ハイスクール・フリート Gフォース   作:首都防衛戦闘機

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第19章 ブルーマーメイドフェスター 中編

横須賀基地

 

ブルーマーメイドフェスターの会場入口

 

ヴィヴィオ「うわぁ・・・!?」

 

なのは「ヴィヴィオ、はしゃいじゃ駄目だよ!」

 

ヴィヴィオ「うん!」

 

その頃、ブルーマーメイドフェスターの会場入口前では、なのはとフェイトがヴィヴィオを連れて、薫とはやて、次郎を待っていた。

 

なのは「薫先輩とはやてちゃん遅いね?」

 

フェイト「ん・・・もしかしたら、また次郎君が寝坊したんじゃないかしら?」

 

なのは「もう次郎君たら、肝が据わってないんだから・・・」

 

フェイトは、次郎が寝坊しているせいで、薫達が遅れているんだろうと確信している。

 

ヴィヴィオ「ママ・・・」

 

会場内に入れないのにヴィヴィオは、なのはに駄々を捏ねる。

 

なのは「あっ、ヴィヴィオ!もうちょっと待っててね!」

 

ヴィヴィオ「うん・・・」

 

ヴィヴィオは、なのはとフェイトが保護者になってから、あまり駄々を捏ねてないが、やっぱり今日は、折角のお祭り何ので、ママに甘えたいんだろう。

 

なのは「如何しようフェイトちゃん?」

 

フェイト「薫さん達が来ないと会場に入れないから、もう少し待とうよ!」

 

なのはとフェイトは、仕方がなく薫達を待つしかない。

 

何故なら、招待券は、薫が持っている為、会場内に入る事が出来ない。

 

3人が困っていると

 

はやて「なのはちゃん!!フェイトちゃん!!」

 

なのは「あっ!?はやてちゃん!!」

 

ようやく、薫とはやてが現れ、次郎も眠い中、2人に引っ張られて、連れて来られた。

 

薫「御免、遅くなっちゃた!!」

 

フェイト「薫先輩も次郎君もようやく来たね!」

 

次郎「ふぁ~ん・・・御免御免・・・つい寝坊しちまった・・・」

 

大きいあくびをしながら答える次郎。

 

なのは「もう・・・寝坊するなんて、肝が据わってない証拠だよ!」

 

次郎「ん・・・後輩に言われる筋はないんだけどな・・・」

 

薫「その後輩に言われてるんだよ!少しは、反省したら次郎君!」

 

次郎「はいはい、反省してます。」

 

薫「はいは、一回で良い!・・・それっと今日ぐらい、サングラス外したら・・・煙草も・・・」

 

薫は、次郎にサングラスと煙草を止めるよう言う。

 

次郎「これは、俺のトレドマークなの!・・・あと、この煙草は、お前に言われて、電子煙草だから、大丈夫!」

 

それに対して、次郎は、拒否する。

 

フェイト「まあ、2人共!それより、早く入りましょう・・・ヴィヴィオも待ちくたびれてる事だし・・・」

 

薫「そうね!それじゃあ、中に入ろうか?」

 

薫が入場を促す。

 

そして、入場券を受付で見せて会場入りをする。

 

会場入りした6人が先ず、最初に行ったのは、横須賀女子海洋学校の生徒達が主催している屋台ブースであった。

 

それを見て、腹声が鳴っているのに気づく。

 

次郎「そう言えば、急いで来たんで、朝何も食べていないな・・・・」

 

薫「じゃ何か食べようよ!」

 

次郎「そうだな、俺も腹減ったし!」

 

はやて「賛成や!」

 

薫とはやては次郎を起こしに朝早くから出てきた為、朝食を食べていなかった。

 

そこで、何かを食べる事にした。

 

薫とはやては、横須賀名物のネイビーバーガーを食べ、次郎は、ホットドックを食べ、なのは、フェイト、ヴィヴィオの3人は、仲良くチョコバナナを食べる。

 

食べながら、屋台ブースで売り子や客の呼び込みをしている横須賀女子海洋学校の生徒達を見て

 

はやて「ホンマ、懐かしいわね!」

 

薫「そうだね!・・・私達の学生時代の学園祭もあんな風だったもんね・・・」

 

2人は、海士学校時代の学園祭を思い出す。

 

国防軍の海士学校には、年に一度の学園祭がある。

 

学園祭の時は、訓練で使用されている練習艦が一般公開され、学生達がクラスごとに出し物をやっている。

 

