ハイスクール・フリート Gフォース   作:首都防衛戦闘機

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第9章 追撃されてピンチ!

時系列は、少し遡る

 

4月7日

 

5:00

 

小笠原諸島、西之島新島沖

 

この日、晴風とは、別にドイツのヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属のアドミラル・グラフ・シュペーが小笠原諸島、西之島新島沖に向かって、航行中だった。

 

目的は、横須賀女子海洋学校の海洋実習に参加する事。

 

今回の横須賀女子海洋学校の海洋実習には、特別にドイツのからヴィルヘルムスハーフェン海洋学校、ビスマルク、アドミラル・グラフ・シュペーの2隻が参加する事になっていた。

 

しかし、その事は、明乃以下の生徒達には告げられておらず、知っているのは、薫やはやて、古庄の教員だけであった。

 

ドイツ、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属、小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋

 

ローザ「現在西ノ島新島近海を航行中、あと一時間で合流地点です。」

 

タブレットを操作する書記のローザ・ヘレーネ・カールス

 

ミーナ「ご苦労到着するまでこのまま航海を続ける。」

 

そして、晴風にとっては、補佐的人物になる副長のヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルク、通称ミーナ。

 

ローザ「了解しました。」

 

テア「予定道理の様だな!」

 

ミーナが順調に指揮を取っていると艦長のテア・クロイツェルが艦橋に上がってきた。

 

ミーナ「おはようございます艦長!」

 

テア「おはよう・・・お陰で良い睡眠がとれた・・・私が休んでる間、問題はなかったか?」

 

テアは、ミーナに現状を聞く。

 

ミーナ「問題ですか・・・それならさっきから隣の艦が五月蠅くて困ってます。」

 

ミーナの隣の艦が五月蠅いと言う事を聞いて、隣を向くと。

 

『アハハハハ!!』

 

隣には、アドミラル・グラフ・シュペーと同じく海洋実習に参加する大型直接教育艦ビスマルクが航行していた。

 

クローナ『御免なさ~い・・・ちょっと其処退いてくれない?・・・豆艦艇は小さくて潰してしまいそうで怖くて怖くて・・・』

 

そして、アドミラル・グラフ・シュペーに向けて、嫌味を言うのは、ビスマルク艦長のクローナ・ゼバスティアン・ベロナ。

 

ミーナ、テアにとっては、悪友でもあり、ライバルでもある。

 

ミーナ「お前らの方から近寄って来たんだろうが!」

 

嫌味を言うクローナに対して、ミーナは、言い返す。

 

ローザ「相変わらずですね。」

 

嫌味を言う2人を見て、ローザは、苦笑いをする。

 

テア「まあ・・・程々にしておけよ。」

 

しかし、テアは言い返さず、艦長帽を被る。

 

ミーナ「!」

 

テア「ふう・・・」

 

ミーナ「艦長、その艦長帽は・・・」

 

ミーナは、何故か、珍しくテアが艦長帽を被るのが気になっていた。

 

テア「ああ、元々の私の艦長帽だ・・・普段から余り被らないのだがな、この艦長帽に相応しくならねばなるまい。」

 

テアは、これまで自分と共に付いてきたミーナや生徒達に感謝していた。

 

その為、テアは、自分が持つ艦長帽に相応しい艦長になるべく、努力すると宣言した。

 

ミーナ「今でも充分お似合いですよ!」

 

そんなテアにミーナは、眩しく見えた。

 

レオナ「艦長、航海科から連絡です。」

 

突然、機関助手のレオナ・ベックナーが連絡してきた。

 

レオナ「レーダーや無線の調子が可笑しい様で・・・」

 

レオナが言うには、レーダーや無線が突然、フリーズを起こしたり、雑音が多くなったと言う。

 

リーゼロッテ「私が行って差し上げますわ!」

 

それに対して、砲術長のリーゼロッテ・フォン・アルノーは、自分が修理に向かうと言う。

 

ミーナ「リーゼロッテ」

 

リーゼロッテ「電子機器もそれなりに分かりますし・・・・アウレリア、貴方も来なさい!」

 

アウレリア「はいっ!」

 

リーゼロッテは、水雷長のアウレリア・ブランディを引き連れて、修理に向かう。

 

ミーナ「最近一段と仲が良いな、あの2人?」

 

ローザ「何だか、雰囲気が変わりましたよね。」

 

中が良い2人を見て、ミーナとローザは、不思議に思う。

 

それもその筈、2人は、昔から付き合いが長い。

 

レターナ「さ~て、引き継ぎも終わったし、私ら休憩に入るよ・・・」

 

航海長のレターナ・ハーデガンが交代に引き継ぎを終え休息に入る。

 

テア「ああ、ご苦労だった・・・副長も交代だ少しだが休んでくれ!」

 

ミーナ「分かりました。」

 

ミーナとローザもテアと交代して、休息に入る。

 

小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、甲板

 

レオナ「折角ですから、日本艦と交流しませんか?」

 

ロミルダ「良いですね!!」

 

部屋に行く途中、レオナと機関長のロミルダ・ハンネ・カールスが日本の艦と交流に付いて話していた。

 

そんな2人を見て、ミーナは、ある事を思う。

 

ローザ「如何したんですか?ニコニコして・・・」

 

そんなミーナにローザは、気になる。

 

ミーナ「ローザ・・・・いや、艦長の悩みも晴れて、全て上手く言っているなと思ってな、これからの航海が楽しみで仕方ない。」

 

ミーナは、テアが母親と無事に和解した事や乗員と親しくなった事で、全てが上手く行っている事に感心し、これからの航海が楽しみで仕方がなかったのだ。

 

ローザ「そうですね・・・私もです。」

 

それに対して、ローザも同じ気持ちだった。

 

サンドラ「あっ副長!?」

 

部屋に戻る途中、会計のアレクサンドラ・ティエレ、通称サンドラが訪ねてきた。

 

サンドラ「艦長見ませんでした?」

 

サンドラは、テアに要が有る様だ。

 

ミーナ「艦長なら艦橋に戻ったが、如何した?」

 

サンドラ「次の補充品のリストを確認してもらいたかったんですが・・・困ったな・・・」

 

如何やら、補給される補充品のリストの確認をテアにして貰おうと思ったが、テアが艦橋に戻った為、それが出来なく困っていた。

 

ミーナ「それなら私がやろう。」

 

困っているサンドラにミーナは、自分がやろうと言う。

 

ローザ「えっ!?でもミーナさんは今から休憩では?」

 

休息に入る筈のミーナが突然、引き受ける事にローザは、驚く。

 

ミーナ「これぐらい直ぐ済む・・・艦長の手を煩わせるのもなんだからな・・・」

 

確かにリストの確認ぐらいなら、直ぐに済むだろう。

 

ローザ「私も手伝います。」

 

ローザもミーナを手伝う形で引き受ける。

 

ミーナ「助かる。」

 

手伝うローザに感謝する。

 

そんな中、やがって、水平線に日が昇り、夜が明けてきた。

 

ミーナ「んっ!」

 

水平線に日が昇りを見て、ミーナは、眩しく見えた。

 

ミーナ「空が明るんできたな・・・」

 

(船の上から見る朝日は綺麗だな)

 

水平線に日が上がって行くのをミーナは、奇麗に見えた。

 

2人が話している中、サンドラは、何かに気づく。

 

サンドラ「?今、物音が・・・」

 

それは、何者かが、壁影からこっちを見ていた。

 

数時間後

 

小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、ミーナの部屋

 

「・・・・ナさん!」

 

あれから、どのくらい経ったか、分からない。

 

突然、何者かの呼ぶ声が聞こえてきて

 

「起きてくださいミーナさん!」

 

ミーナ「はっ!?」

 

ミーナは、目が覚め、辺りを見回すと、其処には、ローザが立っていた。

 

ミーナ「いかん・・・眠ってしまったか?」

 

如何やら、作業中に寝ってしまった様だ。

 

ミーナ「すまないな全部やらせてしまったか?」

 

自分がつい寝てしまい、ローザ、1人に作業を押し付けてしまった事にミーナは、申し訳ないと謝罪しようとしたが

 

ローザ「それどころじゃないです!」

 

しかし、ローザは、何故か、脅えながら、それどころじゃないと言う。

 

ミーナ「わっ!?」

 

ローザの言葉に眠気が覚める。

 

ローザ「皆の様子が変なんです・・・!」

 

ミーナ「・・・・如何いう事だ?」

 

皆の様子が変だと聞き、ミーナは、理由を聞く。

 

ローザ「それは、分からないんですが・・・・無線も通信不可になってて・・・・」

 

しかし、詳しい事は、ローザにも分からず、更に無線も通信も使用不可能になっていた。

 

そんな時

 

ドン!!ドン!!ドン!!

