アラネコ あらねこ 相棒。
不動 瑞子 フドウ ミズコ 笑顔が怖いクラスメイト。
和泉 風 イズミ フウ 主人公の隣の席の女子。
東雲 海人 シノノメ カイト 人?
青助 アオスケ 記憶喪失の少年。
ハルヌ 喫茶店兼バーの主人。
博士 博士。
岳 ガク 大工の棟梁。
藤堂 トウドウ 人。
宮下修哉 ミヤシタ シュウヤ 人。
8.何迄
「昨日は事件、なかったんですね」
「ああ。結界はうまく働いてくれたみたいだ」
住宅街を歩きながら青助と話す。日は真上にあるが、冬の寒さは太陽になんか負けていない。いっそのこと負けて欲しい。完全屈服!太陽には勝てなかったよぉ…。太陽×冬の同人誌なんていかがでしょうか。 主に僕の胸がスッとします。
「この辺りは犯行がないんですね。確かに犬も猫も見えない」
「うん。ここらは野良もあまりいない。いなくなったのは最近のことだけれど」
「最近?」
その疑念には答えず先へ進む。目的地は決まっている。…恐らく、そこにはたどり着けないだろうけど。
住宅街からは声が何もしない。静かすぎるくらいの静寂。まるでこの空間だけが都会の喧騒から切り離されたような、寒気すらする幻想。動物どころか人間も住んでいないように思える。そんな不思議さに圧倒されたのか、青助が静寂を破って声を出す。
「静か過ぎませんか?冬は虫がいないからって、こんな風に何の音もしないのは怖いです。周りは新しい家々ばかりだから人がいないなんてこともないでしょう…?」
「ああ、ここら一帯は新興住宅ばかりでね。住んでいるのは若い夫婦とその子供だけなんだ。大抵は共働きで子供は学校や保育園に通っている。乳幼児や母親が家にいたとしてもこの時間だ。昼寝なんかで体を休めているんじゃないかな」
街の北にある駅の更にその向こうには新興住宅街が広がっている。なんでも町興しの一環らしいが焦点がずれていると言わざるを得ない。消費や祭り事の参加人数は増えるだろうが、平日はいつもおらず、休日も休息をとるために町内会等への参加がまちまちなら活気とは疎遠だ。
子育てのノウハウを商店街のおばさんやおばあさん方が指南したり、体を動かすイベントを開催したりするなら話は別だが、彼らは若い人の甘い汁を吸うことしか考えていない。そんなことでは人はついてこない。
そんなわけで平日の昼間から死んだような空気が広がっているのだ。
「じゃあなんでこんな住宅街に…?それと、その腕の包帯は…」
僕は今朝から右腕に肩までの包帯を巻いている。ずっと気にしている素振りを見せていたが、疑問は一気に聞いていこうというつもりらしい。僕はその二つに答える。
「人がいなくとも訪ねるべき家があるというのと、この包帯は単なる厄除けだよ」
最近死骸というものに触れ過ぎたからね、と付け加える。その最中も歩き続けゴミ捨て場を過ぎ、小さな公園を抜けて、住宅街への隅へと向かおうとした時、
「もう一度聞きます」
「どこへ向かっているんですか?」
…ここまでか。生気のない声が歩みを止めさせる。声とは別に後ろに迫る重圧に振り返ることがためらわれる。意識せずとも背中に流れる冷や汗を感じる。冬だというのにこんなホラー体験はしたくないな。
「どこに向かっているか、なんて君が一番よくわかっているだろう?」
だから歩みを止めて、僕の歩みも止めさせた。その声に宿る、明確な敵意。
僕が行こうとしていた場所は、彼の家だ。彼から発されているのは先ほどまでの柔和な青助の雰囲気ではなく、魔力の塊。
「ようやく本体のお出ましかな」
「僕の家なんて、行ってどうする気なんですか」
あったのは彼の姿を映した写真だけ。例え非常に優秀な情報屋であるハルヌであったとしても、それだけでは素性の特定に時間がかかる。だけど、そこにある情報が加われば、『彼がすでに死んでいる』という情報が加われば時間はかからない。今朝にはもう彼の全てをハルヌは手に入れていた。
「行くことに意味がある。見せることに意味がある。君に、自覚させることに意味があるんだ」
「あの家に、意味なんて残っていない」
確かに、そこには何もなかった。そこに青助、宮下修哉と呼ばれる少年が住んでいた痕跡は一ミリも残されていなかった。いや、正確に言うならばそれらは消されていた。他でもない本人の手で。少年のために用意された部屋はあれど、人が住んでいるような痕跡はなかった。彼はその家に自分が住んでいるという証をすべて、消し去っていたのだ。
