異世界はスマートフォンと秘密道具とともに   作:シャト6

2 / 3
第2話

暫く歩いてると、冬夜があることに気づく。

 

冬夜「飛翔さん、今思ったんですけど」

 

飛翔「あ?」

 

冬夜「町に着いたところで、僕達この世界のお金持ってませんよ」

 

飛翔「……」

 

そう言われ俺は言葉を失う。そうだよ!新しい世界に転生して、前の世界の金が使えるわけないわな!

 

飛翔「すっかり忘れてたな」

 

忘れてた事に頭を抱える。…ん?待てよ。けど冷静に考えて、別に金が無くても衣食住には困らんよな。女神に貰った特典の1つを使えば。

 

飛翔「冬夜」

 

冬夜「はい?」

 

飛翔「確かに俺達は、この世界の金は持ってねぇ。だが、別に持ってなくても衣食住には困らんぞ」

 

冬夜「どうしてです?」

 

飛翔「俺の特典で、それは全てカバーできるからだ」

 

冬夜「へ~!飛翔さんはそんな特典を貰ったんですか」

 

俺の言葉に冬夜は目をキラキラさせている。いや、そこまで大袈裟なリアクションせんでも。すると、俺達の後方から馬車が走ってきた。その馬車は、テレビで見た事のある、いかにも金持ちや貴族が乗りそうな見た目なのであった。

 

冬夜「少し端によりましょうか」

 

飛翔「だな」

 

俺達は邪魔にならないよう、道の端に寄る。そのまま馬車は通り過ぎていった…と思った瞬間、俺達の少し先で止まった。

 

「そこの君達!」

 

馬車から出てきたのは、髭が生えた小さなおっさんが降りてきた。そのおっさんは、俺達の事をジロジロ見だした。なんか気分悪いな。

 

冬夜「な、なにか…」

 

「こ、この服はどこで手にいれたのかね!?」

 

俺達を見てたんじゃなくて、俺達が着てる服に興味あったのかよ。けど普通に考えれば、この世界じゃ珍しいか。

 

「見たことのないデザインだ。それにこの縫製…一体どうやって…」

 

冬夜「飛翔さん」

 

すると冬夜は俺に声をかける。その時俺は、多分冬夜と同じ事を考えてたな。

 

飛翔「なるほど。なら、話はお前に任せる。余程の事がない限り、俺は口を挟まねぇからよ」

 

冬夜「分かりました」

 

そして冬夜は、おっさんと話始めた。暫くすると、冬夜が戻ってきた。

 

冬夜「お待たせしました」

 

飛翔「それで?」

 

冬夜「はい、僕の服を売る代わりに町まで乗せていってくれるそうです。代わりの服も用意してくれるみたいです」

 

飛翔「そうか。けど、どうせ俺が着てる服も売ってくれって頼まれたんだろ」

 

冬夜「あはは~…」

 

やれやれ。ま、別にいいけどよ。値段は冬夜が売った値段5倍で売るか。そして俺達は馬車に乗り、町に連れてってもらった。町に到着し、馬車は一軒の店の前に止まった。因みにおっさんの名前はザナックっていうそうだ。

 

ザナック「ここで服を揃えよう」

 

そして中に入る。

 

「お帰りなさいませオーナー」

 

ザナック「おい誰か、彼に合う服を見繕ってくれ」

 

冬夜「オーナー?」

 

ザナック「ここは私の店なんだよ」

 

なるほど。俺達の服を仕入れ、尚且つタダとはいえ自分の店の商品を渡す。抜け目ねぇなこのおっさん。で、結局冬夜は下着以外の全てを渡した。というか完全に追い剥ぎだろあれ。

 

ザナック「また新しい服を手に入れたら、是非持ってきてくれたまえ」

 

更に要求してきたな。ちゃっかりしてやがる。

 

冬夜「は、はい。ところで、この町に宿屋のような場所はありませんかね?」

 

飛翔「だな。日が暮れる前に寝場所は確保しておきたいな」

 

ザナック「宿屋ならこの先の大通りを右手に真っ直ぐ行けば一軒あるよ。【銀月】って看板が出てるからすぐ分かる」

 

そして俺達は、教えてもらった宿屋銀月を目指すのであった。

 

冬夜「宿屋銀月…ってかあの看板、【ファッションキングザナック】って書いてあったのか」

 

