ハイスクール・フリート Gフォース   作:首都防衛戦闘機

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第4章 世にも奇妙な晴風の夜

4月6日

 

日本近海

 

横須賀を出って、集合地点の西之島新島沖を目指す晴風。

 

だが、途中機関が不具合が発生し、修理の為、立ち往生を余儀なくされた。

 

雅に晴風は、速力は速いが、故障が多いのが欠点である。

 

夕方には、修理は保々完了し、集合地点の西之島新島沖に急いで向かう。

 

晴風、艦橋

 

航行中、艦橋では、書記の幸子が怪談話をしていた。

 

幸子「これは、とある大型戦艦で起きた本当にあった事なんだけど・・・」

 

そう言って幸子は声のトーンをスッと落とした。

 

幸子「その大型戦艦は係留中に突然、火薬庫が爆発して沈没してしまいました・・・火薬庫にあった三式弾や、他の艦がその地点に落としてしまっていた魚雷が原因とも言われたんですが、調査の結果、それらは否定され、真の原因はついぞわからないまま・・・けれど、その予兆だったんじゃないかって言われるものはあって・・・艦長も含めた複数名が、事故が起こる前日の夜にそれを目撃していたんです。」

 

芽衣「何?何を見たの?もったいつけないでよ!」

 

芽衣がそわそわとした様子で先を促し、幸子がこくりと頷く。

 

夜の海を航行する晴風。

 

その艦橋にいる面々は、書記の話を聞き逃すまいと彼女の口元に視線を集中させていた。

 

幸子「その大型戦艦の第3砲塔の上でね、2人の女性が争っていたんだって」

 

鈴「2人の・・・・女性・・・・」

 

鈴がゴクリと生唾を飲み込む。

 

幸子「そう・・・・1人は、白い衣服に赤い袴の巫女のよう・・・もう1人は・・・・般若の様な形相の血まみれの女ッ」

 

「ヒッ」

 

今の小さな悲鳴は誰のものだろうか。

 

艦橋内の空気が数度下がったような気がした。

 

幸子「『おい、あれは何だ!?』『分かりません!砲塔との比較から3メートルはある様に見えます・・・少なくとも人間とは思えない・・・・船を守護する船霊というやつでしょうか?』『1人が船霊だとしたらもう1人は何だというんだ?』『それは・・・・』」

 

ましろ「いい加減にしろ!!」

 

幸子「何ですか副長、良いところなのに・・・」

 

ふくれ面を向けてくる幸子。

 

ましろは、それに怖じる事なく続けた。

 

ましろ「今は、航行中だぞ?・・・唯でさえ遅れ気味だというのに、いつまでこんなくだらない雑談を続ける気だ。」

 

幸子「そんなこと言って副長、実は怖くなってきちゃったんじゃないですか?」

 

ましろ「そ、そういう事じゃなくてだなっ。」

 

明乃「まぁまぁ副長、落ちつこう?」

 

此処最近、ましろの不機嫌の原因を一手に引き受けるかの様に入る明乃。

 

明乃「別に航行中っていっても何か問題が起こってる訳じゃないし、良いんじゃないかな・・・こういう話が出てくるのも、皆に余裕がでってきた証拠だよ!」

 

ましろ「しかし艦長、艦橋だけではなく艦全体でですよ!?・・・あっちでもこっちでも怪談怪談!・・・縁起が悪いにも程があります!・・・教官もそうでしょう?」

 

薫「私は、別に楽しいけど・・・」

 

ましろ「教官まで何言ってるんですか!?」

 

幸子「やっぱり怖いんだ!!」

 

キッと幸子を睨みつけてから、コホンと一つ咳払い。

 

ましろ「もちろん、私はそう言ったオカルトの類は一切信じてはいませんが・・・」

 

薫「まぁまぁ、ほら、そろそろ就寝時間だよ!・・・当直以外は各自の部屋に、ね!」

 

晴風、副長室

 

ましろ「全く・・・・たるんでいるとしか思えない・・・・」

 

ましろは、苛立ちの言葉をブツブツと呟きながら、扉を閉めベッドに潜り込む。

 

ましろの自室であるこの部屋は本来2人部屋なのだが、幸いにもましろ1人で使うことができている。

 

質素で殺風景ではあるが、ましろ1人の小さな城の様なものだ。

 

ましろ、1人の

 

ましろ「・・・・ッ!?」

 

その時、コォォォォッという感じの音がして、ましろはビクリと肩をすくめた。

 

ましろ「か、風が随分強い様だな・・・うん」

 

ましろは、胸に手を当てて、自分の言葉に深く頷く。

 

ましろ「・・・・別に、この程度の風なら、航海に問題は出ないだろう・・・・」

 

ましろは、お気に入りの鮫のぬいぐるみをたぐり寄せ、それをぎゅっと抱きしめた。

 

ましろ「だ、大丈夫だよな、ブルース!・・・お前もいるもんな・・・・そう、私は1人じゃない、1人じゃない・・・・」

 

コォォォォッ!

