晴風、後部甲板
赤道祭は終わり、甲板には、なのは達は、既に居らず、補給を受けていた空母大鳳も既に出航した後だった。
晴風の生徒達は、赤道祭の飾りなどの後片付けをしていた。
そんな中、明乃は、何かを思い詰めているのかの様に海の方をジッと見つめていた。
ましろ「艦長・・・」
そんな明乃にましろは、声を掛けた。
明乃「あっ!?・・・シロちゃん・・・」
ましろ「如何かしたんですか?」
ましろは、明乃が何を思い詰めているのか問う。
明乃「うん、赤道祭・・・楽しかったな~って・・・」
それに対して、明乃は、赤道祭が楽しかったと誤魔化すが
ましろ「それだけじゃ・・ないですよね?」
ましろには、お見通しの様だ。
明乃「・・・艦の修理が終わったら、パーシアス作戦に参加する事になる・・・」
明乃は、ましろに自分が思い詰めている事を言う。
ましろ「それは、あくまで協力ですよね?」
明乃「でも・・・もしかしたらまた・・・」
明乃の脳裏に前回のアドミラル・グラフ・シュペーでの戦闘の時に被弾した晴風の姿が過る。
明乃「私・・・私ね、やっと晴風の皆と家族になれたような気がしたの・・・したのに・・・」
と言って、明乃は不安そうに怯える。
今までの戦闘では、晴風の被害は少なかったが、アドミラル・グラフ・シュペーとの戦闘で晴風は、多大なる被害を受けたが死傷者は、出なかった。
だが、次の武蔵との戦闘は、それだけでは済まないだろう。
おそらく死傷者も出るかも知れない。
明乃は、それを恐れていたのだ。
ましろ「・・・・」
不安そうに怯える明乃にましろは、何も言えず、唯黙って見ているしかなかった。
薫「・・・・」
そんな2人を薫が砲塔の影で見ていた。
その後、補給と修理を終えた晴風は、パーシアス作戦参加の為、第二陣の合流地点へと向かう。
5月4日
6:30
紀伊半島沖
一方、富士山頂にある遠水平線レーダーがある大型の不明艦を捕捉した。
それは、紛れもなく行方不明になっていた武蔵だった。
武蔵の発見の報は、直ちに横須賀ブルーマーメイド庁舎の作戦本部へと通達された。
5月5日
1:00
横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部
フィリピン方面に居る筈の武蔵が突如、伊豆半島沖に出現したと言う報告を受け、本部内は、慌ただしい状況になっていた。
真霜「はい、此方作戦本部」
福内『福内です・・・其方の状況で変わりはありますか?』
福内は、作戦本部から現在の状況を問う。
真霜「富士山頂の遠水平線レーダーが、武蔵を補足したわ!」
真霜は、武蔵発見の報告を知らせる。
福内『フィリピンに向かっていた筈では?』
真霜「主力は間に合わない・・・貴方の艦隊で武蔵を止められる?」
真霜は、パソコンのモニターで部隊の配置を確認し、福内に武蔵を止めるよう指示する。
福内『最善を尽くします・・・それでは・・・』
福内は、最善を尽くすと言って、通信を切る。
真霜は、受話器を置き、改めてパソコンのモニターで部隊の配置を確認する。
主力部隊の第一陣は、既にフィリピン方面に展開していた。
だが、武蔵が日本近海の伊豆半島沖に現れたので、主力部隊は間に合わない。
現在残っている戦力で武蔵の元に向かえるのは、九州沖に配備した平賀が指揮する部隊のみであった。
後残っているのは、艦隊との合流を止め、沖縄南方を北上している龍之介の空母大鳳と平賀部隊に全速で向かっている次郎の白鳳、そして、小笠原沖を北上する晴風。
平賀部隊のみで武蔵を止められるのか、真霜は、不安を隠せず受話器を取る。
5月5日
6:10
小笠原沖
晴風、教室
一方、小笠原沖を北上中の晴風では、武蔵の状況と今後如何するかを説明する為、生徒達は、教室に集まっていた。
教室の黒板には、武蔵の現在地と平賀部隊、晴風の位置が記載した地図が貼られていた。
幸子「現在、武蔵は、伊豆半島の南西10マイルを進路40度、速力18ノットで航行中と推測されます・・・本艦は35ノットで追跡中です!」
幸子は、現在の状況を伝える。
ましろ「学校からの指示は、ブルーマーメイドの部隊が到着するまで本艦の安全を優先しつつ武蔵を補足し続けよ・・・との事だ!!」
真雪からの指示は、平賀の部隊が到着するまで武蔵を捕捉せよとの命令だった。
美海「今度こそ遅刻しないように、って早めに出発してたのに・・・」
美甘「お陰で私達が武蔵の一番近くになっちゃうなんて‥‥」
この前の海洋実習に遅刻した事を悔い、今回は、遅刻しない様、早く出航したが、それが不運か幸運かは分からないが、武蔵に一番近くになってしまった。
美甘と美海が話していると
幸子「美波さん!?」
突然、美波が手を挙げた。
美波「武蔵の生徒も比叡やシュペー同様、ウィルスに感染しているとみるべきだ。」
美波は、武蔵の生徒が比叡やアドミラル・グラフ・シュペーの生徒同様にウィルスに感染しているとみるべきだと皆に告げた。
百々「てっことは、この前の見たいに助けられるって事ッスよね!」
まゆみ「私達も何かできないかな?」
秀子「うん、そうだよね!」
美波の話を聞いた途端、皆は、希望が湧いた。
順子「主砲もバッキュンと新しい5インチ砲になったし!」
光「指揮所もバッチリ新品だって・・・」
果代子「そうそう・・・水雷方位盤も新型になったしね!」
この前の補給と修理で晴風の武装は、強力に成っていた。
主砲は、アメリカ製のMk.39 5インチ砲に換装され、射撃指揮所もMk.37砲射撃指揮装置に代わり、更に今まで使っていた九七式水雷方位盤が零式水雷方位盤に置き換えられた。
晴風、艦橋
芽衣「へへへ・・・!」
零式水雷方位盤を見て、涎を垂らす芽衣。
芽衣「この肌触り最高だ!!・・・これのお陰で三角関数からも解放される!・・・あぁ・・!早く撃ちたい!」
芽衣は、零式水雷方位盤を早く使いたいと駄々る。
志摩「丸・・」
志摩は、側で丸と言う。
晴風、教室
それらの事で生徒達は、浮かれるが
薫「皆、浮かれ過ぎよ!!・・相手は、武蔵何だから、気を引き締めなさい!!」
薫は、余りにも浮かれ過ぎなので、生徒達に気を引き締めなさいと激励する。
薫の言葉に皆は、浮かれるのを止める。
そんな中、明乃は、また思い詰めてるかの様に不安そうな顔をする。
ましろ「艦長!?」
そんな明乃にましろは、声を掛ける。
明乃「あっ!?」
ましろの声に明乃は、気づき。
ましろ「如何します?」
ましろは、如何するか問う。
明乃「私達は、学校からの指示通りブルマーを支援しよう・・・武蔵は装甲も火力も桁違いに強力だし・・・」
明乃は、真雪からの指示通りに動く事にした。
ましろ「そうだな・・・ブルーマーメイド主体で当たるのが打倒だろう!・・・そうですよね教官?」
薫「そうね・・・今私達がするべき事は、平賀さんの部隊が到着するまで武蔵の捕捉する事!」
明乃の考えに2人も同意した。
まゆみ「そうか!」
秀子「そうだよね!」
美海「相手が武蔵じゃ・・・」
そして、皆も明乃の考えに同意する。
媛萌「けど皆、がんばろうよ!」
美海「もちろん!」
『がんばろう!!』
媛萌の言葉に皆は、湧き上がる。
だが、明乃は、まだ不安そうな顔をしている。
ましろ「・・・・」
そんな明乃をましろは、側で見る。
そして、薫は地図を見て
薫(待っててねはやてちゃん!・・・・今行くから!!)