特に薫と次郎がいた、そよかぜクラスは、当時流行っていたメイド喫茶をやっていた。

 

ちなみに後輩のはやてのクラスは、お化け屋敷をやっていた。

 

次郎「ん・・・そうだったけ・・・・何だか嫌な思い出しかないけどな・・・」

 

『くっ!?』

 

それを言ったせいか、薫とはやてに殴られる。

 

次郎「イテ!?何すんだよいきなり!?」

 

薫「五月蠅い!!」

 

はやて「折角の乙女の思い出を・・・・」

 

次郎「・・・すいません・・・」

 

2人を相手には、多勢に無勢である。

 

なのは「まあ、まあ、薫先輩もはやてちゃんも・・・今日は楽しいお祭りなんだから、楽しもうよ!」

 

薫「そうね!・・・今日のところは、大目に見てあげる!ねぇ、はやてちゃん!」

 

はやて「そやね!」

 

次郎「は~あ・・・・逃げたくなってきた。」

 

屋台ブースにて、食事を終えた6人は、次に回る。

 

その時

 

アナウンス『間もなく、ブルーマーメイドによるスキッパーショーを開催いたします!!』

 

と、ショーの案内が放送された。

 

はやて「スキッパーショーやて!?」

 

薫「行ってみようよ!!」

 

6人は、スキッパーショーが行われる会場へと足を運んだ。

 

スキッパーショーの会場では、色とりどりのスキッパーが居り、やがて開催時間になると、一斉に走り出した。

 

一糸乱れない動きや交差、更には空中一回転など、難易度が高い技もBPF隊員達は、行い観客を圧倒させた。

 

『わぁ・・・・!!』

 

5人は、BPF隊員達の見事な曲技に釘付けになる。

 

合同演習で、スキッパーの訓練を見ているが、空中一回転など、難易度が高い技を初めて見た。

 

だが

 

次郎「ふん!・・・・あんなのうちの航空隊がやる曲技飛行に比べたら、赤子の手を捻る様なものだな・・・」

 

まあ、確かに航空機の曲技飛行は、スキッパーの曲技に比べれば、雅に神技である。

 

スキッパーの曲技と違って、空を曲技飛行をするのだから、だが今は、航空機の補充が出来ない以上、曲技飛行は許されないのだ。

 

なのは「まあ私は、Gフォースに入る前は、松島の教導隊にいたから・・・」

 

フェイト「私は、空軍の士官学校の時によくやってましたし・・・」

 

なのはは、Gフォースに入る前の国防軍松島基地の教導隊で、フェイトもアメリカ空軍の士官学校の時に曲技飛行をよくしていた。

 

今は、やらないが曲技飛行は、大の得意である。

 

ヴィヴィオ「ママたち、凄いの?」

 

はやて「そやよ!なのはママもフェイトママもうちの部隊じゃ、凄いねん!」

 

ヴィヴィオ「私もなる!」

 

ヴィヴィオも興味を抱いた様だ。

 

だが、航空機とスキッパーのどちらに興味を抱いたかは、不明だが、なのはとフェイト見たいになりたいと言い出した。

 

なのは「ヴィヴィオは、先ず小学から勉強しないとね!」

 

ヴィヴィオ「は~い!」

 

まだヴィヴィオは小学生である為、先ず中学まで卒業してからじゃないとなのはやフェイトがやってる事は学べない。

 

5人がヴィヴィオと話をしている時、薫は、スキッパーショーの続きを見ていたら

 

薫「あれ!?・・・あそこにいるのは!?」

 

向こう側で同じくスキッパーショーを見ている明乃を見かける。

 

薫は、急いで向こう側に行く。

 

薫「岬ちゃん!!」

 

薫は、手を振りながら、明乃に声を掛ける。

 

明乃「あっ!?薫お姉ちゃん!?」

 

明乃も薫に気付いた様だ。

 

薫「岬ちゃんもブルーマーメイドフェスタ―に来てたんだ。」

 

明乃「はい!」

 

2人が話しをしている時、ブルーマーメイド達が空中一回転ジャンプを披露した

 

『わぁ・・・!?』

 

つい最近、中型スキッパーの免許をとった明乃は、BPF隊員の見事な曲技に釘付けになり

 

明乃(私にも出来るかな?)