なぜなら、見つかれば暴力の殺意に晒されるからだ。彼の両親の手によって、彼は殺されるから。だから彼は自分を消し去った。ロストワン。崩壊した家庭、機能不全家族において子が自分がいないかのように振る舞う人格の呼び名。彼は自分に向けられる愛情熱意注意殺意関心敵意それらすべてを他人に、他の兄弟へと向けさせた。
連れ子で出来損ないの邪魔な子である自分は、いないふり。
たとえ彼が死んだとしても、誰も知らない。誰も被害届は出さない。孤独なかくれんぼは死んだ後も続くのだ。
「あの家に僕はいない…!」
人の姿からバキバキと音を立てて変貌していく。体長は目測三メートル。醜い荒れた左右非対称の翼。体は蛇のようにうねりながら体毛と鱗とが混在し、腐臭を放つ。前の足は鋭い爪が、後ろの足は大きく発達し毛むくじゃらの塊のように地面を踏みしめる。尾は長く宙に揺れ、顔は人間のものを残しながら捻じれた嘴を生やしノコギリのような歯を並べている。
無念の塊。怨念の魂。弔われることのない魂は、妖となる。霊は魔術に心得のない人間には見えないが、妖であれば東雲の目に見えたことにも納得がいく。それより、こうも上手く人に化けられるとは…。
「以津真天」
イツマデ。古くから飢饉の際、多くの死人がその死を慰められぬことで寄り集まり、鳥の姿となって現れる妖。それが今、無念の少年の魂と、一連の事件で惨殺された動物たちの恨みが集まることでここに顕現した。通りでアラネコさえ見つけられなかった証拠の数々を見つけられるわけだ。変なところで鋭い東雲が『猫』と評したことにも合点がいく。もっと早く、気が付いていれば…。
眼前の異形の鳥獣に足がすくむ。例えようのない威圧感。そこにあるだけで恐ろしいと全身が警告を鳴らす。
「ヴぉくは…あの家なんかに住んでいない…帰して…私を飼い主のもとへ…ニャア違う死んでいない。人間だキュロロいつまでもいつまでもいつまでもこのまま」
「速く…ッ」
飛び込んできた巨体をすんでのところでかわす。風圧が顔を叩きつける。距離を取って左腕を構える。怪鳥はぐるりと素早く後ろを向き、
「ワン」
「…硬くッ」
爆音。それが翼が空を打った音だと認識できたのは飛び込んでくる肉の塊を左腕で受け止めた後だった。そのまま引き摺られるように押され続ける。耳に聞こえるのは様々な動物の声。精神をかきむしられるような雑音を切り離すため、右足を蹴り上げた。
鈍い音を立てて以津真天は離れる。けれど、大した傷は負っておらず、僕に帰ってきた反動の方が大きい。羽毛と鱗に囲まれた分厚い肉のせいで強化した手足程度ではしのぐのが手一杯と言った状況だ。
「いつまでもいつまでも」
うわ言のように繰り返しながら、以津真天は再度僕に向かって走り出した。
無味の空間。弟や妹は優等生をうまく演じているのだろう。あの子らに傷やあざは見られなかった。僕がいなくなることで家族全員が幸せになるのなら、出来損ないの僕の存在だけがあの家に邪魔なのなら、消し去ってしまおうと思った。
弟たちも僕のことは気にしないふりをしてくれているようだ。そうだ、それでいい。君たちまで巻きこまれることはない。ただ、君たちにヒーローになることを強いる不出来な兄を許してくれ。
あの家の、僕の部屋の、僕の部屋のはずなのに何の臭いもしないその空気を吸った瞬間にどうしようもない吐き気に襲われた。そこはもう僕の知った空間じゃない。堪らず家を飛び出して、そして―――
「ッ!?」
外の光が見える。こじ開けられた肉の向こうに差す光と、左手で壁をこじ開ける少年。
「君の記憶を覗かせてもらう」
やっと辿り着いた。妖の肉壁の奥のその奥にある核、青助の心まで。右腕の包帯はほどけ、書かれた術式がむき出しになっている。変異した妖の心に触れ、生前の記憶を引き摺りだす。
「その、右手は…?」
「君の厄を祓うためだ。僕に、君の苦悩を見せてくれ」
見なければ、わからない。僕は超能力を持って生まれたわけじゃない。覗かなければ、わからない。人間なら誰だってそうだ。それでも僕は青助の苦悩を理解してあげたい。たとえそれが単なるおせっかいだとしても。
「僕は君たちを救うためにここにいる…!」
右腕から流れ込む記憶。その中には、動物たちのものも含まれていた。
絶叫。脇腹に深くナイフ。宙に描かれる血しぶきの円弧。複数人に嬲られる。バキリ、と音を立てて目の前が真っ赤に染まる。折れる肋骨、捻じ切れる腕の骨。かき裂かれる喉笛。漏れる息。笑い声。踏みにじられる生。ぼやける視界。開かれる瞳孔。目の前で惨殺される仲間。かきむしった地面。助けを求めた鳴き声はどこへ届くこともなく、愛する飼い主の元へ辿り着く前に息絶える。
「地獄だ」