 

『!!』

 

いきなり、ドアを乱暴に叩く音が部屋に響く。

 

ミーナ「鍵を掛けているのか?」

 

誰か来たと思いミーナは、立つ。

 

ミーナ「ちょっと様子を見てくる。」

 

扉に近づき開け様としたが

 

ローザ「扉を開けちゃ駄目です!ミーナさん!!」

 

ローザは、ミーナに扉を開けない様に言うが、状況が分からないミーナは、確かめるべく扉をそ~と開けてみると

 

ミーナ「誰かいるのか・・・?」

 

更に開くと

 

ミーナ「!!」

 

其処には、1人の学生が立っていた

 

ミーナ「レターナっ!!」

 

其処に立ていたのは、ミーナと一緒に休憩にはいていた筈のレターナだった。

 

ミーナ「お前か・・・驚かせるな!」

 

レターナだと気づき、ミーナは、安心するが

 

ミーナ「他の皆はいるか?」

 

更に、他の者は、如何したかと聞くがレターナは、答えようともせず

 

次の瞬間

 

レターナ「うがああっ!!!」

 

レターナは、突然、野人見たいにミーナに襲い掛って来た。

 

ミーナ「この馬鹿者・・・冗談が過ぎるぞ!」

 

ミーナは、途さにレターナを投げ飛ばした。

 

ローザ「ミーナさん!大丈夫ですか!?」

 

ローザはミーナに問い掛ける。

 

ミーナ「私は、大丈夫だ!」

 

ミーナの方は、どうやら大丈夫の様だ。

 

ミーナ「気絶したな・・・」

 

レターナは、床に叩きつけられて、気絶してしまった様だ。

 

ミーナ「しかし一体何が起こってるんだ・・・!?」

 

2人が考えていると後ろから2人の学生が現れた

 

ミーナ「レオナ!サンドラ!」

 

現れた2人は、先程のレターナと一緒に休憩に行っていたレオナと補充品のリストを確認していた筈のサンドラが立ていた。

 

ミーナ「良かった、この状況は、一体・・・」

 

2人は、喜ぶ言葉で問うが

 

ミーナ「!!」

 

しかし、2人もレターナと同じ様に様子が可笑しかった。

 

ローザ「・・・・こっちだローザ!」

 

それに気づいたミーナは、ローザを連れて、急いで逃げた。

 

小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、甲板

 

ミーナ「!!」

 

ハッチを開き甲板に出ると其処は、もう合流地点の西ノ島新島沖だった。

 

ミーナ「もう西ノ島新島に着いているのか?」

 

ミーナは、辺りを見回すと周りには、他の艦船もいた。

 

ミーナ「ローザ、外の艦と通信は取れないのか!?」

 

ミーナは咄嗟に他の艦船と連絡する。

 

ローザ「駄目です・・・ビスマルクにも教員艦にも通信できません!」

 

しかし、他の艦船との連絡はできなかった。

 

ミーナ「本当に如何なって・・・」

 

如何して、こんな事態になったか、ミーナには、全く掴めなかった。

 

そんな中、ミーナは、ある事を思い出す。

 

それは、艦長、テアの安否だ。

 

ミーナ(艦長は・・・如何なったんだ?)

 

ミーナは、今この状況でテアの安否が心配になった。

 

ミーナ(嫌な予感がする・・・)

 

考えていると

 

ローザ「ミーナさん!!」

 

ミーナが振り向くと2人の後を追ってきたレオナ、サンドラが扉を開け様とするがローザが開けさせぬ様に扉にしがみ付き防いでいた。

 

ミーナ「ローザ!」

 

ミーナが駆け寄ると

 

ローザ「此処は、私が防ぎます!ミーナさんは艦長を・・・!!」

 

ミーナ「!!」

 

ローザは、しがみ付いて、防ぐ間にミーナにテアの元に行く様に言う。

 

ミーナ「分かった・・・!!直ぐ戻る!!」

 

ローザが防いでいる間にミーナは、急いで艦橋に向かう。

 

ミーナ「艦長・・・テア・・・!!」

 

テアの安否を心配しながら、艦橋へと急ぐ。

 

小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋

 

ミーナ「テア!!!」

 

梯子を昇り艦橋に着くが、其処には、艦長や交代の見張りもいなかった。

 

ミーナ「・・・・誰もいない!?何所に・・・!?」

 

ミーナは、辺りを見回していると

 

「正気なら早く上がれ副長!」

 

上から誰かが呼ぶ声がしてきて、上を向くと

 

ミーナ「テア!!」

 

其処には、ミーナが心配していた艦長のテアが立っていた。

 

テア「お前の声がしたから鍵を開けていた・・・無事で良かった・・・」

 

ミーナ「私も艦長が無事で良かったです。」

 

テア「ああ・・・皆が守ってくれてな、私だけ何とかな・・・」

 

ミーナ「・・・・」

 

テアの無事な姿を見て、ミーナは、安心した。

 

テア「この異変の原因は分からないが・・・我らの艦からの通信が途絶えたら普通はもっと動きがある筈だ・・・周りの船も同じ状況になっている可能性がある・・・もしかしたら、正気なのは私達だけかもしれないな・・・」

 

突然の通信途絶や乗員の異常なる振舞い、そして、他の艦船の異常な行動は、テアにも全く説明が着かなかった。

 

甲板には、生徒達が武蔵と同様、無口無表情でゾンビ見たいにあっちこち放浪うしている状態。

 

2人は、そのまま艦橋の上部の射撃指揮所で夜を過ごした。

 

4月8日

 

首相官邸、総理執務室

 

一方、首相官邸では、待ち惚けを食らっていた深町が田沼と面会していた。

 

深町「総理!・・・何故、無関係の山本監督官とその部下達を拘束したんですか!?」

 

深町は、何故、無関係の龍之介達を拘束したのか、田沼を問い詰める。

 

田沼「無関係とは、不本意だね深町国交相!・・・第一、彼らが反乱したと言う証拠も上がってるんだよ!」

 

深町「その証拠が本物なのか、確認したんですか総理?」

 

田沼「あ、当たり前だ!」

 

上がっている証拠が本物だと田沼は、言い張るが

 

深町「・・・嘘ですね!」

 

深町は、証拠が偽物だと見抜く。

 

田沼「何を言うか!確かに本物だ!!」

 

深町「総理!・・・貴方は、邪魔な山本監督官を排除して、彼らの技術を奪いたかったんでしょう?」

 

深町は、田沼の動機も見抜く。

 

田沼「そ、それが如何した!・・・技術を得るのは、我が国家の為だ!!」

 

自分の動機が深町に見抜かれ、それが国家の為だと言い張る。

 

深町「総理、貴方と言う人は・・・」

 

そんな動機で龍之介達を拘束した田沼に呆れる。

 

そして

 

深町「総理!・・・この件については、国交相として、徹底的に調べますので、覚悟して下さい!!」

 

深町は、この件については、徹底的に調べ、龍之介達の無実を証明すると宣言した。

 

田沼「き、貴様!」

 

深町「では」

 

深町は、執務室を後にする。

 

田沼「くそ!・・・忌々しい奴め!」

 

深町から宣言され、田沼は切れていた。

 

その時

 

「ホント、忌々しい男ですね・・・深町国交相は・・・」

 

隣の部屋のドアから20代ぐらいの男が現れた。

 

田沼「おお野田君!?・・・君か?」

 

男の正体は、真霜の元許婚でホワイトドルフィンの野田邦夫一等監督官だった。

 

邦夫「総理!・・・ああ言う忌々しい奴は、さっさと解任すればよろしいのでは?」

 

邦夫は、田沼に深町の解任を要求した。

 

田沼「私もそう思う・・・だが、今、あの男に代わる後任が・・・・」

 

それに対して、田沼も同意見だが、深町に代われる程の人材がいなかった。

 

邦夫「それならご心配なく・・・・とっておきの後任がおります!」

 

だが、野田は、深町に代われる人材が居ると言う。

 

田沼「誰だね?」

 

邦夫「かつて官房長官を務めた履歴を持つ、私の父・・・・野田一誠です。」

 

何と、後任に自分の父親である野田一誠を推薦した。

 

田沼「何!?野田一誠か!」

 

自分の父親を推薦した事に田沼は、驚く。

 

田沼「しかし野田君!・・・君の父上は、深町と同じ正統派だ!・・・そう簡単には引き受けないし、それに彼は、我々に従うか・・・」

 

田沼の言う通り、邦夫の父親である一誠は、深町と同じ正統派で欲もなく、曲った事が一番嫌いでもある。

 

そう簡単には、後任を引き受けないだろうし、第一、田沼や邦夫の言いなりにはならない。

 

邦夫「それは大丈夫です・・・あの男を従わせる物を私は、持っていますので・・・」

 

それに対して、邦夫は、一誠を従わせる物を持っていると言う。

 

田沼「おお!・・・何かね!・・・その物とは?」

 

邦夫「これです・・・・」

 

邦夫は、田沼にある書類を見せる。

 

田沼「こ、これは・・・・成程!・・・・これなら、あの男も嫌とは言えないね・・・ハハハ・・・・!」

 

書類を見た途端、田沼は、驚き、そして、一誠を従わせる事が確実になると嘲笑い始める。

 

邦夫「恐縮です・・・ところで、拘束している山本監督官は、情報を吐きましたか?」

 

