思いはここに   作:√10

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投稿頻度亀です、よろしくお願いします

皆さんは「自分の思い」は仕舞っておくタイプですか?それとも公にバンバン明かしていくタイプですか?
僕は昔は仕舞っておくタイプでしたが、今は明かしていくタイプですね。

何でも思ったことは発言した方がいいと思います。
でないと、思いはやがて腐りますよ。


1話 ありふれた日常

生き物の思いは無限だ。

限りなく、際限なく、広がり増え続けるものだ。

死んでもなお、その思いが誰かに伝わることで生き続けている。

思いとはそういうものだと思う。

 

思いは正確に伝わらないものなのだろうか。

 

そう思うと少し悲しい気がする。

 

あの日からしばらく日記は書いていなかったけど、また今日から日記を書いていこうと思う。最も読んでくれる彼女はもういないけど。

 

今日はこのくらいにしておこう、また別の日に思うことがあれば書こうと思う。

次はもっと明るい事が書けるといいんだけど。

 

あぁそうだ。昨日来た少年はただボールを取りに来ただけみたいだ。少し脅かしてしまったけど。

こんなボロボロの姿では仕方ないか。

次に誰か来た時はあまり姿は見せないようにしようと思う。

 

じゃあ、おやすみ。

 

〜7月5日〜

 

 

夏休みが終わり、新学期がスタート。終わらせた夏休みの課題を提出し、式に出て、今は帰宅中。

午前のみだったというのにこの倦怠感はなんなんだろうか。久々の登校だったということもきっとあるんだろうけど。

 

先生に『中春』と呼ばれた時なんか、自分のことだということすら気づけなくて笑われてしまった。

クラスではいつも「なかしゅん」なんてあだ名で呼ばれてるし、母さんからは「ゆうくん」父さんからは「優斗」と呼ばれてるから、数ヶ月ぶりの苗字呼びに反応できないのも無理ないか。

 

肩から少しズレ始めたカバンの位置を直し、ベッタリと張り付いたシャツを体から剥がして中の温まった空気を逃がす。パタパタと服を引っ張り中へ少しだが涼しい風を送る。

だが、その行動すらも、俺の体温を上げるには十分だった。

 

「あぁ、暑い...」

 

あまりの辛さに言葉が出てしまった。暑さや寒さが物理的なストレスというのなら、こうやって口に出すのはストレス発散と言ったところか。

 

「マジで暑すぎだろ...夏ってこんなに暑かったっけか?」

 

真上から見下ろすようにギラギラと照りつける太陽がとても憎く思えた。

アスファルトの地面は熱されたフライパンを連想させる。きっと手をつけたらジュゥッと小気味の良い音がするんだろう。目玉焼き焼けるかな。

 

遠く、向こうの方に立ち揺らめく陽炎を無視して道を左へ曲がる。本来は真っ直ぐ行くのだが、ダメだ。耐えられない。

 

こちらの道は少しだが木が生い茂って影が出来ているのだ。つまり、圧倒的に涼しいはず。

少し遠回りにはなるものの、それも仕方ない事だ。このまま日の下を歩いていたらいつか干からびてしまうような気がする。というか、絶対干からびる。

 

日陰の出来た細道に入った途端、先程の暑さとは違う涼しい風が体を包んだ。

こんなに涼しいものなのか、と少し驚いた。

少し日陰になってるだけでこんなにも世界が違って感じられるのか。

 

少し道なりに進むと広場が見えてきた。

先程より木漏れ日が多くなっているが、そんなに暑そうには見えない。ベンチもあるし、ここで少し休憩しよう。

 

「...?」

 

少し向こうの方、半袖を着た男性と青いシャツを来た男性が何か話をしているのが見えた。と言うより、言い合いをしているのだろう。

と、俺が見ている事に気付くとすぐにどこかへ2人して歩いていってしまった。

なんだか、少し悪い事をした気分になったが、今はそんなことどうでもよかった。というかこんなことに罪悪感を覚える必要はそもそもない。だってみんなの広場だし。

 

「はぁ...家まであと15分くらいか。」

 

休むのは止めようかと一瞬考えたが、やはりダメだ。少し休む。

 

少し古ぼけた木製のベンチに腰掛け、カバンを肩から下ろし横へ。

 

「ふぅ...」

 

ベトベトと気持ち悪いシャツを今すぐにでも脱ぎ捨ててこの日陰のある涼しいエリアを走り回りたい気分だ。もちろんそんなことをすれば警察が来るのは明らかだが。というか、この暑さでついに俺の頭もこんなくだらない冗談を考えてしまうようになってしまったか。

 

なにか別のことを考えよう。

 

「夏休み...結局なんにもできなかったなぁ。」

 