見なければならない。背けてはならない。過去を見るとはそういうことだ。そこからの痛みから目を背けてはいけない。僕が行っているのは墓暴き。この痛みと苦しみと怨嗟と憎しみから背けた瞳では真実を探す資格はない。犯人は複数人。慣れない白黒の視界では顔を見られない。一番明瞭なのはやはり人の、青助の記憶か。
部屋で一人。膝を抱える。両親が返ってくる前に今日僕がいた足跡は消しておかなければならない。運のいいことに冷蔵庫の中身を持ち出しても母親はあまり気にしていないようだった。弟たちが夜食を食べているとでも思っているのだろうか。好都合だ。部屋の片づけを済ませたらまた見繕って適当に持ち出そう。ここの空気は耐えられない。
家を出て、坂を上って、どこか雨風を防げるところはないだろうか。小学校の倉庫は見回りの職員に見つかりそうになった。そういえば、山の近くにある寺はあまり管理が行き届いていないと道端で愚痴っているのを聞いた覚えがある。そこならば、屋根さえあればバチなど気にするものか。
そして、刺された。抉られる肉。その目に映る犯人は、歪な表情をしていた。すべての記憶が終わる。現実の世界へと引き戻される。
「四日目だ」
四日目。その日を境に殺戮が度を増した。一日に複数の動物が襲われた。犯人は、動物を殺すだけでは飽き足らず、荒廃した寺院に助けを求めた人間を殺した。その圧倒的快楽に、そこからは犬猫一匹では満足できなくなったのか。
拳を握り締める。深呼吸をした。今僕が抱いている感情は何だろう。言葉にすれば、それがこの感情の名前になってしまう。それはよくないような気がして、僕は目を閉じてもう一度開いた。
「が…う…ぅ…」
いつの間にか、以津真天は青助の姿に戻っている。
「ごめん。僕には君を生き返らせることはできない」
「そんなこと…望んでないです。どうせ戻ったって」
嘘だ。君は生き返りたいと思っている。何もできていないと思っている。青助の、宮下修哉の記憶の中に渦巻いていた思いは、無念だ。
だけど、君がそう言うのなら、
「せめて君と、動物たちの魂を浄化しよう。目を瞑って、指を組んでくれ」
蜃気楼のように昼過ぎの空に消えていく十数個の青い光を見上げた。僕は犯人を殺めるのだろうか。どうすればいい。どう裁けばいい。このまま、すべてを丸投げすればいいのか。
できることなら、僕は。
9.オーバーロードD
言葉も交わさず、ただ歩き続けていた機械は、道路を横切っている猫を見つけた。機械は予測する。あのままの速度で走り続ければ、道を走るトラックと衝突するだろうと。一説によれば、猫は走り出せば急には止まれないと言う。猫は間違いなく轢かれ、絶命するだろう。そのこと自体に機械は何も思わなかった。
しかし、その目は捉える。猫に向かって走り出す少年を。あのまま行けば、トラックは少年ごと猫を吹き飛ばすだろう。
自分の命を捨てて、少年は猫を助けようとしている。
何故。
自分の命より猫の命の方が大事だと思っているから。
違う。
問に対して出した答えを、機械は自ら即座に否定する。
あの少年は天秤にかけてなどいない。自己犠牲を自己犠牲と考えていない。ただ『猫を助けたいから』。それだけで走り出している。
何故。
それは何故だ。
知っているはずだろう。純粋なその思いに。美しいその思いに。ずっと頭を悩ませ続けていたのだ。
「私はね、人間を創りたかったんだ」
そう言った彼女の思いが今なら良くわかる。誰だってあれは美しいものだと分かるだろう。そして、それを創り出すことがどれほど難しいかということも。
だって、私も、それに…。
機械は気づいていなかった。途中から、自分から優しさを求めていたことを。なぜ自分が優しさを知ろうと足掻いているのかも忘れてしまうほどに。諦めてしまうことは、絶望してしまうことは、自分に失望してしまうことは、
激しく渇望していなければできないことだ。
機械は駆け出す、美しさに手を伸ばして。呼び止める女性の声など、聴覚を司る器官は補足しない。全身はただ猫を、その向こうの景色を捉えている。
速い。何よりも速い。人の姿をしているが、その身体能力は人間を大きく超えている。追いついてみせる。犠牲するものなど私には何もないが、確かにこの身は投げ出せる。
少年が驚きこちらを見る。彼に対して生まれて初めての、誇らしげな笑みを返して、
「やっと分かった。これを優しさと呼ぶのか」
機械が猫を抱き抱えた瞬間、轟音がその姿を攫って行った。
10.漆黒
「それで、小蘭寺の跡地に行くのか?」
「うん。そのつもりだよ」
「犯人はただの少年たちだろう?」
「現場には何も痕跡はなかったし、恐らく」
