆくのだ。イケ! イケ! 肉体朽ち果てるその時まで! ひたすら貫くのだっ!」

 

目が覚める。

怒張していた。

大変困った。

 

 

アリスから悪魔召喚師のことや仲魔のことなど、基本的なことをいろいろ教えてもらう。

本来ならば悪魔召喚器が無いと悪魔の呼び出しなど出来ないし、使役も出来ないそうだ。

 

「『御立派様』が、あんたの体をかなり無茶苦茶『改造』したからね。」

「『御立派様』?」

「ああ、こないだの魔王マーラのことよ。みんな、『御立派様』って呼んでいるの。」

「成る程。」

 

確かに彼はそそりたっていた。

屹立(きつりつ)もしていた。

あまりにも大きく、そして猛々しかった。

 

いつの間にか、右手の薬指にゴツい指輪が嵌まっている。

あれ?

 

「それ、ニーベルングの指環よ。」

「えっ!」

「ふふふ、冗談だってば。でも、それが無いとあんたは精力の制御が出来なくなり、周りの子を見境無く襲うようになるわ。そして、待ち受けるのは破滅。だから、余剰に発生するあんたのエナジー、つまり生体マグネタイトをあたしがエナジードレインする訳。故に、あたしは常に顕在していられる。そういうことよ。それでも余剰分があるんだから、大したものね。あんたの力が付く程生体マグネタイトの湧出量が増えるらしいけど、なんとかなる……んじゃないかな?」

「えっ!?」

「つまりその指輪とあたしがいないと、あんたは即人生終了。」

「なんてこったい!」

「朝から晩まで女の子とまぐわうなら、話は別なんだけどね。」

「女の子がそんな言い方したらあかん!」

「ふっ、随分ウブね。おっさんだけど。」

 

そんなこんなで数日経過した。

アリスは人間界の食べ物が気に入ったようで、あちこちの飲食店へ連れて行かれたりいろいろ作らされたりした。

馴染みすぎじゃね?

目に映る女性たちが格段と魅力的に見えてかなりヤバい。

アリスはさっさとヤっちゃえばいいのよとうそぶくが、いやもう勘弁して欲しい。

ヤるだけヤって無責任にほっぽっとく訳にもいかないし、ホントに困っちゃうな。

まさか、可愛らしい中学生からまで口説かれるとは思ってもみなかったので焦る。

 

 

マヨーネさんからメールを貰い、向かった先は市庁舎近くのマニトゥ平崎。

一流企業の支社が多く入るビルディング。

その最上層に彼女の働くオフィスがある。

オレはアリスと一緒に、『ファントムソサエティ』と金属板が貼られた扉の中へ入った。

無表情な美人の受付嬢に話しかけると、程なくマヨーネさんが現れた。

彼女はこの会社の重役らしい。

 

「お待ちしていましたわ。」

 

マヨーネさんは花が開くように微笑むと、オレをソファへと案内した。

右隣に彼女が、左隣にアリスが密着する。

 

「今回お願いしたいのはですね、市立図書館の調査ですわ。最近牛車のようなモノが出てくるという噂があって、それを調査していただきたいのです。現在閉館状態ですので、早急に解決して欲しいと市からの要請です。勿論、報酬は高めにご用意しています。私は、あなたの悪魔召喚師としての腕を見込んでおりますのよ。」

「あー、やっぱり最初からお気づきだったんですね。」

「ええ。彼女のような高位悪魔が、普通にはしゃいでいたのには驚愕しましたわ。それに。」

「それに?」

「あなたのように魅力的な方とお近づきになれる機会を失うなんて、それは我慢出来ることでありませんから。」

「それは名誉ですね。」

「ふふふ、私があなたを全面的に支援しますのでご安心ください。このアマーリア・マヨーネの名にかけて、全力を尽くしますわ。」

「ありがとうございます。」

「それと、悪魔を一体こちらで用意しました。我が組織が数々研究を重ねた悪魔の中でも少し特殊な存在になりますが、あなたならば使いこなせるでしょう。出てきなさい。」

 

背中に羽根を生やした妖精が現れた。

 

「この子は強化Ⅳ型ピクシー。初級治癒系魔法の『ディア』、初級電撃系攻撃魔法の『ジオ』に加え、全体魅了の『ベイバロンの気』も使えます。そして、合体素材として考えられた末に、無属性系全体攻撃魔法の『メギドラオン』さえも使えるようにしました。まさに、メギドラオンでございます!」

「はあ。」

 

