ハイスクール・フリート Gフォース   作:首都防衛戦闘機

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第30章 ラストバトルでピンチ! (前編)

5月5日

 

11:40

 

伊豆半島東方沖

 

白鳳を撤退させ、平賀部隊を壊滅させた武蔵は、浦賀水道へ、あと20分で侵入しようとしていた。

 

横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部

 

福内『二番艦、三番艦、四番艦、航行不能・・一番艦発揮可能速度6ノット・・』

 

真霜「このままでは・・・あと20分で武蔵が浦賀水道に侵入する!?」

 

白鳳は、撤退し、平賀部隊も壊滅した今、武蔵があと20分で浦賀水道に侵入する事に真霜は、愕然とする。

 

横須賀女子海洋学校

 

『繰り返します!・・・全員ただちに退艦してください!!・・・繰り返します!・・・全員ただちに退艦してください!!』

 

一方、横須賀女子海洋学校では、校内に残っている生徒や職員に退艦命令が発令されていた。

 

横須賀女子海洋学校、艦橋

 

そして、真雪は、フロート艦の艦橋でフロート艦の航行準備の作業を行っていた。

 

その時

 

教頭『校長!』

 

真雪「あっ!?」

 

突然、教頭から通信が入り

 

教頭『晴風から通信です!』

 

真雪「えっ!?」

 

晴風からの通信が入っていると言って、繋ぐ。

 

薫『航洋艦晴風教員の山本薫です・・・武蔵への作戦行動を許可願います・・・クラス全員の同意は取れています・・・やらせてください!!」

 

薫は、真雪に武蔵の足を止める作戦実行の許可を要請する。

 

既に晴風では、明乃以下殆んどの生徒が足止め作戦に同意している。

 

あとは、真雪の決断次第

 

真雪「・・・・・・武蔵への作戦行動を横須賀女子海洋学校校長宗谷真雪が許可します・・・但し、攻撃は一回だけ・・・地上側でも武蔵への対応を準備しています・・・反復攻撃の必要はないわ・・・五分…いえ、三分時間を稼いでくれれば十分よ!」

 

薫『はい!』

 

真雪は、遂に武蔵の足を止める作戦を許可した。

 

真雪としては、白鳳は、撤退し、平賀部隊も既に全滅し、ウィルス感染した武蔵が迫っている今、心苦しいがもはや手段を選んでいる暇はなかった。

 

本音を言えばもうこれ以上生徒を危険な目に遭わせたくはなかったが、このままウィルスに感染した武蔵が横須賀に入れば国家そのものが危機にさらされる。

真雪は断腸の思いで晴風に攻撃命令を許可した。

 

横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部

 

真霜「待ってください宗谷校長!!・・・武蔵は、既にブルーマーメイド艦隊3隻を航行不能にしています・・・晴風単独では、あまりにも・・・」

 

だが、通信を聞いていた真霜は、武蔵相手に晴風1隻では、危険だと判断し、作戦に反対するが

 

薫『後20分で武蔵が浦賀水道に入ります!』

 

ましろ『姉さん、いえ宗谷監督官!』

 

真霜「あ!?」

 

突然のましろからの通信に真霜は、驚く。

 

晴風、艦橋

 

ましろ「我々でも、武蔵を止められないかもしれません、でも少しでも足を遅くして、時間を稼ぐ事はできます。」

 

横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部

 

薫『それに知名さん、いえ武蔵の艦長が艦橋に立てこもって奮戦中なんです!』

 

真霜「武蔵艦長と連絡が取れるの!?」

 

真霜は、武蔵に生存者がいる事に驚く。

 

薫『無線は、通じませんが、発光信号での通信は、可能です・・・やらせて下さい宗谷監督官!・・・今武蔵を止められるのは、私達だけです!!』

 

真霜「ん・・・・」

 

薫達の覚悟に真霜は、決断し様とした時

 

次郎『駄目だ!!』

 

突然、撤退中の白鳳から待ったが掛けられた。

 

真霜「あっ!?」

 

白鳳、艦橋

 

次郎「晴風では、武蔵にかなわない!・・・止めてくれ薫!!・・・死んでしまうぞ!!」

 

次郎は、必死に止めようとする。

 

薫『大丈夫だよ次郎君!・・・私達は、絶対に死なないから!!』

 

それに対して、薫は、死なないと次郎に言う。

 

次郎「薫・・・」

 

それを聞いた次郎は、唖然として、薫を心配する。

 

そんな時

 

『心配するな!!』

 

次郎「准将!?」

 

龍之介『今俺が向かっている・・・だから心配しないでくれ!!』

 

龍之介からの通信が入って来た。

 

横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部

 

真霜「龍之介!?・・・何所にいるの?」

 

龍之介からの突然の通信に真霜は、驚き、今何所にいるのか問う。

 

龍之介『今新型機で現場に向かっている!』

 

真霜「新型機って、雅か例の!?」

 

龍之介『そうだ!・・・今単独で武蔵の元に向かっている。』

 

真霜「単独!?・・・無茶よ!・・・それに貴方には、後遺症が有るんじゃ?」

 

龍之介が単独で武蔵の元に向かっていると聞いて、真霜は、驚愕しながら反対する。

 

烈風、操縦席

 

龍之介「ん・・・俺は大丈夫だ!・・・それより武蔵を何とかするのが先決だ!・・・俺を信じろ!!」

 

それに対して、龍之介は、震える手を押さえながら、大丈夫だと言って、薫の作戦を実行させようとする。

 

横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部

 

真霜「ん・・・・分かったわ!・・・山本二等監督官!・・・武蔵への接近及び作戦行動を了承します・・・頼むわね!」

 

そして、遂に真霜は、晴風による武蔵の足を止める作戦を了承した。

 

晴風、艦橋

 

薫「はい!」

 

『ん!』

 

作戦は、了承され、薫と明乃、ましろは、一心同体になる。

 