「それこそ偉大な警察という権力に任せておけばいいじゃないか」
「いや…」
受話器の向こうで呆れたような、疲れたようなため息が聞こえる。
「お前が行きたいと言うのなら行くといい」
ただし、と一呼吸置いてから、
「裁くなどと高慢な考えは捨てた方がいい」
「勿論、そんなつもりなんてないよ。実を言うと、何しに行くかも決めてないんだ」
正直に話す。隠し事をしたってしょうがない。決めていないが、行かなければならない気がする。
「そうか…犯人は複数なのだろう?全員が正面から来るとは思えん。もう夜だ。背後や物陰にも注意を払うこと」
「ありがとう」
的確なアドバイスだ。廃屋と化した寺ならば死角も多いだろうし、地の利は向こうにあるのだから僕の知らない抜け道から攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
捕縛魔術は僕よりもアラネコの方が得意なため、本人の希望もあって連れていくことにしたが、彼女に頼り切ってしまうのもよくないだろう。寺に入る前に強化の魔術をかけておこう。
「…」
見れば、アラネコは今まで見たこともないような神妙な顔をしている。自慢の耳はピンと張って、水晶のように光る瞳は掌を見つめて、震える小さな唇は精神統一のまじないを紡いでいる。
気の利いた言葉は思いつかない。いつもは彼女にスラスラと嘘でも何でも飛び出す口は、一向に開かれずただその瞳を見つめている。僕は励ますことを諦めて、
「冷えるだろうからコートを羽織って行こうか」
そんななんでもない言葉を掛けて扉を開けた。
道中はお互い言葉を交わさなかった。気づかないうちに冬のど真ん中に突入したのか、凍てついた空気が鼻から吐いた息さえ白く濁らせる。冷たさは透き通るような風を想起させるが、暗闇はどこまで行っても暗闇だ。透き通らず、濁ったままそこにある。僕たちはただその中に足を踏み込む。込み上げる、拭い切れぬ震えに止まることなく。
やがて、見えた寺への階段を上っている最中も無言アラネコが、僕よりも早く反応した。
「荒い人の息遣いと血の匂い…傷ついている人がいるニャ。それも複数」
頭をよぎるのは最悪のシナリオ。僕たちが準備をしている間に、新たな被害者が増えた?考えなしに動物たちを不可視化する結界を張ったせいで標的が人間に向いてしまったのか。
階段を駆け上がる。先を行くアラネコが開け放った扉に間髪入れずに転がり込み、臨戦態勢を取る。が、
「この子たちは…」
呻いて倒れているのは動物たちの視点から見た『加害者』側の少年たちだった。その数は十二。それがボロボロの寺の、本堂へと続く廊下と住職の休憩や応接間に使われていたであろうと考えられる部屋に転がっている。推察でしか語ることができないのは部屋というものが原形をとどめていないからだ。部屋を隔てていたであろう障子やふすまは破れたりそもそも存在していなかったりで、大きな空間に柱が生えているだけになっている。
「誰だお前ら…」
倒れている少年たちから敵意の籠った目線を向けられる。自分たちが傷ついているのに、他人を威嚇する余裕があるのなら元気かもしれない。
「僕の名前は日暮恵勇だよ。そんなことより、どうして君たちは倒れているんだ?」
一番近くに倒れていた少年に歩み寄る。ツンツン頭で左右に複数のピアスをつけたオラオラ系と言った感じの不良だ。普段であれば近づきたくないが、傷の程度も気になる。止血をするから、と言いつつハンカチを取り出して手当を始めると、僕らのことを敵対視することはやめたのか痛みをこらえながら、
「藤堂さんにやられたんだ」
「君たち全員かい?」
傷はあまり深くない。何度も切りつけられているからか、出血が多く見える。十数人もいる少年たちを一人で傷つけて回ったのか…呼び方からしてリーダー格だったのだろう。皆無抵抗だったのか、それとも手練れなのか。足元を見れば何本もナイフの類が転がっている。どうやら相当腕が切れるらしい。厄介だ。
「彼は君たちの仲間だったんだろう?どうして急に切りつけられたんだ?」
「いつもみたいに街を歩いて…でも全然犬が見つからなくて…帰ってきたら突然発狂したように俺たちを斬りだしたんだ」
震えている。さっきの威嚇は恐怖から来たのだろうか、負った怪我よりも心の傷の方が深そうだ。十人超もの人間で街を徘徊すれば否が応でも人目に付く。恐らく獲物を見繕っていたのは二、三人だろう。そして僕の張った結界で獲物が見つからなくなり、この子たちを手にかけた。
…何故四日目はそうしなかった?青助が動物よりも優先的に襲われた理由は何だ?