 

と、あまりにも無謀な思いを抱いていた。

 

特に空中一回転ジャンプの時などは明乃の周囲からキラキラした何かが出てきた様にも見えた。

 

中学1年の頃、明乃は新聞配達のバイトの為、小型スキッパーの免許を取得したのだが、免許取得以降、スキッパーの出すスピードに魅了されていたのだった。

 

ちなみに龍之介や薫達もつい最近、スキッパーの免許をとった。

 

仕事の合間に教習所に受けに行った。

 

この先、スキッパーの免許が役に立つと思い、免許を取得したのだ。

 

薫「あっ、そうだ!?皆にも岬ちゃんを紹介してあげないと・・・」

 

スキッパーショーが終わり、明乃と一緒に次郎達の元へ戻ろうとしたが

 

薫「あれ?・・・・皆・・・・何所行っちゃたの?」

 

薫が次郎達の元に戻ったら、もう既に次郎やはやて達の姿はなく、薫は、あっちこっち向いて探すが見や足らず。

 

如何やら、スキッパーショーを明乃と見ている間にはぐれてしまった様だ。

 

薫「如何しよう!?次郎君やはやてちゃん達とはぐれちゃった!!」

 

薫は、如何すれば良いか考えていたら

 

薫「そうだわ!携帯で連絡すれば、居場所が分かるかも!」

 

薫は、携帯で連絡しようと携帯を探すが

 

薫「あれ!?・・・あれ!?・・・あれ!?」

 

携帯が何処にも無い。

 

薫「あっ、そうか!?・・・急いで出たんで携帯を家に忘れてきたんだ!?」

 

次郎を起こしに行く時に慌てて家を出た為、携帯を忘れた事に気づく。

 

明乃「薫お姉ちゃん、如何かしたの?」

 

明乃が心配そうに薫を見ていた。

 

薫「岬ちゃん・・・だ、大丈夫だよ!!・・・あ、そうだ!?」

 

薫は、ある事を思い付く。

 

薫「岬ちゃん、良かったら一緒に回らない?」

 

薫は、次郎達が見つかるまで、明乃と一緒に回る事にした。

 

明乃「良いんですか?」

 

薫「調度連れとはぐれちゃた事だし!・・・一人で回っても面白くないから、如何を?」

 

明乃「あっ・・・はい!!」

 

薫の提案に明乃も同意し、一緒に回る事になった。

 

そんな時

 

薫「ん!?・・・あれは?」

 

薫が明乃と回っていると、体育着で走っているましろの姿を見つけた。

 

薫「ちょっと、御免!少し、此処で待っていてね!」

 

明乃「あっ、はい!」

 

薫は明乃に声をかけた後、ましろを追い掛けた。

 

ましろ「えっと、次は‥‥」

 

ましろが真冬に渡されたスケジュール表を見ていると、

 

薫「ましろちゃん!!」

 

ましろは突如、声を掛けられた。

 

ましろ「薫さん!?」

 

ましろが振り返ると、其処には、薫の姿があった。

 

薫「ましろちゃん!・・・その恰好、如何したの?」

 

薫は、ましろが何故、体育着で会場を走り回っているのか理由を尋ねる。

 

ましろ「そ、その‥‥ま、真冬姉さんが‥‥」

 

ましろは薫に何故、体育着姿なのか理由を話す。

 

薫「また!?・・・・真冬たらもう‥‥手伝う?」

 

ましろ「い、いえ大丈夫です!!・・・薫さんは連れがいるのでは?」

 

薫「ま、まぁ‥‥そう何だけど‥‥」

 

ましろ「でしたら、その人達に付いていてあげて下さい!!・・・私の方は、大丈夫ですから‥それじゃあ・・・」

 

ましろはそう言って再び走り出した。

 

唯、ましろの後を1人の女の子がまるでましろを尾行する様に後を追って行ったが、その子からは、特に悪意的なモノは感じられなかったし、見た所ましろと同い年ぐらいの子だったので、薫は

 

薫(ましろちゃんの友達かな?)

 

と、思い明乃の下に戻った。

 

薫と分かれたましろは、次なる部署へと向かった。

 

スケジュール変更のある各部署に赴き、問題点を聞いてそれを姉の真冬に連絡する。

 

自分で問題を解決する必要はないし、単に話を聞いて回れば良いだけの事だろう。

 

だが、この仕事では、一瞬でもそんな風に考えたら負けだった。

 

何しろ相手の殆んどは、このスケジュール変更にうんざりしているのだ。

 

即ち、機嫌が悪い。

 

その不満をぶちまける相手がましろになる訳で、そのましろが楽な仕事だと決め込んだ態度を少しでも見せようものなら火に油をそぐようなもの。

 