五十六「ぬう!」

 

多聞丸「ニャン!」

 

鈴「行こう!」

 

幸子「狙われるものより狙う方が強いんです!」

 

芽衣「その通り!」

 

志摩「うぃ、うぃ!」

 

そして、全員が一心同体になった。

 

薫「では、これより、晴風による武蔵の足止め作戦を開始します!!」

 

ましろ「艦長、指示を!」

 

明乃「・・・30度ヨーソロー!」

 

鈴「30度ヨーソロー!」

 

明乃「前進いっぱーい!」

 

晴風、機関室

 

麻侖「前進一杯でぇい・・・!!」

 

晴風は、速力を上げる。

 

こうして、晴風による武蔵の足止め作戦が開始された。

 

晴風、艦橋

 

マチコ『武蔵まで30!』

 

マチコが適時に武蔵との距離を報告する。

 

武蔵、艦橋

亜衣子「晴風が接近してきます!」

 

武蔵でも亜衣子が晴風の接近に気づき

 

もえか「はっ・・・!?」

 

それを聞いたもえかは、艦橋から外を見る。

 

夏美「晴風が?」

 

もえか「近づかないでって、信号送ったのに・・・・・ミケちゃん・・・」

 

警告に従わない晴風をもえかは、心配する。

 

晴風、艦橋

 

明乃「タマちゃん!武蔵の主砲塔を狙って!」

 

志摩「うぃ!」

 

明乃「絶対に武蔵を絶対止めよう!」

 

志摩「う~い!」

 

志摩がピースをしながら返事をする。

 

明乃「うん・・・メイちゃん!武蔵の側面に来たら全魚雷発射!」

 

芽衣「憧れの全射斉発射…ま、まじ!?」

 

芽衣が水雷長としては憧れの全魚雷発射命令が出て興奮する。

 

明乃「射撃のチャンスはおそらく1回だけ1回でなんとか足を止めたい!」

 

ましろ「集中的に艦尾を狙いましょう」

 

薫「スクリューがある艦尾を集中的に狙えば速度は、かなり落ちる。」

 

明乃「うん!」

 

明乃とましろ、薫で何所を狙うか指示をする。

 

芽衣「分かった!絶対命中させる!・・りっちゃん、かよちゃんいくよ!」

 

一番魚雷発射管

 

理都子「了解でーす!」

 

二番魚雷発射管

 

果代子「はーい!」

 

そして晴風は、武蔵の横に着き全主砲と魚雷発射管を武蔵に向ける。

 

武蔵、艦橋

 

もえか(ミケちゃん・・・・雅か!?)

 

もえかは、晴風が単独で武蔵を止めようとしている事に気づく。

 

晴風、艦橋

 

明乃「目標!・・武蔵艦尾!・・攻撃始め!」

 

芽衣「照準点武蔵艦尾!・・全弾当てるよ!発射用意!・・・撃てぇ!」

 

晴風から魚雷8本が発射され

 

志摩「発射!」

 

続いて、全主砲が連続して射撃する。

 

晴風、射撃指揮所

 

美千留「駄目だ…ビクともしない!?」

 

砲弾は、全弾武蔵艦尾に命中したが、武蔵の装甲の前に全く効果がない。

 

そして次に魚雷が武蔵艦尾に全弾命中し、水柱が立つ。

 

晴風、艦橋

 

芽衣「よっしゃ! 全弾命中!!」

 

魚雷全弾命中に芽衣は、ガッツポーズを決める。

 

マチコ『武蔵速力低下!』

 

魚雷によって武蔵は速力が低下した。

 

だが止まるには至らなかった。

 

薫(やはり、駄目なのかな・・・)

 

更に晴風の攻撃に気づき、武蔵の全主砲、副砲が晴風に向けられる。

 

ましろ「来るぞ!」

 

薫「ん・・・」

 

明乃「全員衝撃に備えて!」

 

マチコ『武蔵!発砲!』

 

武蔵は、物凄い発砲炎を出しながら晴風に向けて主砲を放つ。

 

そして武蔵から放たれた砲弾は晴風の至近に着弾。

 

『うわぁ・・・!?』

 

その衝撃で晴風は大きく揺れる。

 

明乃「うわっ!」

 

明乃がその衝撃によって転びそうになる。

 

ましろ「大丈夫ですか?」

 

ましろが転びそうな明乃を押さえる。

 

明乃「あっ!?ありがとう」

 

薫「大丈夫、艦長?」

 

薫も明乃の側による。

 

幸子「艦長・・・・」

 

幸子が明乃が落とした艦長帽を渡す。

 

みくら、艦橋

 

航行不能になっているみくらの艦橋からも武蔵が晴風に向けて発砲してる様子が窺える。

 

平賀「晴風・・・」

 

平賀は、晴風の無事を祈る。

 

白鳳、艦橋

 

そして、白鳳からも晴風が攻撃を受けている様子がモニターで見えていた

 

次郎「くそ!・・・薫達が戦っているのに俺達は、唯、見ている事しかできないのか・・・」

 

晴風が単独で武蔵に奮戦中を見て、次郎は、何もできないのかと悔しがる。

 

晴風、艦橋

 

美海『後部発えんき使用不能!』

 

秀子『爆雷投射機損傷!』

 

媛萌『第4運用化倉庫火災発生、消火作業中・・・』

 

最初の砲撃で晴風は、各部に多大な損害でていた。

 

鈴「い、一撃で、此処まで・・・」

 

芽衣「やば凄い・・・」

 

武蔵の砲撃の威力に鈴と芽衣は、驚愕する。

 

晴風、無線室

 

鶫「ん・・・・あ、だめだ・・壊れちゃてるよ・・・」

 

衝撃のせいで無線機が故障、送受信が出来なくなった。

 

晴風、艦橋

 

『無線機損傷!!』

 