「それで、その藤堂はどこへ行ったんだ?」
聞くと無言で本堂の裏を指差される。小蘭寺の裏にあるのは山だ。寺の本堂よりもその裏にある祭壇で経が唱えられることが多かったと聞く。そもそもこの寺に仏像の類は本流である他の寺に移転してしまってもう残っていない。もぬけの殻が壊されずに残っているに過ぎない。
「もう一つ、聞きたいことがあるんだ」
そんなつもりはないのに暗い声が出た。がらりと変わった雰囲気に押されたのか、ごくりと息をのむ音が聞こえる。
「宮下修哉、君たちが殺した少年の遺体はどこにある?」
「し、知らねぇよ。誰だそいつ。俺たちは犬猫しか…」
とぼけているようには見えない。だとすれば犯行は藤堂の独断決行。全員で寄ってたかって襲ったのなら、僕はここにいる全員を一発ずつ殴るつもりだった。それなら話は決まりだ。行くべき場所は決まっている。
「アラネコ」
魔術を用いて少年たちの手当てをしているアラネコに声をかける。彼女はこっちを向いて、僕がこれから裏山へ向かうことを理解したように頷いた。ええっと、探索魔術はどうやって使うんだっけ…
「お前、藤堂さんを止めに行くのか?」
「止める…うん、これ以上動物や人を傷つけさせるわけにはいかないからね」
「あの人、昔はあんなんじゃなかったんだ…おかしくなったのはここ一週間からだよ、頼む。頼むよ…」
あの人を止めてくれ。
どうやら藤堂という男は随分と手下に慕われているらしい。気が触れたのが最近だというのならまだ救いはあるだろう。生身の人間に左手を上げるのは気が引けるが、頼まれては仕方がない。
「僕は君たちを許さない。動物たちの命を奪って、未来を奪った。その罪はこの後すべて払うと約束してもらう」
だけど、
「彼を止めてくると、代わりに僕は約束する」
11.破壊の衝動
裏山に階段が準備されていることを初めて知った。放置されてから数年たっているはずなのに、コンクリートのそれは荒れることなく残っていて、人工物の存在感を出していた。登っていくにつれて、人の気配が強くなる。
僕は彼にどんな感情を抱いているのだろう。怒りに同情が混じっている。殺戮の快楽に溺れたことへの哀れみか。人を殺した人と相対するのは初めてではないが、一日二日しか触れあっていないにせよ知り合いを殺した人間を前に平静を保っていられるだろうか。今でさえ、この拳は震えている。
階段を、登り切った。うっそうと茂っていた植物が切り開かれ、小さな壇と木で作られた蔵のようなものが置かれている。手入れはされていないはずなのに、ざっそが生い茂ることも風化した様子もなく、不自然なほど自然にそれらはそこにある。
「藤堂、君を止めに来た」
祭典用の壇の上に座っている僕と同じくらいの少年に言う。彼はこちらを見て、
「警察…じゃなさそうだ。何しに来たんだ?止める?俺を?冗談はよせよ。あいつらを斬っておけば誰かが警察を呼ぶと思ったのに、拍子抜けだ」
後半はただの愚痴のようにボソボソと溢すだけ。丸腰の子供が一人でやってくるとは思わなかったらしい。それもそうか。
「どうして警察に来て欲しいんだ?もしかして君は、捕まりたいのか?」
このまま償う気なのか。それにしては遠回しな手だ。何故、という疑問が尽きない。
「違ぇよ」
吐き捨てるように、
「壊すんだよ、全部。次は警察、ただそれだけだ」
ゾクリ。と恐怖が駆ける。気が触れているといった次元の話じゃない。彼らの『昔はあんな人じゃなかった』なんて話が信用できないほどに、目の前のこれは殺意の塊だ。
「その前に、お前か!」
ヒュッ。と空を裂く音が聞こえる。反射で構えた左腕をナイフが深く抉り宙に花を咲かせる。切れた、強化は施した筈なのに。彼の腕力がそれを超えたのか?有り得ない。彼からは魔術の気配を感じない。あのナイフにからくりがあるのか。
「ぐッ」
思考を遮るように二撃目が襲い来る。左足に重心を置いたまま右足を一歩後ろに下げる。ナイフを突き出す相手の手首を右手で掴み、僕の左手を背に当て地面に引きずり倒す。瞬間、顎を衝撃が突き抜ける。右足の蹴り上げ。無理な体勢から放たれたはずなのに、強烈な痛みがある。
「おい、なんだよそれ」
「特別製でね」
左腕の傷が既にふさがっていることに気が付いたのか、奇異の目線を向けてくる。警戒してくれるに越したことはない。
全身に硬化を使用しているにかかわらず、先ほどの衝撃、抉られた左腕。およそ人間だとは思えないほどの力強さだ。武器ではなく少年本体の力だとしたら押さえることすら容易でない。