成る程、わからんな。

ちんぷんかんぷんだ。

妖精がウインクする。

 

「今後ともよろしくねー、サマナー。あたし、ピクシー。」

「よろしくお願いいたします。」

「ふふふ、ホントに丁寧な方ですね。そうそう、丁度今朝、カステッロ・エステンセのカンノーロを買いましたの。一緒にお茶にしましょう。」

 

カステッロ・エステンセはイタリア菓子の老舗で、戦前から営業している店。

カンノーロはシチリア島の伝統的洋菓子で、本来は謝肉祭の時に食べる季節菓子なんだとか。

へえ。

筒状に巻かれたパイみたいなサクサク生地の中にはクリームが入っていて、とても旨い。

店によって、味もだいぶん違うとか。

イタリアンローストなカプチーノと一緒に食べる。

アリスとピクシーも実においしそうに食べていた。

マヨーネさんには日本人とイタリア人の両親がいるそうで、彼女が身に付けているものはすべてイタリア製という。

 

「中も見てみますか?」

「お、お、お戯れを。」

「ふふふ、あなたになら、なにを見られても問題ありませんわよ。」

「そ、その、図書館へ行ってきます。」

「その前に、装備を調えることが必要ですわ。」

「装備、ですか?」

「装備、ですわ。」

「ひのきの棒やはやぶさの剣などでしょうか?」

「ふふふ、我がファントムソサエティはいろいろ取り揃えていましてよ。」

 

あ、ヤバい。

とうとう、鉄火場で斬った張ったするセカイへと突入か。

マヨーネさんの好感度が高くて助かるけれど、オレ、もしかして死ぬのかな?

 

「大丈夫です。あなたは私が守りますもの。信じていますわ。私も同行したいのですが、昨夜ヴァチカンから日本に戻ってきたばかりで図書館の件を聞きまして、こちらもすぐに処理しないといけない案件満載で身動きが取れませんの。市長からは矢の催促。市議会議員も同様。『言うは易し行うは難し』なのに。キャロル・Aや宇良江辺りにでもやらせればよかったのに。ナオミは香港で中華料理を堪能中。インチキ神父のエイミスはどこかをほっつき歩いているらしく、行方不明。自由過ぎて、困ってしまいますわ。まったくこれだから、うちの連中とお役所連中は。でも、あなたにはアリスがいるから安心ですわ。」

「ふふん、任せなさい。」

「あたしもー! あたしもー!」

「ピクシーも、しっかりこの方を守ってくださいね。」

「お任せあれー!」

「これが終わったら、『崑崙(こんろん)』で、打ち上げしましょう。李さんの中華料理は絶品ですわよ。そうそう、先日紀伊半島の南端にあるショッカー基地を襲撃してシオマネキ男隊を潰滅させましたの。その時に下級戦闘員やら中級戦闘員やら女戦闘員やらを捕獲したのですけど、何人か如何ですか?」

「ええと、打ち上げは喜んで参加しますが、その戦闘員の方々はちょっと……。」

「あら、再洗脳と再強化はスリル博士が担当しますから、全員しっかり言うことを聞きますわよ。生体マグネタイトを消費しませんし、後で面接されてはどうでしょう? 上役のために死ねる部下は稀少ですしね。そうですね、こちらで何人か選抜しておきましょう。それがいいですわ。」

「あの、マヨーネさん、落ち着いてください。その、うちは女の子がいますので荒々しい方々がおられますとその……。」

「まあ、それは後にしておきますか。それでは地下試射室へ参りましょう。」

 

 

 

いよいよ断れる雰囲気ではない。

ますます裏社会的になってゆく。

専用昇降機で地下層へと降りた。

ブルーリボンは不要のようだな。

 

試射室は存外広かった。

壁の架台には自動小銃がずらりと並んでいる。

 

「対人戦で近距離なら散弾銃をお勧めしますけど、今回は屋内戦ですから短機関銃がいいかしら? 確か、ベレッタ製がここら辺に……。」

「マヨーネ。サマナーは素人なんだからさー、あんまりあれこれ言っても訳わかんなくなるだけよー。」

「それもそうですわね。」

「拳銃は銃火器の中で一番扱い方が難しい武器だしねー。」

「そうなんですか、ピクシーさん?」

「そうよー。実際、日本の警察官だって五、六メートル先の相手になかなか当てられないしねー。素人が撃っても、引き金を引くときにガク引きになって相手の足元に弾がめり込んだり、明後日の方に飛んでったりするしねー。基本的に拳銃は将校の武器よー。刀と似たようなもんねー。刀だって本来は至近距離用の消耗品なんだし。」