1人の空間ということもあってか、なんとなく口に出してしまった。

 

俺は今までなにも努力なんてしたことがない。

毎日学校へ行き、授業を聞き流して、うちに帰り、食べて風呂はいって寝て。その繰り返しだった。

同じことの繰り返しが嫌で、夏休みこそはなにかしよう!なんて意気込んだはいいが、成果はゼロ。残ったのは倦怠感と自己嫌悪のみ。全く、人生って時間を俺は一体どれほど無駄にしてきたのだろうか。

 

俺の友人はそんな俺を見て「死人に分けてやれよその人生」なんて笑っていたが、笑えない。冗談にしても少し言いすぎだろう。

 

でも確かに、死人からしてみれば俺みたいに毎日を無駄に過ごしているようなやつは恨めしいのだろうな。

 

前のめりになって肘を膝に当てるような形になる。とても楽な体制だ。顔を地面に向け、少し地面を見つめる。乾きかけていた汗が俺が動いたことによって背中をつーっと流れるのを感じた。

 

ぼーっとそのまましばらく静止してから目を閉じると風の音が妙に耳に心地よかった。汗も良い感じに風にあたり体を徐々に冷やし始めた。

 

とても心地いい。このまま寝てしまいそうだ。

そう思い、だんだんと意識が遠のいていこうとしている時。草を踏みしめる音がした。

 

「そこの人。」

 

急に声が聞こえて、思わず目を開く。すると赤いハイヒールが俺の視線の先に見えた。

すぐに状態を起こし、声の主を確認する。

ぱっと見ると綺麗な長髪の女性が俺の目の前に立っていた。白いカーディガンを肩にかけ、白いスカートに赤いハイヒール。年齢的には20代だろうか。

 

「あっ、えと。僕ですか?」

 

「ええ、あなたよ。あなた、今何か見た?」

 

「え?」

 

唐突な質問に、一瞬理解が遅れる。

俺がさっきまで見ていたのは地面だ。他には何も見ていない。

 

「いえ、何も見てませんけど...」

 

「......そう。ならよかったわ。」

 

一体なんなんだこの人。見ず知らずの男にいきなり「何か見なかったか」なんて。おかしな人だ。

 

ふと頭の中に先程居た男性二人の姿が浮かぶ。

いや、しかし先程の女性は「何か」と言ったんだ。「誰か」なんて一言も言っていない。

 

別に大したことじゃないだろうし、伝える必要も無いか。

 

そんなことを考えていると女性は「ごめんなさいね」と言ってどこかへ去っていった。

 

「ほんとになんだったんだ、今の人。」

 

そう首を少し傾げるが、誰も見ていないこの場所でのその行動に特に意味は無い。

 

静けさだけが残った広場に優しい風が吹くと青臭い草と土特有の香りが久しぶりに鼻腔へ届いた。

とても懐かしい気分だ。

 

子供の頃はよくこの香りに塗れて遊んだっけ。

誰と遊んでいたのかは思い出せないが、なんとなくその時のことを思い出す。鬼ごっこ、かけっこ......かくれんぼ。

 

 

 

 

____そろそろ帰ろうか。休憩も十分に取れたし。

 

 

 

ベンチから立ち上がり、カバンを肩にかけて歩き始めた。

 

 

「ただいま〜」

 

「おかえり〜!今日は早かったわね?」

 

母さんが台所から顔を覗かせてそう問いかけてきたので階段へ向かいながら「今日は午前だけ〜」と言った。

 

部屋へ着くと横の部屋から爆音で曲か聞こえてきた。妹の「リナ」だ。あいつは音楽がすごい好きなことでここいらでも有名人になっている。

実際歌もうまく、楽器も扱える。ネットには自分が作曲した歌まであげているようだ。そこは人生を上手く十分に使っていて尊敬する。

 

だがしかし。問題は俺の部屋の真横にアイツの部屋があることだ。夜も1時位までは曲が鳴り止まず、時には激しめの曲を勉強中にかけられ俺のストレスの一部と化していた。人に迷惑をかける人生がいい人生な訳ない。

 

今日こそはガツンと言ってやろうと思い、ドアノブに手をかける。

そしてドアを思い切り開き、それが壁にぶつかったバンッという音とも聞こえないほど部屋の中は曲で満ちていた。

 

「おい!リナ!うるさいぞ!......って」

 

「ふふ〜ん......っ?ええっ!!お兄ちゃん!?」

 

部屋の中には丁度いい感じに服を脱いだ妹の姿。

丁度いい感じというのは決して男が欲情する程度という訳ではなく、兄としてギリギリ見てもセーフ的な意味での丁度いいであって......って俺は誰にも弁明をしているんだ。

 

「あ、えと。リナ、大丈夫だ。」

 