話を変えて、邦夫は、捕えている龍之介は、如何なっているか問う。

 

田沼「しぶとい男だ!!・・・あれだけ責めても、まだ吐かない!・・・このままでは、キング大統領に言い報告が出来ない」

 

田沼は、焦っていた。

 

何故なら、龍之介が反乱の罪を認めず、それどころかコンピューター室への厳重なセキュリティーシステムのパスワードも吐かない。

 

更に追い打ちを掛ける様に地中海にいる白鳳も、何時の間にか行方をくらませていた。

 

このままでは、キングに機密情報を渡す事が出来ない。

 

邦夫「それならば、私に任せて下さい・・・私は、あの男とは、因縁があるので・・・・」

 

田沼「ほお、君があの男と因縁が有るとは驚きだな!?」

 

邦夫「別に気にする事ではないので・・・・」

 

田沼「では、この件は、君に任せよう・・・良い報告を期待しているよ。」

 

邦夫「はっ!」

 

画して、深町や捕らわれている龍之介に邦夫の魔の手が迫ろうとしていた。

 

そして、薫が居る晴風にも

 

時系列は、晴風に戻る。

 

これは、とある人物の夢

 

9年前

 

横須賀市、諏訪大神社

 

真冬「ましろ・・・!・・走ると転ぶぞ・・・!」

 

ましろ「大丈夫だよ・・・おか~さん、おね~ちゃん、早く・・・!」

 

これは、ましろがまだ小学生の頃の夢。

 

この頃、母の真雪は、まだ現役のブルーマーメイドで、長女の真霜は、横須賀女子海洋学校の学生で卒業後は、真雪の後を追ってブルーマーメイドへ歩むつもりでおり、次女の真冬は、中学生だが、まだ中学卒業後の進路は決めていなかった。

 

そんな過去の自分は、諏訪大神社の石段を駆け上っていた。

 

後ろを振り向くと、真雪と真霜、真冬の3人が石段を登って来る。

 

真霜「昔は、横須賀の街も此処みたいに陸地が多かったんでしょう?・・お母さん」

 

真雪の隣を歩く真霜は、昔の横須賀の街並みを尋ねる。

 

真雪「ええ、学校で習ったと思うけど、日露戦争の後メタンハイドレードの採掘を機に日本は地盤沈下を始めた・・・・水没した都市部に巨大フロート艦を建造してフロート都市に変わって海上開発が進んだ。」

 

真霜「それで日本は海洋大国になったんでしょ・・・軍事用に建造された多くの船が民間用に転用されたけど、戦争に使わないという象徴として・・・艦長は女性が務める様になったんだよね。」

 

真冬「それが、ブルーマーメイドの始まり・・・・だよね真霜姉?」

 

真霜「そしてその第一号が‥‥」

 

真雪「貴方達の曾お婆様よ・・・それから代々、宗谷家の女性はブルーマーメイドになっているの・・・お母さんもね!」

 

真雪は、歩きながら、宗谷家の成り立ちを語る。

 

それから、4人は、石段を上がり、裏山の頂上に着き、真雪は、ある事を娘達に告げる。

 

真雪「・・・・でも、お母さんは次が最後の航海になるの・・・・」

 

それは、突然の現役引退だった。

 

真霜「えっ!?」

 

真冬「え・・・・・・!?」

 

ましろ「・・・・」

 

その発言にましろを始めとして、真霜、真冬も驚き、唖然とした表情で真雪を見る。

 

真雪「これからはね、お母さんブルーマーメイドの先生になるの・・・こんな広い海の様に、豊かで清々しい海に生きる女の子を育てていくのよ。」

 

真雪は諏訪大神社の裏山の頂上から見える海を見つめながら現役を退いた後の事を娘達に語る。

 

真霜「私・・・そんな女の子になりたい!!」

 

真雪の言葉に真霜もそうなりたいと言い出す。

 

真冬「お母さんが先生になる学校に入る。」

 

真冬も今此処で横須賀女子海洋学校に入学すると決めた。

 

まぁ、真冬らしいと言えば真冬らしい。

 

ましろ「わ、私も!・・・私も入る・・・!!」

 

そして、ましろも小学生ながら、真冬と同じ横須賀女子海洋学校を目指す。

 

真雪「楽しみにしているわ!」

 

そう言って真雪は、自分が被っていたブルーマーメイドの制帽をましろに被せる。

 

ましろは嬉し恥ずかしそうな表情をする。

 

その時

 

ましろ「あっ!?」

 

『ああ・・・・!!』

 

突然、風が吹き、ましろが被っていた帽子が飛んで行ってしまった。

 

ましろ「ああ・・・・!!」

 

ましろが慌てて帽子を追いかけるが、当時まだ小さいましろには、その帽子を掴む事は出来ず、真雪の帽子は空の彼方へと飛んで行った。

 

ましろ(思えば、あの頃からずっとついていなかった・・・私は、いつも運が悪かった・・・そして、初航海と思いきや・・・ついていない・・・・)

 

真雪の帽子を無くした事に先祖が怒ったのか、それともあの帽子の様にツキが逃げて行ったのか、この日以降、ましろの身の回りには不幸な事が起こる日々が続き。

 

そして、今初航海でも運悪く追われる身

 

4月8日

 

日本近海

 

その頃、晴風は、第二合流地点の鳥島沖を目指していた。

 

此処までの航海でブルーマーメイドも学校側の接触も無く、合流地点の鳥島沖では、学校側の艦艇もいるかもしれない。

 

艦橋組で話し合った結果、事情を説明して、保護して貰おうと言う意見で一致した。

 

それについては、薫は、不安になったが、生徒達の安全を含め、これ以上、危ない目には、合わせられないと思い同意した。

 

鳥島沖まで10マイル、晴風は、順調に進んでいた。

 

晴風、後部甲板

 

媛萌「うわー大変・・・・後部甲板も応急修理しないと・・・・」

 

百々「こりゃメチャクチャッス・・・・」

 

媛萌と百々が後部甲板の被害状況を視察していた。

 

後部甲板の被害は、軽微ながら甲板の一部が捲られた状態で応急修理の必要が有ると判断した。

 

そんな時

 

美海「先輩、マジかっこいい・・・・」

 

2人が被害状況を調べている時、美海は、マチコに夢中になっていた。

 

百々「ミミちゃんは、野間さんに夢中ッス!」

 

媛萌「等松さんも暇なら手伝って・・・・」

 

マチコに夢中なる美海に媛萌は、手伝うよう言う。

 

美海「マッチ・・・・!!」

 

しかし、完全に夢中状態になっていた為、媛萌の言葉は通じなかった。

 

媛萌「はぁ・・・・」

 

百々「はぁ・・・・メロメロッス・・・・」

 

そんな美海を見て、2人は呆れる。

 

美海「ああ、マッチと撮った写真、妹に送りたいんだけどな・・・今携帯の通信禁止だしな・・・・」

 

美海は、マチコと撮った画像を妹に送信したかったが、現在、位置を知られない様に完全な無線封鎖をしている為、携帯の通信は、禁じられていたので送信する事が出来なかった。

 

そんな時

 

明乃「ひめちゃん、ももちゃん、ミミちゃん、お疲れ様!・・・被害状況は?」

 

薫「・・・・」

 

薫と明乃が各部の被害状況を確認する為、視察にやって来た。

 

媛萌「見ての通り、応急修理しないとね、艦長、教官!」

 

媛萌は、2人に後部甲板の応急修理が必要だと報告する。

 

明乃「分かった、後で手伝うね!」

 

薫「御免ね3人共・・・今、全部の被害状況を確認中だから、終ったらね!」

 

薫と明乃も流石に今は、各部の被害状況を確認中な為、後で手を貸すと言って、その場を去る。

 

百々「艦長、教官、バタバタっすね・・・・」

 

百々は、今、薫と明乃の大変苦労している事が分かった様だ。

 

晴風、機関室

 

後部甲板を後にした薫と明乃は、機関室を訪れる。

 

明乃「マロンちゃん、状況どう?」

 

機関室のドアを開いて、明乃は、麻侖に機関の具合を確認する。

 

麻侖「前進一杯にしたせいで、総点検が必要になちまったんでぇい!」

 

如何やら、無理な機関全開をしたせいで機関の総点検が必要になってしまい麻侖は拗ねていた。

 

薫(・・・今此処に篠原機関長が居たら、こんなの故障直ぐ修理できるんでいと言うんだけど・・・)

 

薫は、機関室のドアの前から会話を聞いていた。

 

そして、今此処に夏雄が居たら、こんな故障は、直ぐに修理できると思う。

 

そんな時

 

洋美「全く・・・無理させるわね!」

 

それに関しては、洋美も怒っていた。

 

明乃「クロちゃん、御免ね!」

 

怒っている洋美に明乃は、謝罪するが

 

洋美「馴れ馴れしく呼ばないで!黒木さんって呼んでくれる?」

 

ニックネームで答えたせいで洋美は、更に怒り、普通に呼ぶよう明乃に言う。

 