そう言う意味では、この胸に書かれた『宗谷』の名と体育着姿は、相手の気勢を殺ぐには格好の格好(?)と言えた。

 

悔しいが、真冬の知略に感心せざるを得ない。

 

だが、それはそれ

 

そんな事だけで済まされない問題だって起こる事はある。

 

BPF隊員「やっ、それだとこっちの人数が足りなくなる!」

 

横女の学生「そう言われても、元々そっちは、時間が被らないからって事でOKしてた訳で・・・・」

 

何かで問題が発生したため、BPF隊員と横須賀女子海洋学校の生徒が口論をしていた。

 

ましろ「あの・・・BMF本部からの使いの者なんですが・・・・何か有りましたでしょうか?」

 

口論していたBPF隊員と横須賀女子海洋学校の生徒がましろを見る。

 

そして、体育着の胸部分の『宗谷』を見て、少しきょとんとした。

 

横女の学生「宗谷さん!校長の娘さんの!?」

 

ましろ「あ、はい!宗谷真雪の娘の宗谷ましろです!」

 

横女の学生「うちのスケジュールが繰り上げられたんですが、それでちょっと問題が出てまして・・・・」

 

BPF隊員「掛け持ちしていた子たちが出られなくなっちゃったんです!!時間被っちゃって・・・・」

 

如何やらスケジュール調整のせいで、イベントを掛け持ち出場する予定の子が参加するイベントの時間が重なってしまい、どちらか一方に穴が開いてしまった様だ。

 

一応、出し物単位での時間や場所は本部でも把握しているし、それを元にスケジュールの変更も考えられているが、その出し物に関わる人間達の動きまで全てを把握している訳ではない。

 

特に「助っ人」の様な扱いの場合、本人達同士の口約束だけで他の誰も把握していない事などざらにある事だった。

 

ましろ「えっと、その場合は、どちらかに諦めてもらうしか・・・・」

 

ましろは、どちらかを切り捨てなければならないと言うが

 

BPF隊員「今年のBMFは今日しかないんですよ!?・・・この日の為に今日まで準備してきたのに・・・」

 

ブルーマーメイドフェスターに参加する生徒達は、この日の為に猛練習をしてきたのだ。

 

それを参加メンバーが足りないから中止では、あまりにも報われない。

 

こうした生の感情を目の前でぶつけられてしまうと人間、如何しても感情に左右されやすくなる。

 

ましろ(いや、ダメだ!!・・・私は、唯の伝令役・・・心情で動いてしまっては、規律は保てない!!・・・此処は、心を鬼にして・・・)

 

ましろ「ちょ、ちょっと待ってください!!今、姉に相談してみますから・・・」

 

BPF隊員「待って!・・・姉ってあの宗谷真冬・・・さん・・・よね!?・・・そんなの一刀のもとに切り捨てられるに決まってるじゃないですか!!」

 

本部に連絡を入れて指示を仰いでも良かったのだが、あの真冬が聞けば、あっさり切り捨てるか、もしくは、ましろに問題を丸投げするかのどちらかだ。

 

ましろ(これならば、やはり薫さんについて来てもらいたかった!!・・・しかし、今更薫さんを呼び戻す訳にはいかない!!)

 

確かに薫ならこういう経験もあるから解決出来るかも知れない。

 

しかし今更呼び戻せない。

 

そんな時

 

BPF隊員「あ、そうだ、ましろさん!!・・・貴方、脚には自信ある?百メートル何秒で走れる?」

 

ましろ「百メートルですか?・・・えっと確か13秒切るか切らないかくらいだったと思いますけど・・・・」

 

BPF隊員「よし、決まった!それだ!」

 

ましろ「はい!?」

 

成り行きとは、いえ、ましろが代わりに出る事になった。

 

被っていた出し物は舞台劇と甲板走。

 

甲板走はブルーマーメイドフェスターで一般開放されているインディペンデンス級教育艦の甲板で行われる艦上競技で、毎年、名うての脚自慢が揃う伝統ある出し物。

 

唯、今年は立候補者が少なく、頼みこんで何とかギリギリ人数を揃えたというところに、突然のスケジュール変更で候補者の1人が舞台劇と被ってしまい今回の問題が起きたという訳だ。

 

ましろ「くっ・・・・分かりました!・・・私でよければ走ります!」

 

ましろ(今の自分は、あくまで伝令役だ。)

 