 

ましろ「ヒッ!」

 

何時もなら何でも無い筈の風の音に、小さな悲鳴を上げる。

 

ましろ「落ちつけましろ、落ちつこう・・・もう落ちつこう・・・もう晴風に乗りこんで何日目になるというんだ!!・・・ずっとこの部屋で1人の夜を過ごしてきたじゃないか?・・・いや、違う・・・ブルースもいる・・・私は、1人じゃない・・・大丈夫だ!・・・何も問題は・・・・」

 

コォォォォッ!

 

ましろ「・・・・・・ッ!!」

 

思わず飛び起き、ましろは自室の扉を開けた。

 

ましろ(誰でもいい・・・誰かいる所へ、早く。)

 

晴風、艦橋

 

艦橋にあがると幸子と芽衣の2人がいて、きょとんとした様子で此方に目を向けた。

 

ましろ(よりによって、この2人が当直か・・・・)

 

幸子「あれ、副長?寝たんじゃなかったんですか?」

 

ましろ「ああ、ちょっと・・・・」

 

曖昧な返事だったが幸子はそれほど興味はなかったらしく、小さくあ頷いてから芽衣の方に向き直った。

 

幸子「え・・と、何処まで話したっけ?」

 

芽衣「船釣りをしてる間に居眠りをして、ってとこ・・・それで?それで?」

 

何の話をしているのだろうか。

 

芽衣は、やけにワクワクした様子で幸子に続きを促している。

 

幸子「そうそうそう・・・何時の間にか居眠りをしちゃってたその男は、目を覚ましてすっかり日が暮れちゃってることに気がつくの・・・それで船を借りる時に、この辺りの海じゃ決して夜釣りはしちゃいけないと言われていた事を思い出して・・・・『よる釣りをすると如何なるんだい?』『そりゃあアンタ、呼ばれるんですよ!・・・おーい、おーい、ってね・・・でも万が一呼ばれたとしてもそれに応えちゃいけない。』」

 

やっぱりまた怪談だった。

 

ましろ「あ、あー、話の最中に失礼した・・・私は、少し艦内の見回りをしてから寝る事にする。」

 

幸子「はい、お疲れさまです。」

 

芽衣「お疲れ・・・」

 

ましろは、逃げ出す様に艦橋から離れて壁にもたれる。

 

晴風、通路

 

ましろ「ふぅ・・・・逃げる為の方便だったけど、折角だから見回りをしてから寝るか・・・・」

 

態々口に出してから狭い通路を歩き出す。

 

必要最低限の常夜灯だけが灯る通路は、暗闇ではないものの、決して雰囲気のいいものではない。

 

若干見える分、見えない暗がりから何かが這い出てきそうな、そんな恐怖。

 

いや、その暗がりにこそ、そんな恐怖そのものが息を潜めていて、取って喰らわんとましろを睨めつけているのではないだろうか

 

ましろ「ッ!?」

 

その時、ましろは、何かを感じて歩みを止めた。

 

ゴクリと唾を呑みこんでから、感じたその気配に意識を集中する。

 

――ギシッ。

 

音がした。

 

先程からの強い風の影響だろうか

 

だといいな。

 

そうに違いない。

 

不審な音などなかった。

 

「・・・・おーい!!」

 

ましろ「ヒッ!?」

 

今、確かに「おーい」と呼ぶ声が聞こえた。

 

さっき幸子が何かそんな話をしていなかったか!?

 

『でも万が一呼ばれたとしてもそれに応えちゃいけない』

 

応えると如何なるんだ。

 

ちゃんと最後まで話しを聞いておいた方がよかったのか

 

何か、何か対処策はないのか

 

「・・・・おーい!!」

 

また聞こえた。

 

少し抑えた様な女の声で、何か、足音も聞こえた様な。

 

明乃「あ、副長!?」

 

ましろ「ヒッ・・・・!?」

 

ましろが最大限に見開いた瞳で見た物は、晴風艦長・岬明乃その人だった。

 

明乃「如何したの?寝たんじゃなかったの?」

 

ましろ「か、艦長こそ何を・・・・何か今、呼ぶ様な声が聞こえましたが・・・・」

 

ドッドッ・・・・・・

 

激しく高鳴る鼔動を何とか抑えつけて、冷静さを装う。

 

明乃「あ、あはは・・・・え、えっと・・・・何か物音が聞こえたから誰かいるのかなーって思って声かけたんだけど、宗谷さんだったんだね?・・・あはは・・・」

 

ぎこちない笑いでましろに話かける明乃。

 

ましろ「そうでしたか?」

 

ましろは思わず満面の笑みを浮かべる。

 

ましろ「艦長!・・・私は、艦内を一通り見回ってから寝ようと思っていたのですが、もし寝つけないのでしたら、艦長も一緒にいかがですか?」

 

明乃「え!?」

 

明乃はきょとんとしてましろを見た。

 

ましろ(何かヘンな事を言ったか?・・・いや、確かに私の普段の言動からしたらフレンドリー過ぎるかも知れない・・・いやいやしかし、小動物の様に怯える艦長を副長である私が支えねば誰が支えるというのだろうか?・・・可笑しな事などなにもない・・・不審な行動など私は、一切していない!)