薫(良いじゃないのニックネームぐらいで・・・まあ黒木さんは、ましろちゃん派だから、岬ちゃんには厳しいのは、仕方ないか・・・・)

 

明乃「分かった、クロちゃん!」

 

洋美に対して、明乃は、理解したと言いながら、洋美をニックネームで呼び、機関室を出る。

 

麗緒「全然分かってないじゃん・・・・」

 

桜良「あれで艦長・・・・?」

 

そんな明乃に麗緒と桜良は、呆れてしまう。

 

薫は、機関室に入らず、そのまま明乃の後を追う

 

晴風、医務室

 

続いて、医務室を訪れる

 

医務室には、先の戦闘でか、光が足を負傷していて、美波が手当てをしていた。

 

そして、光の付き添いか、其処には、留奈と空もいた。

 

明乃「光ちゃん!・・大丈夫?」

 

手当てを受けている光に対して、明乃は、大丈夫かと心配する。

 

明乃「ルナちゃんとソラちゃんも怪我ない?」

 

そして、付き添いの2人にも大丈夫かと心配する。

 

留奈「えー、もう名前覚えたの・・・?すご~い!!」

 

空「流石艦長殿!」

 

もう皆の名前を覚えた明乃に留奈と空は、感心する。

 

薫「他に怪我人は、居ないよね鏑木さん?」

 

感心する中、薫は、美波に他に負傷した者が居ないか聞く。

 

美波「ない」

 

薫「そう」

 

如何やら、居ない様だ。

 

薫は、安心する。

 

明乃「良かった・・・でもこんな事になるなんて・・・・」

 

それに対して、明乃も安心するが、こんな事態になってしまった事に申し訳ないと思う。

 

美波「青天の霹靂!」

 

そんな明乃に美波は、青天の霹靂、つまり予想もしなかったような事件や変動が、突然起きると言う。

 

明乃「これから如何したら良いんだろう・・・・・・」

 

明乃は、4人の前でこれから如何するか不安になる。

 

薫「ん・・・・」

 

それに対して、薫は、何も答えない。

 

本当は、明乃に対して、何も知らない生徒に対して、艦長がそんな事を言ってはいけないと言いたかったが、自分もこの先、如何なるか分からないので言えなかった。

 

そんな時、美波が

 

美波「知者は惑わず」

 

『ん!?』

 

美波「仁者は憂えず、勇者は恐れず」

 

『・・・・?』

 

美波の言葉に6人は、意味が分からなかったが、美波なりに薫と明乃を元気づけているんだろう。

 

その時

 

ましろ『艦長、教官・・・至急艦橋にお戻りください!』

 

ましろからの艦内放送が医務室に響く。

 

明乃「?」

 

艦内放送を聞き、薫と明乃は、艦橋に戻る。

 

晴風、艦橋

 

明乃「御免!・・お待たせ!」

 

薫と明乃は、艦橋に戻り

 

幸子「被害状況、如何でした?」

 

戻って来た薫と明乃に各部の被害状況を聞く。

 

明乃「後部甲板が結構やられて、爆雷があと1発、魚雷もないし・・・・機関室も総点検だって・・・」

 

被害甚大と弾薬のない事を幸子に言うが

 

幸子「可愛い・・・!!」

 

そんな幸子は、自分のタブレットで双眼鏡の上で昼寝をする五十六を写真に撮るのに夢中に成っていた。

 

ましろ「そんなもの撮っていないで、被害状況を記録しろ!!」

 

しかし、横からましろが叱る。

 

明乃「学校側から連絡は?」

 

明乃は、ましろに横須賀女子海洋学校からの連絡はないか問う。

 

ましろ「ない!」

 

今のところ横須賀女子海洋学校から何も連絡は無く。

 

明乃「そう」

 

芽衣「私達、見捨てられたんじゃないの・・・」

 

横須賀海洋学校からの連絡が一切無い事に芽衣は、見捨てられたと思い、それを聞いたましろは、不安になる。

 

薫「そんな訳無いでしょう!」

 

それに対して、薫は、違うと否定する。

 

明乃「今、事実確認中なのかも・・・・」

 

明乃も見捨てたんじゃなく、事実確認中なんだろうと考える。

 

鈴「こ、このまま鳥島沖10マイルまで退避で良いんだよね?」

 

鈴は、は、明乃にこのまま鳥島まで退避で良いのか聞いた。

 

明乃「うん・・私達が反乱を起こしてさるしまを攻撃したみたいに言われてるけど、違うってこと説明しなきゃ・・・」

 

薫「私もその時は、晴風が反乱していないと証言するつもりよ!」

 

明乃「ありがとうございます。」

 

薫の言葉に明乃は、お礼を言う。

 

鈴「合流地点に着いたとたんに捕まっちゃわないかな・・・・」

 

鈴は、涙目になってそう言う。

 

すると

 

幸子「『お前ら何故さるしまを攻撃した!?』『ちがうんです!先に攻撃したのはさるしまの方で』『嘘を言うな!』」

 

突然、幸子が一人妄想芝居を始めた。

 

志摩「ひっ・・・・」

 

幸子の最後の台詞の大声で近くにいた志摩がビックとする。

 

芽衣「信じて貰えないって事?」

 

ましろ「だが我々に反乱の意思などない・・・このまま逃げ続ける事は出来ないのだから・・・速やかに近くの港に入ろう艦長!」

 

明乃「うん、そうだね・・・港に入れば攻撃される事もないだろうし・・・」

 

明乃は、港に入ればそう簡単に攻撃されないと考えた。

 

明乃「教官もそう思いますよね?」

 

薫「そうね・・・今は、それしかないかもね!」

 

明乃の考えに薫も同意する。

 

明乃「リンちゃん、横須賀までどれくらい掛かりそう?」

 

明乃は、鈴に横須賀までどのくらい掛かるか聞く。

 

鈴「巡航で38時間かな・・・・」

 

薫「約1日30か・・・」

 

薫は、鈴の巡航で、38時間を約1日30と計算する。

 

ましろ「全く、こんなクラスになったバカっかりに、ついてない・・・」  

 

ましろは、このクラスになった事への不満を言う。

 

芽衣「何よ、こんなクラスって!・・・そりゃ晴風は合格した生徒の中でも最底辺が配属される艦かも知れないけど・・・それは、あんたも一緒でしょ!」

 

それを聞いた芽衣がムッとした表情をして、ましろに言う。

 

ましろ「一緒にするな!・・・私は、入学試験は全問正解していた筈なのに解答欄を一つずらして回答したから・・・」

 

ましろは、解答欄を一つずらして回答した事を顔を赤くして暴露した。

 

『あ・・・・』

 

すると薫以外の艦橋にいる全員が口を開いていた。

 

幸子「ついてないんですね・・・・」

 

ましろ「五月蠅い!」

 

ましろは、幸子に言われ恥ずかしくなり意地を張る。

 

薫(・・・その話は、今関係ないんじゃないの・・・)

 

薫は、今その話は、関係ないと心で思う。

 

すると明乃が

 

明乃「そ、そっかー、私なんて受かっただけでも奇跡なんだけどね・・・たまたま勉強してたところが出て、ましてや艦長なんて・・・・」

 

明乃は、手を頭の後ろに回し少し照れた様にそう言う。

 

幸子「此方は、強運の持ち主ですか・・・・」

 

志摩「うぃ」

 

薫(確かに岬ちゃんは、幸運差が強いのかもね・・・)

 

艦橋に少し和やかな空気が流れる。

 

薫(如何して、真雪さんに、このクラスの臨時教員になってほしいと言われたのか・・・何だか、分かって来た様な気がしてきた。)

 

薫は、皆を見て、何故、真雪が依頼したか、大体理解できた。

 

そんな時

 

志摩「鳥・・・・」

 

志摩が横を飛ぶ鳥に気づく。

 

すると幸子が空を飛ぶ鳥を見て

 

幸子「こんな時、あんな風に学校に、戻れたら良いんですけど・・・水素やヘリウムを使わない空飛ぶ船って、作れないですかね?」

 

と水素やヘリウムを使わない空飛ぶ船、つまりガソリンで動く航空機が出来ないかと言う。

 

ましろ「はぁ・・・あんなもの空想の産物だ!・・・馬鹿馬鹿しい・・・」

 

しかし、ましろは、水素やヘリウムを使わない空飛ぶものなど空想の産物だとい言う。

 

薫(いや、本当は、空想じゃないんだけどね。)

 

薫は、ましろに空想じゃないと言いたかったが、極秘の情報を教える訳にもいかない為、そのまま黙っていた。

 

そして、今、艦載機さえあれば、直ぐに戻れるのにと後悔した。

 

時刻は昼時となり

 

美甘『みなさ~ん、食事の用意が出来ました・・・』

 

炊飯所から食事の用意ができたと言う放送が流れる。

 

晴風、炊飯所兼食堂室

 

美甘「本日のメニューは・・・晴風カレーです!」

 

今日の昼食の献立が伝えられた。

 

晴風、艦橋

 

志摩「カレー‥‥」

 

すると、それを聞いて、真っ先に反応したのは、志摩である。

 

普段あまり反応しない彼女の目は、カレーと聞いた瞬間、キラキラと輝かせていた。

 

幸子「今日は金曜日でしたね!」

 

志摩「カレー!!」

 

旧海軍時代からの伝統は、失われておらず、毎週金曜日にカレーを食べる習慣はこの世界の今でも続いていた。

 

明乃「じゃあ交代で食べに行こっか!」

 

志摩「うぃ!」

 

芽衣「うちの艦のカレーどんなのかな!?」

 

晴風、機関室

 

留奈「お風呂とカレーどっち先にする!?」

 

麗緒「カレーじゃない?」

 

空「カレー!!」

 

桜良「カレーでしょ?」

 

洋美「宗谷さん、一緒にカレー食べに行かない?」

 

洋美がましろを誘おうとした時

 

麻侖「むぅ!・…クロちゃんは、マロンと一緒に行くんでぇい!!」

 

突然、麻侖が洋美にヤキモチをやいてしまう。

 

各部は、カレーの話で盛り上がっていた。

 

しかし、その中で薫だけが呆れていた。

 

薫(はぁ・・・こんな時に、よくカレーなんて食べられるわね・・・・一体、その盛り上がりは何所から来るんだろうか?)