そして、艦橋に無線機が故障した報告が入る。

 

ましろ「無線も駄目か!」

 

薫とましろ、明乃は、時計を見って

 

ましろ「艦長!・・5分稼げました。」

 

武蔵の浦賀水道侵入を5分遅らせた事を確認する。

 

薫「離脱しましょ!・・・もうこれ以上の攻撃は、危険よ!」

 

薫は、もうこれ以上の攻撃は、危険と見なし、離脱命令を出す。

 

明乃「うん!・・・リンちゃん急いで武蔵から離れて!」

 

明乃もそれに従い鈴に武蔵からの離脱を命じる。

 

鈴「任せて!」

 

鈴は、急いで武蔵から離脱を図ろうとするが、武蔵は、それを逃さないない様に続けて砲撃をしてきた。

 

晴風、見張り台

 

マチコ「武蔵発砲!」

 

晴風、電探室

 

慧「着ます!」

 

マチコと慧の発砲報告があると武蔵の砲弾は晴風の進行方向に着弾する。

 

武蔵、艦橋

 

もえか「ミケちゃん!!」

 

晴風の被弾に武蔵の艦橋で見ていたもえかは、叫ぶ。

 

晴風、艦橋

 

光『一番砲自動装填装置故障!』

 

美甘『烹炊室で火災発生!消火作業に入るね!』

 

2度目の砲撃で更に被害が増えていく。

 

幸子「これが武蔵ですか・・・」

 

ましろ「進行方向を抑えられています!」

 

鈴「逃げ場が無いよ・・・」

 

『…!』

 

武蔵の攻撃になすすべも無かった。

 

武蔵、艦橋

 

亜衣子「艦長!?」

 

夏美「如何なさたんですか!?」

 

一方、武蔵艦橋では、もえかが突然、艦橋の入り口を塞いでいたバリケードを外し始めた。

 

もえか「砲撃を止めるの・・・」

 

何ともえかは、砲撃を止め様と射撃指揮所に向かおうとバリケードを外す。

 

だが、それは、無謀だった。

 

夏美「無茶です!」

 

亜衣子「艦長!」

 

もえかの無謀の行動に夏美と亜衣子は、止め様とするが

 

もえか「じゃないと晴風が!!」

 

もえかは、明乃の事で自暴自棄になりかけていた。

 

その時

 

もえか「あっ!?」

 

亜衣子「落ち着いてください・・艦長!」

 

自暴自棄になりかけていたもえかを亜衣子が引き留めた。

 

もえか「・・・・・・御免なさい・・・・」

 

今自暴自棄になれば事態をより悪化させてしまう。

 

そしたら、何の為にはやては、身をていして、犠牲になったんだ。

 

それを思い出したもえかは、落ち着きを取り戻し、バリケードを外すのを止めた。

 

晴風、機関室

 

その頃、晴風の機関室では、災厄の事態が起きていた。

 

留奈「機関長!水! 水!」

 

麻侖「何だと!?今行く!」

 

何と砲撃のせいで機関室が浸水していた。

 

晴風、艦橋

 

洋美『艦長!左弦機関室に浸水!』

 

『えっ!?』

 

洋美から機関室浸水の報告を受け、薫と明乃は、驚愕する。

 

晴風、機関室

 

麻侖「ありたけのポンプ持ってきな、釜の火を消すなよ・・・」

 

このままでは、航行不能になる。

 

麻侖達は、必死に防水作業をする。

 

晴風、艦橋

 

明乃「機関室まで・・・」

 

機関室まで被害が拡大した事に明乃は、愕然とする。

 

薫「最早・・・此処までの様ね!」

 

薫は、最早此処までだと察し

 

ましろ「艦長!・・・皆に離艦準備させますか?」

 

ましろもそれを察し、明乃に総員離艦の準備させ様と進言する。

 

芽衣「マジ!?此処で逃げるの?」

 

幸子「蛇は頭が食べられたら生き返るものも生き返らないんですよ!」

 

ましろの進言に芽衣と幸子は、反対する。

 

鈴「御免なさい!私がもっと操舵できてたら…」

 

鈴が悔し涙を流す。

 

志摩「う~い」

 

もう無理だと志摩は、首を振るう。

 

もう如何する事もできない。

 

そんな時

 

薫「そんな事ない・・・皆よくやってくれたわ・・・でも・・・もうこれ以上・・・皆を危険に晒したくない・・・艦長!・・・離艦を・・・命令して下さい!」

 

薫が涙を流して、反対する2人を説得し、明乃に離艦を命令するよう言う。

 

明乃「教官・・・」

 

初めて見た薫の涙に明乃は、心を打たれ

 

ましろ「・・・・」

 

更にましろもそれに賛同する。

 

明乃「総員離艦よう・・・あっ!?」

 

遂に明乃が離艦命令を下そうとした時だった。

 

ズドーン!!ズドーン!!

 

武蔵の周りに幾つもの水柱が立った。

 

ましろ「これは!?」

 

薫「一体如何なってるの?」

 

突然の事態に薫とましろは、何が起こっているのか分かるない。

 

明乃「鈴ちゃん面舵いっぱ~い!」

 

明乃は、直ぐに武蔵から離れるよう鈴に命じる。

 

鈴「面舵いっぱい!」

 

鈴は、急いで武蔵から離れる。

 

マチコ『後方!艦影視認!』

 

晴風の後方から正体不明の艦艇群が現れた。

 

ましろ「…ブルーマーメイドか?」

 

ましろは、ブルーマーメイドかと思ったが

 

薫「雅か!?・・・援軍に出せる艦は、殆んど無い筈?」

 

薫は、そんな筈はないと言って、デッキへと向かう。

 

幸子「見てきます!」

 

幸子もデッキへと向かう。

 

慧『識別信号確認!・・・比叡・・舞風・・浜風・・・アドミラル・シュペー・・・それから・・・・てんじんです!』

 