いや、大丈夫って何がだよ。と自分に向かって脳内てツッコんでいると妹の顔が赤くなり始めているのに気がついた。

 

「す、すまん。出直す。」

 

顔を真っ赤にしたままの妹をなるべく見ないように1歩後ろへ下がりつつドアを閉める。

 

「いや、出直そうにも出直せねぇよ...」

 

てか夕食の時どんな顔して会えばいいんだよ。もし親にでも言われれば...想像するだけで母と父の冷たい目線が鮮明に映し出される。前にも一度あったのだ。こういうことが。

 

「はぁ...」

 

ガックリと方を落とし、そのまま自室へ。

廊下にいた時より妹の部屋からの音楽は聞こえないが、それは今かかっている曲が静かめのパートに入っているからだ。

 

「まぁ、もういいか。めんどくさいし。」

 

荷物を下ろし、エアコンを入れる。

今すぐベッドにダイブしたいが、そんなことをすればとてつもなく後悔することになるだろう。

 

シャワーに入るか...。

 

 

シャワーを入り終え、今はベッドにダイブしている。少しひんやりとしたベッドに火照った体が冷えていく。

 

「布団...最高!!」

 

仰向けになり、天井を見つめる。

横に充電してあった携帯を取り、パターンロックを解除する。するといつものアプリケーションソフトたちが俺のことを出迎えてくれた。

 

「コード」というチャットアプリを開き、メッセージを確認する。

すると、3人からチャットが届いていた。

 

そのうちの一つ。最後の文が「早く!」というメッセージで終わっているものが気になった。

クラスメイトの「真壁 隆太(まかべ りゅうた)」だ。こいつとは時々カラオケに行ったり、昼休みに話したりしていて中々仲のいい友達のひとりだ。

 

「一体なんだ...?」

 

早くという程だ。急いでほしいのだろう。仕方なく一番最初に開いてやることにする。

 

『どうした?』

 

俺が送信すると一瞬で既読が付いた。こいつ、トーク開きっぱなしにしてやがったか。

 

(隆太)『急いで久留井公園に来い!』

 

は?久留井公園ってあそこか。特に遊具もなく、遊ぶ子供は一人もいない、あの公園だよな。

 

『なんで?』

 

(隆太)『いいから!早く!』

 

一体なんなんだよ。まぁ、このあと暇だし。別にいいんだけど。『しかたないなぁ。ちょっとまっ』と、ここまで打ちこんだところであることを思い出す。

 

そう。外は暑いのだ。部屋にいたために外が炎天下の大地獄だということをすっかり忘れていた。

 

文を全て削除し、『暑いからやだ』と打ち込む。

 

(隆太)『馬鹿野郎!いいから来いよっ!』

 

俺にこのクールヘブンから離れてホットヘルへ飛び込めと?

 

(隆太)『子供は風の子って言うだろ!!』

 

「......。」

 

『それ冬に使う言葉だぞ。』

 

既読は付いたものの、返信が来ない。

恥ずかしくて悶絶しているのだろう。高校生にもなってこんな発言をするとは、さすがの俺も失笑したぞ。

 

自分の馬鹿さを再確認して、諦めてくれるといいのだが。

 

(隆太)『いいから来い!』

 

そう上手くは行かなかったようだ。

俺はベッドから起き上がり、いつもの服に着替え、ホットヘルにダイブすることとなった。

一体何を思って俺を呼んだのだろうか。今もその理由は分からないが、まぁ向こうへ着けばわかる事だ。今はとりあえず急ごう。

 

 

 

今日はおかしな夢を見た。

僕の感情、考え、性格。そういう内面的なものが外側へ溢れ出し、形を持つようになるという夢だ。

 

できることなら、そうなって欲しいものだ。

 

そうなれば、あの日みたいなこと繰り返さないで済むのに。

 

そうだね、あの日君のことを引き止めていればあんなことには。

 

ごめんね、暗いことばかり書いていたらまた叱られちゃうね。

 

そういえば、今日もあの石光ったよ。やっぱり強く握ると光るみたい。君の言った通りだったよ。

 

そういえば、あの意思が光った時は君の気持ちが何となく伝わった気がしたんだ。うまく表せないけど。

もしかすると、夢で見たことを現実にできるかもしれないね。

 

特にすることもないんだし、明日からは石について調べてみようかな。

 

それじゃあそろそろ、おやすみ。

 

〜7月19日〜




最後まで読んでいただきありがとうございます。
この小説の説明ですが、完全に思いつきで進めていこうと思っていますので「こうした方がいいんじゃないか」とかっていう感想は割と物語を左右していくと思います

誤字や脱字、おかしな点等ありましたら指摘いただけると幸いです
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