 

今、晴風は、追われている。

 

こんな状態で晴風の生徒が、よくカレーにうつつを抜かせられるとは、一体その盛り上がりは、何処から来るのか、薫は、呆れてものも言えなかった。

 

そんな時

 

明乃「教官!?」

 

薫「何、艦長?」

 

何、呆れている薫に明乃が問う。

 

明乃「教官は、カレー楽しみじゃないんですか?」

 

薫「まあ・・本当は、楽しみだけど・・・この状況じゃ、あまりね・・・・」

 

明乃「あっ!?」

 

この状況じゃ盛り上がらないのを聞いて、明乃は、不安になる。

 

薫「あっ!?・・・別に嫌いなわけないから、私もカレー食べたい…アハハハ・・・!!」

 

不安になる明乃に薫は、苦笑いして、誤魔化す。

 

そんな盛り上がりしている時、

 

晴風、見張り台

 

マチコ「はっ!?」

 

見張り台にいるマチコが眼鏡を外し、水平線の彼方から一隻の艦影を肉眼で捉えた。

 

マチコ「右60度。距離30000、接近中の艦艇は・・・アドミラル・シュペーです!」

 

何とそれは、ドイツ、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属の小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペーだった。

 

晴風、艦橋

 

『えっ!?』

 

見張り台からの報告が艦橋に響き。

 

『アドミラル・シュペー!?』

 

薫と明乃は、驚愕する。

 

幸子「ドイツからの留学生艦です!」

 

明乃「取り合えず総員配置に・・・・」

 

明乃は、驚愕しながら総員配置の号令を出す。

 

ましろ「総員配置!」

 

艦内に警報が鳴り響き、晴風の生徒達は、折角のカレーがお預けとなった。

 

明乃「えっ!?」

 

鈴「速度20ノットで接近中・・・・」

 

幸子「見つかっちゃいました!?」

 

ましろ「その様だな・・・・」

 

アドミラル・グラフ・シュペーの僅かな動きの報告から、完全に向こうに捕捉された事をましろは認識した。

 

晴風、見張り台

 

マチコ「シュペー、主砲を旋回しています!!」

 

何と今度は、アドミラル・グラフ・シュペーの主砲の28cm砲が晴風に向けたと言う報告が入る。

 

晴風、艦橋

 

明乃「えっ!?」

 

ましろ「撃ってくる!?」

 

幸子「問答無用ですね・・・・」

 

主砲旋回の報告を聞いて、一気に緊張した空気へと変わった。

 

薫「何故!?・・・・(もしかして、上から命令されてるの?・・・・ならば、助かる方法は、一つしかない!!)・・・艦長!・・直ぐに降伏命令を!!」

 

薫は、直ぐに明乃に降伏の指示を出す。

 

明乃「はい!・・・野間さん!・・白旗を!」

 

薫の指示に従い、明乃は、直ぐにマチコに白旗を上げるよう指示する。

 

晴風、見張り台

 

マチコは、直ぐ白旗を上げる。

 

しかし

 

マチコ「シュペー主砲発砲!?」

 

白旗を上げるのも空しく、アドミラル・グラフ・シュペーは、主砲を斉射。

 

晴風、艦橋

 

薫「えっ!?」

 

明乃「何で・・・・」

 

ましろ「エンジンも止めないと駄目だ!!」

 

幸子「確かに白旗だけでは、降伏になりませんね・・・・」

 

鈴「でも逃げるんだよね?」

 

明乃「う、うん、180度反転する・・・面舵いっぱ~い、前進いっぱ~い!」

 

明乃は、降伏を諦め、逃走を決意する。

 

薫「・・・・」

 

それに対して、薫は、何も言わず、明乃の指示を尊重する。

 

鈴「面舵いっぱ~い!」

 

鈴は、舵を右側に切る。

 

マチコ「着弾・・・・!!」

 

その直後、アドミラル・グラフ・シュペーから放たれた砲弾が晴風の左側に着弾した。

 

晴風は、砲撃を回避しながら、海域からの離脱を図る。

 

マチコ『シュペーも速度を上げました!!』

 

ましろ「追ってきた・・・・」

 

鈴「早く逃げようよ・・・・・・」

 

逃走する晴風に対し、アドミラル・グラフ・シュペーは、追撃してきた。

 

幸子「シュペーは基準排水量12100t、最大速力 28.5ノット、28cm主砲6門、15cm砲8門、魚雷発射管8門、最大装甲160mmと小型直教艦と呼ばれるだけあって巡洋艦並のサイズに直教艦並の砲力を積んでいます。」

 

マチコ『着弾!!』

 

幸子がタブレットでアドミラル・グラフ・シュペーのスペックを話している間にもアドミラル・グラフ・シュペーからの砲弾がまたもや晴風の周囲に着弾する。

 

幸子「しゅ、主砲の最大射程は約36000m、重さ300kgの砲弾を毎分2.5発発射可能で、一発でも当たれば、一瞬で轟沈です・・・まあ、15cm砲副砲でも、うちの主砲よりも強いんですけど・・・」

 

ましろ「砲力と装甲は、向こうが遥かに上‥‥」

 

薫「確かにシュペーは、別名ポケット戦艦って言われてるから、装甲は、巡洋艦並だけど、攻撃力は、戦艦並・・・」

 

明乃「うちが勝っているのは、速度と敏捷さだけ・・・・」

 

鈴「このまま機関全開にし続けたら完全に壊れちゃうよ・・・」

 

さっきの戦闘で晴風は、機関の調子があまり良くない、その為、出せる速力も限られていた。

 

芽衣「魚雷撃って足止める?」

 

芽衣が魚雷で足を止める事を提案するが

 

ましろ「もう無い!」

 

芽衣「ちゃ・・・・!!そうだった!!」

 

さっきの戦闘で魚雷は、使い果たした事をましろに指摘され、芽衣は、頭を抱え叫んだ。

 

明乃「こっちの砲力は?」

 

志摩「70で5」

 

明乃「7000で50mm!?・・・シュペーの舷側装甲は?」

 

幸子「80mmです!」

 

志摩「30」

 

明乃「3000まで寄れば抜けるのね?」

 

芽衣「ちゃんと会話が成立してる!!」

 

芽衣は、この会話を聞いて会話が成立している事に驚いた。

 

幸子「これが艦長の器って、やつですか・・・」

 

ましろ「そんな分けないだろ!!」

 

薫「いや・・・案外そうかもしれない・・・・」  

 

幸子の言葉にましろは、否定する薫は、案外あるんじゃないかと言う。

 

明乃「マロンちゃん!・・・出し続けられる速度は?」

 

麻侖『第4戦速まででぇい!』

 

ましろ「第4戦速・・・・27ノットか・・・」

 

幸子「向こうの最大戦速と保々同じです。」

 

明乃「如何したら・・・・」

 

アドミラル・グラフ・シュペーから逃げ切るにしても速力は、向こうの方が上なので、いずれは追いつかれてしまう。

 

明乃は、如何したら、この危機を乗り越えられるのか必死に考える。

 

そんな時

 

志摩「ぐるぐる」

 

志摩が何かを呟く。

 

志摩「・・・・ぐるぐる」

 

明乃「はっ!?・・・リンちゃん取り舵一杯!」

 

志摩の言葉に明乃は、名案が浮かんだか、鈴に左に舵を切る様を命じる。

 

鈴「と、取り舵いっぱ~い!!・・・・取り舵30度!」

 

鈴は、左に舵を切る。

 

ましろ「何をする気ですか!?」

 

明乃「煙の中に逃げ込むの!」

 

明乃は、艦をグルグルと回転させながら、煙幕を展開させ、その中に逃げ込む事を思いつく。

 

薫(そっか、煙の中に逃げ込めば、向こうは、照準がし難くなる!・・・流石は、艦長・・・良くそれに気づいたわね!)