後方から現れた艦艇は紛れもなく、横須賀女子海洋学校の大型直接教育艦比叡と航洋直接教育艦の舞風、浜風の3隻とドイツのヴィルヘルムスハーフェン海洋学校の小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペーだった。

 

明乃「えっ?」

 

そして、更に

 

明乃「てんじん・・・」

 

幸子「うちの学校の艦です!」

 

横須賀女子海洋学校のインディペンデンス級教育艦のてんじんも駆け付けてきた。

 

その指揮を取るのは

 

明乃「古庄教官!」

 

薫「え!?」

 

病院で入院していた筈の指導教官の古庄だった。

 

そして、隣には、同じく入院していたGフォース参謀の功もいた。

 

てんじん、艦橋

 

古庄「間に合って良かったわ、遅くなって御免なさい!」

 

功「だが、我々が来た以上、もう心配は、要らないぞ山本中佐!」

 

晴風、艦橋

 

薫「徳吉参謀!」

 

てんじんに功も乗っていた事に驚きながら、喜ぶ薫。

 

明乃「野間さん!・・無線機が使えない事を伝えて!!」

 

マチコが駆けつけて来た艦艇に向かって手旗信号で送る。

 

ドイツ、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属、小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋

 

ミーナ「ココ・・・!!皆・・・!!」

 

アドミラル・グラフ・シュペーの艦橋からミーナが手を振っていた。

 

晴風、艦橋

 

幸子「来てくれたんですね・・・!!」

 

それに気づいた幸子は、手を振って返す。

 

ドイツ、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属、小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋

 

テア「今こそ借りを返す時だ!」

 

テアがドイツ語にて、今こそ借りを返す時だと宣言する。

 

晴風、艦橋

 

ましろ「艦長如何します?」

 

明乃「皆が来てくれたならまだやれる!」

 

増援部隊が来た以上、離艦する意味はない、このまま攻撃を続けるべきだと明乃は、判断する。

 

ましろ「私に異存は、ありません」

 

薫「私もよ!」

 

薫とましろもそれに同意する。

 

明乃「作戦変更!これより武蔵に乗り込む!」

 

明乃は、武蔵の足止め作戦から武蔵への乗り込み作戦に変更する。

 

芽衣「よしゃ!」

 

志摩「うぃ!」

 

鈴「頑張ります!」

 

幸子「はい!」

 

秀子「やりましょう」

 

まゆみ「やろやろ!!」

 

皆もそれに賛同する。

 

マチコ『シュペーが作戦を尋ねています!』

 

見張り台にいるマチコがシュペーからの発光信号を読み明乃に伝える。

 

明乃「武蔵に乗り込こみます!晴風の援護を・・・」

 

明乃は、増援部隊に武蔵への乗り込み作戦の援護を頼むと信号を送る。

 

ドイツ、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属、小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋

 

ミーナ「え、ん、ご願う・・との事です艦長!」

 

テア「うむ、了解した!任せろ・・・」

 

晴風からの信号を受け、テアは、了承する。

 

てんじん、艦橋

 

古庄「これより我々は、晴風の武蔵乗艦作戦に対してこれを援護します・・・てんじん、シュペーは武蔵右舷から・・・比叡、舞風、浜風は左弦から攻撃し、晴風を援護!・・・各艦、突撃準備を成せ!・・・目標!・・・武蔵!!」

 

そして増援部隊は陣形を整える。

 

武蔵、艦橋

 

もえか「風が吹いた・・希望の風が・・・」

 

増援部隊を見たもえかは、希望の風が吹いたと感じた。

 

白鳳、艦橋

 

次郎「よし!・・・これなら武蔵を止められるかも・・・」

 

そして、白鳳のモニターから見ていた次郎も増援部隊の到着を見て、勝利を確信し

 

次郎「おい!・・・俺達も行くぞ!!」

 

武蔵の元へ向かへと命じる。

 

三郎「無理です艦長!・・・ハイパーレーザ砲は、破壊されているんですよ!・・・それ以外の武器は、使用を禁じられています!!」

 

いきなり武蔵の元へと向かえと命じる次郎に三郎が反対する。

 

次郎「それでも行くんだ!!・・・こんなとこで見ていられるか!!」

 

それでも次郎は、武蔵の元へ向かうべきだと言って、命令を変えず

 

白鳳の操舵主「行きます!」

 

それに乗じてか操舵主が舵を切って反転、武蔵の元に向かう。

 

てんじん、艦橋

 

古庄「全艦突撃せよ!」

 

画して、武蔵への乗り込み作戦が開始され、てんじんが切り込みの砲撃を開始し、各艦が砲撃と雷撃を始める。

 

そして砲弾は武蔵の周りに大量に着弾し、武蔵が反撃の砲撃をし、その砲弾がアドミラル・グラフ・シュペーの近くに着弾する。

 

ドイツ、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属、小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋

 

テア「怯むな!」

 

だが、アドミラル・グラフ・シュペーは、怯む事なく砲弾を続ける。

 

てんじんからも魚雷が発射され、武蔵に命中する。

 

それに反応して、武蔵の砲撃がてんじんにも集中する。

 

てんじん、艦橋

 

古庄「くぅ・・・くれぐれも武蔵艦橋付近には、当てないよう全艦に通達!」

 

副官「分かりました。」

 

古庄「晴風は?」

 

そして、その晴風にも武蔵の砲撃が集中していた。

 

晴風、艦橋

 

鈴「!!!!」

 

鈴は、怯えながら回避する。

 

そんな時

 

ヒュ・・・・ン・・・・ドーン!!

