とりあえず約束は大事   作:黒色エンピツ

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4:残念な結果

「……最近少し体調が悪い気がする。」

 

自分の体だから分かる、が原因が分からない。

 

「ゼロ、なんだかふらふらしてない?」

 

「いや、そんな事ない。」

 

「じゃあこれは何本に見える?」

 

フェイトが指を立てる。

 

「3本だろう?」

 

「1本です。ちょっと病院行こっか。」

 

「いい。体調管理はしっかりしてたし、放っておけば治る。」

 

「それで悪化したらヴィヴィオが悲しむよ?」

 

それを引き合いに出すな……。

 

「……1回だけだぞ。」

 

「うん!」

 

 

 

 

「栄養が偏り過ぎですね。数日間は入院して点滴を打ちましょうか。

食事は大丈夫ですか?」

 

「はい、彼は普通に食事してましたし、大丈夫だと思います。」

 

「では1日だけ点滴にしてそれから病院食に切り替えて一週間程で退院できますよ。」

 

「だって、良かったね。」

 

「……ああ。」

 

やってしまった、形だけとは言え数日は護衛が出来ない。

 

「だからあんぱんと牛乳だけじゃダメって言ったのに。」

 

「……すまない。」

 

「入院中は大人しくしてること、良い?」

 

「……分かった。」

 

そう言って頭を撫でてくるが避けると少し強引に撫でてきた。

 

「何をする。」

 

「良いでしょ?」

 

「……好きにしろ。」

 

入院するとは……最悪だ。

 

 

 

 

入院2日目、昨日即日入院する事になってフェイトから渡された料理本を読んでるとドアがノックされた。

 

「どうぞ。」

 

「ゼロ、大丈夫?」

 

入ってきたのはヴィヴィオ様と女の子2人でした。友達でしょうか。

 

「ええ、大丈夫ですよ。しかし、数日側近の役割が出来なくなり、申し訳ございません。」

 

そう言うと顔をむっとさせて額を叩かれる。

 

「ゼロも家族なんだからこういう時はありがとうでしょ!」

 

「いや、しかし……。」

 

「家族だから、ありがとうでしょ!」

 

「……ありがとう、ございます。」

 

「どういたしまして!

あ、そうだ!今日はね、私の友達を連れて来たの!」

 

やはり友達でしたか。片方はクリーム色?でもう片方は紫色のような髪をしている。

 

「はじめまして!リオ・ウェズリーって言います!リオって呼んでください!」

 

「えと、コロナ・ティミルです。私もコロナと呼んでください。」

 

寝ていたベッドの上で正座をする。

 

「初めまして、ゼロと申します。

今の姿で情けないですが、ヴィヴィオ様の側近です。ああ、それと敬語は不要です。」

 

「分かった!」

 

「あ、その、うん。」

 

「じゃあゼロも敬語外さないとね!それと 私にも!」

 

「それは出来ません。主人とその友人にそのような口は聞けません。」

 

親の2人には強制されましたが。

 

「もー!ヴィヴィオに固いよー!」

 

「ヴィヴィオ様、病院ではお静かに。」

 

「あぅ……ごめんなさい。」

 

「ゼロさんの前でのヴィヴィオって随分変わるね。」

 

「あ、それあたしも思った!」

 

「う〜……。」

 

おや、顔が真っ赤になりましたね、可愛いです。

 

「2人共、これからもヴィヴィオ様と仲良くしてあげてくださいね。」

 

「うん!」

 

「はいっ。」

 

微笑みながらそう言うと頬を引っ張られる。

 

「むー……なんか生意気ー!ゼロはヴィヴィオのなのにー……。」

 

理由は分かりませんがどうやら不服だったようです。何が悪かったのでしょうか?

 

「申し訳ございません、何が悪かったかを教えて貰ってもよろしいですか?」

 

「そ、それは……。」

 

「それは?」

 

「えっと、えっとね……。」

 

顔を真っ赤にして視線をあちこちに向けてオロオロするヴィヴィオ様。言い辛い内容なのでしょうか?

