何しろ息抜きがてら書いてるもんで、自分でもビックリするほど進みません。言い訳とかじゃないんです。理由です。苦し紛れの。
短いですが、まあ休憩回ですんで。次回にでもスタンドバトルする訳じゃあないんですけどね。
ぼくの名前は岸辺露伴。漫画家をやっている。
仕事が早すぎて、仕事をしている実感がないがな。むしろ趣味に近い……………………。
集英社にはいないんだが、いやむしろマンガ家でもないのだが…前に会った山田エルフとやらの仕事のしかたに似ているらしい。
そんなぼくのもうひとつの趣味、それは『キャンプだ』。
「世話になった」
「いえいえ、また遊びに来てください!」
「ああ…母さんも、ありがとうございます」
「そんな〜♡また来ていいのよン♪」
「新居に来たはいいが」
今年は特に降水量が多いらしい。杜王町の『一小川』だって、ほんの一部分だが氾濫をおこし、住宅が浸水したとのニュースがあったな。
「大雨だな」
個人的な話をさせてもらうと、ぼくが小学生にもならないころ、海岸の岩場で遊んでいたところ、左のアバラ骨を折ったことがある。激しい低気圧の時は、ここが重く、痛くなる。『うずく』のだ。
これから話すのは、いや、ハッキリ因果関係があるかはわからないけれど…。
「……明日にでも出掛けるか」
…………………また、奇妙な運命の話になるのだが……。
『クリキャン、します?』
「は?」
クリキャン……?クリキャン。くりきゃん。いや、クリ・キャン?何かの略か?だとしても何の略かは分からんが。もうすぐクリスマスだし、クリスマス……ん?
『クリスマスキャンプの略だと思うんですけど…野クルとその顧問、あと私の友達が来るようですよ』
やっぱりな。この子がぼくに話しかけてくるのは、『キャンプの時しか』ないし。
「………場所は?」
『富士山周辺という事だけは決まっているらしいです』
「アバウトだな、相変わらず。君は?」
『え?』
「『君は来るのかい』と聞いているんだ」
『か、考えてます。一応』
「もともとはソロキャンが主だもんな、リンくん。無理はしないでいいんだぜ?」
『いや、露伴先生が行くなら…』
「……………ぼくが……行くなら?」
『なななな何でもないですっ』
「まっ、考えておくさ。ぼくも久々に行きたいしな…」
クリキャン、か。
と、ぼくがボーッと考えているうちに、電話帳にあるもうひとつの女子高校生の名前、各務原なでしこからの電話にまたスマートフォンが震える。ぼくも震えてる。
あいつ、何を考えているのか分からないフシがあるからな。分かったら分かったでヤな予感するし。
「もしもし」
『せんせーせんせー!!クリキャンしよ!!』
「やかましい。もうリンくんから聞いたよ」
『えっ、ほんと?じゃあリンちゃんも行くのかな!?ねえせんせー!』
「多少声を殺してもスピーカーで聞こえる携帯なんだ、音量最低でも電波に乗ってキミの爆音が聞こえてくるんだよ。もう少し音を小さくしてくれないか」
『ぶーっ。せんせーと話すの久々なのに』
「たかが2週間だろ」
『されど2週間だよー』
ちっ、うっかり鼓膜が破れたらどうするんだ。クソッタレハンバーグの世話にはなりたくないぞ。
そういえばこの前、アホ億泰と一緒に歩いていた時、雪が乗っかって二人ともおろしハンバーグみたいだったなあ。笑ったら顔が前衛芸術になるので声を殺していたが。
……外にはまだ雪が積もっている。
東北地方に位置する杜王町の冬は寒い。
「なでしこ」
『んー?』
「明日、そっちに『取材をしに』行くんだ」
『えっ!?「そっち」…って、山梨!?』
「甲府だけどな。キャンプ道具を揃えるついでに、新居のイロイロを揃えようとね」
『甲府…電車かな…』
「オイオイオイオイオイオイオイ待て待て待て待て待て待て待て待て待て。って、切りやがったぞあいつッ!ふざけるなよ!」
変装でもするかな…。
「ん」
「……なにこれ?」
「盆地は寒いと聞いた。ここでアイスコーヒーを奢るほど鈍感じゃあないさ」
「あ、ありがと…んふふ、あったかいね」
「…だな」
ホットココアの缶をなでしこの頬に押し付ける。
12月の半ば、甲府の中心には一面の雪景色が広がっていた。
結局、待ち合わせという形で会うことになったぼく達は、レンタカーで南部町まで行ってなでしこを拾い、そのままここまで来たのだ。