と言って、はやての事を思っていた。
5月5日
9:00
沖縄南方
一方、空母大鳳は、沖縄南方を35ノットで北上していた。
当初は、フィリピン海で艦隊と合流すべく向かっていたが、念の為、先行していた白鳳から武蔵らしき艦影の探知が無いと報告が上がる。
それを聞いた龍之介は、かつてのビオランテ戦での教訓を思い出し、もしかしたらと思い、艦隊との合流を止めて、急いで北方へと針路を取った。
それから数時間後、武蔵が日本近海に現れたと言う報告が入り、龍之介の予感は、皮肉にも的中したのだ。
空母大鳳、艦橋
信吾「雅か武蔵が日本近海に居たとは!?」
美奈「准将の読みが当たりましたね!」
雅か龍之介の読みが当たった事に驚いていた。
龍之介「う~ん・・・雅かとは、思ったが・・・」
実「しかし何故、武蔵が日本近海に?・・・フィリピンに向かっていたという情報だったのでは・・・」
実は、フィリピンに向かっていた武蔵が何故日本近海に現れたのか、不思議に思っていた。
龍之介「多分、それは誤報だろう・・・恐らく此方の哨戒機のレーダーで捕らえたのは武蔵ではなく、武蔵と同じ大きさのタンカーだったのだろう。」
それに対して、龍之介は、E2Gのレーダーが捕らえたのは、武蔵と同じ大きさの大型タンカーだと推測する。
実「では、真冬部隊の方は?・・・目撃情報もあったんですよ!」
龍之介「それは、もしかしたら比叡だったかもしれない。」
『比叡!?』
龍之介「比叡と武蔵は、艦橋が似ているからな・・・恐らく晴風と白鳳に制圧される前にウルシー辺りを航行していたんだろう。」
目撃情報も恐らく、晴風と白鳳に制圧された比叡と見間違えたのだろうと推測する。
美奈「成程!!」
2つの推測に美奈は納得する。
信吾「しかし、如何しますか?・・・我々は、現在、沖縄南方!一方の武蔵は、伊豆半島の南西10マイル!・・・・距離から見て、艦載機の航続距離圏外です!!
」
災厄な事に今、空母大鳳が居る場所は沖縄南方、武蔵が居る伊豆半島までは、艦載機の航続距離圏外だったのだ。
美奈「兎に角、最大戦速で向かおう!!・・・航続距離圏内に入れば攻撃隊を出せる!!」
美奈の言う通り、既に飛行甲板では、78機の春乱が既に爆装を終え、何時でも出撃準備が完了している。
後は、攻撃隊の航続距離圏内に武蔵を捉えるのみ、だが今の距離では、例え攻撃隊を出しても届くが、帰還が出来ない。
これでは、攻撃隊が出せない。
如何するか
龍之介「・・・・副長代理!・・・・烈風なら此処から出しても届く筈では?」
龍之介は、試作機の烈風の事を思い出す。
信吾「あの試作機ですか!?・・・・確かに此処から出しても届かない訳では有りませんが、しかし帰還が出来なくなります!!」
烈風の航続距離は、春乱と同じだが、今の距離では、片道しか燃料が持たない。
龍之介「その点は大丈夫だ・・・此処から発進しても平賀の部隊に降りれば問題はない!」
烈風は、VTOL機で平賀部隊の艦艇の甲板に降りられる事は可能だった。
信吾「でも一機しかありません!たった1機で何が出来ますか!!」
烈風は、試作機なので1機しかない。
1機では、武蔵に太刀打ちできない。
信吾「それに・・・・そんな任務に誰を行かせるんですか?」
確かに武蔵相手に1機で立ち向かうのは、自殺行為に等しい任務だ。
そんな任務に誰を行かせるのか、龍之介に難しい判断を迫られる。
龍之介「烈風の準備をしろ!!」
兎に角、龍之介は、烈風の準備をする様命令する。
直ちに烈風の換装を開始する。
龍之介「・・・・後は、白鳳だけか・・・・」
攻撃隊は、発進できず・・・後は、フィリピンからマッハ5で急行中の白鳳のみだった。
横須賀女子海洋学校、会議室
その頃、横須賀女子海洋学校の真雪でも武蔵発見の報が届いていた。
真冬『我々の部隊は、石垣島南方を40ノットで航行中・・・兎に角、急行します!!』
真冬との映像通信が切れる。
真冬部隊も武蔵に向けて急行中。
だが、距離的には、間に合わない位置だった。
真雪「はぁ・・・主力の殆んどがフィリピン東方・・・戦力を集中する作戦が裏目にでたわね。」
真雪は、モニターを見て、難しい顔をする。
真霜『間に合うのは、最低限の備えとして九州沖に残してお居た平賀部長の別動隊だけで大鳳は、急いで北上中だけど・・・』