と、ましろは、あくまで自分に与えられた職務に忠実にあれを貫こうとしたが、先輩方に頼まれ、ましろは、自らが助っ人となる事でこの事態を収める事にした。

 

横女の学生「ありがとう、ましろさん!・・・舞台劇の方、私の代役いないのよ!・・・良かった・・・!!」

 

BPF隊員「ありがとう、ありがとう!・・・さぁ皆!・・・ましろさんを讃える歌を歌いましょう!!」

 

BPF隊員『ありがとう~ましろさん~ 我らの救世主~♪』

 

ましろ「ちょっ!?そっ、そう言うのは良いですから・・・・」

 

洋美「可笑しいな?・・・・こっちに行ったと思うんだけど・・・・」

 

ましろを追いかけて来た洋美は、行く先々でましろがBPF隊員や横須賀女子海洋学校の生徒達と何やら話をしている姿を目撃した。

 

その姿を見て、洋美は心の中で、

 

洋美(大人とも物怖じしないであんなに話せてて凄い・・・・それに何だか頼りにされている様な・・・・)

 

ましろは、年上相手でも物怖じせずに話をし、彼女が立ち去った時、皆笑顔でましろを見送っている。

 

洋美は、ましろに対して尊敬の眼差しを何時の間にか彼女に向けていた。

 

しかし、そんな彼女に洋美は、中々声を掛ける事が出来ず、此処まで来ちゃった訳だ。

 

そんな中、洋美は、ましろの姿を見失ってしまった。

 

洋美は辺りを見渡してましろの姿を探していると

 

洋美「あ、居た!?」

 

彼女の姿は、インディペンデンス級教育艦の甲板で行われる艦上競技のスタート地点に居た。

 

アナウンス『第五コースの宗谷ましろ・・・今回の競技は特別参加となります・・・まだ中学3年生との事ですが、な何と何と、横須賀女子海洋学校校長宗谷真雪の娘であり、同じく娘である宗谷真霜・真冬姉妹の妹でもあります!・・・早速中学校の体力測定の結果を取り寄せましたが、期待に違わぬ素晴らしい数値!・・・尚、この測定の結果は匿名希望の宗谷真冬さんからの提供になります!!』

 

アナウンスを受けて俄に盛りあがる観客。

 

洋美「そっか、凄い人なんだ・・・・」

 

自分と同じ年なのに、ましろと自分の人柄が天と地ほどの差がある様に思えた。

 

ぶつかった事実は消えないが、自分は、ケガもしていないし、海に落ちてもいない。

 

ついでに買った焼きトウモロコシも落していない。

 

ましろの様子を見ると、本当に忙しい様だったし、あの時ちゃんとましろは、自分に謝った。

 

だから、今更彼女に文句なんて言う筋合いなんて無い。

 

洋美「何だろう、私・・・・ちっちゃすぎ!」

 

そう思うと自分の人としての器が小さ過ぎると惨めな思いがこみ上げて来た洋美は、スタートするましろの姿に釘付けになる。

 

ましろ「何が匿名希望だ、あのバカ姉・・・・!!」

 

ましろは、自分の情報を他人に流した真冬に咆哮する。

 

やがて、競技が始めると、ましろは、あまりにも自然な、完璧なスタートを切って飛び出していた。

 

何しろ、飛び出したましろ自身が「いつスタートしたっけ?」と思う程の無意識振りだった。

 

後方で言葉にならない声が聞こえる。

 

驚きなのか、悔しさなのか、それとも新たに焚きつけられた闘争心の発露なのか、だけどそれを気にしている暇はない。

 

ましろは、更に加速する。

 

甲板を蹴り、前へ前へと力強く漕ぎ出す。

 

ましろ(脚は櫂だ!・・・甲板は大海原だ!・・・目指す港にたどり着け!・・・誰よりも、速く!)

 

ましろは年上の‥しかも横須賀女子海洋学校の生徒相手にも関わらず、勝利を収めた。

 

アナウンス『ゴォォォル!!・・・速い速い宗谷ましろ!・・・並み居るブルーマーメイド候補生を置き去りにして、中学3年生が雅かの大逃げ、大逃げ切りを決めました!』

 

ましろ「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・はぁ・・・・」

 

アナウンス『宗谷ましろさん!・・・勝利者インタビューです!・・・この勝利の感想を一言!』

 

ましろ「つ、次の・・・・」

 

『次の?』

 

ましろ「次の頼まれごとがあるのでこれで・・・」

 

勝利者インタビューを振り切ってましろは、次の会場へと向かう。

 

何時の間にか横須賀女子海洋学校の生徒達の間で「宗谷家のお嬢さんが代打を引き受けてくれるらしい」という噂が立ち始めていて、既に何件か引き受けざるを得ない状況になってしまっていた。

 

ましろ(心情で動いてしまっては、規律は保てない!!・・・だが、一度心情で動いてしまった以上、同じ状況にあるところには同じ対処をしなければ、公正が保てない!!)