 

と、思いたかったが一応確認する事にした。

 

ましろ「何か変でしたか?」

 

明乃「ううん、ううん・・・全然ヘンじゃないよ!・・・うんっ、宗谷さん一緒に見回りしよっ!」

 

明乃は心底嬉しそうな表情でましろの手を取り、ぶんぶんと振ってきた。

 

やはり変ではなかった。

 

そうとも。

 

ましろが変であろう筈がない。

 

そして、明乃もやはり1人で心細かったのだと確信が持てた。

 

ましろ「・・・・ところで艦長、何時まで私の手を握っているつもりで?」

 

明乃「折角だし、このまま手繋いで行こうよ!」

 

ましろ「なっ・・・・」

 

ましろは慌てて明乃の手を振り解く。

 

ましろ「お、お断りです!!・・・規定外の見回りとはいえ、遊びではないんですから・・・」

 

明乃「え・・・」

 

ましろ(確かに、手を繋いでいた方が怖くないと思うけれども!・・・艦長のその気持ちは、良く分かるけれども!・・・しかし、私も副長として、晴風の規律を守らなければいけない立場・・・公私の別はきちんとつけなければっ・・・だがしかし、艦長が如何してもそうしないと不安だというのなら、今だけは、手を繋いでおいても・・・)

 

明乃「ま、しょうがないか・・・それじゃ行こう。」

 

ましろ「ぇ」

 

明乃「ん?」

 

ましろ「いえ、行きましょう。」

 

明乃「うん!」

 

ましろ(もう少し粘ってくれてもよかったのに・・・・)

 

ましろ、明乃と2人で艦内をつかず離れず歩いていく。

 

艦長と副長という役職柄、艦橋で一緒にいる事は多いが、それ以外でこうして2人でいる事は実はそんなに多くはない。

 

もしかしたら、入学式のあの日以来な気も

 

ましろ「むぅ!」

 

明乃「如何かした?」

 

ましろ「いえ、何でも・・・」

 

海に落とされた事を思い出して、つい苛立った声を漏らしてしまった。

 

やはり誰かと一緒に居る事で心に余裕ができてきたのだろう。

 

さっきまでは、こんな風に昔の事を思い返したり、その事で苛立ったりするような余裕なんてなかった。

 

あんなに気になっていた強い風の音も、今では単なる外の音でしかない。

 

明乃「でも、良かった。」

 

ましろ「はい?」

 

明乃「私なんかが艦長になっちゃって、最初は如何なっちゃうのかって不安も有ったんだけどね・・・各科の皆、結構仲よくやってくれてるみたいで安心したな・・・って・・・」

 

ましろ(そういう不安なら、私は、今だって充分不安だ!・・・果たして、この脳天気な艦長の下で私は、ちゃんと副長としての職務を遂行できるのだろうか?・・・だいたい今だって、初めての海洋実習の集合に間に合うかどうか怪しい状況なんだ。)

 

明乃「宗谷さんはまだ不安?」

 

ましろ「・・・・まあ、不安といえば不安ですね!」

 

言ってしまってからハッとする。

 

明乃「大丈夫だよ!・・・晴風の皆はきっと仲よくやっていける・・・だって、皆もう家族なんだから!!」

 

ましろ「家族、ですか?」

 

如何やら明乃は、ましろの不安が、乗員の仲について言っているのだと思ったらしい。

 

訂正するまでもないかと思ったその時、通路の向こうで何か言い争う様な声が聞こえてきた。

 

見れば通路の先のドアが僅かに開いていて、中から室内の明かりが漏れている。

 

明乃「何だろ?あそこ烹炊室だよね?」

 

ましろと明乃は頷きあい、そのドアの隙間から中の様子を伺った。

 

晴風、炊飯所兼食堂室

 

あかね「絶対有ったんだって!私ちゃんと此処に置いたもん!」

 

ほまれ「そんなこと言っても、無い物は無いじゃない!」

 

美甘「待って待って、ほっちゃんも落ちついてってば!」

 

ほまれとあかねが言い争っているのを美甘が諌めている、という構図の様だ。

 

ましろ「・・・・仲よくやっていないみたいですが?」

 