 

「う、うにゃー!内緒!内緒なの!ゼロは黙っててーー!」

 

「むぐっ。」

 

涙目で両手で口を塞がれました。そんなに嫌な事だったのでしょうか?……中々難しいものです。

 

「ヴィヴィオ、私達そろそろ帰るね。

ゼロさんも早く良くなってね。」

 

「またねー、ヴィヴィオー、ゼロー!」

 

「あっ、ご、ごめんね!また明日っ。」

 

コロナ様は一度俺にも礼をしてリオ様を連れて帰られた。

なるほど、コロナ様はどこかのご令嬢でしょうか。リオ様は活発でバランスが取れてるように見えますね。

 

 

 

 

「うー……恥ずかしい……。」

 

「良い友達ですね。」

 

「……うん、とっても大事な友達。」

 

そっとヴィヴィオ様の頭を撫でる。友達か、今度ジェイルに会ってみようか、フェイトに頼めば会える気がする。

そのままでいると頭の中にノイズが過ぎる。

 

『だーかーら、■は考えて過ぎなんだよ。もっと柔軟に考えたらいいのにな。』

 

黒いシルエットの誰かが笑って俺の頭を小突く。

 

「ゼロ?」

 

「あ……はい?」

 

「どうしたの?」

 

「いえ、何でもありませんよ。」

 

誤魔化すように撫でるのを再開する。

さっきのは何だったんだ?あんなのは覚えてない。1人の時にでも少し昔を思い出してみよう。

 

「さ、ヴィヴィオ様。もう暗くなってきましたよ。」

 

「えー、もう少しだけダメ?」

 

「……もう少しですよ?」

 

「ありがとー!」

 

仕方ないですね。

 

 

 

 

ヴィヴィオ様が帰っていって、夕食が運ばれてきた。

 

「やはり味気ないな、あんぱんと牛乳があれば良いのに。」

 

ぶつぶつ言いながらフォークを進める。

 

「……少しくらい外で買って来ても大丈夫だよな?」

 

窓を開けてそこから飛び出す。

脱走防止の探知系魔法は無かったか、良かった。

 

「コンビニとかでもあれば良いな。」

 

敷地から出て近くにあるコンビニを探す。端末で調べると10分程歩いた所にあるみたいだ。

 

「ヴィヴィオ様が来た時用にお菓子も買うか。」

 

「こんばんは。」

 

急に声をかけられて警戒しながらその方向を見る。

 

「……確か、カリム・グラシアだったか。

見張っていたのか?」

 

「ええ、聖王教会は前からあなたに目を付けていました。

ゼロ、本名かは分かりませんが数々の次元世界で事件を起こしていたと。

そんな人間をヴィヴィオのそばに置いておく事は出来ません。」

 

「そう言われてもな……ヴィヴィオ様に言われた事だし、所有物らしいからな。」

 

「そうだとしても、犯罪者を置いてはおけません。

さあ、大人しく同行してください。あなたの両親も悲しみますよ。」

 

両親が悲しむか、良くある言い方だな。だけどな……。

 

「なぁ……俺の両親って誰だ?」

 

「え……?」

 

「俺の記憶はジェイルに会うより前は無いんだよ。だから本名も知らない。そもそもあるのか?

子供の頃何をしていたか。どこ出身なのか、夢はなんだったのか。復讐のためにジェイルと行動してたのに誰のための復讐かも分からないんだよ。

なあ、教えてくれよ。教会は人の悩みを聞いて道を示してくれるんだろ?教えてくれ、俺はどこの誰なんだ?」

 

「あ……いや、それは……。」

 

「……すまないな。俺はもう病院に戻るよ。帰り道に気を付けてな。」

 

さっき分かったんだ。でも記憶が無い事なんて、どうしようもないだろ。こんな、自分がどこで生まれたかも分からないんだからその痕跡も探せない。どうすれば良いんだよ。

 

「……しまった、買う物があったのに。はぁ、まあいいか。」

 

ベッドに戻って早く寝よう。

何か今日は少し疲れたな。

 

 

 

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