 

薫が気が着かない戦法を逆に明乃が気づいた。

 

雅に艦長の器だと褒める。

 

明乃「戻~せ~面舵一杯!」

 

鈴「戻~せ~面舵いっぱ~い!!・・面舵30度」

 

アドミラル・グラフ・シュペーの砲撃を晴風は、8の字を描きながら回避行動する。

 

明乃「一発でも当たればやられる!・・・速度と小回りが効くのを生かして、逃げ回れるしかない!・・・マロンちゃん!・・機関を不完全燃焼させて!」

 

麻侖『合点承知!』

 

ましろ「・・・・」

 

明乃の指示の速さにましろは、唯、口を開いて見ているしかなかった。

 

晴風、機関室

 

麻侖「黒煙が煙幕代わりだな!」

 

明乃の作戦を麻侖は、理解する。

 

明乃『それから逃げ回るんで、機関には負担をかけるけど、よろしくね!』

 

洋美「よろしくって‥‥」

 

麻侖「やるしかねぇんでぇい!」

 

洋美は機関に負荷がかかるのが少し不安な様子なのだが、逃げるには致し方ないと麻侖は割り切る。

 

晴風、艦橋

 

明乃「リンちゃん、不規則に針路を変えて!・・・出来たら速度も!・・・但し、出来るだけ速度は落とさない様に・・・」

 

明乃は、鈴に速度を落とさず、不規則な針路を取って、回避運動するよう命じるが

 

芽衣「停めるには実弾使うしかないよぉ!」

 

芽衣は、明乃に実弾を使用し、アドミラル・グラフ・シュペーを止めようと言う。

 

薫(西崎さんの言う通り・・・このまま逃げてても燃料が切れてしまい撃沈されてしまう・・・でも、例え砲撃しても晴風の主砲では、シュペーを止めるどころか無力化できない・・・・如何するの岬艦長!)

 

薫が気づかなかった戦法に気づき、その通りに回避した。

 

しかし、回避だけでは、アドミラル・グラフ・シュペーから逃げられない。

 

薫は、明乃が次は、どんな作戦にでるか、横でじっと見ていた。

 

『わぁ…!!』

 

その間にもアドミラル・グラフ・シュペーからの砲撃は続き、また直ぐ近くに着弾する。

 

着弾に晴風の生徒は、唖然とする。

 

明乃「戦闘、左砲戦30度、同航のシュペー!」

 

着弾に唖然とする中、明乃は、砲戦指示を出す。

 

ましろ「何を言っている!・・・さるしまの時と同じになるぞ!」

 

ましろは、アドミラル・グラフ・シュペーを撃てば、さるしまの時の様に今度こそ、晴風は、反乱艦として、無実が証明できなくなると、砲戦に断固反対する。

 

明乃「実弾でスクリューシャフトを打ち抜くの・・・そうすれば足止めできるかも?」

 

しかし、明乃は、アドミラル・グラフ・シュペーを直接砲撃せず、艦の推進機を破壊し、逃げるとましろに言う。

 

ましろ「これ以上やたら、本当に反乱になる!」

 

ましろは、断固反対し続ける。

 

明乃「このままだっと・・・怪我人が出る・・・・」

 

だが、明乃は、このまま砲撃が続けば、いづれ負傷者が出ると危惧し、断固砲撃すると決意を示す。

 

その時、横から

 

薫「砲撃しなさい!!」

 

ましろ「えっ!?」

 

明乃の決意に突然、薫が砲撃しなさいと言い、ましろが驚く。

 

薫「教官として命じます!・・シュペーのスクリューシャフトを撃ちなさい!!」

 

ましろ「何を言ってるんですか教官!・・・撃てば、我々は、反逆罪になるんですよ!!」

 

砲撃を支持する薫にましろは、反逆罪になると訴えるが

 

薫「今、この状況で・・・副長!・・・何か他に提案が有るの?」

 

魚雷も無く、更に速度も上がらず、巡航速度で逃げるのがやっと

 

こんな状況で他に逃げる手が有るのか、薫は、ましろに問う。

 

ましろ「そ、それは・・・」

 

しかし、ましろは、答えられない。

 

薫「なら、艦長の作戦に乗るしかないじゃないの!・・・例え反逆罪に問われても、罪に問われるのは、私だけだから・・・私は、その覚悟は出来ているわ!!」

 

薫も晴風が反乱艦として、追われる様になってから、生徒をどんな事をしても守ると決意していたので、自分が反逆罪に問われる覚悟は出来ていた。

 

それを聞いたましろは、遂に明乃の作戦に乗ると決意する。

 

そして、2人は、一緒に実弾装填キーを回す。

 

明乃「実弾、りょうだん始め!」

 

実弾装填キーが回され、主砲の砲身に実弾が装填された。

 

志摩「まる」

 

志摩が、砲撃準備が完了した事を明乃に伝える。

 

光『装填良し、射撃用意良し!』

 

あとは明乃の発射命令を待つだけとなった。

 

明乃「スクリュー撃つには、どれだけ距離を詰めれば良いかな?」

 

明乃は、幸子にアドミラル・グラフ・シュペーの推進機を破壊するには、どのくらいの距離が必要なのか、問う。

 

ましろ「水中だっと急激に弾の速度が低下するから、無理だって!」

 

しかし、隣から、ましろが晴風の通常弾では、水中だと射速が半減してしまうから不可能だと断言するが

 

明乃「水中弾てのがあったでしょ?」

 

明乃が水中弾と言う特殊兵器を思い付く。

 

ましろ「それは巡洋艦以上で、うちには積んでないから・・・」

 

水中弾は、巡洋艦以上が積んでいるので、晴風並の小型艦は積んでいなかった。

 

明乃「通常形状でも、水中は進むって聞いたよ!」

 

明乃は、通常弾でも水中を進む事を知っていた。

 

幸子「理論上は、12,7cm砲弾の水中直進距離は約10m・・・最悪、舷側装甲を抜く事を考えれば・・・・3000以下まで近寄って下さい!!」

 

そして、幸子が通常弾で推進機を破壊するには、30m以内に接近するよう指摘する。

 

薫「かなり至近ね!」

 

薫も30m以内は、至近距離だと指摘する。

 

明乃「8の字航行のまま、距離を3000まで詰めて!」

 

明乃は、鈴に8の字航行のまま、アドミラル・グラフ・シュペーから30m以内まで接近するよう命じるが

 

鈴「近づくの!?・・・怖いよ・・・・」

 

砲撃するアドミラル・グラフ・シュペーに接近すると言う事で、怖がる鈴。

 

ましろ「何を言ってる!」

 

怖がる鈴に対しましろが叱る。

 

鈴「だから怖いって言ってるのぉ・・・・」

 

一方に撃ってくる相手に対し、近づくのは怖いと言って、中々舵を切らない鈴。

 

幸子「じゃあ、分かりました!」

 

それに対して、幸子が

 

鈴「はっ!?・・・何するの・・・?」

 

彼女の目を手で押さえた。

 

幸子「へへ~!!・・・近づいて下さい!」

 

鈴「前が見えないよ~暗いよ~」

 

目隠しされて砲弾を撃ってくるアドミラル・グラフ・シュペーが見えなくなったことで舵を切る鈴。

 

それでも今度は見えない恐怖が彼女を襲うみたいで体は震えていた。

 

ましろ「真面目にやれ!」

 

ふざける幸子にましろが真面目にやれと叱る。

 

鈴「あ・・・・う・・・・」

 

恐怖に震えながら、鈴は、舵を左右に切りながらアドミラル・グラフ・シュペーに接近する。

 

幸子「・・・・距離4000・・・・3800・・・・3600・・・・」

 

『きゃあ・・・・!!』

 

36mまで接近したところでアドミラル・グラフ・シュペーの28㎝砲弾が晴風の第三砲塔を直撃、第三砲塔が大破した。

 

此処で時系列は、晴風からアドミラル・グラフ・シュペーへと移る。

 

アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋、射撃指揮所の裏

 

アドミラル・グラフ・シュペーの乗員が異変をしょうじてから1日後、ミーナとテアは、の射撃指揮所の裏で夜を過ごした。

 

ミーナ(もう丸1日経ったか、夢なら醒めて欲しかったが・・・)

 

丸一日が経ち、ミーナは、この異変が全部、自分が覚めたら全部夢であってほしいと願う。

 

すると、突然、砲撃音が響く。

 

ミーナ「!?」

 

突然、砲撃音でミーナは、目が覚める。

 

ミーナ「砲撃してるのか!?何を狙って・・・・」

 

突然の砲撃音で目が覚め、辺りを見回すと自分の艦が、何かを砲撃していた。

 

それは、明らかに薫と明乃達が乗る晴風だった。

 

ミーナ「艦長見てください!艦です!・・・日本の艦の様ですが・・・これで助けを・・・!!」

 

ミーナは、晴風を見て、これで救援が呼べると大喜びし、隣に居たテアに知らせるが

 