明乃「そんなこと言ってる場合じゃないよ!」

 

明乃は一瞬ましろと視線を合わせて頷くと、ドアに手をかける。

 

ギギギギギィと気味の悪い音を立てて開くドア。

 

烹炊室にいた3人は、驚いた様子で此方に目を向けた。

 

明乃「こんな時間に如何したの?・・・就寝時間はとっくに過ぎてるけど・・・」

 

美甘「あ、艦長・・・・」

 

ほまれ「副長も・・・・」

 

明乃とましろの姿を確認して、気まずそうに縮こまるほまれとあかね。

 

美甘「御免なさい!!・・・新しいレシピを研究してたらこんな時間になっちゃったんです。」

 

美甘が2人を庇う様に前に立って頭を下げる。

 

ましろ「熱心なのはいいが就寝時間にはちゃんと自室で寝てくれ・・・それと、今の様子だと何か問題が有った様だが?・・・何か口論をしていた様な・・・」

 

ほまれ「いえっ、口論という訳ではないんです・・・えっと、実は・・・・」

 

あかね「食材が無くなっちゃって・・・・」

 

ましろ「無くなった?」

 

ましろが聞き返すとほまれの方が顔を上げた。

 

ほまれ「作っていたのはパイなんですけど・・・・無くなる筈がないんです・・・下拵え中のものだったから、私の気のせいっていう事もあり得なくて・・・・」

 

明乃「3人とも此処に居たんだよね?・・・誰か他の人が入ってきたとか、そういうのはないの?・・・つまみ食いされちゃったとか?」

 

と明乃。

 

しかし、美甘は首を横に振る。

 

美甘「誰も来てないです・・・こっそりっていうのも流石に難しそうだし・・・・」

 

ましろ「ドアは、少し開いていたぞ?・・・誰かが出入りした可能性はあると思うが・・・」

 

ほまれ「蝶つがいのとこが壊れちゃったみたいで、きっちり閉まらないんですよね・・・和住さんには、頼んであるんで明日にでも直してもらえる筈なんですが・・・・此処、開け閉めするとギーギー音しちゃうんで、誰かが入ってきたら気がつかない筈ないと思うんですよ!」

 

『そう言えば!?』

 

と明乃とましろは揃って、入ってきたばかりのドアに目を向けた。

 

さっき覗きこんだ隙間を考えれば、確かに音を鳴らさずに入りこむのは難しそうだ。

 

明乃「ぁ」

 

ましろ「艦長、何か?」

 

明乃「う、ううん、何でもない!!」

 

あかね「やっぱり、これは、アレよ!・・・中学校の時にもそんな話あったでしょ?・・・家庭科室のヤツ!」

 

あかねの方が口を開いた。

 

ほまれ「家庭科室?・・・・あー、アレ?・・七不思議の・・・」

 

あかね「そうそう、消える食材の話・・・この話、オチが怖いんだよね・・・」

 

明乃「え・・・如何いう話?」

 

あかね「何度も食材が無くなるから、絶対につまみ食いしてる犯人がいる筈だって話になって、カメラを仕掛けるんだけど、其処に映っていたのは・・・」

 

ましろ「いや待て!・・・今は、如何して食材がなくなったのか、その食材は何所にいったのかという話をしているんだろう?・・・もっと真面目にだな・・・」

 

あかね「私真面目だよ!・・・今回も同じ理由かもしれないじゃない!!」

 

続きを話す気満々の杵崎妹だが、その楽しそうに光る瞳の煌めきからは真面目さは感じ取れなかった。

 

明乃「一応最後まで聞いてみようよ!」

 

明乃にまでそう言われ、ましろはやむなく頭を垂れる。

 

あかね「んじゃ続きね?・・・其処に映ってたのはね、キッチン台の下から伸びてきて、ひょいっと食べ物を取っていく誰かの手だったの。」

 

ましろ「・・・・何だ・・・つまりキッチン台の下に誰かが隠れていた訳だな!」

 

つまらなそうに言いつつ、ましろは、内心胸を撫でおろしていた。

 

あかね「もちろん、誰もがそう考えて、その台を調べた・・・・」

 

ましろ「え・・・・?」

 

あかね「そのキッチン台は流し台がついてるヤツなんだけど、どう見ても人が入れるスペースなんて無かったの・・・配水管が通ってるだけの所だったから・・・」

 

ましろ「・・・・い、いやいや・・・無理だと思っても意外と入れたりするだろう?・・・エスパーとか名乗ってカバンに入る芸人さんだっているじゃないか!!」

 

ましろの反論も虚しく杵崎妹はゆっくりと首を横に振った。

 

あかね「確かに、無理すれば入れたのかもね・・・でも、皆があまりにも気持ち悪いって言うんで、そのキッチン台を撤去して、新しいのに入れ替える事になったの。」

 