 

晴風、艦橋

 

何所からか、ミサイルが飛んで来て、武蔵の中央煙突に命中した。

 

ましろ「な、何だ!?」

 

薫「い、今のは、何所から・・・」

 

突然のミサイル攻撃に薫は、何所から撃って来たのか、辺りを見回す。

 

マチコ『右舷より接近中の小型艦?・・・いや高速で向かってくる!!』

 

マチコから晴風の右舷から正体不明の艦が高速で向かって来ると報告を受けて、薫は、直ぐに右舷方向を見る。

 

すると

 

薫「あれは!?」

 

薫が見たのは、高速で飛来する烈風の姿だった。

 

烈風、操縦席

 

龍之介「何とか間に合った様だな!」

 

何とか間に合った事に龍之介は、安心する。

 

晴風、艦橋

 

薫「兄さん!?」

 

艦橋から烈風が飛んでいるのを見て、龍之介だと確信する。

 

ましろ「えっ!?・・・・龍之介兄さんがあれに!?」

 

それを聞いたましろは、驚く。

 

薫「艦長!今飛んでいるのは、味方だと皆に伝えて!」

 

薫は、直ぐに明乃に今飛んでいるのは、味方だと増援部隊に伝えてと命じる。

 

明乃「はい!・・・野間さん!・・今飛んでいるのは、味方だって皆に伝えて!!」

 

薫に命じられ、明乃は、直ぐに今飛んでいるのは、味方だと増援部隊に伝えてとマチコに命じる。

 

てんじん、艦橋

 

功「准将!?」

 

てんじんも功が龍之介だと確認し

 

古庄「各艦に伝えて!!」

 

古庄も各艦に伝える。

 

とは言え、龍之介も加わった事で、武蔵との戦闘がより有利になった。

 

龍之介が乗る烈風は、煙突を攻撃後、前後にある射撃指揮所に99式中距離空対空ミサイルを1発ずつ発射し、破壊した。

 

攻撃してくる烈風に武蔵の速射砲が蜂の巣みたいに撃って反撃してきたが、先のアドミラル・グラフ・シュペーと同様にマッハー1で飛ぶ烈風に全く当たらなかった。

 

前後の射撃指揮所が破壊された事によって、武蔵の射撃精度は、落ちたが、それでも武蔵の砲撃は止まず、周りに多数の水柱が上がる。

 

晴風、艦橋

 

ましろ「射撃精度は落ちているのに、まだ撃ってくるのか!?」

 

明乃「何とかして隙を作らないと・・・」

 

射撃精度は、落ちているのにまだ武蔵は、砲撃している。

 

これでは、武蔵には、近づけない。

 

何か方法は、無いのか

 

そんな時

 

幸子「艦長、教官!・・・これ使えないですかね?」

 

幸子がタブレットを明乃に渡しながら言ってきた。

 

明乃「噴進弾?」

 

幸子「役に立つかもって明石が搭載してくれたんですが・・・」

 

補給の時に明石から四式二十糎噴進弾をおまけとして、搭載して貰っていた。

 

明乃「うん・・・これで何とかなるかも・・・」

 

明乃は、四式二十糎噴進弾を見て、ある作戦を思い付く。

 

薫「イチかバチか、やりましょ!!」

 

薫も思い付き

 

明乃「メイちゃん! タマちゃん!」

 

芽衣「あっ?」

 

志摩「ん?」

 

芽衣と志摩に作戦の概要を言う。

 

芽衣「よしゃ!!分かった!」

 

志摩「うぃ!」

 

作戦の概要を聞いた2人は、四式二十糎噴進弾が置かれてる後部甲板に向かう。

 

明乃「リンちゃん!」

 

2人が後部甲板に向かった後、明乃は、鈴に

 

鈴「はい!」

 

明乃「晴風を武蔵の前に出して!」

 

武蔵の前に出るよう命じる。

 

鈴「か、艦首の前!?」

 

武蔵の前に出るよう言われ、鈴は、驚愕する。

 

ましろ「知床さん!」

 

薫「ん!」

 

そんな時、薫とましろが大丈夫だと鈴を安心させ

 

ましろ「前進!武蔵の前へ!」

 

ましろも武蔵の前に出るよう命じる。

 

鈴「ヨ、ヨーソロー!」

 

鈴は、武蔵の前へと進路を取る。

 

晴風が進路を変え、武蔵の前に出ようとし、その様子は他の艦にも伝わる。

 

アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋

 

ミーナ「武蔵の前へ出るのか!?」

 

テア「晴風を撃たせるな!・・武蔵の攻撃を此方に引き付けろ!・・・Volley!!」

 

それを知ったミーナとテアは、晴風を援護する為、武蔵の砲撃を引き付け様とする。

 

更に他の艦も同様に武蔵の砲撃を引き付ける。

 

白鳳、艦橋

 

次郎「晴風が武蔵の前へ出る!・・・何とかして、武蔵の砲撃を止めさせる事が出来れば・・・」

 

晴風が武蔵の前に出るのを見て、次郎は、何とか武蔵の砲撃を止めさせる事が出来ればと模索する。

 

三郎「しかし、ハイパーレーザー砲は、破壊されていますから、それは、できません。」

 

だが、肝心のハイパーレーザー砲は、破壊され、それ以外の武器は、強力で使えない。

 

次郎「如何すれば・・・」

 

折角、武蔵の元に来たのに、唯見ている事しかできないのか

 

その時

 

龍之介『次郎!』

 

次郎「准将!?」

 

突然、龍之介から通信が入る。

 

龍之介『お前に任務を与える!』

 

次郎「俺に?」

 

龍之介『お前にしかできない事だ!』

 

龍之介は、次郎にある任務を命じる。

 

てんじん、艦橋

 

古庄「行きなさい晴風」

 

晴風が武蔵の前に出るのを見守る古庄達。

 

晴風、後部甲板

 

芽衣「タマ、時間が無いから急ぐよ!」

 

志摩「うぃ!」

 

晴風の後部甲板では、芽衣と志摩が四式二十糎噴進弾の発射準備に取り掛かる。

 

