正反対の二人   作:やまたむ

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君ら誰?

『ここが今日からお前が住む家な』

 

『いや、父さんこれはないと思うぞ?』

 

『なに言っているんだ。お前ももう高校生だろ。一人暮らしぐらいして見せろ』

 

『何その暴論』

 

『ハハハ、俺もお前ぐらいのときには一人暮らしをやらされたからな。お前も一人暮らしの楽しさを味わって見たらどうだ?』

 

『あぁ、そうだな。そう、だけどよ、これはないんじゃないか?』

 

『ん?どこかおかしいとこあったか?』

 

『大ありだよ!!なんで高校生になる息子に渡すのが豪邸クラスの武家屋敷なんだよ!!なに?新居かなにかなの!?』

 

『そんなにおかしいか?』

 

その一言を聞き俺は

 

『こんの大バカ親父があああああああああああああああ!!』

 

と叫んでいた。

 

──────────────────────

 

「おぉ……」

 

「これは……」

 

「すごいですね……」

 

と三者三様の反応を示すなか、ひとりがものすごく感動していた。

 

「ユミツカさん!!」

 

「ど、どうかしたか?」

 

「師匠と呼んでも良いですか!?」

 

なぜに!?

 

そんな俺の混乱を見抜いたのか千聖が微笑んだ後、こう教えてくれた。

 

「イヴちゃん。あぁ、さっきの銀色の髪の子ね。は武士に憧れているのよ」

 

「それ、説明になってない気がするけど何となく分かった。つまり、あれだろ?こんなザ・江戸みたいな家に来たことで感極まったんだろ?」

 

「えぇ。そう言うことよ。ほら、みんなここで留まってないで早く中に入りましょう?」

 

「おい、ここ、俺の家。お前の家じゃないだろ」

 

そう言うと「何を今更」と言ってきたので、「ほんとそれな」と返した。仕方ないだろ、毎回気づいたら千聖が実家のように寛いでいるから今更感が否めないんだよ。

 

そんな事は置いておくとして、他の千聖の仕事仲間の人達をさっさと家に上げる。

 

「あ、そうだ千聖。母さんに連絡してくれないか?着替えとかうちにある訳ないし」

 

「そうね。私のサイズもあう子はいないし、おばさんに連絡して買ってきてもらうわね」

 

「俺がすると変な探りを入れられそうだしな……」

 

「私がしても同じ様なものになると思うけれど……」

 

「まぁ、それでも俺が女性用の着替えを頼むよりは問題ないだろ」

 

「そうね。それじゃ、電話してくるわね」

 

それを言うと千聖は空き部屋へと足を進めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

彼と別れ私は借りている部屋においていた着替えを持ちお風呂場へ向かう。

 

そういえばみんなに場所を伝えていなかったけど大丈夫かしら?

 

そう思いながら私は携帯を取り出しおばさんに電話をかける。

 

『もしもし、どうしたの千聖ちゃん』

 

「お久しぶりですおばさん」

 

『こら、前から言ってるけど、私のことはお姉さんと呼びなさい。もしくはお義母さん』

 

「どちらも遠慮しておきます。それで、早速なんですけど」

 

『パスパレの子たちの着替えでしょ?今ある程度そろえたところだから、20分後ぐらいにそっちに行くわね』

 

「なぜ、そのことを?」

 

『和人さんから聞いてたのよ』

 

「後でおじさんに挨拶しておきます」

 

なぜ、おじさんがここにいるのかは触れず私は後でおじさんに挨拶するとだけ伝えた後、おばさんと二、三言交わし電話を切る。

 

「おーい、千聖ちゃーん」

 

「千聖さーんここですよー」

 

「日菜ちゃんと麻耶ちゃんじゃない。どうしたの?」

 

「あ、千聖さん。いえ、彩さんがもしかしたら千聖さんが迷ってるかもしれないから迎えに行こうってことになりまして」

 

「でも、イヴちゃんはここに来てから興奮しっぱなしだったから、誰かが抑えていないといけないって事になって」

 

「彩ちゃんが抑えている間に日菜ちゃんたちが迎えに来てくれた。と」

 

そう私が続けると「そう!」と日菜ちゃんが言ったのでどうやら当たっていたようね。

 

「あれ?それ、千聖ちゃんの着替え?」

 

「えぇ。私はよくここにくるから着替えも置いているのよ。だから、心配しなくてもお風呂の場所はわかっているわ」

 

「そうだったんですね。って、待ってください。千聖さんよく男の人の家に行くんですか!?」

 

「幼なじみよ?変な気は起こしたりしないわよ」

 

「いや、それでもおかしいですよ!?」

 

「「そう(かな)?」」

 

誰かと被った?