ましろ「続くのか!?」

 

あかね「そしたら、そのキッチン台あった床下から発見されちゃったのよ!・・・死体が・・・」

 

ましろ「・・ッ!!」

 

あかね「解剖の結果、死因は餓死!・・・如何いう訳か床下に入りこんだまま抜けだせなくなってしまったらしいの・・・きっと如何してもお腹が空いて、キッチン台の上の食材に手を伸ばしてしまったらしいの・・・きっと如何してもお腹が空いて、キッチン台の上の食材に手を伸ばしてしまったんでしょうね・・・・」

 

ましろ「・・・・っ。」

 

思わず調理台の側から後じさるましろ。

 

ほまれ「あっちゃん、盛りすぎだよ・・・其処まで判明しちゃってたら七不思議にならなくなっちゃう。」

 

あかね「あ、そっか!・・・失敗失敗。」

 

美甘「でもでも、結構怖かったよ・・・」

 

人の気も知らないできゃっきゃと話しあう炊事委員の3人。

 

流石の明乃も呆気にとられた顔をしている。

 

前言撤回。

 

主計科の3人は、非常に仲よくやっている。

 

ましろ「やっぱり関係のない話だったんじゃないか!!・・・しかも盛ったという事は、その、嘘なわけだよな?・・・皆、もっと真面目にその犯人探しをだな・・・」

 

美甘「え・・・でも、私達3人の誰かじゃなければ、他には無理ですよ?・・・それこそ、人が入れる様な場所なんてないですし・・・・」

 

ほまれ「あ、こんなパターンもあるよね!・・・実は、私達3人のうちの誰かが偽物だったとか・・・例えば、あっちゃんが私だと思って食材を手渡した相手が実は、この世ならざるものだったとか・・・・」

 

あかね「あ・・そのパターン!」

 

ましろ「だから、もっと真面目にだなっ・・・」

 

明乃「えっと、無くなった食材というのはどれくらいの量?・・・食料の在庫などに問題はある?」

 

気を取り直した様子で明乃が質問した。

 

美甘「1人分の更に半分ってとこです・・・お試しだったんで・・・・在庫には、全く影響はありません。」

 

明乃「では、この件は特に大ごとではないという事で終わりにしませんか?・・・もしまた、同じ様な事が起こった場合には、改めて対処するという事で・・・」

 

明乃の提案に3人は、顔を合わせて頷きあう。

 

美甘「分かりました艦長!」

 

明乃「それから、新しいレシピの研究は嬉しいけど、ちゃんと寝てくださいね!」

 

『は・・い』

 

そうして明乃とましろは烹炊室を後にした。

 

晴風、通路

 

ましろ「良かったんですか?・・ちゃんと犯人を探さなくて・・・」

 

明乃「家族を犯人扱いしちゃうみたいで、あんまり気分よくなくて・・・・あはは、つまみ食いって言いだしたのは、私なんだけどね!」

 

ましろ「私も真相が知りたいだけで犯人探しをしたい訳ではありませんが・・・」

 

明乃の後に付きつつ。

 

ましろ(というか、心霊現象的な原因というのを否定したい・・・いや、そうか・・・・艦長も怪談が怖くて寝つけず、艦内をうろうろしていたんだった・・・うんうん、やっぱり怪談は怖いものな・・・私も真冬姉さんに怖い話をされてよく泣かされたものだ。)

 

ましろは、そんな事を考えていた。

 

その時

 

トンタンッ、トンッ、タンッそんな音が聞こえて、ましろは、足を止めた。

 

明乃「シロちゃん?」

 

ましろ「艦長、今の音、聞こえませんでしたか?」

 

明乃「音?如何いう?」

 

ましろ「足音・・・・というか、何か跳ねる様な・・・・」

 

明乃「どっちから?」

 

ましろは、聞こえてきた方向をそのまま見やる。

 

明乃「この上・・・・?上甲板って事になっちゃうけど・・・・」

 

ましろ「ま、まあ、何所か他の部屋とかの足音がたまたまそんな風に聞こえただけかもしれません・・・あるいは、外の風の音とか・・・・」

 

明乃「んー、もしこんな時間に上甲板に出てる子がいるなら注意しなくちゃ!・・・念の為、上がって確認してみよ?」

 

ましろ「・・・・おっしゃる通りです!・・・行きましょう!!」

 

明乃「そう言えば、さっきココちゃんが船霊のお話してたでしょ?」

 

ましろ「はぁ・・・・」

 

明乃「私もね、怪談とかはあんまり得意じゃないんだけど、そう言うお話じゃなくて・・・」

 

ましろ(良かった、怪談じゃなかった。)

 

そう思ったのも束の間の事。

 

明乃「船霊って船の守護霊っていうか、一説には船の魂そのものみたいなもので、それが抜けちゃうと船が沈んじゃうんだって・・・ココちゃんのお話も、死神みたいのに船霊が負けちゃって・・・それで戦艦が謎の大爆発を起こしたってお話だったんだ。」

 

ましろ(怪談のお話じゃないって言いましたよね!?)