真霜は、武蔵がフィリピン方面に居ると思い、ブルーマーメイドの主力部隊の殆どをフィリピン方面に向かわせた。
だが、武蔵は、真霜の予想を大きく覆し、伊豆半島沖合に姿を現した。
主力部隊は、間に合わず、龍之介の空母大鳳も間に合わない。
後は念の為、最低限の備えとして残しておいた平賀部隊で武蔵を止めるしかなかった。
真雪「他に動かせる艦は?」
真雪は、真霜に他に動かせる艦が無いか問う。
真霜『ドックでメンテ中の艦が1隻・・・出せるか如何か・・・』
残っているのは、1隻だけで、しかもまだ整備中だった。
教頭「う~ん・・・約3時間で、武蔵は浦賀水道に入ります。」
それを聞いた教頭は、頭を悩ましながら約3時間で、武蔵が浦賀水道に入ると報告する。
真雪「・・・晴風は?」
真雪は、晴風の武蔵到達時間を聞く。
教頭「およそ2時間後に武蔵に追い付きます。」
武蔵到達時間は、2時間後。
真雪(薫さん・・・晴風の生徒達をどうか守って・・・)
真霜は祈る様にモニターを見つめ、心の中で呟く。
5月5日
11:00
伊豆半島東方沖
晴風は、遂に武蔵と遭遇した。
晴風、艦橋
マチコ『艦影1、左舷10度、水平線、同艦不明!!』
『あっ!?』
武蔵発見の報告を聞いて、薫と明乃は、困惑する。
晴風、電探室
慧「電探でも感知しました!」
電探でも武蔵を捉えた。
晴風、艦橋
マチコ『方位各右90度』
『あっ・・・!?』
武蔵発見の報告を聞いて、艦橋に居る全員は、困惑する。
マチコ『閃光視認!目標、発砲した模様!!』
マチコが武蔵からの砲撃を確認する。
明乃「回避! 面舵一杯ー!!」
武蔵の砲撃に明乃は、直ぐに右に回避する様、命じる。
鈴「はい!」
明乃の指示で鈴は、右に舵を切るが、武蔵の砲弾は、晴風の左舷で高い水柱を上げる。
『きゃぁぁ・・・!?』
少し遠かったが、着弾の衝撃は届き、艦は揺れる。
明乃「しっかり距離を取って」
鈴「はい!」
明乃は、武蔵との距離を取って、追跡する。
慧『主砲弾撃つ、此方に接近!!』
だが、武蔵の砲撃は、激しくなり、晴風の周りに着弾する。
芽衣「艦長! 撃ちゃう?」
美千留『嚇射撃をした方が回避もグルグルしやすいかも!』
志摩「うぃ!」
武蔵の砲撃に対し芽衣や美千留が攻撃の指示を待っていた。
だが、砲撃の指示はない。
ましろ「艦長!指示を・・・!?」
砲撃の中、ましろは、明乃に指示をこうとしたが
明乃「!!!!!!」
明乃は、何故か塞ぎ込み、脅えていた。
ましろ「!?」
それを見たましろは、驚いていた。
何時もなら堂々と指揮している筈の明乃が何故か脅えていた事に驚いていたからだ。
薫「・・・・」
一方、薫の方も明乃が脅えているのを見ていたが、それに驚かず、
薫「艦長に代わって、私が指揮を取ります!」
脅えている明乃に代わって、指揮を執る。
その時
幸子「ブルマーです!!」
幸子からブルーマーメイド艦隊到着の報告が入る。
『あっ!?』
報告を聞いた薫とましろは、前方を見る。
すると左舷から白煙を描きながら飛翔する墳進魚雷の光景が見えた。
薫(如何にか間にあった様ね!)
到着したのは、念の為に九州沖に置いていた平賀部隊4隻だった。
鶫『ブルマーより通信! 晴風は、至急この海域から退避せよの事です!』
ましろ「退避…」
鶫『ブルマーより撤退命令です。』
薫「分かったわ!・・・状況が見える距離まで撤退する。」
薫は、撤退命令に従い、状況が見える距離まで撤退する。
薫(平賀さん・・・4隻で武蔵を止められるかな・・・)
薫は、不安そうに撤退しながら状況を見守る。
みくら、艦橋
福内「本艦隊はこれより右舷前方の武蔵に対し強制停戦オペレーションを実施する・・・突入チームは武蔵乗員が学生である事を留意し極力格闘は避けるように・・・」
艦長の福内が各艦に指示を送る。
平賀の作戦は、武蔵を停船もしくは減速させ、左右の副砲を破壊した後、抗体を持ったスキッパー隊を武蔵に突入させて、制圧する。
そして、もう1隻も
白鳳、艦橋
次郎「如何にか間にあったな!」
平賀部隊の後方上空に白鳳が飛来した。
晴風、艦橋
薫「次郎君!!」
晴風でも白鳳を視認する。
薫(これなら勝てる!!)