 

「日菜さんまで!?」

 

あぁ、今被ったのは日菜ちゃんだったのね。

 

「だって千聖ちゃんが大丈夫だって言うことは大丈夫なんじゃない?」

 

「そう、ですけど……」

 

「ふふ。ほら、早くお風呂に行きましょう。まだ埃を被ったままなのだから」

 

そう言うと私は二人の背中を押しながら脱衣所に入る。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「よ、祐貴。元気にしてたか?」

 

俺は後ろから声をかけられ俺は振り向きながら、その問いに答える。

 

「まぁ、元気にしてたけどよ、なにしにきたんだ、父さん?」

 

「いやー、久々に祐貴と手合わせしたくてな。どうだ?今からしないか?」

 

「やだ、めんどくさい。ってか、今千聖とその仕事仲間が風呂使ってるから汗はかきたくない」

 

そう言うと父さんは「チッ」とおもむろに舌打ちをした。

 

なるほどな。俺に汗をかかせて風呂をさりげなく勧めて、そのままばったりってのを考えていたな?

 

俺はそう思いながら呆れたような目を父さんに向け、反応を伺う。

 

「し、仕方ないだろ、お前らまだ進展しないみたいだし、早いところくっつけたいんだよ」

 

「よけいなお世話だよ!!俺は別に千聖と付き合いたいとか思ってないから!!」

 

俺がそう言うと父さんにしては珍しい真面目な表情に変わり、

 

「嘘だな」

 

といった。

 

「いや、嘘なんかついてないけど」

 

「千聖ちゃんのこと好きなのに付き合う気がないとかどう考えても嘘だろ」

 

「別におかしい話じゃないだろ?『好きだからこそ幸せになってほしい』って思うこと自体は」

 

「確かにおかしい事じゃないわよね。けど、それを言い訳にして逃げるのはよくないわ」

 

第三者の声が唐突に聞こえてきたのでその声のした方向に目を向けると、母さんがそこにいた。

 

「母さん、普通に玄関から入ってきてくれないかな?」

 

「なにそんな今更なこと言っているの?まぁ、そんなことは置いといて、祐貴、あんたいつまで逃げるつもり?」

 

「別に逃げてるわけじゃ……」

 

「はいはい、そう言うことにしておくわねー。それじゃ、私はパスパレの子たちに着替えもって行くから。ついて着ちゃ駄目よ?」

 

「「誰が行くか!!」」

 

俺と父さんは母さんの余計な一言に声をそろえて突っ込んだ。

 

まぁ、父さんのほうは覗かせようとしていたためお前が言うな!!と突っ込みたかったがそれを心の奥に納め、俺は父さんに向かって思いっきりけりを放った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

私たちがお風呂から上がり、居間に戻ると物凄い勢いの風が吹いていた。

 

「あら、千聖ちゃん。パスパレの子たちももう上がったのね。もう少し入っていてもよかったのよ?」

 

「いえ、シャワーを浴びるだけでしたのでそんなに時間はかかりませんからね?」

 

「あらあら、それは残念。そう言えば自己紹介がまだだったわね。私はそこでバカしている子供の母の弓塚悠香です」

 

「いえ、その前におじさんと祐貴を止めたらどうなんですか?始めて数十分であの速度なんですよね?」

 

「そうねぇ。まぁ、めんどくさいし放置しておきましょう?」

 

おばさん、そんな理由で自分の子供と父親が殴り合っているのを止めないのはどうかと思いますよ?

 

「あ、あの、あそこでなにやってるんですか?私にはなにもないように見えるんですけど……」

 

「あぁ、私もなにをやっているのか全く分からないのだけど、祐貴、あなた達を誘拐した犯人を投げ飛ばして木造建築の廃屋の風通しをよくしたバカと、剣術バカ、私の夫が本気でやり合っているのよ」

 

「剣術……!!」

 

なにやらイヴちゃんが剣術バカと言う単語を聞いて必死に目で追おうとしているがどうやら全然見えなかったようで、落ち込んでいる。

 

「あれ、人間なのかな?」

 

日菜ちゃんの疑問におばさんは、

 

「一応人間よ」

 

と答えるだけだった。私も同じ様なことを聞かれたら、同じ事を答えたと思う。まぁ、もし、彼に直接であれ、なんであれ、そんなことを言うと、

 

「母さん、俺は人間だからな?『一応』はつかないれっきとした人間だからな?」

 

「そ、そうね。それで祐貴?あんたなにしようとしてんの?」

 

「ん?そんなの決まってんじゃん、持続時間約二時間の頭痛を伴う拳骨だけど?」

 

彼の怒りを買ってしまうのだ。そして、どうやら私があの時受けたものよりもどうやらきついものだと言うことも予想できた。

 

「あ、もう千聖ちゃんたちでたのか。残念だな」

 

「セクハラで訴えますよ?」

 

「貴方、もしかして……」

 

私と全く別の反応をしているおばさんの真意は全く分からないが、何か意図があったのだろう。

 

そんななか、彼は何か思い出したかのようにこう言った。

 

「あー、そう言えば千聖の仕事仲間だってことは予想できてたけど、君ら誰?」

 

その一言でこの場の空気が完全に凍ってしまった。

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