「完全防寒!すごいね」
「そうか?これくらい当然の装備だろう」
なんと4枚重ね着、カイロ完備。ふふん、この岸辺露伴、如何なる取材も手は抜かないぜ。
「引きこもりっぽいね」
「インドアと言え。いや、どちらかというとヘブンズドアだな。とにかく行くぞ」
「あ、待ってよー!」
と言っても、結局行くのは昭和のイオンだ。岡島や山交はあまり品揃えが良くないし、エクランことセレオを少し見て、昭和の方を見て回る感じだ。(何故露伴先生がここまで詳しいのかは、下調べをしたからです。決して作者が甲府に詳しい感を出したい訳じゃあない)
「あれ?なでしこちゃん。と、そっちの『お弁当に入ってるアレ』を頭に巻いてる人は?」
「恵那ちゃん!こっちはね、露伴せんせー!友達……?なんだよ!」
なでしこの友達、らしき人物が、百貨店から手を振りながら歩いてくる。黒髪、地味な服、柔らかな表情。野クルよりは個性がなさそうに見えた。
「一瞬疑問を抱くな。そしてこのヘアバンドは『バラン』などではない」
「へ?怪獣?」
「中世のバラノポーダの生き残りであるむささび怪獣こと婆羅陀魏山神を知っているのに、何故『お弁当に入ってるアレ』は知らないんだ…」
「とにかく先生、ですよね?私は斉藤恵那です。リンちゃんの友達、で合ってるのかなっ。よろしくお願いします~」
……また女子高校生か…………………。
頭を抱え、ため息のひとつでもつきたくなるさ。もとはリンくんとだけの付き合い、せいぜいサインしてやるくらいのなでしことやらが着いてきただけだったのだ。
「で?なんであの岸辺露伴先生と、なでしこちゃんが?」
「一緒にキャンプするんだ!ほら、クリキャン!」
「…ああ~!そういえば来るとか言ってたね!」
もう話したのか!?決定事項なんかじゃあないのにッ!行くとは言ってないのに、だッ!
「うん!だから買い出し!」
「取材だ。勘違いするなよ、斉藤恵那とやら…僕のはあくまで『取材としての』ものなんだぜ」
「はいはい、今回は美少女揃いで取材になりますよ~?」
「この岸辺露伴が女子高校生とキャッキャウフフするためにキャンプしていると思っていたのかァ──────ッ」
斉藤とやらと分かれ、とりあえず買えるだけのものは買った。食材、カメラのフィルム、モバイルバッテリーも必要だとなでしこに言われたので、無理して買った。もちろん道具も。
甲府ではなでしこと昼飯を食べ、少し取材もした。武田信玄公像前の噴水は取り除かれてしまったようだ…。しかし何だ、あのぼんち食堂とやらは。キチガイみたいなちゃんぽんの量だったぜ。
最近バイク買ったし、また財布の中身がギリギリになってしまった…高校生の頃はいつもこの位だったっけな。さて、明日はカップラーメンにするかな……康一くんに色々言われないし(ぼくのことを気にかけてくれているのは嬉しいのだがね)。
「うおー!お小遣いふっとんだー!」
「いやお前もかよ…ったく、割り勘で『それ』買ったんだし、大切にしろよ」
「うん!あ、割り勘したんだから、これ使うときは露伴先生も来てね!」
「どうやってだよ………あ、でも引っ越すし…行けないことも…」
なでしこの方を向くと、目を大きく見開いてこちらを見ている。たっぷり数秒見つめ合ったあと、ぼくのボンヤリとしていた空気は、こいつの馬鹿みたいにでかい声で引き裂かれることになる。
「えぇぇ─────────ッ!?」
「公然だッ」
「いったあい!え!ええッ!先生引っ越すの!?」
「そりゃあ、仕事で得た金もそれなりにあるし、今度は…」
「………………美しい町だ…」
FORZA siに跨って眺める景色は、杜王町のそれに劣らない。素晴らしい景色だった。遠くには観覧車とコースターのレール、その周りのアトラクションが見える。
富士河口湖町。次に、ぼくの住む町だ。
NEXT TARGET
「広──────い!!」
「焼き鳥の救世主の……彼女か?」
「………漫画……かかなきゃなあ……」
「先生が酔ってる!?」
「おい、パイ食わねえか」
エピソード#2₅-1=31:星夜プラチナ
&
エピソード#(∑1/n^2=π^2/6):神聖ナルヨル
To be continued…
ヘブンズと言っておきながら、この先当分スタンドは出ません。ずっと出ない可能性すらあります。