「はあ。」

「ヒグマ相手に拳銃で立ち向かって勝てるかってことよー、サマナー。」

「あ、それならわかります。」

「じゃあ刺突打撃系武器などがいいか、って言われると本人の素養や努力などが必要だしー。う~ん、戦棍(メイス)辺りがいいかなー、それとも警棒がいいかなー。太刀を使うにしても、示現流や薬丸流の使い手なら話は別だけどー。素人剣術じゃ、薄皮一枚斬れるかどうか。サマナーはなにか武術か剣術か槍術か合気道かパンクラチオンが使える?」

「全然。寝技でも剣術でも先輩に勝てたことはありません。」

「その先輩に習ってみるのがいいかも。」

「人妻になって外国にいますからねえ。」

「う~ん、じゃあやっぱり銃火器ねー。」

「そうなりますか。」

「そうなるわねー。」

「跳弾の可能性を考えて、短機関銃は如何でしょうか?」

「威力的には自動小銃なんだけどねー。図書館はどれくらいの悪魔が出てくるかで武器選びも変わるわ。取り回しの容易さも影響するしねー。」

「ではいっそ、M1カービンにしましょうか。あれならば拳銃と自動小銃の中間くらいの威力がありますし、骨董品ですが騎兵銃の傑作です。」

「そうねー、射撃時の反動も比較的制御しやすいし、重さも三キロ未満だから取り回しやすいでしょう。今回はこれにしときましょ、サマナー。骨董品だけどねー。一〇〇メートルまでだったらこの騎兵銃でも実用性があるし、ここから始めたらいいんじゃないかなー。」

「幸い、豊和工業がライセンス生産したM300がありますのでそれを使いましょう。これは機関部の仕上げが美しい初期型ですね。箱形弾倉は三〇発入るものが四個ありますから、これらを使ってください。」

 

試射してみる。

何気に初体験。

二〇メートル先にある人型の標的。

意外と的の真ん中に穴が開かない。

 

「真ん中に当たらないわね。」

「初めて銃を撃つんだから、こんなもんでしょー。あたしたちが補佐するから大丈夫、大丈夫!」

「これからどんどん撃ち続ければいいのですわ。五〇〇発も撃てば、もっと慣れますわよ。大丈夫です。私が全面的に支援しますので。」

 

耐刃耐弾ベストとイタリア製半自動拳銃とナイフを貰い、図書館へ向かう。

移動は、マヨーネさんが運転する濃緑色のフィアット・チンクエチェント。

かの大快盗が愛用した車だ。

よく手入れされている内装。

高そうな革が貼られている。

図書館の裏口へと到着した。

表は休館中の札がぶら下がっていて、そちらからは入れない。

 

「お気をつけください。」

「よくわかっています。」

 

話が伝わっているらしく、思った以上にすんなり中へ入れる。

初老の警備員は怯えていた。

 

 

異形のモノたちとの会話は興味深いものだった。

意外な程に話が通じる。

 

「あきれた。戦闘が全然発生しないじゃない。」

「楽でいいんだけどさー。サマナーって、悪魔との相性がけっこういいよねー。」

「あはは、戦わなくて済むならそれが一番いいじゃないですか。」

 

莫大に所持する生体マグネタイトが、大いに役立った。

これを幾らか与えると、大抵の悪魔の機嫌がよくなる。

うちの子たちはとても不機嫌なのだが。

悪魔を甘やかすんじゃないと叱られた。

ノリノリなノッカーやナハトコボルトたちと仲よく踊ったら、何故か全員正座させられた。

解せぬ。

生体マグネタイトをあげた見返りに、魔貨と呼ばれる魔界通貨を貰ったり宝玉やチャクラドロップなどを貰ったりした。

この魔貨は日本円に換算すると、一枚一万円くらいの価値があるらしい。

生体マグネタイトもお金にならないかな?