その間に武蔵と他の艦艇の戦闘は、熾烈を極め。

 

芽衣「噴進弾!・・・何時でもいけるよ!」

 

四式二十糎噴進弾の発射準備が完了し

 

晴風、艦橋

 

明乃「前進一杯! 面舵一杯! 艦尾を武蔵に向けて!」

 

鈴「前進一杯! 面舵一杯!」

 

明乃は、晴風の艦尾を武蔵へと向ける。

 

明乃「タマちゃん発射準備!」

 

晴風、後部甲板

 

そして、芽衣と志摩は、四式二十糎噴進弾の発射準備を終え、安全の確保の為物陰に隠れていた。

 

芽衣「タマ、魂で撃て!」

志摩がしっかりと武蔵を狙う。

 

しかし、それに気づいた武蔵は、前部砲塔を晴風に向ける。

 

晴風、艦橋

 

薫「不味い!?読まれているわ!!」

 

それに気づく薫。

 

だが、今さら回避は、不可能。

 

その時

 

薫「あっ!?」

 

突然、白鳳が武蔵目掛けて突撃して来た。

 

白鳳、艦橋

 

次郎「これでもくらえ!!」

 

白鳳は、上から武蔵の前部砲塔に体当たりをして、離脱する。

 

白鳳の体当たりで、前部の副砲は、砲身が上に折れ、第一主砲と第二主砲は、砲身が下に折れた。

 

これで、前方の砲撃は、出来なくなった。

 

晴風、艦橋

 

薫「今よ立石さん!!」

 

薫は、これを見過ごさ、志摩に四式二十糎噴進弾の発射を命じる。

 

晴風、後部甲板

 

志摩「この弾で・・・チャンスを掴む!」

 

志摩は、発射ボタンを押す。

 

晴風から四式二十糎噴進弾が発射され、武蔵の上空を高速で通過する。

 

その通過で武蔵の前方から煙幕が覆う。

 

芽衣「艦長!今だ!!」

 

志摩「うぃ!」

 

四式二十糎噴進弾の煙幕で武蔵からは、見えない今、武蔵に突入するのは、今しかない。

 

晴風、艦橋

 

明乃「鈴ちゃん、面舵いっぱ~い!!武蔵の右舷へ!」

 

明乃は、直ぐに武蔵の右舷へと進路を取るよう命じる。

 

鈴「面舵いっぱ~い!」

 

鈴は、右に舵を切るが

 

鈴「ん・・・あっ!・・・ん・・・だ、舵輪が回りません!!」

 

明乃「え・・・!?」

 

突然、舵輪が動かなくなった。

 

聡子『艦長、舵に被弾!操舵不能ぞな!!』

 

如何やら砲撃不能になる前に武蔵の砲弾が晴風の舵に命中していた様だ。

 

その為、操舵が出来ない。

 

薫「後もう少しなのに・・・」

 

このままでは、武蔵の右舷に接舷できない。

 

絶体絶命になったその時

 

明乃「あっ!?パラシュート有ったよね?」

 

突然、明乃は、パラシュートを言い出す。

 

ましろ「え、あっ、うん!」

 

薫「パラシュートで何をするの?」

 

いきなりパラシュートを言い出して、何をするのか薫には、分からなかった。

 

明乃「ヒメちゃん、モモちゃん、パラシュート用意!」

 

兎も角、明乃は、媛萌と百々にパラシュート用意を命じる。

 

晴風、後部甲板

 

百々「パラシュート繋いだすけど、如何すんッスか?」

 

パラシュートを後部の右舷に設置し、如何するのか明乃に問う。

 

明乃「右舷後方に投げ込んで!!」

 

明乃は、右舷後方に投げ込めと命じる。

 

『え?』

 

右舷後方に投げ込めと命じられ何が何だか分からなかったが

 

明乃「早く!!」

 

『は~い!!』

 

兎に角、パラシュートを右舷後方に投げ込んだ。

 

投げ込まれたパラシュートは、海中で開く。

 

すると

 

『うあ・・・・』

 

操舵不能になっていた晴風が右へと曲がり始めた。

 

晴風、艦橋

 

鈴「回った!」

 

幸子「やりました!逆転大回等!!」

 

晴風が右へと回等する事に成功した。

 

薫「成程!・・・パラシュートを舵の代わりにしたのね!・・・流石は、艦長!・・・誰も思い付かない事を思い付くなんて・・・」

 

パラシュートを舵の代わりにするとは、誰も思い付かない事を明乃は、さっそうと思い付いた事に薫は、感心する。

 

晴風、機関室

 

麻侖「釜の火が如何なっても良いから、絶対に止めるな!!」

 

機関室では、機関が限界寸前だったが、麻侖達が必死に食い止めている。

 

晴風、艦橋

 

ましろ「武蔵見えた!」

 

やがて、武蔵が見えて来て

 

明乃「パラシュート切り離して!!」

 

明乃は、パラシュートを切り離すよう命じ、媛萌は、パラシュートを切り離す。

 

パラシュートが切り離され、晴風は、武蔵に接近して来た。

 

晴風、艦橋

 

ましろ「激突するぞ!!」

 

明乃「備えて!」

 

明乃は、衝突に備えるよう命じ、生徒達は、衝突に備える。

 

ド・・・ン・・・・・・!!