平賀部隊に白鳳が加わった事に薫は、勝利を確信した。
白鳳、艦橋
次郎「総員、戦闘配置!!・・・コンピューターを戦闘モードに移行!」
林「了解!!戦闘モードに移行!」
白鳳のコンピューターは、戦闘モードに移行し、武蔵の左舷へと素早く移動する。
みくら、艦橋
福内「オペレーション開始。」
志度「オペレーション開始します!」
平賀部隊は、作戦を開始し、全艦右舷に一斉回頭する。
それに対し武蔵は、平賀部隊に向けて、一斉砲撃をする。
福内「艦隊、左90度。一斉回頭!!」
志度「と~りか~じ!」
だが今度は、左舷に一斉回頭し、砲撃を避ける。
武蔵の砲弾は、平賀部隊の後方に着弾し水柱を上げる。
晴風、艦橋
鈴「あんな綺麗に艦隊運動出来るなんて・・・」
武蔵の砲撃にものともせずに奇麗に艦隊運動しているのに鈴は、感心する。
みくら、艦橋
福内「二番艦、四番艦。噴進魚雷、攻撃始め!」
みやけの艦長「噴進魚雷!発射始め!」
みやけとはちじょうから数発の噴進魚雷が武蔵に向けて発射された。
それに対し武蔵は、砲撃するが、的を外れて、平賀の部隊の右舷に着弾する。
その間に噴進魚雷は、武蔵の左舷に全て命中し、水柱を上げる。
白鳳、艦橋
次郎「良いぞ!良いぞ!・・・その調子で武蔵の気を引き付けていてくれ!」
平賀部隊が武蔵を引き付けている間に白鳳は、左舷から武蔵に接近していた。
平賀部隊の砲撃に乗じて、ハイパーレーザー砲で武蔵の主砲砲塔を素早く破壊する作戦に出る。
晴風、艦橋
芽衣「すご~!全部当たっているよ!!」
攻撃が全弾当たった事を知った芽衣が思わず声を上げる。
幸子「・・・これで武蔵の足も止まるかも・・・」
薫(後は、砲撃に乗じて白鳳がレーザー砲で主砲塔を潰せば…)
薫と幸子が勝利を確信している時
ましろ「艦長ちょっと!」
幸子「ん?」
ましろ「教官、しばらく此処を頼みます!」
ましろが明乃を連れて、艦橋を後にした。
幸子「ええぇぇ!?」
ましろと明乃が居なくなった事に幸子は、驚愕する。
薫(岬ちゃんの事は、任せたわよ、ましろちゃん!!)
薫は、ましろに明乃の事を任せて、指揮を続行する。
みくら、艦橋
福内「武蔵の様子は?」
平賀「砲撃は止まったけど損傷不明・・速力変わらないわね・・・」
福内が平賀に武蔵の状況を確認する。
砲撃は、止まったが、武蔵の速力が変わらない事から致命傷は与えていない事が窺える。
しかし、攻撃は通っている。
今さら作戦変更は、出来ない。
攻撃続行あるのみだった。
福内「一番艦、三番艦・・右90度一斉回頭、突撃せよ!」
平賀部隊は、武蔵を追い抜き右舷に回り込み、みくら、こうづが武蔵右舷に向かって、突撃を開始する。
福内「一、三番艦、主砲、攻撃始め!」
志度「撃ち方始め!」
みくらとこうづが武蔵に向けて、砲撃を開始し、武蔵も副砲で応戦するが、2隻は、素早く開始しながら砲撃を続け、
志度「目標右舷副砲破壊しました!」
武蔵の右舷副砲を破壊した。
これにより、突入部隊が武蔵へ突入がし易くなった。
晴風、艦橋
芽衣「おお、やった!!」
志摩「うぃ!」
右舷副砲を破壊した事に芽衣と志摩は、大喜びしながら腕を組む。
薫「後は、白鳳からの攻撃で主砲塔を無力化すれば!!」
後は、白鳳の攻撃のみ。
その白鳳も攻撃を開始しようとしていた。
次郎「よ~し、ハイパーレーザ―砲発射用意!・・・目標!武蔵、主砲塔!!」
ハイパーレーザ―砲の照準が武蔵の第一から第二砲塔にロックオンする。
次郎「発射!!」
発射しようとした時だった。
ボーン!!
突然、衝撃が走り、
次郎「な、何が起こった!?」
突然の衝撃に次郎は、何が起こったのか分らなかった。
GF隊員「大変です!!・・・ハイパーレーザ―砲が破損!!使用不能!」
次郎「な、何!?」
何と、如何いう訳かハイパーレーザ―砲が破損、使用不能に陥った。
何故破損したか、それは、武蔵の副砲による攻撃でだった。
実は、平賀の部隊が武蔵と交戦している時、白鳳は、隙をついて左舷から接近し攻撃を仕掛けようとした。
武蔵の目は、全て攻撃している平賀部隊に向けていたと思ったが、左舷の副砲1基だけは、何故か白鳳に照準を向けていて、しかも白鳳が近づきハイパーレーザ―砲を発射しようとする寸前を狙った。
雅に学習しているかの様に
とは言え、ハイパーレーザ―砲を破壊された事によって、白鳳は、艦船に対する戦闘能力を一瞬に失った。
晴風、艦橋
薫「そ、そんな!?・・・嘘でしょう!?」
白鳳の被弾に薫は、驚愕する。
隙を付いたのに何故、気づかれたのか、しかもハイパーレーザ―砲の発射口も潰した事に驚愕していたからだ。
みくら、艦橋
志度「白鳳から報告!ハイパーレーザー砲破損!離脱するとの事です!」
最早、ハイパーレーザー砲が破損した以上、離脱するしかなかった。
平賀「そんな!?」
白鳳の戦線離脱に平賀は、驚愕する。
福内「了解!・・・二番艦、四番艦、噴進魚雷攻撃始め!」
福内は、了解し、攻撃を再開する。
白鳳が素早く離脱行動に入ると、みやけ、はちじょうから噴進魚雷が発射される。
だが、発射した時、突然、空中で分散した。
福内「何!?」
平賀「作動不良!?」
志度「誘導システムにエラー発生!!」
噴進魚雷の誘導システムがEMPの影響で作動不良を起こした。
そして、離脱している白鳳にも
三郎「システム及び電子系統に障害が発生しています!?」
次郎「補助システムに切り替えろ!!」
電子機器が使用不能になった為、次郎は、急いでEMP対策として、補助システムに切り替えた。
次郎「くそ!!・・・こんな筈じゃ!!」
次郎は、悔しながら、戦況を見守るしかなかった。
晴風、副長室
その頃、ましろは、戦意を損失している明乃を自分の部屋に連れて行き、ソファに座らせた。