 

ましろの気も知らず、何やら楽しそうに話す明乃。

 

明乃「だからね!・・・船霊自体は怖いものじゃないんだよ!・・・むしろ、私達、船乗りの命を預ける大切な仲間なの・・・ほら、この艦にも艦内神社がちゃんと有るでしょ?」

 

ましろ「あの、艦長? 一体何が言いたいんです?」

 

明乃「いやぁ、あの・・・・あはは・・・・実はその・・・・絶対見間違いだとは思うんだけど、私、ちらっと見かけちゃった事があって・・・・」

 

ましろ「な!?」

 

ましろは、言葉を詰まらせながらも、それを尋ねた。

 

ましろ「何を、です・・・・?」

 

明乃「晴れやかな天気で、とっても気持ちの良い風が吹いてた時なんだけど、その時にね?・・・甲板で軽やかに踊る白い服を着た女の子の姿をね・・・・」

 

自ずと息が荒くなり、心拍数が上がる。

 

明乃「や、やっぱり私の見間違いだよね・・・・?クルーの誰でもなかったし・・・・密航者とか、あり得ないし・・・・何より、私以外の誰も見てなかったし・・・・」

 

明乃の話にましろは、怖くなり泣き出したくなるが

 

明乃「宗谷さん? 宗谷さん、大丈夫?」

 

ましろ「わ、わ、わ」

 

明乃「わ?」

 

ましろ「私は、そんなオカルト信じないと言っているでしょう!?」

 

明乃「ひゃいっ!?」

 

ましろ「何所もかしこも怪談怪談で気が滅入ってるのに艦長までなんです!?・・・そんな事だから海洋実習にだって間に合うか怪しいみたいな状況になってるんじゃないですか?・・・良いですか!・・・艦長は、それを余裕だとか言いますが・・・それは、私からしてみれば単なるたるみです!・・・この艦は!・・・教官も!・・・艦長も!・・・乗員も皆!・・・たるんでるんです!しっかりして下さい艦長!・・・お願いしますから!」

 

明乃「わ、分かった!分かったからシロちゃん、落ちついて・・・今就寝時間だから・・・皆、何事かって起きちゃうから・・・」

 

ましろ「は・・っ、は・・っ、は・・っ・・・・お、おわかりいただけたのなら・・・・は・・っ・・・・良かったです・・・・ふーっ・・・・」

 

つい取り乱してしまった。

 

確かに今は、就寝時間。

 

あまり大きな音を立てるのはよくない。

 

そんな会話をしている間にも、明乃は上甲板に上がる扉に手をかけた。

 

ましろ(そうだった・・・これから甲板に誰か出ていないかを確認しなくちゃいけないんだった・・・・何で艦長は、今から甲板に出ようという時に、あんな話をしたんだろう?)

 

明乃『甲板で軽やかに踊る白い服を着た女の子の姿をね・・・・』

 

先ほどの艦長の言葉が脳裏に再生される。

 

そして

 

ましろ「艦長、待つ・・・」

 

ましろが止めようとした時に

 

明乃「うわぁ!」

 

ましろ「っ!」

 

既に明乃は、上甲板への扉を開き外へと出ていた。

 

晴風、甲板

 

そして、何時もの脳天気な笑顔で振り返って、はしゃぐ。

 

明乃「見て見て!お月様がとっても綺麗!」

 

明乃に引っぱられて外に出ると、大きな月が雲一つない夜空を煌々と照らし出していた。

 

上空の雲を散らしたであろう。

 

強風もすっかり落ちつき、穏やかなものになっている。

 

明乃「確かに、こんなにいい月夜なら、甲板に出て眺めたくなっちゃう子もいるかもね!」

 

ましろ「その気持ちは分からないではありませんが、規則は規則・・・こんな夜更けに、甲板から落ちていた何て事になっても、誰も気がつかないし、助けようもありませんよ!」

 

明乃「う、そう言うのはやっぱり怖いよね!・・・夜の海って吸いこまれるとかいうし・・・・あ、えと、今のは・・・」

 

ましろ「コホン、それくらいは、別に構いません・・・私だって口五月蠅くしたい訳じゃ・・・・」

 

明乃「あはは、うん・・・いつもありがとね、シロちゃん!」

 

不意の感謝の言葉に、ましろは、言葉を詰まらせ、明乃から視線を逸らしてしまう。

 

明乃「ん・・・誰も行けないね!」

 

ましろ「・・・・そうですね!」

 

ましろは、返答の機会を失った。

 

確かにましろは、明乃に対して不満がある。

 