 

晴風は、武蔵に衝突。

 

接舷する。

 

晴風、艦橋

 

幸子「やった!突撃成功です・・!!」

 

接舷に成功した事に幸子は、喜びながらましろに抱き付く。

 

ましろ「救出部隊突入準備!」

 

だが、ましろは、直ぐに救出部隊突入準備の命令を出すが

 

楓『できておりますわ!』

 

ましろ「え?」

 

既にましろが命令する前に前部甲板では、突入メンバーが準備を完了していた。

 

晴風、前部甲板

 

楓「行きますわよ!突入・・・・!!」

 

楓が先陣を切る形で突入メンバーは、武蔵へと乗り込んで行く。

 

晴風、艦橋

 

そんな中、明乃は、艦橋から動かない。

 

それもその筈、明乃は、艦長だから、艦に居なくてはならない。

 

でももえかを助けに行きたい。

 

そんな時

 

ましろ「艦長!」

 

明乃「あっ!」

 

ましろ「艦長も突入してください!」

 

ましろが明乃に武蔵に乗り込むよう言う。

 

明乃「えっ!?」

 

いきなりましろから武蔵に乗り込むよう言われ、明乃は、驚く。

 

普通なら艦長は、此処に居て下さいと言うのに、ましろは、変わっていた。

 

明乃「わ、私は、此処に入る・・・艦長だから・・・」

 

しかし、明乃は、流石に持ち場を離れては、不味いと思い、行かない。

 

ましろ「行って・・・岬さん!」

 

それでもましろは、明乃に武蔵に行くよう言う。

 

明乃「え!?」

 

それを聞いた明乃は、驚愕し、ましろを見る。

 

ましろ「分かっているんだから・・・行きたいって顔に書いてあるよ!」

 

ましろは、明乃がもえかの元に行きたいと分かっていた様だ。

 

だから、ましろは、明乃を武蔵へと行かせる。

 

明乃「・・・・シロちゃん!」

 

それに応えた明乃は

 

明乃「ありがとう!」

 

ましろに感謝する。

 

薫「行きましょ艦長!」

 

そして、薫も武蔵に居るはやての元に向かう為、明乃を誘う。

 

明乃「はい!」

 

薫と明乃は、武蔵に乗り込む。

 

幸子「流石我が友、シロちゃんかっこいい!!」

 

2人が行った後、その光景を見ていた幸子がましろに抱き付きながら褒め称える。

 

ましろ「いや、友達じゃないし・・・」

 

抱き付いてきた幸子にましろは、いやいやだった。

 

武蔵、甲板

 

武蔵の生徒「ぐはっ!?」

 

武蔵の生徒「ぐほっ!?」

 

一方、武蔵に乗り込んだ突入メンバーは、ウィルス感染した武蔵の生徒達を次々と無力化して行く。

 

そんな中、上空を飛んでいた烈風は、後部甲板に着陸し、乗っていた龍之介は、降りて、薫の元へと向かう。

 

そして、白鳳も遅れて、武蔵の左舷に接舷し、次郎指揮のもと古野間達が乗り込む。

 

その頃、明乃と薫は、もえか達が居る艦橋を目指した。

 

明乃「モカちゃん!!」

 

薫「はやてちゃん!!」

 

媛萌と百々が水鉄砲で奮戦する中、明乃は、ラッタルを昇っていき、やっとたどり着いた艦橋外部の扉

 

明乃「モカちゃん!!」

 

明乃は、扉を叩きながら中に立て籠もっているもえか達に救助しに来た事を告げる。

 

武蔵、艦橋

 

もえか「あっ!?・・・・・ミケちゃん!」

 

それに気づいたもえかは、バリケードを構築している木箱や消火器、鉄パイプをどかし始めた。

 

そして、それを見ていた3人ももえかを手伝おうとバリケードをどかし始める。

 

やがて、扉が少しづつ開き

 

次の瞬間

 

明乃「う、うわわぁ・・・・」

 

扉が開いて、明乃は、中に倒れこもうとしたが

 

明乃「あっ!?」

 

突然誰かが前に現れ、明乃は、押さえられる。

 

明乃は、誰だろうと思い恐る恐る顔を上げると

 

もえか「やっと会えたね・・・ミケちゃん!」

 

それは、明乃がずっと助けたかったもえかだった。

 

明乃「モカちゃん・・・モカちゃん・・モカちゃん・モカちゃん・・・・!!」

 

それを知った明乃は、思わず泣きながらもえかに抱き付く。

 

もえか「ミケちゃんってば、無茶するんだから・・・」

 

明乃「だって・・・」

 

もえか「ほんとにもう・・・」

 

明乃「御免・・・」

 

もえか「でも、ありがとう」

 

2人は、再会を祝うのだった。

 

そんな時

 

薫「岬ちゃん!」

 

明乃に遅れて、薫が艦橋にやってきた。

 

薫「知名さん!?無事だったのね?」

 

薫は、もえか達の無事を確認する。

 

もえか「はい!・・・八神教官のお陰で何とか・・・」

 

自分達の無事を確認する薫にもえかは、はやてのお陰で助かったと告げる。

 

薫「教官!?・・・・・・はやてちゃんは?」

 

はやての名を聞いて、薫は、艦橋の中を見るが、何処にもはやての姿はなく、薫は、もえかにはやての事を問う。

 

すると

 

もえか「それが・・・・私達を助け様として・・・・」

 

もえかは、無線機奪取の時にはやてが身を持って、自分達を助け様として、自ら残った事を薫に告げる。

 

薫「そ、そんな!?・・・じゃはやてちゃんは・・・」

 

それを聞いた薫は、はやてが如何なったのか問う。

 

それを言った途端、もえかは、何も言わず、唯首を横に振るう。

 

それを見た途端、薫は、言葉を失い。

 

薫「何処なの?・・・何所に居るのはやてちゃんは?・・・お願い教えて知名さん?」

 

そして、今はやては、何所に居るのか、もえかを問い詰める。

 

もえか「た、多分・・・・下の艦橋に通じるエレベーター付近かと・・・」

 

薫に問い詰められ、もえかは、最後に見た場所の事を薫に告げる。

 

薫「下のエレベーター付近!?」

 

はやての最後に見た場所の事を聞いて

 

薫「分かった!・・・此処は、任せたわよ岬ちゃん!」

 

明乃「教官!」

 

そう言って、薫は艦橋を出て行く。

 