 

スケジュール調整の伝達は、既に済んでいた。

 

だが、引き受けた代打をこなすべく、ましろは、会場内を更に駆け巡らなければならなくなっていたのだ。

 

ましろ(次はクイズ大会らしい・・・・ありがたい・・・・少しは、身体を休ませられる・・・・)

 

次の会場は、クイズ会場で1人がクイズに答え、もう1人は、滑り台の上に乗ると言うモノで、解答者が間違えると、滑り台が上がり、乗って居る者が滑り台から落ちたら、負けとなるルールである。

 

そして、ご丁寧に、その滑り台の先は海に向けられていた。

 

アナウンス『三十六歌仙の1人で万葉集の編纂に携わったと言われる・・・・』

 

ピンポン!

 

横女の学生「大伴家持!」

 

アナウンス『・・・・ですが、キリスト教の洗礼を受けた豊後の大名と言えば?大友宗麟が正解でした!!』

 

横女の学生「前半関係ないじゃん!?御免、ましろさん!」

 

ましろ「がっ、がんばりますっ!」

 

ましろは、自分のチームパートナーとなった横須賀女子海洋学校の生徒を励まし続けた。

 

ましろ「大丈夫ですから答えてください!!例え間違えても耐えきってみせます!!」

 

横女の学生「ましろさん・・・・うん、がんばる!」

 

例えパートナーが答えを間違えても怒ったりはせず、最後までパートナーを信じ続けた。

 

洋美(凄い!?・・・あんなエネルギーは、私は愚かマロンにだって無い。)

 

そんなましろの姿勢は、観客や洋美に好感を与えたのは言うまでもなかった。

 

クイズ大会でも見事に勝利したましろは、其処から更に桟橋に向かった。

 

其処では、ブルーマーメイドによる2回目のスキッパーショーが行われていて、ましろは、何故か司会役としてマイクパフォーマンスを見せていた。

 

ましろ(何でこんな事まで・・・・)

 

横女の学生「あ、さっきの・・・・」

 

ましろ(声を引っ込めるのが遅かった!?・・・気まずい。)

 

横女の学生「あ、え、えっと・・・・さっきのクイズ大会、おめでとうございます!!」

 

ましろ「わっ、見ててくれたんだ!ありがとう~!」

 

横女の学生「すみません・・・さっき向こうに居たのに何でもう?って思っちゃって・・・・」

 

ましろ「アハハ、それは私じゃなくて、今司会やってる方に言うべきかな・・・急に相方になってもらった手前、ちょっと心配で・・・」

 

横女の学生「急に相方に?どういうことなんです?」

 

ましろ「あぁ・・・・ハハ・・・・あんまり他の人には言わないでね?実はね・・・・」

 

到着が遅れていた武蔵が漸く到着したとの連絡が入った。

 

ましろ(大丈夫だ・・・まだ時間はある・・・私だって馬鹿じゃない・・・無制限に代打を引き受けたりはしていない。)

 

武蔵自体は到着したが、体験航海までもう少し、時間的余裕が有る。

 

ましろ「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・くそっ、脚が・・・・もう・・・・」

 

しかし、ましろは、此処でも大きなミスを犯した。

 

ましろ(脚が重い・・・・力が入らない・・・・喉もガラガラだ。)

 

自分の体力の限界を考慮していなかったのだ。

 

汗も滝の様に流れていて、体育着がそれを吸いこんでぐっしょりとしていた。

 

ましろ(諦めるのか?・・・自分が引き受けたことを?・・・諦めるのか?・・・あの憧れの武蔵に乗る事を?)

 

最早憧れの武蔵に乗る事を諦めかけていたが

 

ましろ「諦めたく・・・・ない・・・・!!」

 

しかし、今諦めれば、これまでした事が全て水の泡になってしまう。

 

重くなる身体を引きずりながら、次の助っ人会場へと向かうましろ。

 

ましろ(あそこだ・・・・あの・・・・甲板に設けられた特設プール・・・・プール?)