「いいじゃないか、益々そそる。壊し甲斐がある!」
「なんでそんな風に傷つけるんだ!」
刃の横を右腕で払い、正拳突きを放つ。体を翻すことで躱され、そのままの勢いでけりが飛んでくる。すかさず反転して背後に回り込み足払いを掛ける。
「壊したいからだ!頭の悪い仲間を従えて、頭の悪いことばかりをしていた俺は正気じゃなかった。そのことに気づかされたんだ!」
足払いで崩れた姿勢のまま持ち替えたナイフでの突き。間一髪のところで右に腰をひねり距離を取る。
「綺麗なもの。整然としたもの。輝くもの。美しいもの。全部、全部全部全部壊す!その瞬間が堪らない!綺麗なものほど壊れ切った後の無残さが際立つ!整然したものほど歪められた後の醜さが目に付く。輝くものほど壊れ輝きが薄れゆく光景が目に焼き付く!美しいものほどそれを失った瞬間の何もなさに酔いしれられる!!!」
矢継ぎ早に繰り出される刺突。灰被りの姫も、虚ろ目の従者も、絢爛の王も裸足で逃げ出す、破壊の衝動。
美しいものほど壊したくなる。壊す過程での儚さを愛する。
「愛され尽くした動物たち!気高く孤高に生きる野良!権威の象徴、民衆の守り手である警察!」
そして、
「何の色も持たぬ少年!だから壊す、壊さずにはいられない!ああ、お前からも同じ匂いを感じる。お前も俺に壊されるべきだ!俺が壊すべきだ!お前の命は、どう輝く!?」
振り回されるナイフ。がむしゃらのように見えてすべてが急所を狙っている。なんの秘密があるかわからないが、切っ先に触れれば強化の魔術など無いかのように切り裂かれる。柄を、手首を、軸足を、肩を、相手のエモノを避けて反撃を仕掛ける。
「お前が崩れる瞬間を見せてくれ!血だまりに沈む瞬間を!躍動するその体の静寂を!灰色に成り代わったその魂の亡骸を!」
「綺麗なものは綺麗なまま愛でるべきだ。整然としたものは整然としていることに価値がある。美しいものはそれを保っている時間に意味がある。その価値が燃える一瞬の光じゃなく、輝き続ける時間を愛するべきだ!」
振り下ろされたナイフを右に避ける。続いた体当たりを左手でいなす。大振りで単調な攻撃、かわすのは容易だが気を抜けば絶大なダメージを負う。慎重に正確に相手の息切れを待つ。
人の手によって燃え尽きた後の灰に、崩れた後の城に、消えてしまった炎に、枯れた花に、そんなものに、
「そんなものに意味なんてない!」
鬼の手でのカウンター。藤堂はたまらず飛び退き武器を構え直す。この男の価値観は理解できない。その衝動にはこれっぽっちも同意できない。その望みは失われた者への敬意がない。天寿を全うした後の美しさではなく、己で壊す優越感に溺れているだけだ。だって、
「風で流れていく灰を見ても虚しさがこみ上げる、それだけだ!」
「ッ!」
轟、と唸る風の音。ナイフを脇に構えた高速の刺突。
「這い出る闇。黒壁!」
目の前に石碑のような二メートルの漆黒の盾を出現させる。たとえ彼が魔術を無効にするのだとしてもこの壁は破れない。黒壁は、そういう呪いでできている。
「ウォアァァアッ!」
ミシリ…と壁が音を立てる。切り裂かれるのではない。壁全体がゆっくりと歪み始める。単純な力押し。術など無く、技など無く、切っ先の一点に全ての力を集中させた暴力。真ん中から次第に伝播していき、亀裂が走る。
崩壊を始める壁を見て、咄嗟に防御の姿勢を取る。次破られた壁のその向こうから跳躍する影。
それが放った飛び蹴りが交差させた腕に衝撃を打ち込み、吹き飛ばされる。ぐるぐると回転する景色に目が追い付かず、林の中に叩き込まれると同時に視界は暗転した。
12.オーバーロードE
身体が動かない。指や首は辛うじて動くが、どうやら私は壊れてしまったらしい。ギギ…と音立てて首を回すと、猫はこちらをじっと見つめている。
「良かった。生きていたんだな」
一声鳴いて、それは応えた。だったらもういいだろう。擲ったこの身にも意味があったということだ。最後に知った優しさ。確かにこれは自己犠牲と呼ぶのだろう。だけど、私はこの身を惜しいと思っていない。ただ『助けたかった』、それだけ。それだけだ。
不意に、私の瞳に影が降りる。見れば誰かが私を覗き込んでいるようだ。
「少年か。…すまない、君の優しさを奪ってしまった」
だけど、君ならばもっと多くを救えるだろう。その優しさがあれば、どんな不幸だって幸にできるだろう。目を閉じた機械に、言葉が落とされる。
「君の願いはなんだ?」
思わず両の目を開く。下から覗いた少年の瞳は、金に染まっている。