テア「艦長?」

 

しかし、喜びも束の間、テアの様子が変だった。

 

手が震え、熱に魘されている様な表情を示す。

 

テア「副長・・・今から私の言う事をよく聞くんだ!」

 

熱に魘されている様な状態でテアは、ある事をミーナに命じる。

 

ミーナ「はい?」

 

テア「お前は、この現状を外に伝える為にシュペーから下船しろ!」

 

それは、アドミラル・グラフ・シュペーから脱出しろという下船命令だった。

 

ミーナ「えっ!?・・・艦長は・・・」

 

突然の下船命令にミーナは、驚き、自分が下船したら、テアは、如何するのか問う。

 

テア「私は、此処に残る艦長が艦を置いて逃げる訳にはいかないからな・・・」

 

何とテアは、異常が生じているアドミラル・グラフ・シュペーに残留すると言う。

 

ミーナ「そんな事・・・できる訳ありません!!」

 

テアの下船命令にミーナは、拒否する。

 

テア「艦長命令だ!」

 

下船を拒否するミーナに対し、テアは、艦長命令だと言って、尚も下船命令を告げる。

 

ミーナ「命令でもそれだけは、嫌です!!一緒じゃないと私は・・・」

 

テアを残して、自分だけ逃げる訳には行かない。

 

ミーナは、断固、下船命令を拒否する。

 

テア「副長!」

 

断固として、首を振らないミーナにテアは、告げる。

 

テア「・・・私は、命を捨てる訳ではない・・・お前が助けを呼んでくるのを此処で待っている。」

 

テアは、ミーナに自分は、命を捨てる為に残留するは、訳ではない、あくまでミーナが救援を連れてくるのを待つと告げ、被っていた艦長帽を脱ぎ。

 

テア「これをお前に預ける。」

 

脱いだ艦長帽をミーナに預けた。

 

ミーナ「!」

 

テア「私がこの艦・・・シュペーの艦長である証だ・・・必ず此処に戻って私に返してくれ!」

 

テアの賢明な説得にミーナは、遂に下船命令に従い、テアから艦長帽を受け取る。

 

それから、後髪を引かれる思いで、小型艇収納庫へと向かった。

 

そして、小型艇でアドミラル・グラフ・シュペーを脱出したミーナは離れていくアドミラル・グラフ・シュペーを見て

 

ミーナ(必ず・・・必ず助けに戻るから‥待っててくれテア・・・)

 

必ず救援を連れて戻って来ると言う決意の元、小型艇を操船し続けた。

 

しかし、暴徒と化した生徒達はそんなミーナの乗った小型艇に容赦なく副砲弾を撃ち込んできた。

 

ミーナ「うっ‥‥くっ‥‥」

 

副砲弾をジグザグで躱しながら、目の前の晴風へ救援依頼を伝えに向かうミーナ。

 

そんなミーナの姿は彼女が目指す晴風からも確認できた。

 

そして、時系列は、晴風に戻る。

 

晴風、艦橋

 

マチコ『アドミラル・シュペーから小型艇が向かってきます!』

 

明乃「えっ!?」

 

薫「!?」

 

アドミラル・グラフ・シュペーから、何故か小型艇が一隻、此方に向かってくると、見張り台から報告が入り、明乃と薫は驚く。

 

しかし、次の瞬間、アドミラル・グラフ・シュペーの副砲弾が小型艇を直撃、ミーナは、衝撃で海に投げ出される。

 

それをマチコは、逐一報告する。

 

マチコ『小型艇の乗員が海に落ちました!』

 

ましろ「味方を攻撃している!?」

 

鈴「何で!?」

 

マチコからの報告を聞き、何故、見方を攻撃するのか艦橋組は驚愕する。

 

すると幸子が

 

幸子「『私は艦長の指示に従えません!・・・晴風を攻撃するなんて!』『何だと!?・・艦長に逆らう気か!?』『ええい、こんな艦、脱出してやる・・・・・・!』」

 

恒例(?)の妄想と言う1人芝居が始まった。

 

薫(納沙さん真面目にやって)

 

ましろ「想像でものを言うな・・・」

 

薫やましろが呆れながら、アドミラル・グラフ・シュペーとの距離を測っていた。

 

幸子「私にとってはノンフィクションよりフィクションが真実です!」

 

幸子が得意気に言い放つ。

 

すると、突然、明乃が

 

明乃「シロちゃん・・・・」

 

ましろ「宗谷さん、もしくは副長と読んで下さい!」

 

明乃「此処任せて良い?」

 

ましろ「はっ!?」

 

薫「・・・・」

 

ましろにいきなり艦を預け、艦橋を飛び出す。

 

明乃「ドイツ艦を引きつけっておいてね!・・・ココちゃん、甲板に保険委員の美波さんを呼んでおいて・・・」

 

ましろ「何を・・・・雅か!・・・・」  

 

ましろは、明乃の元へ向かう。

 

ましろ「何で、敵なのに助ける!?」

 

明乃「・・・・敵じゃないよ!」

 

ましろ「え!?」

 

明乃「海の仲間は、家族だから・・・」

 

ましろ「!」

 

明乃「言って来るね。」

 

そう言うと明乃は、ましのに被っていた艦長帽を渡す。

 

ましろは、明乃の艦長帽を受け取った。

 

薫「私も行くわ艦長!・・・こんな時は、1人より2人で行った方が良いでしょ!」

 

そして、薫も明乃に付いてくると言う。

 

明乃「教官・・・お願いします!!」

 

画して、薫と明乃は、スキッパーで砲弾を回避しながら、小型艇から落ちたミーナを救出に向かった。

 

芽衣「艦長と教官、落ちた子助けに行ったの!?」

 

ましろ「距離3000まで近づけ!」

 

鈴「う・・・・う・・・・」

 

ましろの指揮のもと、鈴は、涙ながら舵を切る。

 

幸子「距離3200・・・・3100・・・・」

 

やがて、アドミラル・グラフ・シュペーとの距離が30mまで達した。

 

芽衣「撃ちゃえ!・・撃ちゃえ!・・撃ちゃえ!」

 

30mまで達し、晴風の第二砲塔がアドミラル・グラフ・シュペーの推進機に照準を定め。

 

ましろ「2番砲右、攻撃始め!!」

 

アドミラル・グラフ・シュペーが晴風の軸線に乗り、ましろが発射命令を出す。

 

ましろの命令のもと、第二主砲は、砲撃を開始。

 

放たれた砲弾の1発がアドミラル・グラフ・シュペーの左舷スクリューに命中した。

 

雅に肉を切らせて骨を切る様だった。

 

片舷の推進機を失ったアドミラル・グラフ・シュペーは急激に速度が低下した。

 

明乃の作戦は、見事に成功したのだ。

 

マチコ『目標に命中!・・・シュペー、速力落ちてます!』

 

『やった・・・・・・!!』

 

マチコからの報告で艦橋、機関室をはじめとして彼方此方で歓喜の声が上がる。

 

晴風、艦橋

 

ましろ「取り舵一杯!第4戦速!・・ヨーソロー!」

 

歓喜も束の間、この機を逃さず、ましろは、海域からの離脱を図る。

 

鈴「取り舵ーいっぱい!」

 

ましろの離脱命令に、鈴は嬉々として舵を切る。

 

そんな鈴に幸子は、

 

幸子「逃げる時はてきぱきしてますね‥‥」

 

と、呟いた。

 

一方、小型艇から落ちたミーナを救助に向かった薫と明乃は、

 

明乃「大丈夫!?・・しっかりして!」

 

板に捕まっている意識不明のミーナを2人は、スキッパーの羽部分に上げる。

 

ミーナの手には、テアから預かった艦長帽が握られていた。

 

上げたミーナを薫は、ジャケットを脱がせ、腕を捲り、脈拍を見る。

 

明乃「如何ですか教官?」

 

そして、更に胸に耳を当て、心臓の鼓動を確かめる。

 

薫「うん・・・大丈夫、生きてるわ!!」

 

如何やら、生きている様だ。

 

明乃「良かった!!」

 

ミーナが無事な事に明乃は、安心した。

 

薫「さあ、晴風まで運びましょう・・・艦長手伝って!」

 

明乃「はい!」

 

ミーナを救助した薫と明乃は、スキッパーで離脱中の晴風に収容される。

 

晴風、前部甲板

 

晴風へと戻り、救助したミーナを上甲板で待っていた美波と媛萌、百々に引き渡す。

 

媛萌「うぅ~」

 

百々「重いッス・・・・・・」

 

救助したミーナを担架に乗せ、媛萌、百々が愚痴を零しながら医務室へと運んで行く。

 

明乃「お願いね!」

 

美波「・・・・」

 

美波も頷いた後、医務室へと向かった。

 

明乃と薫は、艦橋へと向かう。

 

晴風、艦橋

 

明乃「シロちゃん!」

 

ましろ「ん!?」

 

明乃「・・・ありがとう」

 

全身、ビショビショの状態で明乃は、自分が留守中に指揮を取ってくれたましろにお礼を言う。

 