ましろ「一体如何したんだ艦長・・・ブルーマーメイドが着てくれたら、私達は、私達の役割を・・・」
明乃「・・・・判らない・・・如何すれば良いのか・・・・分からないの・・・」
明乃は、完全に戦意を損失しており、如何すれば良いのか判断ができない状態になっていた。
明乃とましろの会話は、伝声管で殆んど艦内に流れていた。
晴風、機関室
麻侖「ちょっと此処頼む!!」
洋美「えっ!?」
明乃とましろの会話を聞いた途端、麻侖は、1人、明乃の元に向かう。
洋美「レオ、機関長に着いて行って!!」
麗緒「了解!!」
洋美の指示で麗緒が麻侖と共に副長室に向かう。
洋美「此処は、4人で持たせるわよ!」
『はい!』
麻侖と麗緒いない間、4人で機関室を持たせる事になった。
みくら、艦橋
一方、EMPの影響を受けていたみくらでは
平賀「電子機器が狂うと言うのは聞いていたけれど・・・」
平賀は、EMPの影響で電子機器が狂う事は、知っていたが、実際にこれ程のものとは、と驚いていた。
とは言え、EMPの影響の中では、電子機器が使えない以上、誘導兵器が使えない。
如何するのか
福内「・・・魚雷発射管発射準備・・無誘導に設定!」
寒川「無誘導!?」
電子機器が使えない以上、誘導システムが使えない。
福内は、魚雷を誘導から通常に切り替える。
武蔵、艦橋
その頃、武蔵艦橋に立て籠もっているもえか達は、立て籠もっている艦橋から戦況を見ていた。
夏美「残弾各砲塔、およそ90から100・・・」
夏美は、手帳に武蔵の主砲弾の残弾数を計算する。
親子「進路変わらず、依然として浦賀水道に向かっています!」
親子は、海図を見て、武蔵の進路を把握し、浦賀水道に向かっている事をもえかに報告する。
もえか「ん・・・」
もえかは、唖然としながら、双眼鏡で戦況を伺う。
夏美「うう・・・私達の艦が・・・ブルーマーメイドを・・・」
夏海は、自分達の艦がブルーマーメイドを攻撃している事に悲嘆する。
そんな夏美にもえかが
もえか「状況把握に勤めよう・・・艦を止めるチャンスを見つけるの・・・ね?」
と言って、ハンカチを渡し、夏美を励ます。
夏美「はい・・・」
教官であるはやてを失ってから、もえか達は、不安な状態で艦橋に立て籠もりながら、救援を待っていた。
一度は、東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が救援に駆け、これでやっと悪夢から解放されると喜んだが、救援に駆け付けた教員艦隊を自分達が航行不能にした事によって、またもや長い立て籠もり生活を余儀なくされた。
何日も何日も救援を待ち続ける中、4人の中に、もう救援は、来ないんじゃないのか、私達は、このまま死んでしまうのかなとまで思い始め、不安が増大し、諦め始めていた。
そんな4人にもえかは、何とか希望を持たせる。
実は、自分も不安だったが、艦長として皆を護る以上、不安になっては行けない。
もえかは、はやてとの約束を守り続け、何とか立て籠もりを続ける。
それから、21日達、ようやく平賀部隊が救援に駆け付けた。
だが、戦況はおもわしくない。
だけど、不安になっては行けない。
もえかは、何とか武蔵を止めるチャンスを見つけ様と策を練ろうとするが
親子「艦長!ちょっと来てください!」
親子が何かを発見した様だ。
もえか「何?」
もえかは、何かと問う。
親子「うちの学校の艦です。」
もえか「えっ?」
親子に言われもえかは、双眼鏡を覗く。
もえか「晴風・・・ミケちゃん!」
もえかが見たのは、紛れもなく親友の明乃が乗艦している晴風だった。
晴風だと知ったもえかは、今まで抑えていた不安を少し見せ始める。
みくら、艦橋
志度「魚雷、無誘導に設定!」
福内「第一戦速・・・おも~か~じ0度ヨーソロー!」
一方、平賀部隊は、魚雷を無誘導に設定し、再度武蔵を攻撃する。
だが、既に戦況は、平賀部隊にとっては、不利になっていた。
誘導兵器の使用不能。
そして、頼りにしていた白鳳の戦線離脱で平賀部隊の勝算は、薄かったからだ。
それでも武蔵を止めるべく、攻撃を続けるしかない。
福内「全艦!魚雷、攻撃始め!」
全艦、武蔵に向けて、魚雷を発射。
だが、その直後
武蔵、艦橋
もえか「あっ!?」
武蔵が平賀部隊に向けて砲撃、はちじょうに主砲弾が命中した。
はちじょうの被弾にもえかは、驚愕する。
晴風、見張り台
マチコ「四番艦被弾!」
晴風、艦橋
芽衣「ブルマーが!?」
晴風でもはちじょうの被弾に驚愕する。
武蔵、艦橋
亜依子「ブルマーが・・・」
『きゃあぁぁ!?』
晴風、副長室
マチコ『ブルマー四番艦速力低下!!』
明乃「あっ」
衝撃は、各自に伝わる。
白鳳、艦橋
次郎「くそ・・・・このまま見ている事しかできないのか?」
艦船に対する戦闘能力を失っている白鳳では、戦えない。
このまま見ている事しかできない事に次郎は、悔しながらパネルを叩く。
みくら、艦橋
志度「命中1,2,3、4!」
はちじょう被弾後、発射した魚雷の4発が武蔵に命中する。
寒川「四番艦、艦尾に直撃!」
志度「四番艦から報告!我、航行不能。戦闘続行不可能!!」
寒川「通常魚雷残弾ありません!」
はちじょうが脱落し、更に魚雷を全弾撃ち尽くし、平賀部隊は、追い詰められていく。
福内「艦隊は、目標右艦尾に回り込み突入要員の乗り移りを行う・・・各艦、無人機の準備が出来次第、発艦!!」
追い詰められた福内は、最後の行動に出る。
それは、先ず4隻から無人の飛行船を発進させ、武蔵の射撃指揮所を飛行船で目隠しし、砲撃を出来なくする。
その間に4隻が武蔵の砲塔を破壊する。
その後、突入チームを送り武蔵を制圧する作戦だ。
