「今日はハリマグロとサシミウオが安いよ~!さぁ、買った買った!」
「あっ、そこのハンターさん!今日は刃薬を仕入れてるよ!買ってかないかい?」
「お!いいね!減気のやつとかある?」
「あぁ?なんたとテメェ!?もういっぺん言ってみろや!?」
「うるせえバカタレ!本当のことを言っただけだろうが!」
稼ぎ時に一生懸命声を張る魚屋のおばちゃん。
主にハンター相手の商品を展開する雑貨屋のおじさん。
何気ない会話から始まるハンター達の他愛の無い喧騒。
ここはウララ村。ドンドルマギルド管轄内の、そこまで大きくはない村だ。
この村に特産品と呼べるものはなく、他の村からの交易で成り立っている。
ギルドの管轄内だというのだから当然ハンターは毎日忙しく住民達の依頼や、ギルドからの指令をこなしている。最近ハンター達は、新しい[ガンランス]なる新しい武器のブランドがでるとかなんとかで騒がしくなっている。先の喧騒もランス使い達による、新顔[ガンランス]
をめぐる喧嘩だったりする。
と、まあ良くも悪くも騒がしいこのウララ村に、背中に自分の身の丈ほどはあるだろうという大きな剣を背負った青年が足を踏み入れた。
「ここがウララ村かあ...思ってたより大きいな」
まだ...というか、かなり幼さを残した顔を眩しそうにウララ村の特徴的な門に向ける。やや青がかった黒い髪を耳に少しかかる長さに伸ばしており、前髪はおでこの真ん中で二つに分けられている。そして太陽のような綺麗なオレンジ色の目をしている。
彼の名はイサミという。
先週、ハンター養成所を【最下位】で卒業し、勤め先の村を選ぶ権利すら無い彼だが、幸いにもそこそこ盛り上がっているウララ村に勤めることができたのだ。その事を一番お世話になった教官ハンターに話したところ、「ドスランポスのジャンプ攻撃には気を付けろよ」と、今にも消えそうなすすり声で言われたのは記憶に新しい。何故なのかは言うまでもないが。
ドンドルマから竜車を5回乗り継ぎ、途中夜営を数回挟みながら4日かけてこのウララ村に来たわけだが、彼にはまずやらなければいけないことがあった。
人通りの激しい大通りをなんとかぶつからずに通り抜け、彼が立ったのは、この村のハンターになるために集会所で登録を...ではなく、【30分、500zで食べ放題】の看板を掲げた大きな食堂だった。
カンウター席に座り、
「え~と、おばちゃん!サシミウオ丼を30分食べ放題コースで頂戴!!」と、叫ぶと
「あいよっ!」と、威勢のいい明るい声が返ってくる。
「お待ちどおさま!」
の声と共に目の前に置かれたのは、ほかほかのご飯の上に、これでもかというほど敷き詰められた白い身。
「これが、〈ハラペコ亭〉イチオシ、〈特盛サシミウオ丼〉だよ!食べ放題だからたくさん食べな!」
「ありがとおばちゃん!いただきまーす!」
「ごちそうさま!」
「すごいねぇあんた!特盛七杯平らげたのはあんたが初めてだよ!」
「まあね!昔からよく食べたからね!はい、これ500z」
「ひ~ふ~み~...はい丁度!そういや、あんたハンターかい?」
「ん~これから登録しに行くからまだハンターじゃないかなぁ」
「あら、あんたがドンドルマから派遣されたっていう新米かい!これからもよろしくね!」
「うん!これからも来るよ!」
「それは嬉しいねえ!それじゃ、早く登録してきな!」
「はーい!」
ここはウララ村。付近に現れるモンスターは《G》の称号を持つものばかりだということをまだイサミは知らない。