艦橋を後にした薫は、急いではやてを最後に見た艦内のエレベーター付近へと向かう。

 

武蔵、通路

 

エレベーター付近に向かう途中、艦内の至る所でウィルス感染した生徒と晴風の突入メンバー及びGFの制圧部隊が戦闘中だった。

 

薫「はやてちゃん!!」

 

薫は、その中を掛け走りながらはやてを探す。

 

そして、艦内のエレベーター付近に着くと

 

薫「あっ!?」

 

其処には、誰かは、知らないが1人の女性が立っていた。

 

薫「はやてちゃん!?」

 

それは、紛れもなく、もえか達を助ける為に残った八神はやてだった。

 

はやて「・・・・」

 

だが、様子が可笑しく、薫が呼ぶとはやては、薫の方を向く。

 

薫「あっ!?・・・はやてちゃん・・・」

 

はやてがこっちを向いた途端、はやての目がウィルスに感染した生徒と同じ目をしていた事に薫は、驚く。

 

薫に気づいたはやては、ゆっくりと薫に近づいてくる。

 

薫「はやてちゃん!・・・私よ!・・・薫だよ!・・・助けに来たんだよ!!」

 

薫は、はやてに助けに来たと告げるが

 

はやて「・・・・」

 

はやては、それに答えず、どんどん薫に迫って来る。

 

近づいてくるはやてに薫は、何もできないまま後ろに下がる。

 

従妹でもあるはやてに手が出せなかったからだ。

 

だが、後ろに壁が有り、これ以上後ろに下がれない。

 

やがてはやてが薫の側まで来て、手を首に伸ばし、薫の首を絞め様とする。

 

薫「は・・・はやてちゃん・・・や・・・止めて・・・」

 

首を絞められる中、薫は、必死にはやてに止めるよう言うが、はやては、聞く耳を持たない。

 

このままでは、はやてに殺されてしまう。

 

何とかしないと

 

そう思った時だった。

 

「止めろ!!」

 

薫「あっ!?」

 

突然、はやてが誰かに押さえられ、薫の首から手を退かす。

 

薫「はっ!はっ!・・・・・・あっ!?」

 

はやてから解放された薫は、息吐きをして、顔を上げると

 

薫「次郎君!?」

 

何とはやてを押さえていたのは、次郎だった。

 

次郎「大丈夫か薫?」

 

次郎は、はやてを押さえながら大丈夫かと問う。

 

薫「ん・・・うん・・・」

 

次郎「そっか・・・」

 

次郎が押さえている中、はやては、抵抗をする。

 

次郎「いい加減目を覚ませはやて!・・・お前が殺そうとしているのは・・・お前の従妹の薫なんだぞ!!」

 

それに対して、次郎は、お前が殺そうとしているのは、薫なんだと言いながら押さえるが

 

はやて「うがああっ!!!」

 

ウィルスに感染した生徒と同じ様にはやては、野人みたいに抵抗を続ける。

 

薫「はやてちゃん!」

 

抵抗するはやてに薫は、呼ぶが、聞く耳を持たない。

 

次郎「こうなったら・・・・薫!・・・はやてを押さえていろ!!」

 

薫「う、うん!」

 

抵抗を続けるはやてに次郎は、薫にはやてを押さえろと言って、薫は、はやてを押さえる。

 

薫がはやてを押さえている隙に次郎は、ポケットからワクチンを取り出し

 

次郎「正気に戻れ!・・・チビダヌキ!!」

 

はやての腕に注射する。

 

しばらくの間、2人に押さえながらも抵抗を続けていたが、やがてワクチンが効いてくると、大人しくなりそのまま気を失った。

 

薫「御免ね・・・はやてちゃん・・・」

 

気を失ったはやてに薫は、救出が遅れた事を謝罪した。

 

龍之介「薫!・・・次郎!」

 

やがて、龍之介がやって来った。

 

薫「兄さん!?」

 

龍之介「大丈夫か2人共!」

 

次郎「だ、大丈夫です・・・」

 

薫「何とか・・・」

 

龍之介「そっか・・・・」

 

2人が無事な事に龍之介は、安心して、はやての元に寄る。

 

龍之介「すまなかったな・・・八神・・・」

 

こうして、龍之介達は、はやてを救出した。

 

その後、武蔵の右舷側にてんじんが接舷、救出した武蔵の生徒は次々と担架に乗せられて、てんじんへと運ばれて行く。

 

はやても担架でてんじんに運ばれて行く。

 

武蔵、甲板

 

運ばれる中

 

もえか「八神教官!」

 

先程、救出されたもえか達と明乃が来て、はやてが救出された事を確認する。

 

薫「大丈夫・・・ワクチンが効いて、眠っているだけだから・・・」

 

もえか「そうですか・・・良かった・・・」

 

はやてが無事だった事にもえかは、安心する。

 

はやてに危ないところを助けて貰って、もえかは、申し訳なかったのだろう。

 

みくら、艦橋

 

真霜『作戦終了・・・全艦横須賀に寄港せよ!』

 

武蔵救出が無事に完了し、真霜は、全部隊に横須賀への帰投を命じる。

 

横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部

 

真霜は、ホッとした様子で椅子にドサッと座る。

 

真霜「お母さん、伝説を作り損なったね!」

 

真霜は、真雪に2度目の伝説を作り損ねたと言うが

 

横須賀女子海洋学校、艦橋

 

真雪「私の代わりに・・・私の生徒が・・・やってくれたわ!」

 

真雪は、気にせず、それどころか自分の代わりに生徒達が武蔵を止めた事に感心していたのだ。

 

画して、武蔵との最終戦は、終わりを告げようとした。

 

 

だが

 

 

ヒュ・・・・ン

 

『あっ!?』

 

ドーン!、ドーン!、ドーン!

 

何所からか砲弾の雨が降って来た。

 

 

戦いは、まだ終わっては、いなかったのだ。

 

 


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