飛翔「すげ~ネーミングセンスだな…」

 

ファッションキングって…

 

冬夜「ところで、飛翔さんはいくらで服を売ったんですか?」

 

飛翔「俺か?確か冬夜は金貨10枚だったよな?」

 

冬夜「そうです」

 

飛翔「元々決めてたんだよ。お前の5倍で売るってな」

 

冬夜「5倍って…金貨50枚!?」

 

流石に枚数を聞いたら驚くか。

 

飛翔「ま、安く売るつもりはなかったからな」

 

冬夜「ひえ~」

 

そんな話をしながら歩いてると、路地裏から声が聞こえてきた。

 

「約束が違うわ!代金は金貨1枚だったはずよ!!」

 

冬夜「なんだろ?」

 

冬夜は気になり、声がした方に向かった。

 

飛翔「やれやれ、面倒な事になりそうだな」

 

俺は呆れつつも、冬夜の後を追いかけた。路地裏を見ると、いかにもガラの悪い男が2人、女性2人に絡んでいた。見た目は俺達と同じくらいか?

 

「見ろ、ここに傷があるだろ?だから銀貨なのさ。おらよ」

 

すると男は、1枚の銀貨をあいつらの前に投げた。

 

「たったの1枚!?そんな小さな傷、傷物の内に入らないわよ!!」

 

「お姉ちゃん」

 

「…もういい、お金はいらない。その角を返してもらうわ」

 

ロングヘアーの方がそう言う。

 

「おっと、そうはいかねぇ。もうこれはこっちのモンだ♪」

 

なるほど、女だから甘く見てるな。やれやれ、どの世界にもこんな連中はいるんだな。

 

冬夜「飛翔さん」

 

飛翔「ま、見て見ぬふりは気分が悪いからな」

 

そして俺達は、4人の所に行く。

 

冬夜「お取り込み中すみません。ちょっといいですか?」

 

「なんだてめぇら」

 

「何のようだ!」

 

飛翔「お前らに用はねぇ。俺達が用があるのは向こうだ」

 

「私達?」

 

突然出てきた俺達に対し、疑問の表情をする。ま、絡まれていきなり話しかけられればな。

 

冬夜「その角、金貨1枚で僕に売ってもらえないかと」

 

「…売るわ!」

 

飛翔「なら、後は俺達の自由だな」

 

冬夜「そうですね」

 

冬夜は地面にあった石ころを投げ、男が持ってた角を粉々にした。

 

「な、何しやがる!!」

 

冬夜「それはもう、僕達の物だから」

 

「ヤロー!!」

 

もう1人が冬夜に襲い掛かる。が、こいつも俺同様神に身体能力その他諸々底上げされてるから、この程度のザコ問題ないだろ。なら俺は、もう1人の相手でもするか。

 

飛翔「おい、男が女に手ぇ出してんじゃね~ぞ。首肉(コリエ)シュート!!」

 

「ぶげら!!」

 

男の顔が、見事地面に埋もれたのだった。

 

飛翔「って一撃かよ!?」

 

そこまで力いれてないんだけどなぁ。軟弱すぎるだろ。

 

飛翔「まぁいいか。おい、無事か?」

 

「え、ええ…」

 

「だ、大丈夫です」

 

どうやら2人とも無事らしい。見ると冬夜の方も終わっていた。

 

冬夜「お疲れ様です」

 

飛翔「お前もな」

 

すると冬夜は、先程約束した金貨1枚を渡した。

 

冬夜「はい、金貨1枚」

 

「いいの?私達は助かるけど」

 

飛翔「気にするな。砕いたのはこいつだし、キチンと約束したんだ。例え口約束でも、約束を破るなんてチョーしにのったことはしねぇよ」

 

冬夜「その通り。構わないから受け取ってよ」

 

「じゃあ、遠慮なく」

 

ロングヘアーの方が、そう言いながら金貨を受け取った。

 

「助けてくれてありがとう。私はエルゼ・シルエスカ、此方は双子の妹のリンゼ・シルエスカよ」

 

リンゼ「ありがとうございました」

 

ショートヘアーの方が丁寧にお礼を言う。

 

冬夜「僕は望月冬夜」

 

飛翔「俺は谷川飛翔だ」

 

エルゼ「望月?谷川?珍しい名前ね」

 