寒川「一,二,三番艦、無人機発艦しました!」
4艦から4機の無人飛行船が発進した。
福内「武蔵の様子は?」
志度「砲、無人機に向けっています・・・警戒してる模様・・・」
武蔵の目は、無人飛行船に向けていたので、此方には、向いていなかった。
福内「右180度、一斉回頭と同時に無人機を接近させる。」
この機を逃さず、福内は、作戦を続行する。
志度「ヨーソロー!」
平賀部隊は、武蔵に接近する。
武蔵の砲塔は、無人機から接近してくる平賀部隊に狙いを定めるが
武蔵、艦橋
親子「艦長!無人機が!?」
その直後に無人飛行船4機が武蔵の射撃指揮所の全方位を目隠しした。
親子「無人機で目隠しを‥‥」
亜衣子「流石ですね!」
福内の作戦に2人は、感心する。
福内『全艦、射撃開始!!』
無人飛行船がも隠ししている内に平賀部隊は、砲撃を開始。
武蔵、艦橋
親子「四番副砲大破しました!」
平賀部隊の砲撃で武蔵の後部副砲が破壊され、今度こそ上手くいくかもしれないと思ったが
みくら、艦橋
福内「速射砲!?」
武蔵の対空砲が目隠ししている無人飛行船4機を撃墜したのだ。
志度「面舵いっぱい!全速退避!!」
思わぬ事態に平賀部隊は、急いで退避行動に出るが
既に遅く、武蔵の砲撃で次々と被弾し、残ったのは、1隻のみだった。
武蔵、艦橋
『あっ・・・!?』
平賀の部隊が次々と被弾するのを見て、もえか達は、唖然とする。
晴風、艦橋
『あっ・・・』
鈴「このままじゃ…」
そして、晴風でも薫や幸子達が唖然としながら戦況を見る。
薫「航海長!距離、もう少し取りましょう!」
鈴「は、はい!」
薫は、平賀部隊の戦意損失を見て、今の距離では、危険と判断し、武蔵との距離をもう少し開ける。
芽衣「ブルマー・・・1隻だけになっちゃったんだけど・・・・艦長も副長も早く戻ってきてよ!!」
平賀部隊の戦意損失を見て、芽衣は、明乃とましろが早く戻ってきてくれと叫ぶが
晴風、副長室
当の明乃は、今だに戦意を損失したままだった。
ましろ「・・・・」
明乃「武蔵は、止めなきゃいけない・・・ブルーマーメイドも・・・助けたい・・・武蔵に乗ってる・・・皆も助けたい・・・でも、それで、もし晴風の皆を・・・皆に何かあったらと思うと・・・怖いの・・・凄っく怖いの!!」
明乃は、ましろに自分が思っている事を全て打ち明ける。
明乃は、武蔵は、止めなきゃいけないし、ブルーマーメイドも助けなきゃいけない、武蔵に乗ってるもえか達も助けなきゃいけない、でもそれで、晴風の皆に危険が及んだら、自分は、如何すれば良いのか、それが怖かったのだ。
明乃の思っている事は、伝声管で艦内に伝わっていた。
皆は、唖然として聞いていた。
晴風、艦橋
薫(・・・岬ちゃん・・・)
薫も唖然として聞く。
横須賀女子海洋学校、会議室
真霜『平賀隊!あと1隻です!!』
その頃、横須賀女子海洋学校の会議室でも真霜が平賀部隊が壊滅状態に追いやられたと報告が入る。
真雪「・・・学校艦に・・総員退艦命令を!」
老松「承知しました。」
真雪「それから・・・国土保全委員会にホットラインを繋いでください。」
真雪は、校内に退避命令を出し、国土保全委員会に電話を繋ぐ。
国土交通省、国土保全委員会
一方、国土保全委員会では、武蔵接近に伴い東京湾内に避難警報を出していた。
委員会幹部A「避難状況は?」
国交職員「東京湾内全域に警報を発令しました!!・・・しかし間に合うかどうか‥‥」
だが、武蔵の予想外の湾内侵入に避難が間に合わなかった。
そんな時
国交職員『横須賀女子学校からホットラインです!!』
突然、真雪からの電話連絡が入って来た。
深町「なに!?」
真雪『校長の宗谷真雪です・・・報告します・・・海上保安法第12条に基づき・・・横須賀女子海洋学校に・・・緊急事態を宣言します!!」
海上保安法第12条
つまり横須賀女子海洋学校のフロート艦を使って、武蔵の侵入を阻止すると言う事だ。
委員会幹部A「なん…だと…」
それを聞いた途端、委員会の幹部達は、驚愕する。
真雪『私は、これより艦橋に上がりますので・・・失礼します!』
真雪は、電話を切り、艦橋へと上がる。
委員会幹部C「委ねるしかないのか…来島の巴御前に…」
委員会の幹部の1人がボソッと呟く。
国交職員「何ですかそれ…」
委員会幹部A「十五年前領海内を荒らしまわっていた武装船団を・・・単艦で殲滅したのがあの校長だ。」
委員会の幹部が真雪の過去の武勇伝を語り、真雪に託そうとするが
深町「何を言っているんだ!!・・・まだそう簡単に諦めるな!!」
深町は、諦めなかった。
委員会幹部A「しかし深町国交相!!・・・ブルーマーメイド艦隊は、全滅し、頼みの白鳳もやられ、後は、来島の巴御前に委ねるしか・・・」
しかし、平賀部隊の全滅と白鳳の戦線離脱で委員会の幹部達は、怖気づいていた。
深町「まだ望みはある・・・諦めてはいけない!!」
それでも深町は、諦めなかった。
だが、深町の言う通り、まだ望みは、有った。
九州沖
空母大鳳、飛行甲板
その頃、空母大鳳は、沖縄南方からようやく九州沖に入った。
だが、今だに艦載機の航続距離圏外の為、艦載機は、出せなかった。
例え出せても、燃料は、片道しか持たなかった。
其処で龍之介は、試作戦闘機烈風を使用する事を決断した。
烈風なら、VOL機だから、燃料は、片道でもブルーマーメイド艦に着艦できる。
長い間、格納庫の中にあった烈風は、格納庫から飛行甲板に引っ張り出された。
格納庫から引っ張り出された烈風は、整備班長の文雄以下の整備士達が発進準備し、燃料、弾薬(99式中距離空対空ミサイル4発、93式空対艦ミサイル2発、300ガロン増槽2基)を搭載する。