今思えば、この時に「馬鹿馬鹿しい」と一蹴してしまっても良かったかもしれない。それほどに突拍子もない質問だったのだが、意識とは反して唇は、落とされた言葉に言葉を返していた。
「人間に…人間に、成りたい」
まるでどこかの妖怪人間だが、機械は生まれて初めての願いを口にした。
願い?それは機械には似合わない。途轍もなく違和感があって、途轍もなく相応しくない言葉だったが、ああ確かに。それは願いと呼ぶ他ないだろう。
皮肉にもそれは同時に、生みの親である彼女の願いでもあった。
少年は確かに頷いて、
「君の願いを叶えよう」
これは夏の終わりに起こった、奇跡の話。
13.鋼とは刃のことである
歪んだ視界が元に戻ってくる。どうやら頭まで衝撃が通じたらしく、鈍い吐き気とふらつきで立つことが難しい。こんなところで座っていては格好の餌食なはずなのに、一向に襲い掛かってくる気配がない。ようやく安定した視界で見えた先には、激突する二人の男の姿があった。
「東雲」
「起きたか、お陀仏にはまだ早いぞ」
藤堂と組み合っているのは東雲海人。陸上部のエースだった。黒壁を砕くほどの力を前にも一歩も譲らない。それどころかナイフさえも弾いて見せる。痺れを切らした相手の足払いで互いに距離を取ったところに近づく。
「どうしてここにいる」
「俺はGPSにも街の監視カメラにもアクセスできる。これだけ答えれば十分か?」
どうやら僕のクラスメイトにはストーキングの極意を持っている犯罪者が紛れ込んでいたようだ。
「君の体はもう機械じゃないはずだ」
「三割くらいはまだ昔のままだ。特にこの心臓なんかはな」
そう言って彼は胸に手を当てた。その体からは静かに蒸気が上がっている。彼は体に痛みを残したのだろうか。でも、それが彼の願いの形だったとしたなら、僕はその通りにしか叶えられない。
「それよりも恵勇、お前はどうするつもりだ?」
その問いの真意は、
「アイツを倒すか?それともお前は、あれも救うのか?」
「…彼の動きを止めて欲しい。それから先は、僕がやる」
「わかった」
エンジンが動き出すような音がして、東雲の脚から蒸気が再び上がる。あれから聞いていないことがある。聞けていないことがある。
「ああまた、壊すものが増えた!」
「俺は簡単には壊れねぇぞ!」
拳と拳がぶつかり合う。繰り出されたナイフは手首を払うことで無効化する。足払いは飛び退る。高速化する戦いを見ていると、収まり始めた脳震盪が再発しそうだ。
もう一度考えを巡らす。動きを止めて、どうする?願いを聞いたとして、それが『僕らを壊す』ことだったら?
彼の、藤堂の破壊の衝動は。あの想いの奥に見えた憂いは。僕の発言に触発されて激高したその深層は。
「ウォアァアッ!」
雄たけびで意識が引き摺り戻される。ナイフを構えた刺突。速さと重さ、圧倒的なエネルギーでもって風を切り裂きながら距離を詰める。機械の目は確かにそれを捉えていた。
「シッ」
素早く武器を払いのける。だが、懐へ侵入した狂犬は、払いのけられたそのままの勢いで体当たりの姿勢に入った。黒壁を壊しきる勢いを受けたとしたら、
「東雲…!」
声を上げる。だけど、当の本人は全く物怖じも身動ぎもせずに、口の端を釣り上げた。まるで、「待っていた」と告げるように。
藤堂がそれを見て驚愕したのと同時に機械の全身から爆発したように蒸気が噴き出した。それは爆音を響かせ周囲の木々を騒がし、夜の闇の中で吹き荒れる白煙は嵐のようだ。暴風に堪えることなどできずに吹き飛ばされる破壊の化身。離れていた僕でさえその熱さと風圧に目を覆う。最後の視界に映るのは、風に乗り大きく跳躍する蛮勇だった。
東雲に取り押さえられている藤堂の元へ歩く。風は収まり、もう白い煙は出ていない。藤堂は抜け出そうと腕や足に力を入れてもがいている。何がそこまで君を奮わせるのか。
「君は壊した後の亡骸や果てを見て、何を思ったんだ?」
暴れる力が強くなる。唸るような怒りの声。それでも僕は聞くことをやめない。やめるわけには、いかない。
「一瞬の快楽に興じて、命の灯を奪って、すべてがなくなった後の白く無意味な灰を見て君は何を思ったんだ?」
「ウワアァアアアア」
唸り声は叫びに変わる。震えるような、叫び。ただ叫ぶしかないというようなふり絞った音。地面を掻きむしり地獄から抜け出そうとする。
「全部終わった後で!束の間の君の欲求を満たした後で!暴力で無為にした後の無気力な心の穴を!壊しきった後の虚しさを見て君は何を思ったんだ!?」
