ミッドチルダのとある倉庫で二人の男が戦っていた。
暗い中で魔力光が輝く。
「これで終わりだ。」
片方の男の手がもう片方の胸を貫く、すると貫かれた男は笑いながら満足そうに息絶えた。
「最後まで不愉快なやつだったな。
……意外と呆気ない。」
男は暗闇に消えていった。
俺は復讐を終え地下道の研究所に来て、いつもの様に白衣の科学者に声をかける。
「ジェイル。」
「うん?やあ、ゼロ。復讐は終わったのかい?」
「ああ、つまらないもんだった。」
「そうかいそうかい。私も暇潰しだったからね、そんなものだろう。」
「それで、これからは何をすれば良い?
俺の目的は達成した。お前との契約だ。お前は何を望む?」
「そうだね。私の計画は話しただろう?」
「ああ、管理局を潰すんだったな。それの手伝いか?」
「急かさないでくれ。まだ話は終わってないのだよ。
彼女の護衛。いや、世話をしてくれるかな?」
ジェイルが指差す先には金髪の女の子が座っていた。目はオッドアイか。
「あの子は?」
「ヴィヴィオ君と言ってね。聖王のクローン、今回の作戦の鍵になる。君のこれからのご主人様さ。」
「ああ、分かった。」
「それと、彼女には1度管理局に保護して貰うことになる。それからは陰ながら護衛をしてあげてくれるかな?」
「了解だ。」
「うん、それとまた姿を現すのは事件が終わってからで頼むよ。」
「まるで作戦が失敗するみたいな言い方だな。」
「さて、どうかな?」
「ふん、まあいい。」
「じゃあ後の事は任せたよ。ああ、ヴィヴィオ君を逃がすタイミングは無線で知らせるよ。」
そう言うとジェイルは背を向けて歩き出す。
「……ジェイル。」
「おや、君が止めるなんて珍しい。なんだい?」
「頑張れよ。」
遠くからでもあいつの目が見開くのが見えた。そんなに驚く事か。
「はっはっはっ!まさか君からそんな言葉が聞けるだなんてね!うん、頑張るとしよう!さらばだ、友よ!」
そのまま高笑いをしながら去って行った。
「友か……。」
不思議と笑う。まさかあいつが友と呼ぶだなんてな。
「ヴィヴィオ様。」
「んー?」
「初めまして、俺はゼロと言います。」
「はじめまして!ヴィヴィオです!」
子供の相手は初めてだけど頑張らないとな。
まあ、そう上手く行く訳もなく。
「ヴィヴィオ様ー!?どこですかー!?いや、ほんとマジでどこですかー!?」
小さい体でウロチョロされて行方不明になったり。
「好き嫌いはいけませんよ。」
「だって、美味しくないもん!」
「……料理雑誌読むか。」
嫌々と言われて落ち込んだり。
「うわぁぁん!!」
「ふわぁぁ……、ヴィヴィオ様ー?よーしよし、大丈夫ですよー。」
夜泣きで寝不足になったり。
「あはは、ゼロー!こっちこっち!」
「ちょ、子供の体力舐めてた……。待ってくださーい!」
振り回されたり。
なんだかんだ復讐しか無かった俺が変わっていく様に感じた。
「ん、通信。ジェイルからか。」
『やあ、久し振りだね。ゼロ。』
「そうだな。元気だったか?」
『……随分と変わったね。』
「そうみたいだ。自分でも驚いている。」
『そうか、今日が約束の日だよ。』
「ああ、分かった。またな。」
『ああ。』
通信が途切れる。
「……ヴィヴィオ様。」
「なーに?」
「宝探しゲームをしましょうか。」
「げーむ?する!」
「この順番に歩いて下さいね。」
ヴィヴィオ様に地図を渡す。……間違えないか心配だ。
出ていってすぐに地下道の構造を変える。これで戻って来れない。
エレベーターに乗り、別口で地上に出る。金があるから保護される間に拠点を置かないとな。
……良い人達に保護されるといいな。