 

会場を見て、ましろは固まる。

 

ましろが助っ人に来たのは、何と400m水泳リレーだった。

 

体力は、既に限界に近い中、400mも泳げない。

 

ましろ「だが・・・・引き受けた以上は・・・・!」

 

しかし、コレに出なければ、スケジュールが乱れ、武蔵に乗れない。

 

だが、この競技に出ても、体力が尽きて、その場に倒れるかもしれない。

 

倒れたら医務室へ運ばれ、当然武蔵に乗る事が出来ないかもしれない。

 

ましろ(やっぱり、付いていない・・・・)

 

ましろは、自分の不幸体質を呪ったが、どちらにしても武蔵に乗れないのであれば、少しでも先輩方の役立つ方を選んだ。

 

しかし、此処でましろにとって奇跡が起きた。

 

横女の学生「ましろさん!良かった、間に合った!」

 

それは、本来甲板走を走る筈だった横須賀女子海洋学校の生徒だっだ。

 

横女の学生「御免ね?・・・私の代打引き受けたせいで、他の子のも受けなきゃいけなくなっちゃったんだって?・・・本当に御免!・・・それから、ありがとう!!・・・聞いたよ?大活躍だったんだってね!」

 

ましろ「いえ、それより、其処のプールに行かなくちゃいけないんで・・・・」

 

ましろは、フラフラな状態で会場に向かうが

 

横女の学生「何言ってるのよ、そんなフラフラで!・・・私が何の為に来たと思ってるの!?」

 

ましろ「・・・・え?」

 

横女の学生「競泳だって?・・・まぁ、私も午前午後の公演終えて疲れてないとは言わないけどね、此処は、私に任せてましろさんは休んでて!・・・・あ、競泳スタッフの人・・・・!」

 

如何やら、その横須賀女子海洋学校の生徒は、自分の代わりに甲板走に出てくれたましろの恩に報いろうと彼女の代わりに出てくれる様だ。

 

その先輩は、特設プール付近にいたスタッフに駆けよった。

 

ましろ「私は・・・・」

 

横女の学生「あ、ましろさんが居たわ!」

 

横須賀女子海洋学校の生徒が3人やってきた。

 

横女の学生「代打をいっぱい引き受けちゃって大変だって聞いたわ!!・・・それでね、わたくし達3人でお力になれないものかと思って探していましたの・・・」

 

横女の学生「そうそう、それに武蔵の体験航海に乗りたいって話も聞いたんだ!!・・・だったらそろそろ向っておかないと・・・」

 

横女の学生「何をぼーっとしてるのかね、ましろくん!・・・さあ、残りの依頼は我々素敵な先輩に任せて、君は、もう1人の一般客に戻りたまえよ!」

 

ましろ「せ、先輩方・・・・」

 

先輩方は、ましろに精一杯の感謝の言葉をかけ、ましろは、その言葉を聞き、思わず涙が出る。

 

横女の学生「わっ!?・・・・あ、あのっ、泣かないで!・・・え、えっとハンカチ!」

 

ましろ「ありがとうございます!!」

 

ましろは、感謝し、こうべを垂れた。

 

横女の学生『ひゃっ!?』

 

突然の感謝に驚いてしまう。

 

横女の学生「ううんっ、ありがとうはこっちの言葉!・・・来年には、後輩になる子にお世話になりっぱなしじゃ横須賀海洋の生徒としては目立たないからね!」

 

横女の学生「その通り!!さぁ、向かいたまえましろくん!・・・近い将来、きみの艦になるであろう、あの武蔵の下へ!」

 

ましろ「はいっ!では、よろしくお願いします!」

 

やはり、母が校長を務める横須賀女子海洋学校の生徒は素晴らしい生徒達だ。

 

自分は、何が何でも横須賀女子海洋学校に入ってみせると意気込んだましろだった。

 

洋美「凄い・・・・!?」

 

ましろの活躍を見て、洋美は感動した。

 

彼女の行動は、横須賀女子海洋学校の生徒達の心も動かした。

 

ましろが横須賀女子海洋学校の校長の娘、ブルーマーメイドでは有名な姉妹の妹だと言う面もあるかもしれないが、唯それだけでは、人の心は動かせない。

 

ましろの自らの犠牲も厭わない行動に皆感謝したのだろう。

 

洋美「如何して、私は唯の中学生なんだろう・・・・」

 

ましろと自分は、同じ中学生なのに、如何してこうも違うのだろう。

 

洋美は、自分の非力さを嘆いたが、それでも自分は、ましろの力になりたいと思う自分が其処には居た。

 