殆んどの作業を終え、発進準備は、完了する。
後は、誰が操縦するかだ。
なのはか
フェイトか
艦橋から出てきた者は
信吾「止めて下さい!!・・・何も准将が行かなくても・・・」
なんと指揮官である龍之介であった。
龍之介「こんな危険な任務に誰が行くんだ?・・・・言い出しっぺの俺が行くのが当たり前だろう!」
信吾「それは、そうですが・・・・指揮官が行くなど前例が有りません!!」
信吾の言う通り、指揮官の龍之介が行くなど前例がない。
龍之介「だから、行くんだ!!・・・後の事は、任せた。」
だが、龍之介はそう言って、烈風の操縦席に乗り込む。
『・・・・』
隣でなのはとフェイトが黙って、それを見守る。
操縦席に乗り込んだ龍之介は、各装置をチェックしながら発進準備をする。
そんな時
龍之介(・・・何年振りだろうか・・・この手で操縦桿を握るのは・・・手の震えが止まらねえ・・・・)
事故以来の後遺症のせいか、操縦桿を握った途端、手が震えてきた。
龍之介(くそ・・・・負けてたまるか・・・・)
龍之介は、必死に手の震えを押さえながら、エンジンを始動させる。
そして、そのまま艦首カタパルトへと移動、カタパルトに前脚を装着し、発艦準備が完了する。
龍之介「此方レッド1!・・・発進する!」
信吾『了解!・・・准将!・・・如何かご無事で・・・』
龍之介「発進!!」
烈風は、発艦する。
龍之介「待っていろ薫!・・・今行くぞ!!」
空母大鳳から発艦した烈風は、一路、武蔵の元へと急行する。
伊豆半島東方沖
みくら、艦橋
志度「とりか~じ!」
一方、みくらは、武蔵の攻撃を回避しながら単艦で攻撃を続行する。
晴風、艦橋
その光景を艦橋で薫と生徒達は、唖然としながら見る。
その時
鶫『ブルマーから通信が入っています!・・・そのまま流します。』
突然、単管で先頭を続行しているみくらから通信が入った。
福内『此方が武蔵を引きつける・・・その間に晴風は、退避せよ!・・・繰り返す・・・晴風は、退避せよ!』
何とそれは、晴風に向けての退避命令だった。
鶫『通信終了しました。』
薫「平賀さん・・・」
みくらからの退避命令を聞いた薫は、退避を決断しようと思った。
みくら、艦橋
平賀「機雷敷設用意!」
武蔵との戦闘を続けるみくらは、遂に最後の策として、武蔵の進路上に機雷を敷設する。
晴風、艦橋
圧倒的な武蔵の火力とみくらからの退避命令を聞いた薫は、退避命令を口にしようとした瞬間
芽衣「私達・・・何もできないの?」
薫「!?」
芽衣「このまま武蔵を浦賀水道に行かせちゃうの・・・」
戦闘を見ていた芽衣は、自分達には、何もできないのか、このまま武蔵を浦賀水道に行かせて良いのか
芽衣は、悔しくなる。
そして
晴風、射撃指揮所
光「主砲!・・・いつでも撃てるけど?」
晴風、機関室
洋美「艦橋!・・・速力このままでいいの?」
晴風、
美甘「艦長!おにぎりできています!」
ほまれ「カレーもあります」
あかり「おしるこも・・・」
「艦長!」
「艦長!」
他の生徒達も芽衣と同様の気持ちで、明乃に決断を迫る。
晴風、艦橋
それを聞いた薫は、退避するのを止めて、受話器を取る。
薫「艦長!・・・如何されますか?・・・皆やる気だけど・・・私は、退避を考えているわ!」
薫は、全部所に自分の考えを露にする。
『えっ!?』
それを聞いた生徒達は、驚く。
薫「だけど私は、貴方の意見が聞きたい・・・如何したいのか聞きたい!・・・お願い答えて岬さん?」
最初は、退避を考えていたが、皆のやる気を見て、薫は、明乃に自分が如何したいのか問う。
みくら、艦橋
志度「艦首B2ブロックに浸水!」
福内「遮蔽急いで!!」
一方、戦闘を続けていたみくらも遂に被弾、脱落した。
最早、武蔵を止める艦はいない。
絶体絶命である。
晴風、副長室
ましろ「艦長…本艦の行動方針を・・・けつ・・けつ・・」
薫から自分の意見を問われる明乃にましろも如何するのか問うが、何も言う事ができない。
その時
麻侖「けつ、けつ、て言ってんじゃねぇ!!」
部屋の扉が開き麻侖と麗緒が入ってきた。
ましろ「違う!決断をと言いたいんだ・・・」
明乃「決断なんて・・・できないよ!・・・だって、今まで助かってきっただって、たまたまついてただけで、あたしのお陰じゃないよ・・・皆は、私の大切な家族だから、皆を失ったらと思うと・・・怖いの・・・」
やっと家族になれた晴風の皆を失うと思うと明乃は、怖くて決断が出来ない。
泣き叫ぶ明乃をましろは、唖然と見るしかなかった。
麻侖「其処まででぇい! 艦長を艦橋に連れて行け!」
麗緒「あ、はい!」
麻侖「お前さん、ちょっと付き合ってもらうぜ!」
麻侖は、2人の話を止め、麗緒に明乃を艦橋へ連れていく様に言い、自分は、ましろを機関室に連れて行った。
晴風、艦橋
艦橋では、明乃の意見を待っていると
幸子「艦長!?」
薫「ん?」
突然、艦橋に明乃が麗緒に連れられて戻って来た。
薫「艦長・・・」
薫は、直ぐに明乃に近寄る。
だが、完全に戦意を消失している明乃を見て、薫は、何も言わずにポケットからハンカチを出し、明乃の涙を拭く。
薫「副長は何処?」
拭きながら、明乃の側にいる筈のましろがいない事に気づき、何所に行ったのか麗緒に問う。
麗緒「機関長がさっき・・・」
それに対して、麗緒は、麻侖がさっき連れて行った事を言う。
薫「機関長が!?・・・そう・・・」
それを聞いた薫は、何故麻侖がましろを連れて行ったか、分からなかったが、
麻侖の事だから、多分ましろに活でも入れているのだと思った。
その時
慧『感あり!・・主砲弾3、此方に向かってきます!!』
武蔵の砲撃が晴風に迫って来た。
幸子「回避して!」