だが、別に仲違いしたい訳ではないし、友好の窓口を閉ざしたい訳でもない。

 

唯、ましろは、副長として、明乃の言動にもの申したい事があるんだが

 

そう考えてる時

 

ましろ「あれ?艦長?」

 

甲板をほぼ一周した時、直ぐ側で一緒に歩いていた筈の明乃の姿が見えなくなっている事に気がついた。

 

ぐるりと見回しても何所にもその姿はない。

 

ましろ『こんな夜更けに、甲板から落ちていた何て事になっても、誰も気がつかないし、助けようもありませんよ!』

 

自分で明乃に言ったばかりの台詞が蘇り、ましろは、首を激しく横に振って浮かんでくる最悪の想像を振り払った。

 

ましろ「艦長・・・・?」

 

そんな希望がましろにもう一度その名を呼ばせる。

 

ましろ「雅か、先に艦内に戻ったとか、ですか・・・・?」

 

本当にその台詞の通りだとしたら、返事がある筈がないのだが、声に出さずにはいられなかった。

 

ましろ「ははは、か、艦長の気まぐれにも困ったもんだ・・・・」

 

ましろの中で、どんどん『あり得る可能性』が排除されていく。

 

そして、その逆に『あり得ない可能性』がムクムクとその頭をもたげはじめる。

 

ほまれ「実は、私達3人のうちの誰かが偽物だったとか・・・例えば、あっちゃんが私だと思って食材を手渡した相手が実は、この世ならざるものだったとか・・・」

 

ほまれが何の気なしに言った言葉が蘇った。

 

ましろ「ま、雅か、今まで一緒に歩いていた筈の艦長が、に、に、偽物・・・・だったとか・・・・そういう話じゃないだろうな・・・・」

 

『甲板で軽やかに踊る白い服を着た女の子の姿をね・・・・』

 

その言葉が思い出された時、やけに生温かい風がましろの首筋を撫でていった。

 

ましろ「・・・・っ」

 

「!?」

 

その時、ましろは、視界はあり得ないものを捉えた。

 

ましろ「嘘、でしょ・・・・!?」

 

艦内に戻るべきだと、ましろの本能はそう訴えていたが、その物体を確認しないわけにはいかなかった。

 

ましろが見つけたのは、きちんと揃えられた明乃の靴。

 

ましろ「ま、雅か!?」

 

あるそうぞうが頭に浮かぶ。

 

ましろ(さっき私がこっぴどく叱ったせいで自殺を!?・・・いやいやいやいやいや・・・落ちつけ、落ち着いて、落ちつくんだましろ・・・あの艦長に限って自殺はない・・・しかも、そんな繊細な理由でという事は、先ず考えられない・・・私は今混乱している・・・冷静に考えて、冷静に・・・・ほら、さっきまで一緒にいた艦長は偽物だから・・・偽物じゃ駄目だろ!!・・・いやでも、偽物だったら自殺する可能性があるのか?・・・いや待て、多分前提から可笑しい!・・・落ちついて!・・・ホントに落ちついて私・・・そ、そうだ!?・・・先ずは、やっぱり艦内に戻って状況の報告をしなくちゃ!・・・報告って誰に?・・・そりゃもちろん艦長に決まって・・・)

 

怖気が走った。

 

ましろ「そうだ!?まだ教官が居る!・・・教官に報告してから指示をあおご!!」

 

そう意をけして顔をあげた、

 

薫「あら、副長?」

 

ちょうど、甲板の見回りをしていた薫とでくわした。

 

ましろ「教官!?」

 

薫「如何したの?そんな顔して、何かあったの?」

 

ましろ「じ、実は・・・・」

 

ましろは、明乃が自殺をした事を薫に報告しようとした。

 

その時

 

明乃「捕まえた・・・!!」

 

ましろ「ぎゃあ・・・・!?」

 

突然のその声に驚いたましろは、あろう事か、情けない叫び声を上げてその場にへなへなとへたり込んでしまった。

 

薫「ちょ、ちょっと大丈夫、副長!?」

 

へたり込んでしまったましろを心配する薫。

 

それからしばらくして

 

明乃「本当に、御免なさい!!」

 

五十六「う・・・」

 

明乃が深々と頭を下げ、序に猫の五十六の頭も下げさせた。

 

ましろ「・・・・」

 

恥ずかしいところを見せる事になってしまったましろは、即座に許す事などできず、プンと唇を尖らせたまま。

 

薫「つまり・・・五十六を捕まえる為に靴を脱いだって事?」

 

明乃「こっそり近づいて捕まえ様と思いまして・・・・ほら、この靴で甲板歩いたら、結構足音立っちゃうから?」

 

ましろ「私が見回した時、何所にも見あたりませんでしたが・・・」

 

明乃「だって、五十六が砲塔の陰の方に行っちゃうんだもん!」

 