ましろ「適切な指示をしただけだ・・・・」

 

それに対し、ましろは、当然な事をしたまでだと、拗ねる。

 

薫「フフフ」

 

薫は、隣でその光景をニコリと見ていた。

 

晴風、機関室

 

明乃『最大戦速、現海域から離脱する!マロンちゃん、よろしくね!』

 

晴風は、現海域から離脱する為、明乃は麻侖にお願いする。

 

『はぁ・・・・・・』

 

それを聞いた麻侖達は落ち込んだ。

 

麻侖「ぶっ壊れちまうよぉ・・・!」

 

洋美「本当・・・・」

 

麻侖は、涙目で言うと洋美も全くだ、と言うような表情をした。

 

やがて、数時間が経ち、晴風は、現海域の離脱に成功、そのまま進路を南西へと取る。

 

しかし、この時、アドミラル・グラフ・シュペーから脱出したミーナが意識を失った為、アドミラル・グラフ・シュペーへの救援はこの後先になってしまった事を晴風の乗員はこの時は、知る由も無かった。

 

テア「副長!!・・・・必ず、お前が助けに来るのを此処で待っているぞ・・・!!」

 

しかし、ミーナが乗った小型艇が撃沈され、その後、彼女は救助された所を目撃したテアは最後まで希望は捨てず、いつかミーナが自分達を助けに戻って来ると信じ、アドミラル・グラフ・シュペーの艦橋にて、救助が来るのを待つ事にした。

 

晴風、大浴場

 

そんな中、明乃と薫は、濡れた服を洗濯に出し、大浴場でシャワーを浴びていた。

 

明乃「教官!・・・これから如何すれば良いんでしょう?」

 

シャワーを浴びている途中、突然、明乃がこれからの事を薫に問う。

 

薫「・・・まあ、なる様になるしかないわね、取りあえずは、岬ちゃん!」

 

反乱艦として、追われ、降伏したのに攻撃され、また追われる身、後は、なる様になるしかないと薫は、そう考え、取り合えず艦長である明乃は、不安にならないよう伝える。

 

明乃「そうですね、私が不安そうにしちゃ駄目ですよね!・・・私は艦長なんだから!・・・・そうだよね、もかちゃん・・・・」

 

薫に言われ、明乃は、元気を取り戻す。

 

薫「フフフ」

 

入浴後、救助したミーナの様子を見に医務室へと向かった。

 

晴風、医務室

 

明乃「美波さん?」  

 

明乃と薫は、ドアをノックし医務室に入る。

 

美波「艦長に教官」

 

薫「どう?」

 

美波「外傷は無い、脳波も正常・・・後は、意識が戻るのを待つしか・・・」

 

明乃「そっか・・・・ありがとう・・・私、見てるから美波さん、食事してきて・・・」

 

美波「感謝極まりない」

 

明乃は、そう言うと美波は、お礼を言い医務室を出る。

 

明乃は、ベットで横になっているミーナを見て、微笑んだ。

 

薫「では、艦長!・・私は、艦橋に戻るわ。」

 

明乃「あっ、はい!」

 

薫も艦橋へと戻って行った。

 

時刻は、夕方、機関室で頑張っていた麻侖達も交代で一休みしていた。

 

晴風、大浴場

 

麗緒「汗かいた・・・」

 

桜良「やっとさっぱりしたね!」

 

麻侖「ああ、本当にぶっ壊れると思ったぜ・・・」

 

留奈「さぁ~待ちに待った、カレーだ!!・・・カレー!!」

 

晴風、炊飯所兼食堂室

 

そして、食堂室では、待ちに待ったカレーがやって来た。

 

美甘「さぁ・・・食べてよ~!」

 

美甘がそう言うと、可愛く盛られた晴風カレーが生徒達に振る舞われた。

 

鈴「これが晴風カレー!?」

 

幸子「やっと食べられますね!」

 

鈴と幸子は、晴風カレーを見て言う。

 

志摩「う、~まいっ!」  

 

志摩は、待望の晴風カレーを食べ、幸せな顔をする。

 

幸子「甘がちだけどコクがあります!」

 

美甘「ブルーベリージャムを隠し味に入れてるから・・・」

 

幸子は、美甘に晴風カレーの感想を言う。

 

すると

 

光「美味しい!」

 

美千留「うん、美味しい!」

 

周りでは、美味しいと言う声が飛び交う。

 

『はぁ・…やったぁ!!』

 

それを隣の炊飯所で見ていたほまれとあかねが喜んでいた。

 

美海「マッチにも持ってってあげよ・・・」

 

媛萌「何がマッチよ‥‥」

 

百々「美化委員長はクロちゃん派ッスか・・・?」

 

媛萌「はぁ!?」

 

食堂室で生徒達が和気藹々とカレーを食べ、談笑している中

 

洋美「あれ?・・宗谷さんは?」

 

洋美は、食堂室にましろの姿がない事を確認する。

 

麻侖「さあ?・・艦橋じゃねぇのか?」

 

その頃、ましろは、薫共々、艦橋に残っていた。

 

晴風、艦橋

 

薫は、台の上で海図を見ながら、位置を確認し、ましろは、鈴と交代で舵を握っていた。

 

洋美「宗谷さん、お疲れ様・・カレー持ってきたわ。」

 

すると、食堂室に居た洋美がましろの為にカレーを持って来てくれた。

 

ましろ「あ、すまない!」

 

ましろは、洋美からカレーを受け取る。

 

洋美「余り、無理しないでね!」

 

そう言って、洋美は、戻っていた。

 

そんな洋美にましろは、嬉しかった。

 

薫「良いな、ましろちゃん!・・・こんな風にカレーを態々此処まで持って来てくれる人がいて・・・」

 

横で見ていた薫が突然、ましろに嫉妬する。

 

ましろ「わ、私は、別にそんな積りは・・・」

 

薫の言葉にましろは、意地を張る。

 

薫「何てね、今のは、冗談よ!・・・さあ、早く食べないと折角のカレーが覚めちゃうよ!」

 

如何やら、冗談だった様だ。

 

ましろ「全く、教官は・・・」

 

薫の冗談にましろは、ふてくし、カレーを食べようと口に持っていこうとした時

 

ビー・・・ビー・・・ビー・・・

 

突如、通信を知らせるベルが鳴る。

 

ましろ「通信?・・・はぁ・・・ついてない・・・・」

 

突然の通信でカレーが食べられなくなった事にましろは、ガッカリする。

 

薫「何言ってるの副長!!これも仕事なんだから、ちゃんとしなさい!!」

 

ガッカリするましろを薫が叱る。

 

ましろ「は~い・・・」

 

薫に叱られましろは、ガッカリしながら、艦内電話の受話器をとって耳に当てる。

 

ましろ「っ!?」

 

その通信内容を聞いたましろは思わず目を大きく見開いた。

 

薫「如何したの副長!?」

 

ましろ「非常通信です教官!」

 

薫「非常通信?・・・雅か、宗谷校長?」

 

ましろ「違います・・・武蔵です!!」

 

薫「えっ!?」

 

武蔵の言葉を聞いて、薫は、持っていたコンパスを落す。

 

そして、医務室に居る明乃にも

 

晴風、医務室

 

『艦長!・・・至急艦橋に来てください!』

 

艦橋からの呼び出しに明乃は、急いで艦橋に向かう。

 

晴風、艦橋

 

明乃が艦橋に着くと艦橋には、薫とましろの2人がいた。

 

しかし、何故か、薫は、驚愕していた表情をしていた。

 

明乃「シロちゃん如何したの?」

 

ましろ「非常通信回線が!」

 

明乃「何所から!?」

 

ましろ「武蔵からです!」

 

明乃「武蔵!?」

 

武蔵の言葉を聞いて、明乃は、驚愕しながら、ましろから受話器を受け取る。

 

もえか『此方武蔵・・・・此方武蔵・・・・』

 

明乃「もかちゃん!?・・私、明乃!・・如何かしたの!?・・何があったの!?」

 

明乃はもえかに話しかけるが、向こうの無線機の受信感度が低いのか、明乃の応答にもえかは答える事無く、必死に救援要請を伝える。

 

もえか『非常事態発生…至急、救援を…現在、アスンシオン島北西…アスンシオン島北西…至急救援を…至急救援を……』

 

やがて、受話器からもえかの声は聴こえなくなり、晴風の艦橋は不気味な程の静寂に包まれた。

 

明乃「もかちゃん‥‥」

 

明乃は受話器を持ったまま固まってしまう。

 

そして、薫も

 

薫「はやてちゃん‥‥」

 

もえかと一緒に乗艦しているはやての安否が気がかりになり、固まってしまう。

 

画して、砲撃してくるアドミラル・グラフ・シュペーから無事脱出に成功した晴風だったが、武蔵からのSOSに驚愕する。

 

一体、何が起きているのか、

 

そして、薫や明乃達は、反乱の汚名を無事そそぐ事が出来るのであろうか

 

 

 

 




今回は、はいふりの本編とOVAのローレライの乙女たちを繋げて見ました。
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