洋美「ブルーマーメイドになれば、私も宗谷さんの力になれるのかな・・・・」

 

洋美はそう呟き、ブルーマーメイドフェスターの会場を見渡す。

 

同じ会場なのに最初見た時と今見ている時、それが何だか違って見えた。

 

洋美「横須賀女子海洋学校か・・・」

 

今年受験生にも関わらず、明確な進路をまだ定め切れていない自分に明確な進路が導き出せた気がする。

 

それは雅に濃霧の中で、陸地を求めている時、一筋の灯台の明かりを見つけた様な感覚であった。

 

その頃、薫と明乃は、はぐれた次朗達を探しながら模擬店やイベントを回っていた。

 

模擬店で薫は、生徒達がやるメイド喫茶に興味を持ち、明乃と一緒に入る。

 

明乃は、初めて見る顔をし、薫の方は、生徒達を見て、まだまだねという顔をする。

 

まあ、薫も学生時代に学園祭でメイド喫茶をやっていた経験がある為、まだまだこんなもんじゃなかったと思うんだった。

 

メイド喫茶を後にし、次に行こうとした時

 

明乃「ん・・・」

 

屋台ブースで売り子や客の呼び込みをしている横須賀女子海洋学校の生徒達を見て

 

明乃「私‥来年、あの制服を着れるかな・・・」

 

明乃は不安そうに言う。

 

薫「あれ、如何したの岬ちゃん?雅か、今さらおじけずいたの?」

 

不安そうに思う明乃に薫は、少し馬鹿にした言葉を言う。

 

明乃「いいえ、絶対成ります!!ブルーマーメイドに、もかちゃんと約束したから!!」

 

薫の少し馬鹿な言葉が明乃の心に火を付ける。

 

薫「もかちゃん?」

 

明乃「あっ、もかちゃんて言うのは、この前、言っていた私の幼馴染です。」

 

薫「そのもかちゃんは、成績は、どの位なの?」

 

明乃「成績は、私よりトップクラスです・・・それにいつも試験勉強の対策問題集を送ってもらってますし・・・」

 

薫「じゃ、岬ちゃんは、諦めないでがんばらないとその子が送ってくれた折角の問題集も無駄になるわね!」

 

薫の言葉に明乃の心に更に火を付ける。

 

明乃「私はきっと、絶対、絶~対に横須賀女子海洋学校に入ります!!」

 

薫「よ~し、その活きよ岬ちゃん!じゃ、けいきずけにブルーマーメイドの誓いの言葉を言ってみようか!?」

 

明乃「はい!」

 

薫「海に行き」

 

明乃「海を守り」

 

薫「海を行く」

 

『それがブルーマーメイド!!』

 

ブルーマーメイドの標語で気合を入れるが一般客の目の前でやったせいか、注目の的になる。

 

2人共赤面し、急いでその場を去る。

 

逃げる途中、武蔵が到着し、その体験航海がある連絡を聞く。

 

薫「武蔵って一体どんな艦なんだろう?」

 

明乃「え、薫さん知らないんですか?・・・・これですよ!・・・・これが武蔵です!!」

 

明乃が薫にパンフレット見せ、武蔵についての詳細を教える。

 

大和型戦艦の二番艦で、現在は、横須賀女子海洋学校所属の超大型直接教育艦として使用されている艦、乗員は、横須賀女子海洋学校の中でも優秀な生徒が選ばれている。

 

武蔵の艦影を見て、薫は

 

薫(ああ、この艦知っている!?・・・確か、今は、スクラップになって・・・その資材は、私が乗る空母大鳳に使われている。)

 

龍之介達の世界では、武蔵などの旧式艦は、既に時代遅れとなっていた。

 

日本国防軍は、新型の空母や護衛艦を建造する為には、資材が不足した為、そこで武蔵などの旧式艦をスクラップにして、その資材を再利用する事で建造が可能となり、鳳凰型空母を6隻建造する事ができた。

 

特に鳳凰型3番艦の大鳳は、武蔵と信濃の資材を再利用して建造された空母である。

 

明乃「この後、体験航海があるみたいですし、乗りませんか?」

 

明乃が武蔵に乗ろうと言う。

 

薫「そうだね、乗ってみようかな!」

 

薫も自分が乗る大鳳の親である武蔵に興味を持ち、折角だから乗ろうと決めた。

 

そして、2人は、武蔵の体験航海が行われる埠頭へと向かった。

 

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