ましろ「はぁ・・・・」

 

薫「なら、最初に靴を脱ぐ時にましろちゃんにそう言えば良かったのに・・・」

 

明乃「ホントに御免なさい!!」

 

五十六「う・・・」

 

再び五十六と一緒に頭を下げる明乃。

 

ましろ「もしかして、艦内をうろついていたのもその猫を探して?」

 

明乃「あ、うん!・・・寝ようと思ったら急に部屋から出ていっちゃってね?・・・ほら、あの時は、まだ凄く風が強かったから、ちょっと心配になって・・・」

 

ましろ「何でそう言う事をちゃんと言ってくれないんですか・・・・」

 

明乃「もしかしたら怒られちゃうかな・・・・とか思っちゃって・・・あ、後ね・・・・シロちゃんに一緒に見回ろうって誘われて凄く嬉しくなっちゃって、そう言う事で良いやって・・・」

 

ましろ「そう言う事でいいやじゃないでしょう!?・・・何へらへら笑ってるんです!?」

 

へらへら笑う明乃をましろは叱る。

 

明乃「は、はいっ、御免なさい!反省してます!」

 

薫「まあ、まあ、ましろちゃん!・・・岬ちゃんも反省している事だし、此処は穏便に・・・」

 

薫は、2人の間に割って入る。

 

ましろ「・・・・他には特にありませんね?・・・それなら、もう今日の事は良いですから、さっさと寝ましょう。」

 

薫に言われ、ましろは、明乃を許す。

 

薫「ふぅ・・・・」

 

明乃「あ、一つだけ・・・」

 

明乃は、ばつが悪そうに小さく右手を差し出す。

 

明乃「烹炊室の盗難事件、多分犯人この子・・・・」

 

ましろ「はい?」

 

差し出されたその手には、頭がついた魚の骨があった。

 

肉の部分はすっかりしゃぶり尽くされている。

 

ましろ「・・・・魚?・・・いやしかし、パイを作っていた事・・・」

 

明乃「お菓子作り大好きなあの子たちが新しいメニューの研究で『パイ』を作ってたんだよ?・・・外国じゃニシンのパイとか普通にあるみたいだし、そういうのにチャレンジしてたんじゃないかな?」

 

ましろ「成程・・・そして、五十六ならあの隙間も音を立てず・・・・」

 

明乃「そうそう」

 

ましろ(良かった!・・・心霊現象なんて無かったんだ!・・・ありがとう五十六!・・・全部お前のせいと言えばお前のせいだが、ありがとう!ありがとう!ありがとう!)

 

ましろは、初めて、五十六に心から感謝した。

 

明乃「いいお月様だったし、月見酒ならぬ月見魚と洒落込んでたんだね、五十六!」

 

五十六「う・・・」

 

ましろ「そうですか・・・いや、成程!・・・全て合点がいきました・・・よかったよかった。」

 

ましろは、久しぶりにスッとした。

 

ましろ「そう言う事なら艦長!・・・明日炊事委員に事の次第を確認して、ちゃんと謝って置いて下さいね・・・その猫の管轄は艦長、と言う事で良いんですよね?」

 

明乃「うん、それはもちろん・・・それと、宗谷さん、ありがとう。」

 

ましろ「・・・・何がです?」

 

明乃「宗谷さんが甲板の方で音がするって言ってくれたから、もしかしてって思ったんだ・・・お陰でちゃんと五十六を見つけられたから、ありがとう。」

 

ましろ「ど、どう致しまして・・・」

 

ましろは、少しつっかえ気味だったが、今度はちゃんと返せた。

 

その事にもホッとする。

 

薫「さ、そろそろ戻らないと睡眠時間がちょっとになっちゃうわよ2人とも・・・」

 

明乃「はい!」

 

ましろ「了解しました。」

 

明乃は、五十六を抱えながら、トントンと軽やかな足音を立てて歩く。

 

その足音を聞いて、ましろは、ハッとした。

 

ましろ(そう言えば、私があの時に聞いた、甲板の方からした音は結局なんだったんだ・・・・五十六が立てた物音とは、とてもじゃないが考えられない・・・そう、あれは、軽やかなステップを踏む様なリズムだった。)

 

其処まで考えて、ましろは頭をブンブンと横に振るう。

 

薫「如何したのましろちゃん?」

 

ましろ「何でもありません!!」

 

明乃「それじゃ、おやすみ・・・」

 

ましろ「おやすみなさい!!」

 

薫「ん、おやすみ・・・」

 

2人は、自室に戻る。

 

薫は、そんな2人を見送り、改めて、奇麗な月を見る。

 

薫「・・・・今頃・・・兄さんと皆、何してるのかな・・・」

 

龍之介とその仲間が何をしてるかと思い、月を眺める。

 

 

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