冬夜「あ、名前が冬夜で、望月は名字」

 

飛翔「俺も同じだ。名前が飛翔で名字が谷川だ」

 

この世界じゃ、珍しいって言われても仕方ねぇな。

 

エルゼ「へ~、名前と家名が逆なんだ。イーシェンの人?」

 

冬夜「イーシェン?」

 

飛翔「ま、そんなところだ」

 

どうやら、この世界にも日本と似たような場所があるみたいだな。

 

エルゼ「この町へは何しに?」

 

冬夜「えっと、まずは【銀月】って宿屋を探して、それから考えようかと。ね、飛翔さん」

 

飛翔「ああ」

 

急に此方に話かけるなよな。

 

エルゼ「銀月って」

 

リンゼ「私達が泊まってる宿ですよ」

 

そうなのか。なら丁度いい。

 

飛翔「悪いが、銀月に案内してくれないか?まだこの町に来たばかりで、場所が分からねぇんだよ」

 

エルゼ「勿論いいわよ!」

 

リンゼ「はい」

 

そして俺達は、エルゼとリンゼの案内で宿屋銀月に向かうのだった。リンゼ達の案内で、俺達は無事に宿屋【銀月】に到着したのだ。

 

飛翔「1泊いくらだ?」

 

「ウチは1泊、朝昼晩食事付きで銅貨2枚だよ。前払いだけどね」

 

飛翔「なら、俺達2人金貨2枚で泊まれるだけ頼む」

 

「はいよ。金貨2枚なら、2人で50泊だね」

 

飛翔「流石に長いな。なら、2人とも1ヶ月分で頼む」

 

そう言い、俺は自分の財布から金貨2枚を出す。

 

「はいよ、1ヶ月ね。最近お客さんが少なかったから助かるわ♪ちょっと今銀貨切らしてるから、悪いけど銅貨でお釣りね」

 

そして俺はお釣の銅貨80枚を受け取った。1人辺り、1ヶ月銅貨60枚か。小銭が増えたな。ま、四次元ポケットに入れておけば問題ないか。

 

エルゼ「チェックイン終わった?」

 

冬夜「うん、今済んだとこ」

 

リンゼ「でしたら、ご一緒にお茶などどうでしょう」

 

エルゼ「いいわね」

 

「あら、あなた達知り合いなの?なに、もう男引っ掻けたの♪」

 

エルゼ「そ、そんなんじゃないわよ!」

 

そして茶に誘われた俺達は、他愛ない話をしだす。2人は紅茶で冬夜と俺は緑茶だ。けど、この世界に緑茶あるんだな。因みに、先程話したのは、この宿の娘であるミカって名前らしい。

 

エルゼ「全く、今日は酷い目にあったわ。な~んか、胡散臭いな~とは思っていたんだけどさ」

 

リンゼ「だから止めようって私は反対したのに…お姉ちゃん、言うこと聞いてくれないから」

 

リンゼって苦労してるんだな。エルゼの場合、考えるより先に行動ってタイプだしな。姉がこんなんじゃ、妹の方がしっかりするはずだ。

 

冬夜「2人は何であいつらの依頼を受けたの?」

 

エルゼ「ちょっとしたツテでね。あたし達、前に水晶鹿を倒して角を手に入れてたんだけど、欲しいって話がきたから丁度いいやって思ってさ。でもダメね~。やっぱりギルドとか、ちゃんとした所からの依頼受けないと、やっぱりトラブルに巻き込まれるのね」

 

ギルドか。なるほど、だから町中歩いてて武器を持ってる連中が沢山いたって訳か。

 

エルゼ「この機会にギルドに登録しよっか、

リンゼ」

 

リンゼ「その方がいいと思う。安全第一、明日にでも登録に行こう」

 

ギルドに登録か。ギルドに登録しておけば、金には困らんだろ。この金もいつまでももたないしな。

 

冬夜「良かったら明日、着いていっていいかな?僕もギルドに登録したいんだ」

 

冬夜がエルゼ達にそう言う。俺と考えは同じって事か。

 

飛翔「俺の登録しとくか。流石に金はあるが、働かねぇと資金もいつか尽きるしな」

 

エルゼ「なら、明日一緒に行きましょう」

 

リンゼ「はい、一緒に行きましょう」

 

そして俺達は、明日宿屋の前で集合することを決め、今日は眠りにつくのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。