幸子は、薫に代わって、鈴に回避する様命じる。
鈴「は~い!」
鈴は、回避行動をする。
晴風、機関室
一方、機関室では、麻侖がましろを連れて来て、床に座布団を引いて、その上に座らせる。
麻侖「これで艦橋には聞こえねぇよ・・・」
機関室の会話が外に漏れない様に伝声管に布を詰め、声が伝わらないようした。
ましろ「こんな時に何を…」
麻侖「まぁ、飲め!」
と言って麻侖はましろにお茶を差し出す。
だが、ましろは、お茶を飲まない。
仕方なく、麻侖は、お茶を横に置き
麻侖「おう!おう!・・・要するにだ・・・カツオの刺身にマヨネーズってのは美味い食い方なんだよ!」
突然、訳の分からない事を言い出す。
ましろ「!?」
ましろは、突然何かを言い出した麻侖の言葉を理解できなかった。
洋美「つまり、私と機関長は、全然違うけど、違うものが合わさってこそ独特で良い感じになるって事だと思う・・・」
洋美は、麻侖が言いたいことは、性格や趣味などは全然違えど、それが合わさってこそ独特な感じがでると言う事を説明する。
麻侖「そう言う事よ!・・・あと祭の太鼓でも皮ばっか叩かないだろ?・・・フチをカカッ!って鳴らさねぇと!音が絞まらねぇ!・・・マロンとクロちゃんみたいなもんよ!・・・なあ、そうだろうクロちゃん?」
洋美「足りないものは補い合うのが本当の仲間だって、事を言ってるのだと思うわ・・・宗谷さん!・・・艦長を助けられるのはあなたしかいないわ!」
麻侖「如何でぇい!分かったか?」
麻侖と洋美の説得を聞いた途端
ましろ「ありがとう!」
ましろは、そう言って、慌てて機関室を飛び出して行った。
麻侖「あっ、 一件らくちゃ~く!」
一件落着した事を歌舞伎風に言う麻侖。
空「機関長殿、それがやりたかっただけですよね?」
空は、歌舞伎風に言う麻侖にそれがやりたかっただけと言う。
確かに空の言う通り、やりたかっただけかもしれない。
とは言え、ましろは、一生懸命走り、明乃がいる艦橋に向かう。
晴風、艦橋
『くぅ・・・』
その頃、艦橋では、武蔵の砲撃を回避し続けていた。
そんな時
ましろ「艦長!!」
ましろが艦橋に戻って来た。
薫「遅いわよ副長!」
ましろ「す、すいません・・・はぁ・・・はぁ・・・」
ましろは、全力で走っていた為か、息をきらしながら明乃の元へ歩み寄る。
ましろ「私は!・・・・あなたの・・・マヨネーズになる!」
ましろが麻侖に言われた事をそのまま明乃に言う。
晴風、機関室
麻侖「よ~し、よく言った!!」
洋美「はぁ・・・まんまね!」
ましろの言葉を聞いた麻侖は、よく言ったと褒める。
洋美は麻侖が言った言葉をそのまま、言ってしまった事に苦笑いをしながら頭を抱える。
晴風、艦橋
幸子「マヨネーズ?・・あの・・・副長は何と言いたいので?」
突然のましろの言葉に艦橋の皆は、分からなかったが
ましろ「艦長の支えになりたい!・・・艦長は今まで通り決断して行動して運を引き寄せて・・・その代わり他の事は私が・・・いや!・・・晴風の皆が何とかする!・・・そう思ってるのは私だけじゃない!」
ましろは、自分が明乃の支えになりたい
それだけじゃない。
皆だって、明乃を支えたい。
そう思っているんだと明乃に伝える。
芽衣「そうだよ!私達もっとやれるよ!」
志摩「うぃ!」
ましろの言葉を聞いて、芽衣と志摩は、明乃に武蔵へ行こうと言う。
鈴「わ、私だって、もう逃げてばかりじゃありません!・・・何だってできます!」
そして、鈴も涙目になりながら、明乃に武蔵へ行こうと言う。
晴風、水測室
楓「そうですとも…」
晴風、電探室
慧「できるできる!」
晴風、医務室
美波「為せば成り」
幸子「副長がマヨネーズなら私は、マスタードになります!!」
ましろの言葉に晴風の皆は、賛同し、皆が明乃について行くと言う!
明乃「!!!!」
ましろの言葉に今度は恐怖の涙から信頼というものの涙が溢れてきた。
ましろ「海の仲間に・・・超えられない嵐はないんでしょ?」
明乃「シロちゃん…皆…」
ましろや皆に支えられ、明乃は、嬉しくなる。
薫「・・・合格よ!・・・ましろちゃん!」
『えっ?』
薫「もう貴方は、立派な生徒よ!・・・もう落ちこぼれでも何でもない!・・・立派な副長よ!」
そして、薫からましろは、横須賀女子海洋学校の生徒として、認められた。
その時
マチコ『武蔵より発光信号!』
『えっ!?』
マチコ『読み上げます!』
マチコが武蔵から発光信号があるのを気づき読み上げる。
マチコ「貴艦はそのまま・・・本艦との距離を開けられたし・・・接近は危険・・・主砲弾・・・いまだ豊富・・・』
そして発光信号の最後にある人物の名前があった。
明乃「も、え、か・・もかちゃん!」
それは、紛れもなく明乃の友人の知名もえかからだった。
明乃「無事だったんだ!?」
もえかの無事に明乃は、驚く。
ましろ「なら尚更助けしかない!」
五十六「ぬう」
薫「行きましょう艦長!」
薫は、明乃に武蔵の元へ行こうと言って、五十六が被っていた艦長帽を明乃に渡す。
明乃「教官、五十六・・・・ありがとう」
そして薫から帽子を受け取り明乃が帽子を被り、整える。
明乃「戦闘!左砲雷同時戦!・・・300度の武蔵!」
明乃が言うと魚雷発射管と主砲が武蔵に指向する。
そして武蔵は晴風に照準を合わせる。
マチコ「目標敵進30度!敵速18ノット!」
明乃「第五船速!340度ヨーソロー!」
晴風は武蔵からの砲弾を回避しつつ武蔵に接近する!
武蔵、艦橋
親子「艦長!晴風から発光信号です!」
もえか「読み上げて・・・」
親子「・・・我貴艦の救出に向かう・・・繰り返す・・・我貴艦の救出に向かう・・・」
もえか「ミケちゃん…」
遂に晴風と武蔵の最終戦が始まろうとしていた。