「君の願いは何だ!?」
「うるせぇぇええ!!」
呪いを口にする。木々のざわめきも夜風の唸りも少年のうめき声も東雲の張りつめた表情も、遠い世界のものになっていく。前後も手足も、人間の持っている感覚を手放し、金に染まった瞳はただ願いのみを見つめる。ただ紡がれる言葉のみを。
「うるせぇ!願いなんて最初から決まってる!!あの時からずっとそうだ!」
堰を切ったように溢れ出す言葉。彼の想いに呼応して、脈打つ心臓の音が鈴のように鳴り出す。息を吐きだす。僕が欲しいのはその先だ
「全部壊して!ぶち撒けて!心が求めるままに振るって!俺の心が、叫ぶままに屠って!」
声に涙が混じる。怒りの声に悲しみが滲む。色を混ぜ合わせて、汚れて、その手は強く地面を掴んでいる。
「だけど、全部壊した後に、」
「壊さなければよかったって思うんだ…」
零れた一筋。後悔。
二度とは戻らない過去。変えてしまった自分への嫌悪、幼稚な自分への責。両手ですくって、だけど指の隙間からこぼれていく砂を。太陽の結晶である砂の城。壊したいものは、脆いものだ。
「君の願いを叶えよう」
放たれるのは清浄の光。
凛。と脈打つように一度だけ光が包み込むように広がっていき、町の全てを包む。僕の役目は、これで終わり。あとは彼がどうするか。
「ん?」
ガタリ、と祭典用の倉庫の中から音がして、それに東雲が反応する。
「おや、お目覚めのようだよ」
もう一度会ったら、次はどんな印象を受けるのだろうか。…もう彼に猫らしさはないぞ。
14.幻想
「へぇ。それじゃあ来週からラジオ体操が始まるんですね」
「不良たち、体力はしっかりあったみたいでよく働いてくれるよ」
「青助は?」
「私の助手。回路はすごく発達しているからね、腕のいい魔術師になるよ」
「ありがとうございます。それじゃ、よろしくお願いします、博士」
そういってスマートフォンの画面を閉じる。一連の事件は全てがなかったことになった。僕が彼の『壊さなければよかった』という願いを叶えたから。全てがなかったことになった。世界にそんな風に修正が働いて、人の記憶にも改ざんが施された。
覚えているのは僕、アラネコと東雲、それに藤堂をはじめとした不良たちだけ。彼らは今住宅街の掃除や子供たちの世話、町内会の雑用などに駆り出されている。罪の証拠はなくなっても、意識は残っているからか償いを申し出てきた。これ以上の償いはないだろう。この時期の朝にラジオ体操って拷問なのかな。
「そんニャことをしても許さニャいニャ」
アラネコはそんな風に言ってそっぽを向いていたけれど、青助の様子を見に行ったり、猫や犬を一匹一匹見て回っているらしい。彼女はまだまだ忙しいだろう。
青助は東雲のいる博士の家に助手として住んでいる。あそこが彼の家となってくれれば、彼の心の傷もいつか癒えるだろうと思う。これに関しては僕には何もできないからだ。それにあそこの道具にはよくお世話になっているので二重に嬉しい。
目を覚ました後、彼に願いはあるかと聞いてみたが、青助は首を横に振った。
「今よりも、これ以上求めることはないです」
僕の出番はなかったのだけれど、その言葉は何よりも喜ばしい。修行の進捗を見に行くという楽しみも増えた。
齟齬が生じていることなどはないかと街を一通り見て回って歩く。何もかもが元通りになった街の中で、忘れられた記憶があって、それを知っている僕らがいて。だけど、なんでもない日を噛み締めている。
「おい、早く帰ろうぜ!」
「向こうの信号まで競争だ!」
冬の風に負けないほど早く走り抜けていく子供たち。ここは綺麗なもので溢れている。指でつつけば崩れてしまうような脆さの中で、シャボン玉のような儚さの中に包まれて。僕は今も、そんな脆さを愛している。
浮かれたような赤と白の旗。気の早いイルミネーション。来るべき大いなる生誕祭に舞うのは歓声と喜び。どこからともなく聞こえるのは魔法の呪文。
「メリークリスマス」
帰ってくる声はないけれど、満足げな少年は降り始めた雪の中をゆっくりと歩いていく。
偶然の中で。
白い雪は、降り積もる。
<終>
お読みいただきありがとうございました。
二章がかなり遅れてしまい申し訳ございませんでした。書きたいことと伝えたいことを詰め込んでいたら長くかかってしまいました。
最後にひとつだけ問題です。
一人で一人の人間を殺した場合。
複数人で一人の人間を袋叩きで殺した場合。
どちらの方が罪が重いと思いますか?
どちらの方が、被害者の恐怖は大きいと思いますか?