どこかに換金所でもあったらいいのにな。

金欠生活をなんとか脱したいものである。

 

 

「あの先に、ここを仕切っている奴がいるぜ。気位のたけえオンナだからよ、気ぃつけな、おっさん。」

「わざわざ案内までしていただいて、ありがとうございます。これは、お礼の生体マグネタイトです。」

「ふひひひ、わかってんじゃねーか。おっとこいつぁちっと貰いすぎだからよ、魔貨をくれてやらぁ。」

「これはこれはかたじけない。」

「いいってことよ。じゃあな。」

「はい、さようなら。」

「悪魔が素直に道案内するなんて、信じられない。」

「サマナーって何者なのー? もしかしてアリスとおんなじ高位悪魔?」

「オレは普通の人間ですよ。」

 

そして、扉を開いた。

 

 

箱車、というのだろうか。

小さな車輪付きの匣が見える。

牛車を小さくしたような車だ。

そこから身を乗り出し、手で目を覆った女性の幽霊がいる。

 

「もしや、あれは!」

「知っているんですか、ピクシー?」

「あれは幽鬼フグルマよー、サマナー。」

「フグルマ?」

「文車(ふぐるま)、つまり書簡類や書籍類を運ぶための移動手段ねー。」

「まさに図書館に相応しい悪魔ですね。しかし、よくご存じで。」

「あたしをもーっと頼っていいのよ、サマナー。」

「あら、思ったよりもずっといい男が来たじゃない。で、あんたはこれからアタシを討伐するつもりかい?」

「意外と蓮っ葉な口調ね、この悪魔は。」

 

話しかけられた。

身構えるアリスとピクシー。

 

「悪魔を殺して平気なの、あんた?」

「平和的にお話などしましょうか。」

「ふん、確かにアタシは平和な時代のモノが付喪神化した存在と言えるけどね。だからといって、平和的に話す必然性なんて無いわよ。」

「殺しあいだけが解決法なんて、それはとてもさみしいことでしょう。」

 

騎兵銃(カービン)の安全装置を作動させて、床へと静かに置く。

拳銃とナイフが吊り下げされたベルトも外し、これも床へ置いた。

 

「変なことを言うニンゲンね。でも、そういうのは悪くないわ。じゃあさ、あんた、この箱車の中にそのまま入れるかい?」

「ええ、いいですよ。」

「止めなさい、サマナー! 罠よ!」

「そーよー! 危ないよー!」

「これこそ、『虎穴に入らずんば虎児を得ず』です。」

「ふふん、咄嗟に出てくる格言としては合格点ね。さあ、いらっしゃい。アタシの中へ。」

「失礼致します。」

「「サマナー!」」

 

彼女の中に入ると、やさしい薫りがした。

お香のにおいか?

やわらかな光が中に充ちている。

意外と広い。

ちょっとした食事会が出来そうな位だ。

外見と中身の大きさが異なるのかねえ。

整理された書庫の中は快適性が感じられ、彼女の人柄が漂ってくるようだ。

書棚はきちんと整理されている。

指を這わすと微震が感じられた。

なんだ?

地震か?

何冊か抜き出してみる。

また微震が感じられた。

変だな。

床は板敷きで、 寝っ転がるのによさそうである。

寝っ転がってみた。

これはいい。

微震が数度発生する。

なんでだろう?

文机があって、そこには半紙や文鎮や筆、硯(すずり)、墨などが置かれている。

筆を手に取ってみると、なんだかビクッとした気配が伝わってきた。

筆先を触ると心地よい感じだ。

その感触を堪能する。

なんの毛なのだろう?

懐かしい気さえする。

筆をやさしく撫でた。

やや大きめの揺れが発生する。

図書館の外が揺れているのか?

毛先を丹念に触ってみた。

いい手触りだ。

ドン、と大きく揺れた後、途端に中が真っ暗となった。

 

気づくと箱車の外にいた。

女性の幽霊が、はあはあ言いながらうつ伏せになっている。

大丈夫かな?

仲魔たちは微妙な顔をしている。

 

「あの、フグルマさん、大丈夫ですか? その、なにかあったんですか?」

 

問うてみた。

 

「サマナーって、ヤる時はヤるよねー。さっすが、『御立派様』が見込んだだけのことはあるわねー。」

「見直した、というか、ヤっちゃった、というか、割とこわいもの知らずなのね、あんたは。」

 

どういうことだろう?

うつ伏せだった幽霊が起き上がる。

彼女は光り始め、半透明な姿が別の姿へと変化してゆく。

ピカチュウッ!

これは進化か?

まばゆい光が辺りを覆った。

 

「決めた! アタシ、あんたの仲魔になるわっ!」

「はい?」

「あ、鬼女フグルマから妖鬼ハコクルマに種族変化してるよー、この悪魔。」

「敵対者を種族変化させてしまうなんて、サマナー、おそろしいおっさん。」

「えっ、はっ?」

「今後とも宜しくね、サマナー。」

 

十二単(ひとえ)を着た、青白い肌の和風美人はそう言って微笑んだ。

 

 

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